やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。 作:ローファイト
誤字脱字報告ありがとうございます。
いろいろ書いてたのを大幅にカットしました。
まあ、これ、あんまり続けてもな~っと思いまして。
なんだかんだあって、俺は学校中の噂の人物になった。
……ロリ巨乳好き男色の最低野郎と。
なんでこうなった?
陽乃さんが俺のこのとんでもない噂を払拭させるために、自分と恋人になればいいと。
確かに年上の陽乃さんと付き合っているとなれば、少なくともロリコンと男色家の疑いははれるだろうが……。
これに猛反発し、由比ヶ浜と雪ノ下は自分こそ恋人役に相応しいと、何故かそこにタマモまで……、部室で言い争いが勃発してしまう。
そこに我が妹小町が元気よく登場。
「皆さん、こんにちはです!って、お兄ちゃん、これどったの?」
4人の口論を余所に小町にこれまでの経緯を説明する。
「まあ、お兄ちゃんだし、ここは小町の出番だね!」
「いい方法があるのか?」
「もちろん、何年お兄ちゃんの妹をやってると思ってるの、小町に任せなさい!」
「小町」
流石は比企谷家の長女、こんな時には頼りになる。
「まあまあ、陽乃さんに雪乃さんに結衣さんにタマモちゃんも、お兄ちゃんの事は小町に任せて!」
言い争ってる4人を窘めながら近づく小町。
「小町ちゃん!?いつの間に?」
「小町さん、他にいい案があるのかしら?」
「妹ちゃん、なーに?」
「小町がそういうのなら」
小町の声で4人は言い争いをやめ、それぞれの反応を示す。
「ふふん、簡単簡単、お兄ちゃんと小町がずっと一緒にいればいいだけの話だよ。昼休みは小町の教室でタマモちゃんとご飯ね」
「小町ちゃん!?そ、そそそそれって、どういう、ええ!?小町ちゃんもヒッキーの事?」
「小町さん、それはどういうことかしら?」
「……なーるほどね。流石は八幡の妹ちゃんね」
「それだけでいいの?なら簡単ね」
由比ヶ浜は明らかに何か勘違いしてる。
雪ノ下は訝し気に小町に聞きなおし、陽乃さんはどうやら小町の意図に気が付いてる様だ。
タマモも小町の意図は理解していないが、小町に従うようだ。
「小町、それでなんとかなるのか?」
俺も小町の意図が全くわからなかった。
「そだよ。そもそも何でお兄ちゃんだけ、こんな噂が広がったのかだよ。留美ちゃんと一緒に居ただけなのになんで?他の生徒だって、兄妹もそうだけど何かの事情で小学生や中学生と一緒に居る事だってあるはずなのに、何でお兄ちゃんだけなのかな~」
「うーん、なんで?」
「比企谷君には悪い噂が立っているからではないかしら」
由比ヶ浜は疑問顔で雪ノ下はこう答える。
俺も雪ノ下の意見が妥当だろう。
弱者や悪者には何をやっても許されるみたいな感じじゃないか?
「それもあるかもだけど、嫉妬、皆お兄ちゃんに嫉妬してるんだよ」
小町は雪ノ下の意見を肯定しつつ、意外な言葉を出す。
「嫉妬?なんで俺に?学校で一番の嫌われ者だぞ」
「お兄ちゃんには可愛い妹の小町だけじゃなくて、こうやって雪乃さんや結衣さんとずっと一緒にいるし、それにいろはさんと沙希さんだって、今は陽乃さんとタマモちゃんも……それだけじゃないし、学校一のイケメンの葉山先輩や番長の三浦先輩や、えっと、サッカー部のうるさい担当の戸部先輩とか、イケてるグループの人もお兄ちゃんに気軽に話しかけるでしょ?」
「どういうことだ?」
「八幡は自分の事になると鈍いのね。2カ月ぐらいしか居ない私でもわかったわ」
陽乃さんは小町が言いたいことが分かってる様だ。
「本来お兄ちゃんは余計な事を言わなきゃ、葉っぱの裏にくっ付いてるナメクジみたいに目立たない存在なの。雪乃さんと結衣さんだけだったら、まだお兄ちゃんは陰キャな影で居られたけど、こんなに沢山の目立っちゃう人達に囲まれてれば、流石のお兄ちゃんも、何も言わなくても目立っちゃう存在になっちゃうんだ」
小町ちゃん、ちょっと悪意がこもってませんか?
それになにそれ、ミスディレクションが切れた黒子くんみたいになってるんだけど。
「それは理解出来るわ。でも小町さんと一緒に居ることで、今回の件が払拭されるとは思えないわ」
雪ノ下、今の説明で理解出来ちゃうのか……。
それは置いといてだ。
おれも雪ノ下と同見解だ、俺は何時も雪ノ下や由比ヶ浜と一緒に居るし、小町でも同じだろう。
「お兄ちゃんの事を知りもしないくせに良く思っていない連中が最初にこんなくだらない噂を流して、それに他の生徒が便乗してる感じだし。しかも噂の発端は一年生から、便乗してるだけの生徒達にはお兄ちゃんがちょっと陰キャだけど人畜無害のなんだって知らしめてやるんです。これが出来るのはお兄ちゃんの実の妹の小町だけ!なのです。部活仲間やクラスメイト、先輩後輩などの関係は、逆に変な噂が流れちゃうから、確実なのは小町だけ!」
「う、うん、でも小町ちゃんなんか……」
「それはそうかもしれないのだけど……」
「そうね。それが確実だけど……、お姉さんもちょっとは手伝ってもいいんじゃないかしら」
由比ヶ浜と雪ノ下と陽乃さんの3人は小町の意見に同意したものの、小町の物言いにどこか納得がいっていない様子だ。
「それじゃ、お兄ちゃん帰ろっか?タマモちゃんも!それじゃ、皆さんさよならです」
小町はお辞儀をしながら、俺の腕を取り部室を出て行こうとする。
「えっ?小町ちゃん?……すまん、先に上がる」
俺は小町に引っ張られるまま、そう言って部室を出る。
翌日から俺は小町とタマモと通学の行き帰りを共にするだけじゃなく、昼休みも一緒に、しかも一年の教室で昼飯とか、3年の俺が何故一年の、しかも妹の教室で昼飯とか、どんな羞恥プレイ?しかもだ。
昼飯の同席は小町とタマモだけじゃない、小町のクラスメイトの女子の全員が机を寄せ合っての昼飯だぞ?
「ジャーン!小町のお兄ちゃんです。この通り、目つきが悪くて陰キャで口も悪いけど、人畜無害だよ」
小町は笑顔でそう言ってクラスメイトの女子に俺を紹介する。
何、その紹介?いい要素が一個もないんだけど。
ほらみろ、小町のクラスメイトがなんか引き気味になっちゃったし。
「なんか、昼休みに一緒しちゃって悪い。小町の兄の3年の比企谷八幡だ。小町の事をよろしく」
俺は同席してる小町のクラスメイトに無難な挨拶をする。
年下とは言え、こんなに女子に囲まれれば、昔の俺だったらカミカミで、緊張のあまり冷や汗まで出てちょっと漏らしてたまであっただろう。
美神令子除霊事務所に伊達に3年近く在籍していない。
精神力は間違いなく強くなっている。
それだけではないか、美神令子除霊事務所や奉仕部は、女子率が高いだけでなく美少女率もほぼMAXだからな。慣れなのかもしれない。
ただ、あまり近づかないでね。
やはり、緊張するものは緊張するから、これ以上近づいてこられると緊張してるのバレちゃうから。
なんか、良い匂いがあちらこちらからするし……、クラスの女子全員が席を寄せ合って座ってる中で男俺一人ってどういう状況?
こうやってなんとか平静に保ってられるのは、俺の両サイドが小町とタマモだし、小町のクラスメイトとはある程度離れてるから何とか行けてるが、目がキョドらない様に全力制御するのに精いっぱいだから。
「でもね。凄く頼りになるお兄ちゃんなんだ。色々噂があるけど全部嘘だから、中学校の子と一緒に居たのは、その子は留美ちゃんって言って、前からの知り合いでお兄ちゃんが家庭教師で教えてる子なんだ」
まあ、師弟関係って、確かに家庭教師の関係みたいな感じではあるから、間違いではないか。
それにしても……小町にこう言ってもらえるとは…凄く頼りになるお兄ちゃん……兄冥利に尽きる。うううう、やばい、涙が出そう。
しかし、この場は我慢だ。
耐えてこその兄道だ。
「そうね。八幡はなかなか見どころがあるわ。私が前言った男色はちょっとした冗談よ。八幡はタダ初心なだけ」
タマモも何だかんだと、弁明してくれるが……初心なだけって、言い方おかしくないか?
なんか、童貞を拗らせてるみたいな感じに聞こえるんだけど。
平安時代の恋愛マスターのタマモから見ればそうなのかもしれないが……。
それにしても、クラスメイトの女子全員を一緒に集められるとか、流石は小町。
コミュニケーション能力が滅茶苦茶高い。
家の近所付き合いとか、ほぼ小町がやってるしな。
小さい子からじいさんばあさんまで、小町は相手の懐に入る天才だ。
昼食を取りながら、俺は小町のクラスメイトの女子から質問攻めを受ける事に……。
奉仕部の事とか、雪ノ下や由比ヶ浜の事や、葉山と仲がいいのかとか……。
奉仕部や雪ノ下や由比ヶ浜の事は無難に答えるが、葉山とは別段仲がいいわけじゃない。
元クラスメイトってだけだ。あいつは誰とでも話すだろ?
だが、質問がどんどん際どくなっていく。
「小町ちゃんのお兄さんのお弁当は小町ちゃんが作ってるの?でも、小町ちゃんとタマモちゃんのお弁当と違うね」
や、やばい。
今俺が食ってるこの弁当、雪ノ下に作って貰ってる弁当だ。
適当な言い訳を考えなくては!
「それ、雪乃が作った弁当よ」
タマモがそれに答えてしまう。
おいーーー!!なんでいっちゃうんだ?
「え?タマモちゃん、それって雪ノ下先輩が小町ちゃんのお兄ちゃん?」
「もしかして、雪ノ下先輩とお兄さんって付き合ってるんですか?」
タマモのその言葉で小町のクラス女子が騒めきだす。
タマモさん言っていい事と悪い事があるでしょ!?
……お、終わった。
「何?そんなにおかしい?私や小町も作ってもらう事があるわ。雪乃は料理好きだし、料理はとても美味よ」
タマモは平然とそう言うとクラスの女子は口々に騒ぐ。
「雪ノ下先輩って部員の皆にお弁当を作ったりするぐらい好きなんだ」
「いいな~、私も雪ノ下先輩のお弁当食べて見たい」
「奉仕部に私も入ろうかな~」
あれ?
これって助かった?
「去年は奉仕部と生徒会とで他校の交流会でクリスマス会とかバレンタインのチョコレート教室とか開いて、雪乃さんが料理作ってたらしいよ」
小町は続けて皆に雪ノ下の料理の話をする。
「そうなんだ。今年も有ったらいいな~」
「雪ノ下先輩って美人で勉強出来るし、料理もできるのか~、完璧超人過ぎない?」
小町の話で女子生徒の興味は雪ノ下自身に移り、会話は雪ノ下の話で盛り上がる。
流石はうちの妹様だ。
完全に俺の弁当から話題が逸れた。
こうして昼休みは無事終了する。
何だかんだとこれを1週間続けると、小町のクラスメイト女子から俺が学内で噂されるような人間じゃない事が広がり、変態的な噂を打ち消していった。
俺の変態的噂は元々一年の男子から発信されたものだが、男子が女子の噂伝播量には到底かなわない。
当然、女子からの噂が勝ち、俺の変態的噂は学内からほぼ消え去った。
小町のお陰で俺は元の生活へと…。
かなり穏便な方法での解決だった。
もし、陽乃さんと雪ノ下が本気で噂を潰そうとした場合、噂を流した男子生徒連中は雪ノ下姉妹にとんでもない目に遭わされるに決まっている。
それこそ、学校に来ることが出来ないぐらいのトラウマを植え付けられるだろう。
何だかんだとこの姉妹、根本的な考え方が良く似てる。
家に帰って、キッチンで夕飯の準備をする小町に礼を言う。
「小町、助かった」
「ううん、小町はお兄ちゃんの妹だし、それよりも料理手伝って」
「おう」
俺は料理を始める小町の横で食器を洗う。
鼻歌交じりで野菜を切る小町を横目で様子を伺うが、いつもと変わらない。
小町はこの件の事でこれ以上何も言わなかった。
その間も留美の修練は続け、元々の本人のセンスもあって身体能力強化を徐々にものにしていく。
そして、俺の仕事に同行することになった。
次は遂に、留美が八幡の除霊に同行することに