やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。 作:ローファイト
誤字脱字報告ありがとうございます。
あれ?サクッと三者面談終わらせるはずが……
次回で終わらせます。
かーちゃんと個別三者面談に来たんだが、色々あってメンタルが折れそうになったかーちゃんは、何処からか現れた一色に連れられ、休憩するにはいい場所だとかで生徒会室で一息ついている。
そんで今は、一色がかーちゃんの為に飲み物を自販機に買いに行き、生徒会室には俺とかーちゃんだけだ。
「そういえば、由比ヶ浜さんも小町の話によく出て来るわね。……八幡、本当に好かれているのね。中学校まではこの子大丈夫かしらって、本当に将来を心配していたのだけど、今じゃもう、自分の仕事まで持っちゃって、私達の手を完全に離れちゃったわ」
母ちゃんはしみじみとこんな事を俺に言ってくる。
「どうだかな」
「禍を転じて福と為すっていうけど。あんたが事故に巻き込まれて昏睡状態になった時は、流石に私も覚悟したわ。それが今じゃこんな感じになっちゃって、これも美神さんや横島くんのお陰ね」
「俺もそう思う。横島師匠には感謝してもしきれない」
間違いなく今の俺があるのは、横島師匠と美神さん達のお陰だ。
「その割には、横島くんを邪険に扱うじゃない」
「はぁ、あのぐらい言わないと、あの人は悪乗りをやめないからいいんだよ」
まだ、横島師匠は言ったらやめてくれるからいいけど、美神さんはそうはいかない。
「まあいいわ。それで八幡はどの子が本命なの?」
「またその話かよ……」
「大事な話よ、あんたの嫁さんになるかもしれないのよ。それじゃ、三者面談しようかな。母さんと八幡と彼女達で」
何の三者面談だ!
「勘弁してくれ」
そんな羞恥プレイ、恥かし過ぎるだろ!
「じゃああんた、ちゃんと決めてあげなさいよ。それが男の子の役目よ」
「ああ、大丈夫だ……だと思う」
「歯切れが悪いわね。もしかして、今の子達以外にも恋人候補が居たりするの?」
「い、いるわけないだろ!」
「あやしいわね……そういえば、六道さんは娘さんを何度か連れて家に御礼に来たけど、もしかしてそうなの?」
「はぁ、違うぞ」
六道冥子さんにはそんな意図は全く無さそうだが、六道会長が厄介だ。
それに冥子さんと付き合ってみろ、命がいくつあっても足りない。
「じゃ、小町やタマモちゃんに聞いたけど、あんた先月から弟子を取ったんだって、それもかわいらしい女の子らしいじゃない。もしかしてその子も?」
「まだ、中一だぞ。どう考えても厳しいだろ!」
留美はまだ13歳だぞ!
源蔵さんが婿とか言ってるが、流石に厳しいだろ!
「ふーん、まあいいわ」
かーちゃんはジトっとした目で俺を見てくる。
「なんか勘違いしてないか?」
「ほんっとにあんたは、……冗談言ってられないようね。彼女達に会っておかないといけないわ」
母ちゃんは呆れ気味に小声で何かボソッと言っていた。
そんなこんなで、一色が飲み物を買って戻って来る。
「お義母さん、どうぞ」
「ありがとう、いろはちゃん」
一色はあざとい笑顔でかーちゃんに茶のペットボトルの蓋を開けてから渡す。
……なんか微妙にニュアンスおかしくないですかね一色さんや。
「はい、先輩も」
一色は俺にもペットボトルを渡しながら、俺の隣に座る。
なんか、近すぎませんかね。
「すまん……これで足りるか?」
俺は財布をポケットから取り出し、飲み物代を渡そうとする。
「良いですよ。このぐらい。何時もお世話になってるんですから」
「いや、流石にな」
一色は慌てたように断るが、なんかその仕草もあざとい。
俺は強引に500円玉を一色に渡そうとする。
「先輩、私と先輩は飲み物もおごらせてくれないような仲なんですか?そんなの悲しすぎます」
一色は急に悲しげな顔をし出して、こんな事を言ってくる。
その顔もあざとい。
あざといのは何時もの事だが、いつもとなんかキャラ違わないか?
「いや、そういうわけじゃないが……」
「だったら何なんですか?私と先輩の関係は……」
一色はここで泣きそうな顔をして俺に上目使いで訴えてくるが、なんかあざと可愛い。
いや、何なんだって、普通に先輩と後輩だろ?
「八幡、あんたって子は、いろはちゃんを困らせないの、いろはちゃんありがとね。また、今度の土曜日にでもご飯を食べにいらっしゃい」
「え?いいんですか?……でも先輩が……」
「八幡の事は気にしないでいいわよ。良かったら泊まってってね。土曜だったら八幡は仕事でいないから、八幡の部屋も開いてるわ」
「……おい、流石に不味いだろ」
何勝手に俺の部屋に泊めようとしてるんだ。
しかも、後輩の女子を……。
流石にそれはダメだろ。いろいろと。
「でも……」
「いいからいいから」
「ありがとうございます。お義母さん」
かーちゃんの両手を掴んでお礼を言う一色の笑顔はあざと可愛かった。
なにこれ?……あれ?一色ってなんかいつの間にか、家の親戚の子みたいになってるんだが。
「そろそろ、面談の時間だぞ」
俺はそう言って、生徒会室を出て行こうとする。
「いろはちゃん、またね」
「はい」
かーちゃんも俺に続きながら、一色に声を掛ける。
一色は嬉しそうに返事をするが……やっぱりあざとい。
廊下でかーちゃんは……
「いろはちゃんいい子じゃない」
「………」
かーちゃんは一色の奴をかなり気に入ってるみたいだぞ。
確かに、悪い奴じゃない。
見た目は可愛い系に、この頃はちょっと美人要素も入ってきた感じだし。
背はそれほど高くないがスタイルも意外といい。
勉強もそこそこ出来るし、頭も回る。
運動神経もけっこう良いらしい。
1年の頃は、同級生の女子に嫌われていたが、今はそうでもないらしい。
コミュ力に磨きがかかったうえに、立ち回りも上手く、リーダーシップも高い。
今じゃ、生徒に慕われ先生からも信頼を得てる頼れる生徒会長だ。
あれ?マイナス要素が無いどころか、プラス要素しかないぞ。
一色ってこんな感じだったっけ?
あれ?これだけだと、完璧超人みたいなんだが……。
冷静に考えると、一色いろはは、かなりハイスペックだ。
それに、俺がGSだという事を一切言いふらしたりしない。
約束もちゃんと守ってくれる。
普通に考えれば、男から見れば超優良物件に見えるだろう。
もともと男子からの受けもいいし、実際モテてるだろうな。
だが、なんか釈然としない。
…………そうか。
俺の中の一色いろはは今もちょっと可愛らしい所があるあざとい後輩のままだ。
「八幡、あんたさっきから難しい顔をしてるわよ。はぁ、あんたはいつも、難しく考えすぎなのよ。意外と答えはシンプルなものよ。人生もそう、なる様にしかならないものよ。あんたまだ18歳なんだから、もうちょっとリラックスしたらどう?」
かーちゃんは俺にこんな事を言い出す。
「そういうかーちゃんはどうなんだよ。仕事が大変そうじゃねーか」
「確かに大変だけど、母さんは今の仕事が好きだからね。まあ、そのせいで八幡や小町には不自由にさせちゃってるのは、悪いとは思ってるんだけど……ごめんね」
かーちゃんはそう言って、不意に俺に謝る。
確かに普段家を空ける事が多い両親どもだが。かーちゃんは何だかんだと、学校行事には全部参加してくれるし、親父も何だかんだと、中学までは色んな所に遊びにも連れて行ってくれた。まあ、親父に関しては小町最優先だけどな。
「それは、小町に言ってやってくれ、俺もかーちゃんと似たようなものだ。今の仕事にやりがいがあって、確かに大変な事が多いが嫌いじゃない。そのせいで、小町には寂しい思いをさせてる」
「似た者親子ってことかしら、……でも、ほんとあんた独り立ちしちゃったのね」
また、それかよ。
さっきも同じような事を言ってたぞ。
かーちゃんはこの頃、そんな事をしみじみと俺に言う事が多い。
そして、漸く教室に到着する。
まだ、俺達の番じゃないみたいだな。
クラスメイトの女子親子が教室の前の廊下のパイプ椅子に座り、次の面談のために待っている。
かーちゃんは、そのクラスメイトの女子親に軽く会釈をする。
丁度そのタイミングで、教室の扉が開き、面談を終えた親子が出て来るが……。
「あら、川崎さんと沙希ちゃんも、こんにちは」
「比企谷さん、こんにちは、先日はどうも」
俺の親と、面談を終えたばかりのクラスメイト、川崎の母親と挨拶を交わす。
川崎は罰が悪そうに、俺に目配せをし、俺も頷いて返す。
そういえば、何で、かーちゃんと川崎の親は知り合いなんだ?しかも、川崎とも会った事がある感じなんだが。
面談を次に控えた女子親子が教室に入り、俺のかーちゃんと、川崎の母親がその場で世間話を始める。
俺は小声で川崎に尋ねる。
「川崎、うちのかーちゃんと会った事があるのか?」
「……言ってなかったっけ、入学式の時に大志と比企谷の妹繋がりで、知り合って、その後、喫茶店でね。その場に私もいたの。比企谷の親もうちと一緒で共働きでしょ、それで意気投合したというか……それから、学校のイベントごとに会ってるみたいなんだよ」
聞いてないし、知らなかった。
大志(ゴミムシ)関連の情報は俺の中の記憶から自動的にデリートされていたからな。
「……俺がGSの仕事をやってるって話したりしてるのか?」
「比企谷がGSだって私は話してないけど、唐巣神父がね。うちの両親に話してて、知ってる」
「まじで……」
神父、口外しないでほしんだけど。一応、GS協会の方針でもあるはずなんだけど。
「ごめん比企谷。私が神父の所でバイトしてる経緯をちゃんと親御さん話さないといけないとかで、神父が両親にいろいろ話しちゃって、そんななかで、比企谷の話も出て……ほんとごめん。でも親には比企谷がGSだってことは誰にも言うなって重々釘を刺してる。大志にも知られてないし。比企谷の親にもその話題を出すなって言ってある」
たぶん神父は、神父の元でバイトを続けたいという川崎の意志を尊重し、川崎の両親に川崎が悪魔に付き狙われていた事や、川崎がバイト先でどういう仕事をさせるかとか正直に話し、その上で、両親にも川崎がバイトを続けることを納得してもらい、今も雇っているのだろう。
神父の優しさからくるものだ。
そんな中、俺の話題も出たのかもしれない。
俺の存在がある事で、川崎の両親に安心してもらうため、川崎がもしまた、悪魔につけ狙われたとしても、学校には俺が居るから大丈夫だと。
「親から結構あんたの事聞かれたけど、一応はぐらかしてるから……ほんとごめん」
「いや、助かる」
川崎は小声での会話の中でも、手をあわせて何度も俺に謝る。
どうやら、川崎にかなり気を使って貰ってたようだ。
正直助かる。
そこまで、釘を刺してもらってれば、漏れはしないだろう。
川崎は学校ではかなりツンケンしているが、色々と気が利くし、家族思いないい姉をやってるしな。
親共の井戸端会議が終え、お互い今度会う約束をしていた。
川崎の母親は別れ際に、
「比企谷君、沙希の事を、今後もよろしくお願いします」
と丁寧に挨拶をされる。
「母さん、恥かしいからそういうのやめてって」
川崎は顔を赤くして恥ずかしそうに、母親を引っ張りながら俺に軽く会釈して、去って行った。
「沙希ちゃんはいい子ね。美人だし、兄妹の面倒もちゃんと見てて、家庭的だし」
「………」
「小町から聞いてたけど、あんた沙希ちゃんとは結構仲良さげじゃない。沙希ちゃんも恋人候補なの?」
「はぁ?なんでそうなるんだよ」
「……あんたには違う意味で苦労させられそうね」
何言ってるんだうちのかーちゃんは!
トレンディードラマ見過ぎだ。恋愛脳め。
それにしても、今日はなんなんだ?
やたらと、知り合いと会うんだが。
まあ、学校が一緒だし、皆も面談があるから可能性はあったが、流石に多い気がする。
雪ノ下姉妹親子に由比ヶ浜姉妹風親子、そんであざとい後輩に共通の仕事仲間のツンデレとのエンカウント。
もうこれ位以上は流石に無いよな。
今度、八幡の彼女候補チキンレースの進捗とパワーバランス表みたいなのを後書きでまとめてみようかな。
そうしないと自分でも忘れそう。
今の所、正式候補……
ガハマさん、ユキのん、ハルのん、いろはす、ルミルミ。
なのかな。
サブ候補で
冥子さん、サキサキ、折本さんってところ?
平塚先生はどうなんだろうか?
GS側では、タマモとかシロ、マリアは八幡に対しての印象はどうかな?
ちょっと待てよ。
そのノリでいくと、横島師匠彼女候補チキンレースもあるのか……
やはり、おキヌちゃん、小竜姫様が筆頭格。
八幡は気が付いてないけど、美神さんもそうなるのかな?
小鳩ちゃんとか……、
ガイル側だと誰になるんだろ。
平塚先生は振られちゃったし。
ご意見あれば、感想に書いていただければ助かります。