やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト

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続きです。


(172)河童現れる? 弟子編⑧

 

津留見神社は、GS協会を通じて、勝浦のGSからの緊急救援要請を受け、千葉の山間部の小さな町 睦沢町へとたまたま居合わせた俺と鶴見家一家総出で向かった。

 

何でも河童の集団が、今にも集落を襲いそうだという事なのだ。

勝浦のGSは近隣住人を公民館に避難させ、俺達の救援を持っている状況だ。

俺はもちろん、源蔵さんも河童が集団で人を襲う等とは聞いたことがなかった。

俺の霊感がざわつく、嫌な予感がしてたまらない。

 

17時が過ぎ日も落ち始めた頃、留美パパが運転するワンボックスカーは睦沢町に入り、国道から反れ、木々が生い茂る川河岸の県道に入り、暗がりを照らすためにヘッドライトを点灯させる。

 

県道に入り5分ほど道なりに走っていると、俺は妙な気配を道先に感じ、運転中の留美パパに声を掛ける。

「俊之さん、前に何かいます」

 

「え?あっ!!」

留美パパは俺の掛け声と共に前に何か見えたのか、叫び声をあげると同時に、車に急ブレーキをかける。

 

「何事じゃ?」

「父さん、何か飛び出してきて……あれは?」

「あなた、……子供かしら?」

車の前に何かが飛び出してきたようだが、その何かを見て少々困惑気味に声を上げる留美パパと留美ママ。

 

車の後部座席から前を見ようと源蔵さんと俺は身を乗り出す。

すると、人の子供ぐらいの大きさの深緑色の生き物が車のヘッドライトに照らされている。

光に驚いたのか、こちらに背中を向け縮こまっている。

 

「河童じゃ」

「河童ですね」

後姿ではあったが、背中にカメの甲羅を背負ったような姿は、まさしく皆が良く知る河童の姿そのものだった。

源蔵さんは留美パパと留美ママ、それに留美に車から降りない様に言い含め、俺と共にワンボックスカーから勢いよく飛び出し、俺は神通棍を構え、源蔵さんは薙刀を構えながら、道路に縮こまってる河童に油断なく近づく。

……だが、河童は反撃する気配もせず、縮こまったままだ。

 

よく見ると、震えながら何かぶつぶつ言ってる。

「ケロケロケロ……怖いケロ、怖いケロ」

 

源蔵さんはそんな河童の姿に少し構えを解き、問いかける。

「物の怪よ。お主、ここで何をやっておる」

 

「に、人間!?ひっ、ひーーーっ、こ、殺さないでケロ~」

河童は恐る恐る振り返り、源蔵さんの姿を見て、腰を抜かしたようにへたり込み、命乞いをし出す。

 

「………」

「………」

源蔵さんはそんな河童の様子に、どうしたものかと俺とアイコンタクトを取る。

こんな様子の河童が人を襲う等、ありえないだろう。

それに、妖怪特有の霊気(妖気)も明らかに低い。

正直言って雑魚妖怪も良い所だ。

 

「もうダメケロ~!!こうなったらもう!!……殺さないでケロ~、食べないでケロ~、絶対不味いケロ~」

立ち上がって反撃か逃げるのかと思ったのだが、ジャンプしたとおもったらそのまま土下座して涙をチョチョ切らせながら命乞いしだしたんだけど……。

ちょっと親近感がわく、超誰かに似てるんだが……。

 

「勝浦のGSがこ奴程度に救援要請を出すとは思えんが……」

「救援要請は河童の集団といってましたし、別物じゃないですか?しかし、このタイミングで全く無関係とは思えないですね」

「そうじゃな、こ奴に事情を聞くしかないの」

源蔵さんと俺は、この河童が集落を襲おうと迫ってる連中とは別ものの可能性が高いが、何らかの事情を知ってる可能性もあると判断し、河童に状況を聞く事にする。

 

源蔵さんは絶賛土下座中の河童の正面に立ち、問いかける。

「おい、河童よ。お主何故このような所に現れよった?」

「ひ~っ!!食べないでケロ~、食べたらお腹壊すケロ~」

「人間は河童など食わん、お主をどうこうせぬ、事情を話せ」

「嘘つき!!知ってるケロ!!人間は河童をご飯とノリで巻いて、醤油をつけて食べるケロ!!」

……それ、カッパ巻きだな。

中身は河童じゃなくて、キュウリだけどな。

「食わんわい!!」

 

「ひっ~!それだけじゃないケロ!!河童をすり潰して、エビと一緒に混ぜて煎餅にして食べるケロ!!人間の子供から大人まで『やめられない、とまらない』って大人気ケロ!!エビと混ぜるのだけは嫌ケロ!!一緒に混ぜられるならせめて高級な松葉ガニにしてケロ~~」

……それ、かっぱえびせん だな。

確かに子供から大人まで人気のお菓子ではあるが、河童は入ってないな。

『やめられない、とまらない』のキャッチフレーズ知ってる癖に、なんで河童が入ってると思ってるんだ?おかしいだろ?

一緒に混ぜられるのはエビはダメで、何で松葉ガニはいいのかよ!?

「食わんといっておるじゃろ!!」

 

「ひっ~!じゃあれケロ!!河童の皮を剥いで、なめして、雨避けにするケロ!!そんなの嫌ケロ~!!せめてエルメスやグッチの財布かバッグにしてほしいケロ~~」

……それ、雨合羽だな。

かっぱと略して言うが、河童は全く関係ないな。

なんで、エルメスやグッチとか海外の高級ブランド知ってるくせに、雨合羽が河童の皮を使ってると思ってるんだ?わざとか?もしかして舐められてる?

「皮など剥がん!!いい加減にせい!!何もせんと言うておろうが!!」

源蔵さんの苛立ちが頂点に達しそうな勢いだな。

 

なんか親近感がわくと思ったら、この河童、横島師匠のネガティブな部分を切り取ったような感じなんだ。

それならば、俺の領分だろ。

伊達に横島師匠と3年弱過ごしてきたわけじゃない。

俺は源蔵さんの前に出て、このネガティブ河童の説得を始める。

「殺すならとっくに殺してる。あんたをどうこうするつもりはない。食べたりなめしたりもしない」

 

「ケロ!????……泥田坊の旦那ケロ!?」

「……またか」

ネガティブ河童は俺を見て指さし、こんな事を言って来た。

わかってた。たぶんこうなるだろうとな。

妖怪はたいがい、俺の目を見て泥田坊だと勘違いしやがる。

そんなに似てるのか?似てるのは目だけだよな。

 

「だだだだ旦那~~、怖かったケロ~~!!」

ネガティブ河童は俺の足に飛びついて縋りついてくる。

 

源蔵さんはため息交じりに、首を振って俺にアイコンタクトを……、まあ、そうだろうな。

ここは否定せずに、話を聞くか。 

「……何があったか、話てくれ」

「泥田坊の旦那~、聞いてほしいケロ~」

俺は泥田坊のふりをして、このネガティブ河童の話を聞く。

長くなりそうだったから、途中から暴れない様に封印札を貼って、車に乗せ、移動しながらとなった。

なぜか、留美はこのネガティブ河童の姿につぼったのか、キモ可愛いとか言って、パシャパシャスマホで写真を撮りながら微笑んでいた。この辺は留美も現代っ子って感じだな。

 

このネガティブ河童の名前は、家太郎(けたろう)と言う名で、この150年位人間が怖くてこの山中の小さな池に一匹で引きこもっていたらしい。

その割にはかっぱえびせんとか知っていたが、それは置いといてだ。

よく聞くと、河童仲間や他の妖怪からもハブられたボッチの引きこもり河童だった。

まあ、こうビビりでネガティブだと流石に力社会が主な妖怪界隈じゃ、ハブられるだろうな。

それを聞いた俺の心に謎のダメージが……

本題は、河童の家太郎曰く、この春ぐらいから、家太郎が引きこもっていた池の近くに、見知らぬ河童が現れるようになったそうだ。

家太郎はじっと、自分の存在がバレないようにやり過ごそうとしたのだが、現れる数がどんどん増え、近隣の動植物を食い荒らし、遂には自分が引きこもっていた池の魚などにも手を出してきたとか。

家太郎は引きこもっていた池を逃げ出し、随分と山を下り、人間が住む里山の川岸付近にまで移動せざるをえなかった。

……なるほど、夏ごろ川岸のキャンプ場で目撃された河童は、此奴だったのか。

だが、ここ最近見知らぬ河童達が、家太郎が逃げ込んだ人里近くの川岸まで現れるようになって、そして今日、その見知らぬ河童の集団が殺気立ちながら山から人里へと降りて来るのを見て、怖くなって、ここまで逃げ出したのだそうだ。

 

「家太郎、その見知らぬ河童はどこの連中かわかるか?」

「うーん、背丈や色は一緒ケロ、でも見たことないケロ、なんか変だったケロ、話してる言葉がわからなかったケロ、そんで甲羅も無いし嘴も無いし、頭に皿も無いし、水かきもないし、泳ぎが下手だし」

甲羅が小さい奴とか、皿ない河童も居るが、流石に水かきが無いとか泳ぎが苦手とか、河童じゃないぞ。

 

「……それ、河童じゃないんじゃないか?」

「はっ!?そうかも知れないケロ、牙はあるし、なんか獣の皮を腰に巻いてたケロ、大きな木の棒とか持って、やたら攻撃的だったケロ、しかも、でっかいのとか居たケロ、なんかおかしいと思ったケロ~」

家太郎は胸のつかえがとれたようにホッとした表情をしていた。

河童じゃないなのはほぼ確定だ。

……それにしてもこいつ、自分たちの種族を見分けられないとか大丈夫か?そりゃハブられるだろうな。

しかも、まだ、俺の事を泥田坊だと思ってるし、一応源蔵さん達の事も人間の子分だと言ったら、簡単に信じて、安心しだして、留美があげた菓子をうまそうにバリバリ食ってるし。

 

「八幡殿、河童じゃないのう。その物の怪に心当たりはあるか?」

「………いや、しかし……本来あり得ないです」

河童の家太郎の話に源蔵さんも河童ではないと判断したが、何の妖怪かわからなかったようだ。

だが、俺は家太郎の話を聞いて、とある妖魔が頭に過る。

本来日本に居る存在じゃない。

しかし、ここ最近の事件が、それを否定できない。

……やばいな。

嫌な予感が当たったか?

 

源蔵さんのスマホが鳴り……。

「なぬ?遂に物の怪共が襲いかかって来たじゃと!?俊之急げ!」

 




シリアス展開は次に持ち越しと言うわけで……
すみません。
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