やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト

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(175)ゴブリンの脅威3 弟子編⑪

現代兵器で武装し、現代戦の軍編隊を編成しているゴブリンが114体。

まさしく、中隊規模の軍隊と対峙しているようなものだ。

こっちは一般市民200人にGS5人と弟子1人が公民館に籠っている。

ゴブリン共が攻め手で、こちらが防衛側、公民館籠城持久戦を行っているようなものだ。

相手の武器はサブマシンガンとアサルトライフル、狙撃用アサルトライフルまで確認出来ている。

幸い、こちらの公民館はコンクリート造で、さらには建物強化結界や耐物理障壁結界のお陰で、弾丸は建物を通らない。

但し、奴らが携行ミサイルや迫撃砲や対物ライフルなんて物を装備してたりすれば、結界が長くは持たない。

114体以外に相当数の予備兵を残していた場合も数で押し切られ、乗り込まれるだろう。

 

俺が倒した奴らは、銃は最新型だったが、服装は腰蓑のような物を巻いていただけだ。

まるで一般人に紛れたゲリラ兵のようだ。

 

奴らは断続的に公民館に発砲を繰り返しているが、攻撃の意図は感じない、どちらかと言うと威嚇射撃の様だ。

こちらの恐怖心を煽り、こちらのメンタルを削ってるのだろう。

彼奴らは、銃や軍隊という物を理解し、こういう戦術も行ってきている。

 

「八幡殿、耐物理障壁と建物強化結界は順調じゃ、耐久力が落ちれば、補強できるように準備もしておる。住民も落ち着いておる。オカGや自衛隊の援軍が来るまで持つじゃろて」

源蔵さんと俺は二階のカーテンを閉めた窓際で打ち合わせをする。

 

「とりあえず公民館は弾丸に耐えられますが、奴ら何を仕出かしてくるかわかりません。携行ミサイルとかを持っていた場合、そんなに耐えられないでしょう」

「ぬ、やつら何処からあのような兵器を、今は言ってもせん無き事よ。どうする八幡殿?銃火器を持った連中との戦闘など想定外じゃ」

確かに河童騒動の救援から始まったこの事件、流石に相手が銃火器で武装訓練された妖魔に襲われるなんて思いもしなかった。

だが、相手がそう来るなら、こちらもそれ相応の覚悟を持って相手をしてやる。

 

「そうですね。こうなったら躊躇してられない状況です」

「八幡殿、何か策があると?」

「オカGと自衛隊がこちらに向かってます。美智恵さんに連絡して、中距離ミサイルを公民館周囲に撃ち込んでもらいます。ミサイルの照準誤差は10m程度と聞いてますから、公民館に当たる事はないハズです。周囲の民家を巻きこんでしまいますが、幸い公民館に皆避難してますし、耐物理障壁結界と建物強化結界が張られ、爆風やらにも耐えられます」

そう、相手が銃火器なら、こっちは戦術ミサイルだ。

こちとら美神流なんでね。

 

「な、なな!?ミサイルとな!?」

さすがの源蔵さんも目をひん剥き驚いていた。

 

「美智恵さんなら了解してくれます。それに住民の命には代えられない」

美智恵さんなら、銃火器を装備したゴブリンの危険性を十二分に理解してくれる。

日本政府は渋るだろうが、あの人だったらうまく丸め込めることが出来る。

それ位の影響力を持ってる人だ。

 

「む、むう、確かにそうじゃが。……いや、確実じゃろうて、わしらは銃火器相手に戦った事が無いからのう。八幡殿頼めるか」

源蔵さんは最初、渋い顔をして躊躇していたが、パンと膝を叩いて了承してくれる。

 

「では、俺から電話します……ん?」

そう言って俺はスマホを取り出し、美智恵さんのスマホに電話をするが、反応しない。

スマホの画面を見ると、電波が立っていなかった。

電波が来てない?

田舎だからか?

いや、公民館に来る道中、公民館に居た勝浦のGSとは繋がっていた。

どういうことだ?

 

「すみません。源蔵さんのガラホ、貸してもらっていいですか?」

「うむ、八幡殿のスマホはさっきの戦闘で故障でもしたのか?」

「いえ……」

源蔵さんのガラホも電波が来てない。

 

俺は留美ママにも確認したら、留美ママや避難住人の人達も、しばらく前から電波が入って来てないそうだ。

 

……まさか通信妨害?

あいつら、戦闘だけでなく通信妨害まで?

いや、ゴブリンを操ってる奴が通信妨害を手筈したのか?

奴ら、分隊を倒れた事を知り、本格的にこちらを攻略つもりということか?

やはり軍戦略を熟知しているということか?

ゴブリンを操ってる奴は他国の軍か自衛隊出身の可能性が高い。

 

「やられた。恐らく通信妨害です。どうやったかは知りませんが……」

「なんと!?……うむ、ならば式紙で知らせるしかないのう」

「式神で美智恵さんの所までどのくらいでメッセージが届きますか?」

「東京のオカGにまだ居るのであれば、30分くらいかのう。美神の突撃娘もこちらに向かっておる、霊気を辿って行かせれば、うまく行けばもうちと早く知らせる事は出来るかもしれんが……」

30分、厳しいか。

その後から、日本政府や自衛隊上層部に話を付けたとして、1時間はかかる。

救援が到着するのと同じぐらいのタイミングか。

それに、ゴブリンの動きをリアルタイムで知らせる事が出来ないから、ミサイルを撃ち込む効果的な位置を知らせる事も出来ない。

 

「……それでもいいです。相手が銃火器で武装している事を知らせて、一早く救援に来てもらえれば……、美神さんにも送れますか?」

「娘子の霊気を覚えておらんわしでは無理じゃが、留美であればいけるじゃろうて」

「お願いします」

源蔵さんは早速留美を呼びつける。

源蔵さんと留美はそれぞれ、霊紙に現状況を知らせるメッセージを言霊で吹き込み、そして霊紙は折り鶴の姿に変わり、窓をすり抜け美智恵さんと美神さんが居るだろう方向へと夜空を飛んで行く。

 

「やはり、耐え忍ぶしか手は無いか……八幡殿正直言ってどうじゃ?」

源蔵さんは俺に、救援までに耐えられるかどうかを俺に聞いてきている。

 

「正直、厳しいですね。さっきも言いましたが、今包囲している114体だけで、武装が先ほどまでの攻撃を仕掛けて来た銃火器程度であれば、凌ぐ事は可能ですが、相手が重武装兵器を持ってたり、予備戦力を待機させていた場合は、この公民館は救援が来る前に奴らの手に落ちる可能性が高い」

 

「む、脱出は……厳しいのう」

「八幡……」

源蔵さんは厳しい表情を、俺達の会話を聞き留美は不安そうに俺を見上げる。

 

俺は留美の肩にポンと手を乗せて、源蔵さんにこういう。

「そうですね。だから俺と留美とで打って出ます」

「え?八幡とわたしで?」

「む、それこそ無謀じゃなかろうて」

「奴らは遠方から威嚇射撃を行いながら、今も別動隊が襲撃の準備のため此方を包囲しながらじりじりと近づいてきてます。奴らは何らかの方法で乗り込んでくる手筈が整ったという事でしょう。と言う事は逆に、こちらが打って出るとは思っていないということだと。だからこそ迫り来る別動隊を個々に叩きます」

俺はこの方法も予め考えていた。

ミサイル攻撃が出来ない可能性があったためだ。

 

「だったらわしが八幡殿と出よう。留美にはちと荷が重い」

 

「いえ、留美の霊力は源蔵さんよりも高い上に、離れた敵に対しての殲滅能力が高い術式を多数もってます」

「確かにそうじゃが……」

源蔵さんが渋るのもわかる。

大事な孫娘をこんなとんでもない戦場のど真ん中に飛び込ませることになるのだから。

 

「何も、敵を全部倒さなくてもいいんです。奴らは現代戦をやってます。がむしゃらに向かって来る獣や魔獣とは違います。2割も損耗が有れば引いてくれるでしょう。ざっと20体程度、3分隊を倒せば行ける計算です」

 

「むう」

 

「留美とは訓練を共にしてるんで息も合いやすい。それに俺の霊能は防御よりなんで、狙撃からの防御も可能です」

源蔵さんもわかっているのだろう、留美に行かせるのがこの場で一番いい方法だと、だが心情ではそうはいかない。

 

「大丈夫、お爺ちゃん。八幡は強い。私も頑張るから」

留美もわかっているのだと思う。

源蔵さんが行くよりも自分が行った方がいい事を。

 

「だが、留美よ……わしは…わしは」

 

俺は霊視空間結界を発動させ、源蔵さんにわざと見せつけるように漆黒のシャドウ、ダーククラウドを顕現させる。

「留美を傷一つつけさせませんよ」

そして、自身満々にこう言ってのける。

 

「式神、いや精神体か?……こんな奥の手を……」

「八幡の式神?」

 

「俺の半径10mに俺の霊気を満たし、強固な領域を作ってます。その中限定ではありますが、シャドウを顕現させることができます。この領域では全ての事象が見え、領域に触れた銃弾すら見えます。また、俺のシャドウは触れた物質の相対速度を減少させることができます。要するにスローモーションにさせる事ができます。留美が俺の領域に居る限り、弾を掠らせすらさせませんよ」

俺は源蔵さんを安心させるためにワザと俺の奥の手の能力を自信満々に語る。

実際、弾丸を全て見え、事前察知したとしても避けられることは出来ない。

俺の身体能力が付いて行かないからだ。

だが、やり様はある。

ダーククラウドの能力はこれだけじゃない。

限定的なワープもある。

留美を守る事は出来る。

まだ、これ以外の真の奥の手も残している。

だが、どんな方法を使ってでも留美を守り抜いて見せるだけだ。

こんな時だからこそ、せめて師匠らしい事をな。

 

「八幡凄い!」

 

「八幡殿……うむ、これならば」

「大丈夫です。こう見えて俺はそこそこの修羅場をくぐってますんで」

「あい、わかった。留美を頼み申す」

源蔵さんの許しを得て、次は留美の両親に事情を説明する。

 

時間は決して余裕があるわけではないが、これも弟子を預かる師匠としてのけじめだ。

俺が説明した後、留美パパは俺にこそっと、耳打ちをする。

「留美を頼みます。でも比企谷先生、いざとなったら、留美を連れて逃げてほしい……」

「大丈夫です。俺と留美を信じて下さい」

 

俺は勝算が十分にあると踏んでる。

そうじゃないと、留美を矢面に立たせなかっただろう。

総武高校の大規模霊災の時のように焦りはない。

俺の霊視と留美のペーパークラフト使いとしての天才的な能力があれば、銃器を持ったゴブリンだろうと、問題無いと踏んでいる。

源蔵さんにも言ったが、あいつ等を殲滅させるつもりはない。

相手に、近づけば手痛い目に遭う事を十二分に理解させてやればいい。

その為に3分隊は盛大に犠牲になって貰う。

俺の霊視範囲外の遠方からゴブリン共を操って指揮を執ってる奴は恐らく人間だ。

予備軍が控えてようが、重装備を隠し持っていようが、ゴブリンが先兵として作られた妖魔だろうが、そいつの精神を折ればいい。

実際、2割の損耗が有れば、次の作戦やらの行動も起こせないだろう。

それにゴブリン共を兵器として売りさばくための、デモンストレーションや実地訓練だとしたら、2割の損耗は痛すぎる。

そうなる前に撤退するだろう。

 

「留美、いけるか?」

「大丈夫、ししょー、ううん。八幡と一緒だから」

「俺が必ず守る。いつも通りやれば大丈夫だ」

「わかった」

留美の表情は少々緊張気味ではあるが、恐怖心は無い様だ。

 

「……行くか」

「うん」

 





絶賛シリアス展開……
ああ、ギャグりたい!!
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