やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト

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小ネタを挟んでますが許してください。
では続きをどうぞ。


(154)狙われた美神令子 その4

「美神さん、あれは悪魔です。間違いないです。今すぐ滅しましょう」

俺は敷島博士を指さし、間髪入れずに美神さんにこう提言する。

 

「はぁ?どう見ても敷島博士に見えるわよ?」

美神さんは目を凝らして、慌てふためく敷島博士をじっと見据える。

 

「比企谷君、霊視ゴーグルでも人の気配にしか見えませんね」

キヌさんも霊視ゴーグルで、敷島博士を霊視する。

 

彼奴は悪魔だ。

姿は敷島博士だし、霊気の質や気配も人間そのものだ。

俺の霊視でもさっきまで悪魔だと見破る事が出来なかった。

美神さんや霊視ゴーグルでさえ騙してまう程の擬態だ。

 

だが奴は一つミスを犯した。

そう、俺のこの目を見て大悪魔アザゼルと完全に間違えたからだ。

俺のこの目を見て大悪魔アザゼルと間違える奴は全員悪魔だ!!

因みに俺の目を見て、ゾンビだと間違えた場合霊能者か幽霊。

泥田坊と間違えれば妖怪、一言主様と間違えれば天界の関係者。

そして、ド変態大悪魔アザゼルと間違える奴は全員悪魔って相場は決まってるんだよ!!

【参照:(64)唐巣神父の教会に行く(後)】

 

敷島博士の姿をした悪魔は、脂汗を浮かべながら何やら懸命に俺に語り掛けてきだした。

「あ、アザゼル殿、何故このような所にいらっしゃるのですか?……あっ、依頼品のアレですか?巨大イソギンチャクと電気ウナギの官能リクライニングチェアー、快楽痺電(カイ★シデン)……そのまだ開発途中でして、適正のあるイソギンチャクの培養がまだ終わってませんので……いや、もしかしてあれですか?タコとイカとナメクジ、イソギンチャクのクワトロハイブリット吸盤触手魔獣、LMS(ロリマザシスコン)専用クワトロ痴態は仕上がっておりますが調教に手こずっておりまして、何故か天然パーマで童顔の東洋人にしか反応せず、もう少々お待ちを……そうではなくて?……ではSM専用強襲型鬼働紳士@GoodGuy(アッグガーイ)という4種類の伸縮自在の鞭を操る自動人形とかいう代物のことですか?因みに@GoodGuy(アッグガーイ)とは何の事かわかりかねまして、私にご教授願いたく……」

俺の事をド変態大悪魔アザゼルと勘違いしたままなんだが!いい加減に気づけよ!!

どう見ても俺は普通の人間だろ?似てるのはこの濁った目だけだよな!?

しかもあのド変態大悪魔め!何とんでもない物を発注してやがるんだ!?

 

 

「うわ~、比企谷……あんた………変態は横島だけで十分なんだけど」

美神さんは何故か俺に汚物を見るような目を向け、引いていた。

 

「ちょっと!?なんで俺なんすか?」

 

「あのイカレタじいさんにあんたが頼んだんじゃないの?」

 

「そんなわけあるかーーー!?だから言ってるでしょ!!あいつは悪魔だって、俺に悪魔の知り合いなんていませんよ!!」

俺は思いっきり否定するが、美神さんはジト目をやめない。

 

「??」

その横でキヌさんは敷島博士の姿をした悪魔の言葉が理解できてない様子で、可愛らしく疑問顔を浮かべていた。

俺はそんなキヌさんの表情にホッとする。

キヌさんは何時までも純真無垢なままでいてください。

キヌさんにまで汚物を見るような目で見られたら俺はこの場で自殺するまである。

 

 

とんだ、とばっちりだ!!

ふ、ふざけやがって!!

 

「おい俺は人間だぞ!ド変態悪魔と間違えるな!この悪魔!正体を現せ!!」

俺は未だ困惑気味に俺をアザゼルと勘違いしている敷島博士の姿の悪魔に霊体ボウガンの矢を放ち、ビシッと言ってやった。

 

「何をされ……ん?アザゼル殿じゃない。人間!?これ程アザゼル様の目と似ていようとは、よく私を騙しましたね。やはり美神令子侮れませんね」

いや、お前が勝手に勘違いしただけで、美神さんは何もやってないんだが。

俺が放った矢はその悪魔の額に突き刺さったが、それと同時に悪魔は敷島博士の姿から溶けるように変化し、分厚いローブを着込んだ身長2メートルぐらいはある禿頭で人相の悪い西洋人の姿となった。

気配は人間のままだが、存在感を感じる。

 

「プロフェッサー・ヌル!?」

美神さんは変化したローブを着込んだ禿頭男の姿を見てその名を叫ぶ。

 

「お久しぶりです。美神令子。よくぞ見破りましたね」

 

「おほほほほほっ、当然よ!最初っからあんただってわかっていたわ!!

美神さんは自身満々に言い放つ。

ん?美神さんはこの悪魔を知ってるのか?

それよりも何当然のように言ってるんだこの人は?彼奴の正体をわかってなかっただろ!

俺が悪魔だって指摘したのに、彼奴の変態話を真に受けて、汚物を見るような目で俺を見た癖に……

 

「まあいいです。貴方に会うために地獄から舞い戻ってきたのだから、さあ、美神令子、私の偉大な計画の一端となりその身を捧げなさい!」

 

「ふざけんじゃないわよ。このタコ野郎」

美神さんの眼光が鋭くなる。

やはりお互い知っていて、過去に戦った事がある間柄の様だな。

 

「懐かしいですね。あの時はドクター・カオスにまんまとしてやられ、地獄炉に吸い込まれてしまいました。この世に復活するまでどれだけの時間がかかったか、その間ずっと考えていました。時間移動能力者が居れば、再び中世に戻り、世界をやり直せると、私が過ごした地獄での無為な時間を取り戻せると……」

 

プロフェッサー・ヌルとかいう悪魔が悦に入って語ってる最中に、美神さんは俺とキヌさんに彼奴の情報と作戦を耳打ちする。

「彼奴が悪魔だってよくわかったわね比企谷君、でも状況は良くないわ。彼奴の本性はタコ型の中級魔族。あらゆる属性魔法を操る厄介な奴よ。ちょっと時間を稼ぐからその間に準備なさい。本性を現す前に一気に叩くわよ」

中級魔族……。

かなりヤバい相手だ。

要するにあの茨木童子と同じ力を持ってる悪魔だという事だ。

俺もあの時よりは力を付けたが、流石に一人で戦えばあっさりやられるだろう。

 

 

「ふん、この前は世界に人造魔獣を売りさばいていたようだけど、今回は人間を使ったキメラってわけ?」

 

「そう、この前は地獄炉があったので高性能な人造魔獣が作れましたが、しかし今回は地獄炉はまだ未完成で量産は不可能です。ましてや今の魔界は規制が厳しく人間界に行くのも一苦労。ですが気が付いたのです。この時代には人が腐るほど溢れている。役立たずの弱弱しい人間共も束になればそれなりの力となります。現地で原料を調達しキメラとして先兵を作る。そして人間を元にして人間の争いの輪を作る。地産地消というこの時代にピッタリな考え方じゃないでしょうか?」

 

「……ヌル。人間とつるんで何を企んでるのかしら?既にあんたのボス(アシュタロス)はもうこの世にはいないわ」

美神さんは奴と話を引き延ばし、俺とキヌさんに戦闘の準備をする時間を作ってくれる。

 

「私は契約主義者でしてね。主は持たないのですよ。今は現地の協力者といえばいいのでしょうか。別に人間だろうが悪魔だろうが関係ありません。私の目的に合致さえすればそれでいいのです。それよりも見てくださいましたか?鳥型キメラを、人間だけを素材に使いましたが50人分を使えば空だって飛べます。犬型のキメラで人間20人分ですね。まだまだ改良の余地はありますが、人間を殺すのには十分満足が行く能力だと思いませんか?」

 

「相変わらずのくそったれね」

 

「あの稲葉とか言った人間も、オークを、人間を使って進化させる発想はなかなか面白かったのですが、とても効率的ではなかったと、先の実証実験でわかりました。やはりキメラの方がコストもかからずより強力な兵を簡単に量産できます」

 

「何、あんた、一連のテロ事件の首謀者だったの?」

 

「さあ、どうでしょうか?」

 

「この世界を征服でもするつもり?」

 

「それもいいかもしれませんね。でも今の私の興味は時間移動能力者のサンプル、美神令子、私の偉大な研究の礎になりなさい」

 

「お断りよ!」

美神さんはそう叫ぶと同時に俺達にサインを送る。

 

俺はサングラスと耳当てをかけながら、対悪魔用の閃光グレネードを放つ。

精霊石の欠片を核に聖属性の光を一気に放つ、それと同時に耳をつんざくような炸裂音も響き渡る。

続けざまに、特殊なハーブの匂いが充満する発煙筒をキヌさんから手渡され、投げ込む。

これで、あの悪魔の視界と聴覚と嗅覚を奪う。

 

美神さんもサングラスと耳当てを当然し、プロフェッサー・ヌルに突撃し神通棍を振るう。

 

美神さんとプロフェッサー・ヌルの影が交差する。

 

だが……。

「ちっ、勘のいい奴ね」

美神さんは大きく後方に飛びのき、俺達の前に降り立った。

 

グレネードの光と音が止み、俺はサングラスと耳栓を投げ捨て、奴を霊視で注視する。

美神さんの攻撃は確かにプロフェッサー・ヌルにあたった。

美神さんの攻撃は奴の肩口を叩き切り、右腕は地面に落ちている。

だが、奴の気配は変わらない。

それどころか禍々しい霊気があふれ出している。

 

すると、片腕を失ったプロフェッサー・ヌルは不気味な笑みを湛えながら変化し、真っ赤なタコの悪魔の姿となり本性を現した。

落ちた片腕はムクムクと膨れ上がり、下級悪魔インプのような姿となっていた。

 

「ほーーっほっほーーっ、危なかったですね。でも私は切られても直ぐに修復しますし、切った所は先兵となり貴方たちを襲いますよ」

流石は中級魔族、やはり凄まじい霊圧だ。

だが、あの茨木童子と対峙したおかげで、冷静でいられる。

 

「ふん、あんたの急所を叩き切ればいいだけよ」

 

「そうはいきません。私も殺されたくないですからね。メインディッシュの前に少々実験につきあってくれませんか?キメラの性能をあなた方で試させてください。先ほどのキメラとは強さの桁が異なりますから、気をつけてください」

すると、わらわらとキメラが四方から現れる。

 

この状況、目の前には中級魔族、四方にはキメラと普通なら圧倒的ピンチに思うのだが……

「あんた達、いーい、いつもの作戦で行くわよ」

美神さんは俺達にこう言って、ニヤリと悪そうな笑顔を零していた。

 





何故か、皆さんの脳内では堕天使で大悪魔アザゼルが、アザゼルさんに変換されてますねww

まあ、わたしもそうなんですがw

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