やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト

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(170)初現場研修は…弟子編⑥

 

留美を弟子にしてから3週間後

留美の身体能力強化の修行は、最初こそ躓いたが、元々霊力を操る事に長けていたため、ちょっとコツを掴むと、メキメキと自分の物にしていった。

やはり、俺の時とは随分と違う。

俺が今の留美レベルの身体能力強化を身につけるのに1年はかかったからな。

源蔵さんの意向と美神さんの許可を得て、今日、美神令子除霊事務所の仕事を俺の弟子として同行させる事となった。

留美との初の現場だ。

メンバーは俺と留美、シロだ。

本来、キヌさんとシロとの仕事だったらしいが、急な案件で大規模地鎮が入ったとか、本来ならこんな急な大規模地鎮などは受けないのだが、かなりの大金を積まれたようだ。

それでキヌさんと美神さんはその大規模地鎮の方へ向かい。

俺と留美とシロは、都内郊外にある幼稚園から大学まで一貫性のお嬢さま学校へと向かう。

横島師匠は例により、海外出張だ。まあ、横島師匠が居たとしても、お嬢様学校の現場に行かせることはできないだろう。

仕事内容は除霊、難易度はD+ってところだそうだ。

この難易度なら留美が同行しても問題ないだろう。

シロは念のためだとか、美神さんも留美の事を気にかけてくれているのだろう。

万が一が無いようにとシロをつけてくれたのだ。

 

夕方頃に現場のお嬢さま学校に到着。

40前後の柔和な感じの女性理事長とちょっと神経質そうな眼鏡の30代そこそこのいかにも秘書っぽい真面目そうな人が、応接室で状況説明をしてくれる。

なんでも夜な夜な更衣室のロッカーが荒らされるとか。

最初は痴漢による下着などの窃盗かと思っていたらしいが、ロッカーの中身などが校内のあちらこちらで散乱してはいるが、盗まれた物は無かったため、警察にも届けられなかったそうだ。

だが、これが徐々に起こる回数と場所が増えて行き、監視カメラによる対策をとる事にしたと。

もともと、監視カメラ等は防犯対策として校内に数か所取り付けられていたが、

ある意味プライベート空間でもある更衣室に監視カメラを取り付けるのは倫理的に憚られたとの事。

こういった事態に陥り学内の更衣室にも全て監視カメラを取り付けたのだそうだ。

その監視カメラの映像を確認させてもらったが、誰もいないのに勝手にロッカーが次々と開き、中身が荒らされて行く様が写っていた。

ポルターガイスト現象か……。

しかも、結構な範囲で、同じ時間帯で起こっている。

ポルターガイスト現象を起こしてる原因は霊の類だろうが、結構の数がいるんじゃないか?

ロッカーだけじゃなく、教室などの物品も荒らされ、いろいろな物があちらこちらに移動している。

しかし、映像と被害範囲を見る限り意図が全く見えない。

動物霊の類が集まって来てるのか?

それはそれで、その要因があるだろうが……、動物霊とかは結構気まぐれだからな、原因を突き止めるのはなかなか骨が折れる。

だが、シロが同行してくれてよかった。

意図が読めない動物霊の類であればシロの方が何かと優れている。

 

「今回は霊障案件だ。そういえば留美、自分で除霊をやった経験はどのくらいあるんだ?」

源蔵さんからは結構な頻度で除霊に同行させていたとは聞いていたが、留美自身がどれだけ実施していたかは聞いてなかったな。

 

「うーん、10回以上」

結構あるな、それなら問題ないだろう。

 

「そうか、まあ、今回は基本的な除霊のやり方で依頼を解決していく。津留見流とは違うかもしれんが、これも経験だ」

基本的な除霊方法で今回は依頼を解決していくつもりだ。

慣れてしまうと、基本の幾つかの部分をすっ飛ばしてしまうからな。

 

「まずは、おさらいだ。霊障が起きるのは20:00頃からだ。先に現場調査だな。見鬼君の使い方はわかるか?」

「うん」

現在16:00、休日とはいえ通常は生徒が部活動などで残ってる時間帯だが、今日は午後からの部活動は停止し、生徒は学内に残っていないとの事だ。

 

留美に見鬼君を起動させながらシロと学園内を回る。

更衣室等も回らなくっちゃならない。

まじ、横島師匠が海外出張でよかった。

ただ、荒らされてるのは中等部とか小等部がメインらしいから、大丈夫かもしれんが。

とはいったものの、高等部等も多少なりとも荒らされていて、調査はしないといけないからな。

 

「うーん。たくさん霊が居そう、でも地縛霊じゃない?」

留美は学園を一回りした所で、留美はそう結論づける。

 

「なんで、そう考えた?」

 

「霊的反応は有るけど、そんなに強くないし、今は霊はいないし、強い霊地場を全然感じない」

「ああ」

「うん、浮遊霊かな?夜に沢山集まってきてる感じ」

「そうだな」

俺は軽く留美の頭を撫でる。

やはり留美は優秀だ。

俺と感じた事が大体同じだ。

 

「子供扱いしないで」

留美はちょっと頬を膨らませる。

頭を撫でた事に対しての抗議だろうが、そんなに嫌がって無さそうだ。

 

シロがタイミングを見計らって俺にこそっと耳打ちをする。

「八幡殿、動物霊じゃないでござるな」

「ああ、そうだな」

俺もそれを感じていた。

状況説明だけでは動物霊ではないかと考えたが、現場に行ってわかった事が、霊によるポルターガイスト現象である事は確かだが、痕跡が動物霊特有のグルーミング形跡がない。

明確な意思を持った霊の仕業だ。要するに人間の霊だという事だ。

留美にはまだこの違いを見わかるのは難しいかもしれない。

こう言うのは経験がものをいうからな。

しかし、人間の霊がなんでこんなところで、なにをやってるんだ?

俺はなんとなく嫌な予感をしながらそんな事を思う。

 

「付け加えると、最初は動物霊かと思っていたが、人間の霊の仕業だろう」

「ししょー、なんでわかるの?」

「ああ、それはだな」

俺は留美に動物霊に起きがちなグルーミング等の霊の痕跡について説明する。

 

俺は留美に説明しながら、現状を頭の中で整理する。

今の所理由は分からないが、夜な夜な浮遊霊が学園の外から集まり、ポルターガイスト現象を起こしまくってる。

しかも、かなりの数が集まってるはずだ。

100体、いや、それ以上に感じる。

一網打尽にするか原因を排除しない限り、また集まって来るだろう。

だが、一網打尽にするには余りにも範囲が広い。

ある程度排除して、後日防御結界を張るしかないな。

痕跡から一体一体の霊の力はあまり感じないが、霊の数がかなり多いのと範囲が広い。

D+ランクの案件じゃない。少なくともCランク以上はあるだろう。

こう言う案件は本来キヌさんが適切なんだけどな。

 

「霊の数と範囲の広さは思ったよりも厄介だ。留美、この状況だと依頼時の難易度とは異なる。こういう場合はGS協会に一度連絡した上で、依頼主と再度話す必要がある」

そう、依頼難易度が上がると担当GSじゃ、対応できない事がある。

だが、俺の場合Bランクだから特に問題が無いからそのまま依頼は続行するが、問題は依頼料が変わることだ。

明らかに値上がるだろう。

 

GS協会が提示する、難易度別のランク制度による適正な依頼料は保証されるという事だ。

逆にいうと無茶な金額設定は出来なくなったともいう。

美神さんは、昔は無茶な吹っ掛けをあちらこちらでやってたらしいが、適正金額があるおかげでそれが出来なくなった。

とはいえ、依頼主が色を付けて出してくれるというのなら別の話だ。

美神令子ブランドという物が大きいから、この部分が相当あるようだ。

美神さんの話は別にして、依頼料適正金額はE~Bランクではその難易度だけでなく規模や範囲、日数等々で細かく明文化されている。

だがAランク以上となるとほぼ金額設定はほぼ無いと言っていいだろう。

実施できる事務所も殆どないし、命の危険度はほぼMAXだからな、逆に美神さんはその辺超燃えるタイプだ、もちろんかなり依頼料はふっかけるけどな。

美神令子除霊事務所と言えどもAランク相当以上の依頼は一年に数件ある程度だ。

俺が事務所に入ってからの3年弱で知ってる限りでは、11件。

異様に多い部類だ。

これには、横島師匠の海外出張は入らない。

横島師匠の案件は全てSランク以上だからな……。

何処から金が出てるのかは想像つくが、おそらく国からだろう。

 

それは置いといてだ。

最初に依頼を受けた段階ではD+査定だったが、明らかに霊障範囲は広いし、霊の数も多いと予想、日数も今日の除霊の他に、予防のために後日結界陣の構築を行わないとダメだろう。

予防のための結界陣構築を学園内全てに施そうとすると、今の依頼料の1500万じゃ全く足りない。

 

俺はGS協会と美神さんに連絡をし、理事長に話しを通す。

GS協会の難易度変更が受理され、依頼料も美神さんと理事長の電話での話し合いで決まったらしいが、理事長の顔が曇っていたから、相当の金額に膨れ上がったのだろう。

まあ、この規模の予防の結界陣構築にはどうしても高額な札や霊石を使用しないといけないから仕方がない。

 

後日予防結界陣の構築を行うから、今からは霊団の殲滅を行わなくてもいい、そこそこ除霊できれば問題ない。

それと原因を探る事が出来れば、後日行う予防結界陣の構築もしやすくなるだろう。

霊が多量に集る原因がこの学園内にあって完全に除去できれば、予防結界陣を張る意味がなくなるが、俺の霊視やシロの嗅覚や第六感でも、霊的に原因になりそうなものは学園内には無さそうだった。

通常、浮遊霊が集まる原因として、怨念の籠った物など不穏な霊気等を帯びたりするものだが、そういう物は見当たらない。

地脈や霊脈の流れの変化などにより、霊が集まりやすくなるとかもあるのだが、そう言った感じでもない。

霊的要因以外にも集まる事はよくある事だし、それを探ろうにも、霊の痕跡を見る限り良く分からないというのが今の正直な感想だ。

 

 

留美に現在の状況について説明すると……。

「そうなの。今日はどうするの?」

留美の返答を聞く限り、たぶん、あまりよくわかってないようだ。

まあ、依頼料とかの大人の事情が絡んでるし、まだ13歳の留美には難しかったのかもしれない。

だが、GSを目指すならば通る道だから、後日この辺の話をちゃんとするか。

 

「今からは、なぜ多量の霊が集まって来るのかの原因をさぐりながら、ある程度霊を除霊する。今の所原因の見当が全くつかないため、実際に霊が集まってからの話になる。かなりの数が集まって来そうだから、留美にも手伝ってもらうけど、いいか?」

 

「うん、大丈夫」

 

「留美、姉師匠の拙者が付いているでござる!大船に乗ったつもりでいるでござる!はっはっはーー!」

「うん、シロちゃん」

シロはなんか留美に対しては呼び捨てだし、親分風というか師匠風吹かせてる。

どうやら、シロは自分よりも年下でしかも弟弟子の俺の弟子って事で、留美と接するときは変にテンションが高い。

今迄、自分より年下はいなかったしな、嬉しかったのだろう。

まあ、留美の方は年上とか姉師匠扱いしてないけどな。シロちゃん呼びだし……。

 

俺は一応セオリー通り、安全地帯の確保のために教室の一つに結界をはり、さらに霊の侵入を感知するための札を、学園のあらゆる場所に貼った。

まあ、普段だったら俺とシロのコンビだと、ここまではしない。

シロの嗅覚と俺の霊視や霊視空間把握があれば、霊の侵入の感知や居場所特定はこの学園の広さだったら拾えるからだ。

今日は留美がいるからな、こう言うセオリー通りの除霊を見せておきたい。

 

俺達は結界を張り安全地帯にしている教室で待機し、霊が出現するのを待った。

20時を過ぎると……、何処からともなく、次々と霊がこの学園の敷地内に侵入して来る。

侵入感知の札など必要ないレベルで分かるほど、霊があちらこちらに。

見鬼君もあっち、こっちと反応し、まるで役に立たない。

「凄い数でござるな。浮遊霊と言えどもこの数になると面倒でござる」

「八幡……」

「大丈夫だ。この結界内に居れば、霊からは見えない。とりあえずまだ様子見だ」

シロはそう言いつつも、やる気満々だ。留美は霊の多さに流石に驚いたのか俺にしがみ付く。

 

どうやら、霊は学園内のあちらこちらで動きまくっている。

更衣室だけじゃない。ありとあらゆる場所でポルターガイスト現象を起こしまくってる。

暫くすると、霊達が学園中央に位置する広い中庭に集まって行くの感じる。

 

「とりあえず、気配を消して、様子を見に行くか」

俺は霊から見えにくくする術式を付与した札を留美とシロと自分に張り付け、皆で安全地帯の教室を出て、霊が集まる中庭へと様子を見に行く。

 

 

中庭に集まる霊達の様子を見に行ったのだが。

「ししょー、あれは何をやってるの?」

「うーん、お祭りでもやってるでござるか?」

留美とシロの二人はその様子に疑問顔を俺に向けるが……。

 

「…………」

俺はそこで見た光景に目が腐って行くのが自分でもわかる。

 

確かに祭りにも見えない事もないが……はぁ。

もう、帰りたい。

 

『ノー・タッチ・ロリ!!』『ノー・タッチ・ロリ!!』『ノー・タッチ・ロリ!!』

長髪イケメンのリーダー格の男の霊が拳を振り上げ何かのキャッチフレーズのように声を上げ……

『J!!C!!』『J!!C!!』『J!!C!!』

それに100体程度の群霊達が呼応して、叫び出す。

 

『我々真の紳士たるJC連邦はノー・タッチを旨に女子中学生(12~15歳)を愛でつくす!!それこそが我々の正義だ!!』

『うぉーーーーー!!』『J!!C!!』『J!!C!!』『J!!C!!』

 

『我々JC連邦は世にJ・Cのすばらしさを広め、J・Cのための世界平和を!!』

『うぉーーーーー!!』『J!!C!!』『J!!C!!』『J!!C!!』

 

なんだこれ?なんのコールアンドレスポンス?

なんか超盛り上がってるが……。

 

ん?なんか別の群霊が来たぞ。

 

『ジーク・ロリ!!』『ジーク・ロリ!!』『ジーク・ロリ!!』

こっちの眉なしの厳ついリーダー格の男の霊も、なんかとんでもないフレーズを叫び………

『J!!S!!』『J!!S!!』『J!!S!!』

こっちの群霊はこんな返しを叫んでいた。

 

『我々7・11公国(セブンイレブン公国)は!!女子小学生(7歳~11歳)の愛らしさを胸に、生涯を全うする!!』

『うぉーーーー!!』『J!!S!!』『J!!S!!』『J!!S!!』

 

『遂にこの時が来た、優良種たるわれら7・11公国こそが、この地を収めるに相応しい!!そうは思わんか!!賞味期限切れを愛でる連中を野放しにするな!!ジーーーク・ロリ!!』

『J!!S!!』『J!!S!!』『J!!S!!』

 

………もう帰っていいか?

 

 

ん、また変なのが来たぞ!?

 

『すべてのロリータ難民の政治の為に、私は立ち上がった!!同胞たちよ我らと共に!!』

金髪オールバックのリーダー格の男の霊は何かを雄弁に語っていた。

『J!!S!!』『J!!C!!』『J!!K!!』

こっちの群霊はこんな感じの返しを……。

 

『我々ネオ・ロリ連合は全てのロリータ(18歳未満)を分け隔てなく愛す!!それが我々の生きる意義である!!』

『うぉーーーー!!』『J!!S!!』『J!!C!!』『J!!K!!』

 

『ロリータは全てが平等だ!!それが分からぬ輩に裁きの鉄槌の名の元に粛清を!!そして我らはロリの元に召されるであろう!!』

『J!!S!!』『J!!C!!』『J!!K!!』

 

その後も大小の群霊が、わけがわからん主張をしながら現れ、遂には争いが始まった。

『この!!リコーダーとハモニカの良さもわからんのか!!』

『自分が女性だと意識しだしたあの何とも言えない仕草が至高だと、なぜわからん!!』

『真っ平の肢体にプニプニ感、あれに勝るものがあるか!!』

『鼻くそほじってそうな!!ガキには興味はない!!』

『我は全てを愛そう!!そう!!すべては愛のために!!』

『貴様らは知らんのか!ジャンプのヒロインは中学生から始まるのが王道だ!小学生ヒロインなどごく例外中の例外だ!!』

『それならば、ヒロイン力は女子高生の方が高い!!』

『ババ専は黙ってろ!!』

群霊達は入り乱れ、何処からか漁って来た、体操着やらリコーダーやらを掲げながら、殴り合いの喧嘩に……。

 

俺はどっと疲れる。

どうなってんだ?このロリコン戦争?

世の中ロリコンがはびこってるのか?

 

「八幡殿、どうするでござるか?」

「お、ああ、そうだな。とりあえず留美、除霊手順だが、一応GS協会のマニュアル通りに俺がやって見るから、そこで見学してくれ」

「うん、わかった。ししょー」

俺は気を取り直して、

はぁ、とりあえず留美の為にも形式的な除霊手順を見せないとな。

 

俺は争ってる群霊共の前に堂々と姿を現す。

「ゴーストスイーパーだ。直ちに退去しろ。さもないと器物破損及び不法占拠のため除霊する」

本来この状況であれば不意打ちで除霊を行っても良いレベルだが、今は留美の研修も兼ねてるため、札を構えながらこう宣言する。

 

だが……

『んん!?世の中の全て俯瞰したような濁った眼差し、間違いなく我らの同胞ではないか!!』

『ロリ好きの目だ!!間違いないロリコン眼!キタ―――!!是非我が陣営に!!』

『いいや!!あの目は全てのロリを愛せる目だ!!我と共に!!』

またか、またこの目か?

ロリコン眼って何?写輪眼みたいな感じ?ロリコンを見分けられるとか?

……俺の目ってロリコン認定されるような目なのか?

 

「ろ、ロリコンじゃないぞ!」

学校ではロリコンの噂が流れ、幽霊の世界でも俺はロリコン認定なのか?

さすがに心が折れそうなんだけど……。

 

『嘘はいかんですなー!』

『同士よ自分の心の叫びを開放するのです!!』

『そう、誰もが認めたくない物なのです。あなたは今から生まれ変わるのです!』

『さあ、さあ、認めるのです!!』

『さあ、さあ、心を解放しなさい!!』

幽霊共は何故か争いをやめ、生暖かい目で俺を見て、迫って来る。

俺はじりじりと後ずさる。

う、そんな生暖かい目で見ないでくれ!?

もしかして、俺は、そ、そうなのか?俺は本当はロリコンなのか?

 

 

そこに留美が駆け寄り、俺を庇うかのように幽霊共の前に立ちはだかる。

「ししょーは、八幡はロリコンじゃない!!」

 

『ん??んんんんんん?』

『おお!!これは!!』

『んん、天使??』

『んんん天使、天使キタ―――!!』

ロリコン群霊の三分の二が留美を見て騒ぎ出す。

 

だが……

「八幡はロリコンじゃない。だって私と付き合ってるから」

留美は何故かそんな事を言って、俺の腕を抱き寄せ、幽霊共を睨みつける。

いや、付き合ってないし、それって逆効果じゃ……。

 

『ぐはーーーーーっ!!』

『うがわあああっ!!??』

『ドドドドどんなーーー!?』

『か、神だ。ロリ神だーーー!?』

『リ、リアルロリ神!?』

『ぐほっ!?ごぱっ!?』

ロリコン群霊の三分の二が何故か泣き叫び、狂乱に陥って、次々とあの世に召されて行く。

…………

………

……

またか、またこのパターンか。

俺が行く仕事ってこんな連中しかいないのか?

 

「ししょー、なんか霊達が成仏しちゃった」

留美は疑問顔で俺を見上げる。

……これをどう説明すればいいんだ?まじで。

 

「あー、あれだ。俺と留美の説得が効いたんだ。それで大人しく成仏してくれたんじゃないか?」

「そうなの?」

うーん、留美は首を傾げて疑問顔のままだ。

そりゃそうだ。

俺も首を傾げたい。

 

 

 

まだ群霊は残っている。

『情けない奴共め、我ら7・11(セブンイレブン)公国にはそんなものは通じん!そんな片足ババァに突っ込んだ女など興味はない!!』

『そうだそうだ!!』『J!!S!!』『J!!S!!』

そう、こいつ等は健在だ。

まだ、100体以上はいるな……。

 

「ババァじゃ、ないもん!!」

留美は頬を膨らませる。

 

「留美、勝手に出たらダメでござる。拙者の云う通りに……八幡殿、この幽霊共は何を言ってるでござるか?」

シロは留美を連れ戻しに来たようだが……。

 

これはチャンスか、今までの経験をフルに生かせ。

いままで、散々な目に遭っただろ?

 

「おいお前ら、ここのシロは幼い時から、ある男性に付き従い、あんなことやこんなことを、毎日顔をぺろぺろと舐めていたんだぞ!!」

「照れるでござるよ。幼いって、拙者当時はもう9歳でござるよ、横島先生の弟子になって、顔を舐めるのは親愛の証でござる」

俺はシロを矢面に立たせ、こんな事を思いっきり奴らに言ってやった。

シロはシロで、何故か照れ臭そうにする。

こいつ等にはこういえば、効果てきめんだろう。

それにシロの反応も良い感じだ。

 

 

『9…9……9歳?』

『顔をぺろぺろ?』

『しょ、先生と小学生の禁断の恋?』

『……うそだ!!そんな事は現実でありえない!!』

『皆の者、騙されてはいかんぞ!!ブラフに決まってる!!』

ロリコン幽霊共は動揺しまくる。

成功したか、流石に消滅まではいかないが……。

 

「シロ、留美、除霊開始だ」

「うん、ししょー」

「了解でござる」

こいつ等が動揺してる隙に、除霊を開始する。

留美には式紙ではなく、経験のため俺と同じく吸引札での除霊を行わせ、シロは霊刀で霊を次々に屠って行く。

やはり、留美の動きはいい、除霊に慣れているのもあるが、元々の才能が高いのだろう。

 

こうして、ロリコン幽霊共の除霊は終わる。

あらかた除霊出来たが、逃げた幽霊もいる。

また、この学園にロリコン幽霊共が集まってくる可能性もある。

やはり、後日予防のために結界陣を張った方がいいだろう。

この規模の結界を構築するのはかなり骨が折れる。

その辺は美神さんと打ち合わせをした方がいいだろう。

 

留美との最初の除霊の現場としてはどうかとは思うが、最後はまともに除霊出来たから良しとしよう。

 

どっと疲れが押し寄せてくる。

今後は留美を連れて行く仕事は選んだ方がいいな。

 




次はちゃんと除霊しますんで……お約束と言う事で……
すみません。

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