やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト

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やっと、ガイルサイドに戻って来れました。


(180)三者面談 ①

 

個別三者面談。

一学期の6月頃にも行ったが、総武高校では11月後半のこの時期にも進路先の最終確認の為に三者面談を行っている。

個別と名を冠している事から、全生徒が行うわけではない。

既に私立推薦で希望大学に合格している奴はもちろん、第一志望の目標の大学に向かって順調に模擬試験で高合格判定を叩きだしている奴らも呼ばれはしない。

志望大学を変更した方がいい生徒や、俺達文理系のように入試の機会が少ない国公立大学を目指している生徒も対象となっている。

ここで、学校側から進路変更等を進められるという事は、目標大学に合格するのが厳しいという事だ。

俺の場合、そんな事は無いだろう。

たぶん……。

 

というわけでこの時期、3年は午後から個別三者面談が行われている。

俺は面談の為、かーちゃんと校門外で待ち合わせをし、校舎正面玄関へ向かっている。

なのだが……。

「いいな!いいな!やっぱこの学校女子のレベルめっちゃ高い!」

「なんで、あんたがこんな所にいるんすか?」

何故か俺の隣に、スーツ姿の横島師匠がキョロキョロしながら歩いていた。

目的はもちろん、女子目当てだろう。

 

「当然、三者面談を受けに来た。今日は八幡の兄、比企谷七萬として」

キリっとした顔でこんな事を平然と言いのける。

しかもかーちゃんの前で……。

 

「帰れ!」

 

「えーーっ、せっかく心配してやってきたのに、お母さん、八幡の奴、こんな素っ気ないんすよ」

「横島君はいつも面白いわね」

何、人のかーちゃん垂らし込もうとしてんだ?

かーちゃんも無視していいからな。

何故か、かーちゃんは師匠の事、最初っから気に入ってるんだよな。

謎すぎる。

 

「いいから、帰れ!進路のことなんてわからないでしょ!」

「ふん、進路?何を言ってるだ!?俺は八幡の乱れた女性関係を正そうと来たんだ!!雪ノ下ちゃんや由比ヶ浜ちゃん、それに後輩の一色ちゃん、雪ノ下ちゃんの姉―ちゃんの陽乃さんまで!!同級生に後輩とお姉さんって、どうなってんだ!!」

「ちょ、あんた、それ今言うか!!!」

何言ってんだ!かーちゃんの前で!!最悪だ!!

 

「八幡……、どういうこと?」

かーちゃんが俺の事を睨んで来る。

そりゃそうだ!!

横島師匠の言い方!

まるで、俺がたぶらかせて、女性を泣かしてるみたいになってるだろ!

 

「かーちゃん、違うからな!この人の悪ふざけだから!」

完全に誤解されてる感じだ!

 

「そうなの?でも、いろはちゃんはいい子ね!あの子、可愛いし、気が利くし、後、ちょっと計算高い所とか、あざとすぎるけど、八幡の事好きだってわかるもの。でもでも、他の子も会って見たいわね」

おーい!!なに言っちゃてんだこのかーちゃんは!!

そういえば、一色の奴は、俺が居ない間に、勝手に家に上がり込んで、家の家族と団らんを楽しんでいたらしいし!

 

「そう言うのと、ち、ちがうからな!」

違わないけど、そう言わないと収まらないだろう。

うちのかーちゃん、意外と恋愛脳だしな。

トレンディドラマとか大好きだし。

 

「このこのこの、ボッチの皮を被ったモテ男!うらやましーーーな!!」

師匠め、思いっきり俺をからかってるだろ。

 

 

「師匠…、ついて来てもいいですけど」

 

「ん?なんだ、急に素直になったぞ?どうした?」

 

「面談の相手は担任の平塚先生なんで、振った相手とか、気まずくないんすか?」

 

「しまつた!?……そ、そうだった。あはっ、あははははっ、よ、用事を思い出した!今から大事な会議だった!!お母さんと八幡、そう言うわけで……そんじゃ!」

横島師匠は全身冷や汗を垂れ流しながら、疾風のように逃げ帰った。会議とかないだろ?

どんだけ言い訳下手なんだよ。

まじか、まじで忘れてたのか……、振った後は一度も総武高校に顔を出してなかったから、てっきり、平塚先生を振っていたたまれないからだと思っていたが、忘れていたのか……、普通に最悪だ。

 

「意外ね、横島くんは平塚先生と付き合ってたの?横島くんはてっきり、美神さんと出来てると思ってたわ」

逃げ帰っていく横島師匠の背中を見ながら、かーちゃんはこんな事を言ってくる。

 

「それは無いな」

無いな。それは絶対ないわ。

 

「え~、美神さんが横島くんをふと見る目って……まあいいわ。それよりも、小町からも聞いていたけど、恋人候補が何人かいるとか。告白されたのに決められなくてズルズルとしてるらしいじゃない、優柔不断なところは父さんそっくりね。とりあえず皆母さんに紹介しなさいよ」

小町―――――!!かーちゃんに言っちゃてたのか!?

そういうの、親に言うなよな!!

めっちゃ恥ずかしいだろ!!

 

「……いや、そんな事実は……あるような無いような」

 

「そんなんだから、あんたは……、はぁ、父さんは仕事熱心だけど、人付き合いが苦手だったわね。これが親子ってものなのかしらね、はぁ」

母ちゃんは俺に残念な子を見るような目を向けていた。

 

 

気を取り直し、校舎の昇降口に入って一階の廊下を歩いていると、とある親子が正面から歩いてくるのが見える。

「姉さんは何故ついてくるのかしら?」

「学校にいるのだから、折角だし一緒に面談受けようかなって、いいわよね母さん」

「特に問題ありませんが、陽乃は少々雪乃に構いすぎですね」

冬制服の雪ノ下とオシャレな私服姿の陽乃さんと和服姿の雪ノ下のかーちゃんだ。

そういえば、雪ノ下も今日が面談だと言っていたな、陽乃さんも今はGSとして学校に居るし、無理矢理雪ノ下の面談について来たのだろう。

 

 

「比企谷君と、……初めまして比企谷君と同じ部活仲間の雪ノ下雪乃と申します」

「あれ?八幡とお母さん、こんにちは、ご無沙汰してます」

雪ノ下は少々恥ずかしそうに俺のかーちゃんに挨拶をし、陽乃さんは気軽に俺のかーちゃんに挨拶をする。

そう言えば、陽乃さんは俺の知らないところで俺のかーちゃんに一回会ってたんだっけか。

 

「そう、あなたが比企谷君だったのね。……雪ノ下雪乃の母です。何時も娘たちがお世話になっております」

雪ノ下のかーちゃんは、俺と俺のかーちゃんに綺麗なお辞儀で挨拶をする。

雪ノ下のかーちゃんとは今年の初めに一度会ってる。

出会い方は陽乃さんに未来の旦那さんと紹介され、俺への印象は最悪だったはずだ。

 

「ご丁寧に、比企谷八幡の母です」

かーちゃんも挨拶を返す。

俺も軽く会釈を返した。

 

「ちょっと八幡、この美人親子は誰?」

かーちゃんは俺の耳元で、慌てて小声でコソコソと俺に雪ノ下達の事を聞く。

 

「すみませんが、今から面談ですので失礼します。比企谷君、また日を改めまして」

雪ノ下のかーちゃんはそう言って、再度お辞儀をして、静々と通り過ぎる。

日を改めるって何?なんか怖いんだけど。

その後ろについて行く雪ノ下は少々顔を赤らめながら、小さく手を振ってくれる。

陽乃さんは振り向きざまに投げキスって、おい。

 

「……雪ノ下……雪ノ下さんって、そう言えば小町が……、あんた、あんな美人姉妹をどうやってたぶらかしたの!?あんた何をやったの?まさか!?あんた弱みを握って……!」

かーちゃんも雪ノ下のかーちゃんに笑顔を浮かべながらお辞儀をしていたが、雪ノ下親子が通り過ぎるたのを見計らって、俺に怒り出す。

 

「そんなわけないだろ!!」

あんた、息子を何だと思ってるんだ!

 

 

落ち着いたところで、再び歩き出し教室へと向かう。

階段を上ってる途中で……

「ヒッキー!!やっはろー!」

「ヒッキー君!!やっはろー!」

「ヒッキーさん・こんにちは」

顔立ちがよく似た三姉妹が正面から手を振ってくる。

いや実際には、三姉妹ではない。

三人の関係は親子と居候のアンドロイドである。

そう、由比ヶ浜とガハママとマリアさんだ。

だが、三人が並ぶとマリアさんが長女で、由比ヶ浜が次女、ガハママが末っ子に見える。

ガハママはドクターの若返りの秘薬のせいで、由比ヶ浜よりも一つ年下に若返ってしまったのだ。何処をどう見てもJKなのだ。

しかも、なんでガハママはうちの制服を着てるんだ!?

まあ、その方が違和感ないんだけどな。

そ、そうか、今の姿じゃ、世間じゃ親子と名乗れないから、制服を着てカモフラージュしていたのか、マリアさんが長女で保護者という名目で一緒だったら、何とか体裁は整えられるという事なのだろう。

 

「うっす」

俺はいつもの感じで返事を返すが、かーちゃんにどう紹介するか戸惑う。

 

「ヒッキーって八幡の事かしら、みんな可愛らしい姉妹ね。こんにちは、私は八幡の母です」

かーちゃんは俺にこそっとそう言ってから、三人に挨拶をする。

 

「あっ、ヒッキー…比企谷君のお母さんですね。あたしは由比ヶ浜結衣です。比企谷君のクラスメイトで部活も一緒です。よろしくお願いします」

由比ヶ浜は制服を軽くはたいてから、かーちゃんに真面な自己紹介をする。

 

「ご丁寧に、さっきの子達は美人だったけど、由比ヶ浜さんは可愛い子ね、ねえ八幡」

かーちゃんは俺にワザとらしく俺にこんな事を言ってくる。

やめてくれませんかね。恥ずかしいんで。

 

「ヒッキー君のお母さん!?私は、結衣のお母さんでーす。比企谷君を将来のお婿さんに迎えたいと思ってますので、お願いします!」

ガハママは何時もの軽い感じでこんな事を言ってしまう。

その姿で母親名乗ったらだめだろ!!

しかも、婿っておい!!

流石にそれは!!

 

「え?ええ?どういう?お母さん!?妹じゃなくてお母さん!?え?お婿さんって!?え?どういう?」

かーちゃんは目を白黒させ、混乱しまくる。

 

「ヒッキーさんの・お母様・マリアです」

マリアさんも挨拶してくれるが、かーちゃんはそれどころじゃない。

 

「ママ!!今、それ言っちゃダメだって!!あたしがちゃんと言わないといけないから!!」

由比ヶ浜、余計混乱してるぞ、うちのかーちゃん。

 

「ママって、本当に母親?え?……なにがどうなって……?」

かーちゃんは貧血を起こした様にふら付く。

そりゃそうだ。

こんなに若く見えるかーちゃんで、同じぐらいの年恰好の親子だぞ、普通あり得ないだろ?

 

「す、すまん。由比ヶ浜、また後でな」

俺は倒れそうなかーちゃんを支えて、早口で由比ヶ浜にそう言う。

 

「ご、ごめんヒッキー、ママ!行くよ!!」

「ちょっと、結衣っ!」

「ママさん……ヒッキーさん・すみませんでした」

由比ヶ浜とマリアさんはガハママを引っ張って、いそいそとこの場を立ち去る。

 

 

俺はふらつくかーちゃんを、三者面談の為に廊下に並べてあるパイプ椅子に座らせる。

「かーちゃん、冗談だ。軽いジョークだから間に受けるなよ」

この場ではこう言うしかないだ。

あんなの、誰だって信じられないからな。

 

「そ、そうよね。冗談よね。びっくりした。娘さんより若い母親なんて現実にありえないものね。どうかしてたわ。あはははっ」

すげー乾いた笑いだ。かなりショックがデカかったようだ。

 

「大丈夫か?まだ、少し時間がある。飲み物でも買ってくるぞ」

 

「そ、そうね」

 

 

飲み物を自販機まで買いに行こうとしたのだが……。

「あっ、先輩と先輩のお母さん、こんにちは、お母さんどうしたんですか?」

何故だか一色がそこに通りかかる。

 

「一色か……ちょっとな」

「いろはちゃん、こんにちは……ちょっと疲れが出たみたいなの」

 

「それはいけないですね。生徒会室で少し休んでください。空調も効いてますし」

心配そうに一色はそう言って、かーちゃんの手を取り、歩き出す。

 

「いや、そこまでしなくても……」

「ありがとね。いろはちゃん」

俺はそう断りを入れようとしたのだが、かーちゃんがホッとしたような表情をし、一色に身をまかしていた。

なに?いつの間にかーちゃんとそんなに仲良くなってるんだ?

かーちゃんとは1度ぐらいしか会ってないはずだぞ。

 

一色は生徒会室までかーちゃんの手を引き、ソファーに座らせる。

「飲み物、直ぐ買ってきますから、休んでてくださいね」

「俺が買って来るぞ」

「先輩はお母さんを見てあげて下さい」

「ありがとね。いろはちゃん」

そう言って、駆け足で生徒会室を出て行く一色。

 

「ふう、大丈夫か?」

「ちょっと眩暈がしただけだから、大丈夫よ。それにしても、いろはちゃんは本当にいい子。さすが生徒会長ね。気遣いも出来て優しいなんて……」

「……なんで、一色とそんなに仲が良さげなんだ?」

まじでそれだ。

うちのかーちゃんが、一色を下の名前呼びとか相当だぞ。

 

「いろはちゃんは土日によく、家に遊びに来るのよ。お昼ご飯一緒に作ったりとか、父さんも喜んでるわ」

「はぁ?なんでそんな事になってるんだ?」

「なんでって、小町が生徒会でお世話になってるでしょ、それに八幡とも仲がいいじゃない。色々聞いてるわよ」

……一色、いつの間に俺んちに頻繁に遊びに来てるんだ?聞いてないぞ!

確かに、同じ生徒会の小町繋がりで家に来てもおかしくは無いが、よく来るって、……俺が仕事で居ない間に何をやってるんだ?

しかも、人の親共に何を話してるんだ!まさか、あの夏休みの千葉村のアレを話したんじゃないだろうな!

 

「いろはちゃんを見てたら何だか、ホッとするわ。八幡はどうなの?」

「どうって何がだよ」

「わかってる癖にっ」

「はぁ、ただの後輩だ」

なんか、かーちゃんがウインクしてくるんだが。

俺は盛大にため息をつく。

 





冬休み編が早くやりたいけど、その前にクリスマスと
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