やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト

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いつも感想ありがとうございます。
クリスマス編開始です。
陽乃さんの回想の後は途中に挟む予定です。

途中で切ることが出来ずに、いつもの倍のボリュームになってしまいました。




(185)クリスマス編①序

 

二学期も残すところ後4日、俺の高校生活も3か月後には終わりを迎える事になるわけだ。

高校という枠組みにそれ程執着がなかった俺も、何故だか寂しい様な気持ちが少しは湧いて来る。

だが、そんな思いも一瞬で霧散し、とある約束のタイムリミットも近づいてきているという事実に頭を悩ます。

そう、好意を寄せてくれている雪ノ下と由比ヶ浜、陽乃さんの3人の内の誰かを高校卒業までに、恋人として選ばなくてはならないのだ。

さらに、そこに俺に告白してくれた一色いろはにも何らかの答えを出してあげなくてはならない。

高校に入学する前の俺なら、多分告白してくれた最初の人と付き合っていただろう。

当時の俺と今の俺とでは立場や状況がまるで異なる。

今の俺は学生という身分だけでなく、プロのゴーストスイーパーという立場があるからだ。

ゴーストスイーパーは特殊な職業だ。

常に命の危険が付きまとい、世間の常識が通用しない世界に身を置いている。

しかも、まだ未熟な身の上であり、彼女らの純粋な思いにこたえられるか……。

いや、それは単なる言い訳だな。

俺が優柔不断なだけで、自分の思いに自信がないから、うだうだと考え余計に迷い、気持ちがハッキリしないのだ。

はぁ………。

 

俺は午前中にデジャブーランドの巡回の仕事を終わらせ、事務所に戻る最中の電車の中で、あちらこちらでクリスマスで盛り上がりを見せている姿を見ながら、そんな思いを巡らせていた。

 

クリスマス……か。

総武高校奉仕部では、12月24日クリスマスイブ二学期終業式の日の放課後に、クリスマス会を開く予定となっていた。

去年は3人でケーキを食べるだけの、ひっそりとしたものだったが、今年はちゃんとしたものをやるらしい。

まあ、計画したのは小町だが……。

 

12月24日のクリスマスイブの夜は美神玲子除霊事務所恒例のクリスマスパーティーが開かれることになっている。

美神さんや横島師匠の仕事関係の人たちがひっ切りなしに来て、一晩中どんちゃん騒ぎとだ。

 

電車を降り、駅から徒歩で事務所に到着。

ん?……この気配は……。

事務所の4階から美神さん以外に、大きな霊気が2つ感じられる。

一つは美神さんの母親で、オカルトGメンの日本での元締めである美神美知恵さんのものだ。

美知恵さんはかなりの頻度で事務所に時間を見つけては娘の様子見がてらに来ているから、いつもの事だ。

もう一つの霊気は俺もよく知っている。

抑えてはいるが、圧倒的な霊気内包量を感じるこの神聖な霊気の気配。

キヌさんの霊気にも似ているが、これは間違いない。

だが、こんなところまで来られても大丈夫なのだろうか?

しかもお一人で、彼女を守護する役目を負う門番は一緒ではないようだ。

本来なら横島師匠が同行するか、横島師匠を通じて何かしらの通知をすればいいハズだが、今、横島師匠は例の海外出張中のため、それができない。

よっぽどの緊急な事案があって、お一人で現世に降りて来なければならなかったとうことではないだろうか?

 

俺は急いで事務所に駆け込む。

「ただいま戻りました」

 

美神さんが所長席から俺に声をかける。

「丁度いいタイミングね。今から仕事の話よ。あんたも聞きなさい」

 

俺はチラッと窓際の応接席の方を見ると、美智恵さんともう一人の人影が見える。

だが、朝からバイトで出勤していた雪ノ下やシロ、そしてキヌさんの姿が見えない。

「他の皆は?」

 

「おキヌちゃんは普通に買い物に出かけたわ。雪乃はさっきシロと唐巣先生の所にお使いにいかせたわよ」

その美神さんの言い回しだと、キヌさんは普通に商店街にでも買い物に出かけたのだろう。

雪ノ下はたぶん、今からの仕事の話になるべく関わらせないように配慮して、神父の所に行かせたといったところか。

何せ、来客は神様だからな。

 

「そうですか」

 

 

俺は応接席の方へ向かい、手前の席に座ってる美智恵さんに軽く挨拶をした後、来客の神様に頭を下げて挨拶をする。

「ご無沙汰しております、小竜姫様」

「こんにちは比企谷さん、何か変な感じですね。こうして現世で会うのは」

そう、来客の神様とは小竜姫様の事だった

にこやかに挨拶を返してくれた小竜姫様は、普段の古代中華風の軽装ではなく、現世の服を着用されていた。

上はボーダー柄のトレーナーにジージャン、下はジーンズのスカートにスパッツ姿、靴はランニングシューズと……。

いい!すごくいい!!

一昔前のコーデだが、小竜姫様が着こなすと何故か神々しく見える。

リアルファンタジー女神剣士姿もいいが、これはこれで快活なイメージのある小竜姫様にめちゃくちゃ似合ってる。

つい見惚れてしまう。

でも、よく考えるとこれって、横島師匠と服装がお揃いだよな。

横島師匠は常日頃からジーパン、ジージャンだし。

やっぱ、小竜姫様は師匠に惚れてるよな……はぁ。

 

 

俺も応接セットの美神さんの横に座るように促される。

美神さんの対面に小竜姫様、俺の前には美知恵さんが座っている。

 

 

「小竜姫様、話の途中でしたが、比企谷君にも聞かせたいので、初めからお話をお聞かせ願えませんか?」

美智恵さんがそう言うと、小竜姫様が話を始める。

「はい、その方がいいでしょう。先ほどお二人には話しましたが、依頼内容は、現世に降り立った神界の者を捕らえてほしいのです」

 

「神様ってことですか?」

俺は純粋な疑問を投げかける。

 

「はい、今判明している方々は、お二方は下級神で、一方はみ使いです」

神界には神様以外に神様の周りの世話をしたり、守護したりと下働き的な存在がいる。

それが神のみ使いだ。

女性のみ使いは天女とも呼ばれる。

天界や地上の神域を守護する役割のみ使いは兵士の役目を負っていて天兵などとも呼ばれる。

身近なところでは小竜姫様の所の、鬼門達がそれにあたる。

西洋では天使がそれに該当する。

それにしても、神ってだけで普通に考えれば人間に手に負えるような存在じゃないが、美神さんだったら名の知れた中級神でも裏技かなんかで捕まえることもできるだろうな。

 

「さっきも聞いたけど、そいつらは神界の罪人ではないのよね。それなのに、わざわざ捕縛とは穏やかじゃないわね」

今度は美神さんが小竜姫様に聞き返す。

 

「そうですね。正式には神界の規定では犯罪に当たらないのですが、彼らは現世の人々に迷惑をかける可能性があるのです。ですが、規定違反を犯しているわけでもないため、神である私たちが動けなくて、こうしてお願いに来たのです」

 

「ま、神様が人々に迷惑をかけるのは今に始まった事じゃないし」

美神さんは呆れ気味に、少々嫌味を兼ねてこんなことを言う。

 

「申し訳ありません」

小竜姫様は肩を狭め、頭を下げる。

 

「令子!……小竜姫様も謝って頂くような事ではありませんよ」

 

「私は依頼料をがっぽりもらえるなら、なんだっていいわ。小竜姫様、金塊は売却時に総合課税とか言って足が付くから、精霊石とか霊玉とかでお願いね」

「令子っ!……すみません、小竜姫様」

「いえ、こちらから無理を言ってお願いするのですから、それ相応の物をご用意させていただきます」

「ふふん、さすが小竜姫様、話が分かるわ」

美神さんは上機嫌だ。

相当なものを貰えるのだろうな。

確か、小竜姫様の依頼について、キヌさんに教えてもらったことがある。

小竜姫様から年に1、2度依頼が来るらしいが、その支払いは財宝だったり、金塊だったりするらしい。

確かに、神様が今の現世の現金や銀行口座に金を貯めこんでるとは思えないけどな。

それは置いといて、全世界の国の共通認識として、神や悪魔は存在することは認められているが、住民でも何でもないため住民票もなければ、人口にカウントするわけにもいかない。

国の管理体制としては存在しないものと処理される事案なのだ。

要するに国の管理外の存在ということだ。

神様の依頼などは実際金塊や財宝のやり取りがあったとしても、そもそも神様自体が国の管理外の存在、依頼などは最初からないものになる。

だから、依頼料で受け取った財宝は存在しなかったことになるのだ。

だが、そこに落とし穴があった。

神様から頂いた金塊、財宝を貰う事に関知しないのが国のスタイルだが、その金塊や財宝を所持し、売却するとなるとまた、別の話らしい。

金など市場取引が行われている貴重金属については、売却時に必ず足が付き、税金がかかるらしいのだ。

それを知った美神さんは、倒した妖怪がたんまり隠し持っていた財宝や金塊をちょろまかしたり、小竜姫様からの依頼で頂いた金塊や財宝を現金に換えずに、隠し持っていたのだ。しかも、売買契約がない金や金塊を所持しているだけで、税務官から付け狙われるのが現状なため、今も分散してどこかに隠しているらしい。

ただ、例外がある。

精霊石や霊具だ。

ゴーストスイーパーの仕事上関係のある財宝などを売却したところで、金を取引するのに比べると、税金はそれほどかからないし、そのまま霊具として使えるため、割がいいらしい。

まあ、美神さんの事だから、裏取引とかなんとかで、隠し持ってる金塊や財宝は税務官の目を盗んで現金化しちゃうんだろうけど。

 

 

「小竜姫様、現世に降り立った神界の方々はどのような方なのですか?」

美智恵さんは話を元に戻すために、この話題で一番重要な質問を小竜姫様に聞いた。

 

「はい、下級神の坂田金時殿と桃太郎殿、み使い浦島太郎殿です」

小竜姫様は極真面目な顔でこの三方の名を出した。

 

「あの、その人たちって、童話の主人公ですよね」

 

………それって、金太郎と桃太郎と浦島太郎の童話で超有名な主人公連中、俗にいう三太郎達だよな。

 

「はい、そうです。ですが実在の人物で彼らは死後、鬼退治の功績等で神格化し、神の座やみ使いとして神界で暮らしています」

……そうなんだ。

実在の人物なんだ。

金太郎だけは、坂田金時って実在の人物だとは知ってたが、桃太郎も浦島太郎も実在していたのか。

あれ?鬼退治の功績って、金太郎と桃太郎はわかるけど、浦島太郎ってなんか神になるような功績を残したか?

み使いだから正式には神じゃないんだが、彼奴って、乙姫と遊んで、玉手箱開けてじじいになっただけじゃないのか?

 

「ふん、誰が相手だろうと、この美神令子がとっつ捕まえて神界に送り返してあげるわ!私の野望の糧に!!」

美神さんは相変わらず欲望に忠実というかなんていうか、久々に大儲けできる話だからテンションもいつもよりも高めだ。

 

「はぁ、あなたって子は……、小竜姫様、オカルトGメンも協力させていただきますが、相手の狙いなどわかっていればお教え願いますか?」

美智恵さんは美神さんの言動に呆れつつ、オカGとして小竜姫様に協力することを約束しながら、話の続きを聞く。

 

「はい、その前にこれを見てください」

そう言って、小竜姫様は封筒のような包み紙をボディーバックから取り出し、紙を開くと俺達がよく目にするものが入っていた。

 

「スマホですか?」

それを見た美智恵さんが小竜姫様に聞き直す。

確かにスマホだ。

俺の知ってるメーカーの物だが、5年ぐらい前の古い型のものだ。

 

「はい、そうです」

 

「ふーん、神界にもスマホあるのね」

美神さんは少々意外そうな物言いだが、俺も美神さんと同じ思いだった。

神様がスマホを使うイメージが全くわかなかったからだ。

だが、よく考えるとそういうイメージなだけで、便利であれば神だろうと悪魔だろうと、この世界に関わっているのだから使っていてもおかしくはない。

 

「そうですね。半年前までは、現世の土地神や神社の御祭神などが、宮司や氏子などから譲り受けたり、現世に深く関わる神が人の姿で取得していたりと、ほんのごく一部の方のみが現世限定で使われておられました。有名なところでいうと太宰府天満宮の学問の神、菅原道真公が使用されておられますね」

 

「へ~、で、半年前までってことは、今は違うってことよね」

 

「はい、これを見てください」

小竜姫様がスマホの右のスイッチを押すと、画面が点灯すると……。

 

「……え?スマホに霊気が?」

俺は黙って成り行きを見守ろうと思っていたのだが、つい声が漏れてしまった。

そのスマホ自体に霊気の流れを感じたからだ。

 

「はいそうです。この『すまーとふぉん』は霊気で動き、そして通信は電波ではなく霊脈を通して行えるようになっております」

 

「そんなものが……」

「なるほど、霊脈を使えば神界でもつながりそうね」

美智恵さんは少々目を見開き驚きながらスマホを覗き込み、美神さんは納得しながらも興味を持って覗き込む。

 

俺もそのスマホを遠目で画面に注視したのだが、起動画面の最初にこんな文字が浮かび上がり、つい声が漏れる。

「カオスOS!?」

 

「はい半年ほど前、菅原道真公が神界でもスマホが使えないものかとドクター・カオスさんに相談したらしく、そこで技術神タケミナカタ様と合同で開発し、カオスさんが生産し太宰府天満宮を通じて、日ノ本の神界に今広まりつつあるのです」

 

「ドクターには注意が必要ね。マリアさんに重々ドクターを管理してもらうようにお願いするしかないわ」

美智恵さんは頭痛がするかのように頭を押さえ、ため息を吐く。

 

「あんのじじい!開発したものは私に報告しろって言ったのに!こんな金儲けになりそうなものを独り占めとはいい度胸ね!!」

……美神さん、それって、ジャイアンの言葉と一緒ですよ。

ドクターの物は私の物、私の物は私の物って言ってるのと同じだから。

相変わらずのこの横暴さ。

 

「ただ、人間界のすまーとふぉんの通信やこんてんつ?なるものは使えないらしく、通信網は神界独自なものとなります」

なるほど、要するに現世の通信会社が提供している通信を擁するコンテンツやアプリは使えないってことか、当然現世のインターネットやLine等のSNSや音楽配信アプリやyoutubeは使えないってことか。

そりゃそうか、通信規格が電波と霊脈って全く別物だしな。

ドクターに限っていえば、その電波と霊脈のハイブリット製品を持ってたりして……。

うーん、あり得そうで怖い。

後でそっと美智恵さんに相談するか。

 

「現世の情報がダイレクトに伝わるわけではないのですね。ですが、情報そのものはいずれいままでに無いスピード感て神々に伝わるのでしょうね」

美知恵さんは考えをまとめながら、思っている事を口にする。

携帯が広まった時と携帯からスマホに変わった時に情報量爆発が起こったと聞いている。

一気に人々が得る情報量が増えたと。

それが神々の間でも起こるのだろう。

 

「いえそこまでは無いと思います。そもそも現世の情報は役職を持った八百万の神々や上級神レベルでは神具や遠見能力などで把握してますから、現世の情報を欲するというよりも、娯楽として受け入れられているようです。特に下級神やみ使いの間ではほぼ浸透していると言って良いでしょう。現にこの神ちゅーぶなる映像配信は徐々にですが配信者が増えております。その中でも特に現世を拠点で活動している神々には圧倒的な人気を博しており、時が立てば神界の中級神や上級神にも広まるでしょう」

なるほど、この神ちゅーぶというアプリはyoutubeの神界版ってところか……、特に人間と関り深い現世に在住している下級神やみ使い、土地神とかそう言ったところで、人気が出てきているといったところか、

それよりもこの神ちゅーぶ、明らかにパチモンだよな、特許とかどうなってるんだろうか?

神様にそんなものは関係ないのかもしれないが、一応気になるな。

 

「ふーん、それが三太郎共とどういう関係があるわけ?」

 

「坂田金時殿、桃太郎殿、浦島殿も神ちゅーぶの人気配信者なのです」

 

「なるほどね。あれね。きっと迷惑系配信者ね。現世に降りていたずらしたりして視聴者と登録数者を稼いでるってところかしら?神っていっても、やってることは人間と一緒よね」

美神さんは呆れ気味にそう言い捨てる。

まあ、人間から神様や神界の住人へなられた方も多いだろうし、小竜姫様や斉天大聖老師を見る限り俺達と精神構造はそうあまり変わらない気がする。

 

「そこまで露骨な物はありませんが、現世の情報や人々の生活を面白可笑しく、映像提供していたりしております。その中でもランキング形式で情報提供している番組が非常に人気でして……」

小竜姫様はそう言いながら、スマホを操作し「実際に御三方が提供している番組がこれです」とスマホの神チューブなる動画配信サイトを見せてくれる。

 

 

『イエスっ!今回の神ランキングチューブはクリスマスも近いというわけで!!嫁にしたい人間ランキング!!INジャパーーーン!!を紹介しよう!!因みに今回アンケートに協力してくれた神界の方々は1000方!!協力ありがとう!!俺特製キビダンゴを抽選で20方分送ちゃうよっ!!』

めちゃくちゃ俗っぽい番組だが、きっちりテロップも作り込んでるし、動画編集もしっかりっしてるし、人気ユーチューブ番組とクオリティーはかわらない。

それよりもだ。

なにこのテンション高いアフロは?え?キビダンゴを提供って、こいつが桃太郎?

 

『じゃあ!!いってみよーーー!!ラーーーンクッ!!チューブ♡!!一旦コマーシャル!!』

 

「軽!?これが桃太郎!?」

俺はつい口に出ててしまった。

仕方ないだろ?これだぞ?

桃太郎のイメージめちゃくちゃ壊れたんだけど!

こんな桃太郎一般の子供たちには絶対見せられるわけがない。

 

「大体こんなもんよ。昔話ってのは美化されまくりだから。織姫や乙姫に比べれば、こいつはまだましな方よ。」

そ、そうなんだ。

織姫や乙姫ってこれより酷いんだ。

聞きたくなかった事実だ。

 

「この動画の坂田金時殿は企画から衣装や照明、桃太郎殿の合いの手担当で、天界でも人気の裁縫師でもあるのです。浦島殿は動画の編集や音楽編集まで行っており、この頃は神ちゅーぶの人気編集者として注目を浴びてます。因みに三方は元々毘沙門天様の傘下でしたが、4年前、毘沙門天様が代替わりされまして、その現毘沙門天様はかなり苛烈な方で、その時におやめになったと」

……金太郎が裁縫師ってイメージないわ~、布切れ一枚のほぼ半裸で鉞持ってるイメージしかないし。

浦島太郎が動画編集者か……、微妙だな。やっぱ、ぱっとしないな。

それよりも毘沙門天様が代替わりって、毘沙門天って役職なのか?

 

 

コマーシャルを挟みいよいよ10位から発表される。

『10位!!GKB47の後田典子!!投票数は12票!!美人度9気立て10嫁度10霊力1戦闘力1善行度5転生適正6、合計は41ポイント!!コメント欄にもやはり性格の良さを皆ポイントに挙げてるぞ!!人気アイドルナンバー1は伊達じゃない!!続いて9位!!女優の綾部春香!!投票数は15票!!美人度10気立て9嫁度10霊力2戦闘力1善行度6転生適正4、合計は41ポイント!!コメント欄には、いつまでたっても初々しさが溜まらない、癒されたい!!さすが癒し系女優ナンバー1!!私もずーーっと癒されたい!!各パラメーターポイントは今回の投票ランキングとは無関係だ。俺達が皆の意見をまとめて独断と偏見で振り分けてる!こういうの好きだろ?』

 

「ふん、アイドルとか女優ってあれでしょ?裏ではプロディーサーとかに枕営業しまくってるんでしょ?顔が良いだけで性格が良いとかありえないわよ。ドス黒さが顔ににじみ出てるわ。ああ、やだやだ所詮神と言っても男よね。あんな作り笑顔にコロっと騙されるなんて」

美神さんは鼻で笑いながら、こんな感想をしれっと言う。

悪意満載なんだけど、ファンが聞いたら刺されるぞ。

まあ、男なんて皆一緒というのはわかるが、そもそもアイドルや女優ってそういうものは見た目やイメージで売る職業だから仕方がないとは思う。

 

まあ、少々俗っぽいがこういうランキング形式なものは何処の世界も人気なんだな。

神さまが現世の女性を嫁にする神話や昔話は多々あるし、今でいうナンパを堂々と行ってるしな。

今も男神が現世に降り立って、現世の女性を見繕ったりしたとしても驚きはしない。

俺が知らないだけで、神隠しとかの何割かは神様が神界に連れ帰ったとかあるのだろう。

しかし、選考基準に美人度と嫁度はわかるが、霊力とか戦闘力とか善行度や転生適正とか基準になるとか、神界の住人の感性なのだろう。

 

そして、アフロ桃太郎は次に意外な人物の名を出してきた。

『8位!!土御門陽乃!!新進気鋭の陰陽師!!18票!!美人度10気立て8嫁度7霊力7戦闘力7善行度3転生適正8、合計は50ポイント!!美人で霊力も高い!!陰陽師は天界の住人に転生し易いのもいい!!嫁にして天界に一緒に住めそうなのがポイントが高かったようだ!!』

 

「まじか!?」

陽乃さんが!?まさかのランキング入り!?

つい声が漏れても仕方がないだろう?

陽乃さんって現世在住の神様に知れ渡ってるのか?

平安から続く陰陽師の名家土御門家の名は伊達じゃないってところか?

それと、小竜姫様の所で修行に行ったことも影響しているのかもしれない。

 

「はぁぁ!?なんでこの小娘が!?選んだのは所詮下級神やみ使いだし、見る目なさすぎでしょ?こいつは超シスコンの変態よ?」

美神さん、相変わらず陽乃さんを毛嫌いしてるよな。

小娘って、美神さんと2、3歳しか歳違わないでしょ。

 

7位と6位と5位にはスポーツ選手と女優さんにグラビアアイドルの名が出て、4位に沖縄の女性AランクGSの名が出る。

次の3位に出た名前にさらに驚いた。

『いよいよトップ3!!3位は!!美神美智恵!!人間界最高峰の女性GS!!31票!!美人度10気立て5嫁度9霊力10戦闘力10善行度9転生適正8、合計61ポイント!!人間の中では圧倒的な霊力に特殊能力持ちとのうわさもあり!!上級神からの受けもいい!!転生後は神の位もあり得る!!ああ見えて夫に尽くすタイプというギャップも受けている!!」

 

「あら、光栄ね」

「ママ!!??……まあ、ママは美人だし、神にとっては歳は関係ないって言うし……、まあ当然私が1位なんだけど!!」

 

『そして!!2位は桜塚守良子!!言わずと知れた儚いの精霊姫!!82票!!美人度10気立て9嫁度9霊力10戦闘力5善行度10転生適正10、合計63ポイント!!はかなげな姿が胸を打つ!!霊脈の守護者にて平泉の神々のアイドル!!神に転生間違いなし!!彼女は既にかの八百万の神が嫁候補として狙っていると噂も!!』

知らない名だ。精霊姫……平泉の霊脈の守護者……ってかなり凄い人なんじゃ?

 

「ここで彼女の名前が出てくるとは予想外もいいところだわ。仕方がないわね。比企谷君、今から話す内容は他言無用よ。桜塚守良子さん、彼女は公表されていないSランクGSの一人よ。察しの良い君の事だから理解できるでしょうけど、彼女が存在することで日本の霊脈バランスは安定が図られている。日本の霊的防衛の要所の

担い手だから他国の人間や一般の人々にも知られるわけにはいかないのよ。それに彼女は平泉から出ることが出来ない。かの地にくくられている半分神様みたいなものなのよ。彼女のようなそういう役割の一族は世界各国に存在するわ」

美智恵さんは言葉を濁しながらも教えてくれた。

……要するに括り神か。

人の身でありながら、土地神の役割を果たす存在だ。

古い文献にも載っていた。

平泉にそういう存在があることは知っていたが、今もこうして、その人のお陰で日本の霊脈が安定しているということか。

 

「良子さんが2位ってことは、とうぜん私が1位ね!!」

美神さんのその自信はどこから来るのだろうか?

それに美神さんが、さん付けするってことは、桜塚守良子さんは美神さんも一目置く人物で、年上なのだろう。

 

美神さんは自信満々だが、美神さんが嫁にしたいランキングで1位なわけがない。

逆はあるかもしれないが……。

いくら神が人間の思考が異なるといっても、あの美神さんを選ぶわけがない!

それと、多分一位はあの人だ。

 

そして一位の発表に……。

『栄えある一位に輝いたのわ!!ダララララララララ!!ランッ!!氷室絹!!投票802票!!圧倒的です!!現世に現れたリアル聖母!!それが氷室絹!!美人度9気立て10嫁度10霊力10戦闘力4善行度10転生適正10、合計63ポイント!!その霊気の清らかさは神以上の神!!圧倒的な優しさに!!そして、あの悪鬼羅刹美神令子を唯一抑えることが出来る存在!!彼女のお陰で助かった神々も多いと聞く!!マジ女神!!』

やはりキヌさんか、当然の結果だ。

神よりも女神な聖母、圧倒的な嫁度も聖母、良妻賢母を絵にしたような聖母。

この世の理想をすべて詰め込んだような嫁聖母!

それがキヌさんだ!!

しかし、美人度が9だと!!ふざけるな!!多少童顔だけど!間違いなく100点だ!!

可愛い度とかだったら1000点だ!!

 

チラッと美神さんの姿が視界に入ると、何故かプルプル震えていた。

「なんで私が1位じゃないのよ!!こんなのでたらめよ!!しかもあの土御門の小娘がランクインして、私の名がでないのよ!!あり得ないわ!!それにママ!!下級神共を買収したんじゃないの!!」

「何を言っているのだか、あなたじゃあるまいし」

美智恵さんは美神さんの良い分にあきれ果ててる感じだ。

というか、美神さん。

自分が嫁度高いと思ってたんだ。

まあ、美神さん、意外と料理も上手かったりするし、西城さんの前だけはちょっとだけ大人しいし。まったくダメってことはないが、それを余りある悪辣の数々で全部ちょい消しどころかマイナスになってるから。

逆のランクだったらトップだっただろう。

 

「こんのーーー!!こんなの無効よ!!」

美神さんはテーブルに置いていた小竜姫様のスマホを分捕ると同時に、次の動画が始まってしまった。

 

その動画は……。

『今回の企画はなんと!!ランキング形式のつもりが、アンケートを行った結果、ランキングにならないという初の事態に!!さあ、行こう!!絶対近づくなこの人間だけは!!好感度最悪ランキング!!ラーーーンクッ!!チューブ♡!!って、ランキングにならなかったんだけどね!!』

ま、まずい!これ、見なくても誰だかわかっちゃうし!!しかも、本人手にもって見てるぞ!!

 

『1000票中997票がこの人間に投票という異常事態!!好感度最悪の人間は!!当然この人間!!悪鬼羅刹!!悪魔より悪魔!!大悪魔からも恐れられ!!中級神や上級神からも関わりたくないと言わせしめる!!その圧倒的な存在!!横暴が服を着て歩いている!!それが美神令子!!この名を知らない神はモグリも良いところ!!全世界から神界や魔界にまでその名が轟まくってる!!極悪人とは美神令子のためにある言葉だ!!』

……予想はしていたが、想像よりも酷い。

何これ?悪の権化のような言われ方、もはや大魔王扱いなんだけど。

 

バキッ!!

美神さんは持っていたスマホを握り潰してしまう。

 

「ふっふっふーーーーっ!!ぶったおーーーーーす!!この美神令子をここまでコケにしてただで済むと思ってるわけないわよねーーーー!!」

 

「み、美神さん落ち着いてください」

「令子、落ち着きなさい」

 

「小竜姫様、三太郎共は捕まえて、生きてさえいればいいのよね!!半殺しでも良いってことよね!!」

美神さんは目を充血させ、物凄い形相で小竜姫様に迫る。

 

「い、いえ、できましたら、その、無傷で……」

 

「聞こえなーーーーい!!何も聞こえなーーーーい!!三太郎共め!!地獄を味わわせてやるわ!!待ってなさいよーーー!!!」

美神さんはまさに鬼の形相で、勢いよく事務所を出て行き、直ぐに車のエンジン音が鳴り響き遠ざかって行った。

三太郎共の運命はこれで決まったな。

 

 

 

因みに、嫁にしたいランキング、ランク外の11位から20位には小笠原エミさんと六道冥子さんの名もあったが、美神さんの名はなかったことは本人には黙っておこう。

それと、好感度最悪ランキングの2位の3票は六道冥子さんだった。

 

 




新章ですね。
久々にアンケートをと

お嫁さんにしたい人間ランキング!!GS編

  • 美神令子
  • 氷室キヌ
  • 美神美知恵
  • 小笠原エミ
  • 六道冥子
  • 魔鈴めぐみ
  • アン・ヘルシング
  • 一文字魔理
  • 弓かおり
  • 氷室さなえ
  • 女華姫
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