やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。 作:ローファイト
誤字脱字報告ありがとうございます。
続きです。
留美と俺は何とか、迫り来るゴブリンの南側の分隊3部隊を撃破することに成功した。
ゴブリン共の軍勢の2割強を撃破した事になる。
これで、ゴブリン共が大人しく撤退してくれればいいが……。
そう思っていた矢先。
公民館の方から大きな爆発音が聞こえてくる。
時限爆弾か!?
いや、公民館の周りにはゴブリン共はいない!
まさか、携行ミサイル!!
ゴブリン共は持っていたのか!?
やばい、ヤバすぎる。
更に、大きな爆発音がこだまする。
くそっ!
携行ミサイルを撃ってる奴を撃破しないと!!
どうする!?このまま行くか!?
携行ミサイルを撃ってる連中を特定できるのか!?
虱潰しに行くか!それとも俺が囮になって、ワザと攻撃させて、位置を特定するか!?
留美を連れて……この状況で弾幕を防げるか!?いや、流石にリスクが高すぎる!!
俺は懸命に思考を回すが、焦るばかりだ。
だが……。
「ふふっふふはははっ!!汚物は消毒よーー-!!わーーっはっはーーー!!」
爆発音と共に下品な高笑いが聞こえて来た。
この声は美神さん!?
いや、早すぎるだろ!!
予想よりも1時間は早い!!
「銃を持ったゴブリンは訓練されたゴブリンよ!!!私を見て逃げ出すゴブリンは賢いゴブリンよ!!!どっちでもいいけど!!私のうっぷんの為に藻屑となりなさーーーい!!!!うははははははっ!!!」
だが、この声にこのノリ、間違いなく美神さんだ!!
あの爆発音も美神さんかよ!!
そして、公民館の屋上に立ち月明かりと照明弾の光でその姿が見える。
赤いシャツに迷彩パンツにブーツ、頭には最新試作型の霊視暗視電子戦兼用ゴーグル、右手にマシンガンに左手にハンドガン、無数の弾丸や手榴弾が胸や腰に、さらには背中にロケットランチャー2門!!
スタイルのいい美女がロングヘアをたなびかせ、凶悪な笑みを浮かべて立っていた!!
「ランボーかよ!!」
思わずつっこみが声に出てしまったが、もはやGSや霊能者の恰好じゃない。
どこぞの死なない男(ランボー)も真っ青だ!!
「うははははっ!!逃げても無駄よ!!悪は滅びなさい!!正義は私だけのためにある!!」
マシンガンやらロケット砲やらの爆音とゴブリン共の悲鳴がそこら中で響き渡る。
美神さんから弾丸の雨霰!!
「八幡、……助けが来たの?美神さん?」
留美は俺に疑問顔で尋ねてくる。
そりゃそうだ。
留美は美神さんの本性を知らないからな。
あんな、女ランボーな美神さんを見れば、疑問顔になっても仕方がない。
しかも、言ってることややってることがめちゃくちゃだし。
「人工幽霊!!狙撃兵に多弾頭ロケット砲を撃ちこみなさい!!!皆殺しよ!!!!」
たぶん、車に憑依した人口幽霊に命令しているんだろうが、ロケット砲と言う事はランクルで来たのか!!改造され車の後部トランクやらにロケット砲やらがタンマリ仕込まれてる!!どこかのスパイ組織も呆れるレベルだ!!
しかも、言ってる事が正義の味方じゃないんだが!!もう、悪の組織の親玉そのものだ!!
ドッカンドッカンという轟音と主に土煙と共に破壊され何かが色々飛び散る。
ゴブリンだけじゃなく、民家や畑なども吹っ飛ばしてるんだけど!
どっちが悪者かわかったもんじゃない!!
「ちょ、美神さん!!俺達もいるんすけど!!」
「うはははははっ!!!!」
聞こえてないし!!
俺達も巻き沿いにするつもりかよ!?
まじで滅茶苦茶だ!!
「こ、これはまずい!」
俺は霊視空間結界などの能力をフルに使って防御に徹しながら、ダーククラウドで2メートル程の穴を掘り、留美と身を潜ませ、留美が式紙の結界術式『護祖巣守』を発動させ、200枚程の霊紙の防御障壁で穴に蓋をする。
俺は穴の中から霊視で状況を確認する。
美神さんは一応、公民館には攻撃が当たらないように配慮しているようだが、その他に関しては一切、気にも留めていない。
破壊の限りを尽くしている。
美神さんはこの暗闇の中でもゴブリンの動きが正確に見えるらしく、的確に攻撃を当てている。
それは、頭にしている最新試作品の霊視ゴーグルのおかげだ。
この霊視ゴーグルには暗視などの各種物理センサーとAIによる情報管理システムが搭載されている。
従来の霊視ゴーグルは霊的反応や霊的存在を装着者の目を通して、確認できる代物で、ゴーストスイーパーにとってなくてはならない霊具だ。
だが、視界は少々狭いうえに装着者の目で確認するため、視界に映ったものしか霊視できない。
しかも対象の霊的存在から視界を外すと、その存在を見失ってしまう。
多量の敵相手の場合、すべてを把握しきれない。
当然といえば当然なのだが。
さらに言うと、視界が狭いし、霊的存在以外のものが薄暗く見えにくいため、装着しながら戦闘するには不向きなのだ。
その点、俺の霊視空間把握能力や霊視空間結界は場の周囲をすべて把握できるため、霊視ゴーグルに比べ圧倒的に優位に立つ。
この最新試作型の霊視ゴーグルは、それらの欠点を補うべく、現代のハイテクを盛り込んだ、要するに霊具と最新現代ハイテク兵器のハイブリット霊具だ。
この暗闇の中でも赤外線センサー等の各種センサーやGPSなどでゴブリン共や辺りの地形を正確な位置を把握し、さらにマッピング機能がついているため、ゴブリン共がどこに何体いるか凡そ把握できたりもする。
実はこの霊視ゴーグルの発案は美神さん。
開発はドクターとマリアさん、製造調整は……その、雪ノ下電機だ。
要するに雪ノ下の実家の会社の子会社だ。
雪ノ下が美神玲子除霊事務所にアルバイトを行うにあたって、親を説得させ、さらに美神さんまでも納得させた提案がこれだった。
霊具製造販売業界は新規企業の参入が難しいのが実情だ。
そもそも、霊具の開発者が圧倒的に少ないため、新しい製品の開発などはなかなか難しい。
さらに、既存のメーカーが出してる商品も、特殊な素材や独自の術式などを介しているため複製も難しい。
霊具の核として使われているクォーツと呼ばれる精霊石などの霊石はほぼ海外のザンス製に頼っている。
あとは何処にでもある利権や縄張り争いなどにより、企業の新規参入だけでなく、商品の新開発すらままならない状況だ。
それ以外にも、各霊能家は自分たちの札や術式などを公表しないなどの閉鎖的であるため、新たな試みなどは嫌われたりするのだ。
だが、それを打ち崩すことが出来る存在は、業界のトップであり、GS協会の理事でもある美神さんだった。
いや、それよりも金になりそうなものを、放っておくわけがないし、邪魔されようが、強行突破するだろう。
だが、それだけじゃない。
実は土御門家も巻き込んだのだ。
美神令子印・土御門印のダブルブランドとしたのだ。
やはり、土御門の名は大きい。
さらにいうと、横島師匠の計らいで、横島師匠の専業主婦のお母さんを巻き込んだ。
結果こうなった。
霊具霊器製造販売メーカー
㈱YTMコーポレーション
初代社長は雪ノ下の父親、実質の経営は副社長の師匠の母親の横島百合子氏
取締役監査役として美神さんと土御門風夏さんの名前がある。
ブランド名:MIKAMIモデルと土御門印
MIKAMIモデルは霊器で、現代ハイテクとのハイブリット商品のブランドであり、販売相手はゴーストスイーパーだけでなく、自衛隊や警察となっている。
まだ、今は試作段階のこのハイテク霊視ゴーグルだけだが、来年早々から、5段階ぐらいのスペックで販売予定だとか、因みに美神さんが今装着してる試作品は、スペシャルエディションとして3億4000万で販売予定。一番安い量産型で1機2000万だとか……。
すでに量産品は自衛隊から100機、警察から50機受注が来てるらしい。
土御門印はゴーストスイーパー向けの汎用札が主だが、目玉商品がある。
汎用性式神だ。すでに3モデル用意しているらしく。
こちらはゴーストスイーパーに大人気らしく。
すでに予約販売が始まって即売り切れ、予約1年待ちのモデルまであるらしい。
将来は海外にも販売網を設けるとか……。
契約時、雪ノ下の父親と美神さんとがっちり握手を交わして、お互い高笑いしていたとか。
発案者の雪ノ下も、ここまで大事になるとは思っていなかったようだ。
まあ、これでドクターのところにもお金が入ってくるみたいだし、土御門家も新たな大きな資金源として喜んでるみたいだし……、輸入に頼らない国産品の販売ということで、美知恵さんも苦笑気味だが一応喜んでいるようだし
因みに、横島師匠のかーちゃんって、業界では有名人らしくて、雪ノ下の父親が師匠のかーちゃんを紹介されたとき、めちゃくちゃ驚いて、これで絶対勝てるって興奮気味に喜んでたとか、雪ノ下が言ってたな。
確かに、横島師匠のかーちゃんに二度程会ったことがあるが、専業主婦って感じじゃなかったよな。どう見てもできる人オーラをまとってたし。
家のかーちゃんに紅井(横島)百合子って知ってるか尋ねると、やっぱ知ってたし。
なんでも、その場で現れただけで利益率を上昇させるとか、数か月の相場を正確に予想できるとか。
なにその超ハイスペック……。
まあ、その母親にして、この息子かって感じだけどな。
そういえば、横島師匠のお父さんには会ったことがないな。
そんなこんなで、穴の中で考え事してるうちに、ゴブリン共の反応はなくなり、美神さんの高笑いが響き渡る。
銃を持ったゴブリン共中隊規模を一人でどうにかしちゃうとか、横島師匠も大概だが、この人もやっぱ人間やめてるとしかいいようがない。
しかも、霊能関係ないし……。
「留美、ここで待ってろ」
俺は留美にそう言い含めてから、穴から出ていき、高笑いをしている美神さんに近づくが……。
「ゴブリンだけじゃなくって、ゾンビまでいたのね!!なんであろうと私の目の前に立ち塞がる連中はすべて敵よーーーー!!うわはははははっ!!」
美神さんは俺に気が付いたのはいいんだが、完全に勘違いして銃口を向ける。
この目か!!またこの目でピンチに!?
「ちょ!!まった!!俺っすよ!!美神さん!!!!」
俺は慌て降参のポーズをとりながら、美神さんに迫る!
「極楽に逝かせてあげるわ!!」
「ちょっ!!って、おわっ!!」
美神さんは俺に向けて銃をぶっ放す!
「んんん!?……比企谷くん、っとに紛らわしいわね。間違って撃っちゃうところだったじゃない!!」
もう、撃ってるんだが!!まじ、妙神山での修行がなかったら、死んでたぞ!!
「はぁ……美神さん、正直助かりました」
「スカッとしたわ!!」
「でも……これはやりすぎじゃ」
俺は周りの惨状を見渡しながら美神さんと話す。
公民館の周囲500mは荒地と化していた。
民家はすべて吹っ飛び、道と畑は穴ぼこだらけ、見る影もない。
まあ、美知恵さんに誘導ミサイルを頼もうとしていため、人の事は言えないが。
美神さんだったら、もっとやりようがあったはずだ。
たぶん、うっぷん解消のためにやったのだろうが……。
プロフェッサー・ヌルとあのフードの男といい、霊災愉快犯にはいいようにやられていたからな。
ストレスは溜まっていたのだろう。
「なに!?助けてやったのに、文句あるわけ!?」
「そうじゃないですが、美知恵さんに怒られませんか?」
「ママ?大丈夫よ。相手は銃を持ってたのよ。いいじゃない。それと、これはぜーーんぶゴブリン共がやった。いいわね。比企谷君」
「……美神さん、さすがに無茶がありますよ。それに実弾使ったのバレたらやばくないですか?」
「ふん。私が使ったのは霊弾よ。問題ないわ」
確かに、除霊のために銃で霊弾を撃つことはあるが、ゴーストスイーパーだからと言って、流石に実弾を使えば、普通に銃刀法違反だ。
「それって……俺が美神さんに夜なべさせられて、マジックで薬莢に霊弾って書いただけの実弾ですよね」
俺は美神さんの周りに落ちてる多量の使用済薬莢を見て、ジッと美神さんを見すえる。
俺が霊弾て書いた後に霊的処理をする様なことを言ってたが、何も処理されてないよなこの弾、なんか、犯罪の片棒を担がされたんじゃ。
「使用したら霊力は抜けるでしょ?そう言うことよ、あんたも察しなさいよ」
……これは、いいから黙ってろと言うことだろう。
これ以上は言わない方が身のためだ。
はあ、うちの事務所にとってはデフォルトだが、相変わらずのこの横暴さ。
「ありがとうございます。助かりました。後は、まだゴブリン共の別働隊や残党が潜んでいるかもしれないですし、ゴブリン共を操って居た奴を見つけないと」
「もう、当面の危険は去ったわ。後はオカGと自衛隊の仕事よ。あんたは自分の弟子の心配をしなさい」
「わかりました。でも、こんなに早く良く来れましたね。キヌさんやタマモたちは一緒じゃないんですか?」
「お、おキヌちゃんたちは、帰国してきた横島君と合流して後で来るわ」
「え?美神さんだけですか?」
ちょうどその頃、ヘリの回転翼の音が遠くから聞こえてくる。
自衛隊かとオカGか?
予想より早いな。
「げっ、もう来た。……比企谷くん。急用ができたから私は帰るわ。あとはよろしくーー」
美神さんはなぜかセカセカと引き上げていった。
「……あやしい」
俺は美神さんが去った方向をしばらく眺めていた。
横島百合子氏
話の中だけですが、初登場です。
ゴブリン共は美神さんの狂気により一掃される。
もはや人間やめてるまであるが、なぜか違和感がない。
美神さんは何故こんなに早く一人で来たのか?