やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト
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誤字脱字報告ありがとうございます。

ここの横島くんはかんな感じになりましたw



⑲ゴーストスイーパー横島忠夫

茨木童子は殺意を持って俺に拳を振り上げる。

 

俺は既に霊気を使い果たし、立っているのがやっとだった。

この拳は避けられない。

俺は死を覚悟した。それと同時にせめて由比ヶ浜と雪ノ下は逃げ切れるようにと祈った。

 

 

しかし、茨木童子の拳は俺に届くことは無かった。

その拳は腕ごと地面へと落ちたのだ。

 

 

「ぎゃあああああっ!!」

 

 

 

「おい、俺の弟子に何やってくれてんだ?」

 

 

俺の目の前に、尊敬する師匠の背中があった。

 

 

………横島師匠

 

俺はその背中を見て一瞬ホッとするが………いや、相手はSランクの茨木童子だ。いくらなんでも師匠でも……

 

こ、これは?

立っているだけで横島師匠の凄まじい霊力と霊圧がビンビンに伝わってくる。

なんだこれは………これが本当に横島師匠の霊力か?

横島師匠の必殺の術技、霊波刀ハンズ・オブ・グローリーがその左手に燦々と輝いていた。

茨木童子の腕を切り落としたのは間違いなく横島師匠だ。しかしその動作が全く見えなかった。

俺は今まで感じたことがない霊力と霊圧に圧倒されていた。

 

「八幡遅くなった。よく耐えた……格好良かったぞ。流石は俺の弟子だ」

横島師匠は振り返り、何時ものニカッとした笑顔でそう言ってくれた。

 

「結界!……八幡そこでゆっくり休んでろ。………そこの女の子二人、八幡を見てやってくれ」

横島師匠は右手からビー玉サイズの霊力の集合体の玉ようなものを手の平に生成させ、俺の方に放り投げた。

その霊力の集合体の玉は結界の2文字が浮かび上がり、そして、俺と由比ヶ浜と雪ノ下を覆うように凄まじい霊力を内包した円形の結界が形成される。

 

「おい、そこの鬼!!悪さが過ぎたな!!よりによって俺の弟子を狙うとはな!!ゴーストスイーパー横島忠夫が冥府に送り返してやる!!」

 

 

………なにこれ?横島師匠変なものでも食べた?めちゃ格好いいんだけど!その口上とかなにそれ?あれ?こんな格好良かったっけ?

 

俺はその場にへたり込むように腰が落ちた。

倒れずにかろうじて、座ってられたのは、由比ヶ浜と雪ノ下が支えてくれたからだ。

 

それとこの凄まじい結界を形成したあの珠……横島師匠が以前、話してくれた文珠という術技だ!

始めて見た。いままで文珠を使ったところを見たことがなかった。

それにしても、霊力を一定方向に制御する技だと言っていたが………こういうことか、言霊をこの霊力の集合体である文珠に乗せることで、術式を一切介さずに術をそのまま発動させている。しかも凄まじい霊力を感じる。

実際見てわかったが……聞くのと見るのとでは大違いだ。凄まじい性能だ。

 

 

「がああああ!!俺の!!俺の腕が!!お前ーーーーーー!!」

 

茨木童子は怒り狂い残った腕で横島師匠を殴りつけようとする。俺の時とは違い本気の拳だ!

 

横島師匠は平然とした顔でそれを難なく片手で受け止める。

よく見ると横島師匠の手の平には小さなサイキックソーサーのような盾が形成させていた。

 

…………なんだ。まだ横島師匠の霊力が上がっている!

美神さんや美智恵さんどころの騒ぎじゃない。

 

「この騒ぎを起こしたのは誰だ?お前じゃないのは分かっている」

横島師匠は茨木童子に聞きながら、ハンズ・オブ・グローリーを目にも止まらない速さで、茨木童子の残った腕の肩と両足の付け根に突き刺す。

 

「ぐわあっ!!」

茨木童子はたまらず、もんどり打って倒れる。

 

なんなんだ!圧倒的じゃないか………相手はSランククラスだぞ。それを赤子の手を撚るように………

GSのSランク、人間としても隔絶した存在だ。それでも中級魔族となんとか一人で対峙できるってだけの判定。やりあっても生き残れるぐらいの感じだ。それぐらいの物だ。それぐらい中級魔族以上とは人智を超える力をもっているのだ。……それをこんなあっさりと倒せるなどとはまったく想定していない。……なんだこの圧倒的な力は………

 

 

「もう一度聞く、この一連の騒ぎを計画し、お前をそそのかしたのは誰だ?その依代となった人間に乗り移るように言った奴だ!!」

横島師匠はもんどり打って倒れている茨木童子にハンズ・オブ・グローリーを突きつける。

 

「ぐがあ!くそっ!人間の分際で何だその力は!!」

 

「俺の問に答えろ!!」

横島師匠は霊圧を上げ、茨木童子を脅す。

 

「………し、知らねえ奴だ!なんか変な仮面を付けた頭もすっぽり入る着物を着た奴だ!」

 

「………そうか…………かなり頭が切れるやつが居るようだな。まんまと俺も踊らされ、色んな場所へ行かされた」

 

「言ったぞ!殺さないでくれ!!」

 

 

横島師匠は右手からまた文珠を生成する。

「お前は封印だ」

 

「や、やめぇぇぇ…………」

文珠には封印の2文字が浮き上がり、倒れている茨木童子に掲げると…………茨木童子から黒い霧がその文珠に吸い込まれる。

それと同時に、茨木童子だったものが土御門数馬に戻っていった。

 

なんて能力だ……これが文珠、こんなこともできるのか……

 

 

「………もう、いないか、俺をかなり警戒しているようだな。俺が知っている奴のしわざか?あっさり引き上げたようだ。酒呑童子の再封印も安定してきたな。この分だと土御門だけで大丈夫だろ」

横島師匠はあたりを見渡しながら独りごちる。

 

横島師匠、あなたは一体。

 

 

「ふひひひひひっ!は~ちまん。何だそれ、ボッチとか言ってるくせに、可愛い子二人も侍らかせやがって!」

横島師匠はオレたちの元まで来て、いつもの少し意地悪っぽい笑顔で俺を茶化す。

 

「……勘弁してくださ…い。身体の骨のあちこちが折れてるん…ですから」

何時もの師匠だな………俺は内心ホッとする。

 

「あの!助けてもらってありがとうとございます」

「その……ありがとうございます」

由比ヶ浜と雪ノ下は俺を支えながら、師匠に礼を言う。

 

「お礼を言うなら八幡に言ってやってくれ、どうやら命がけで君たちを助けたようだしな」

 

「ヒッキー………ありがとう。嬉しかった」

「比企谷くん……本当にありがとう」

俺は二人に支えられながら素直にお礼を言われる。

なんかくすぐったい感じだ。

 

「……ああ」

 

師匠は俺を背負い。意識のない数馬を小脇に抱える。

雪ノ下と由比ヶ浜を連れ、麓の町並みまで出る。

俺はかろうじて意識を保っているが、もう持ちそうもない。

 

「ええっと、八幡の彼女達さ、八幡がゴーストスイーパーだって、学校で黙ってくれない?それと今からこいつの治療しないといけないから、怪我して陰陽師に運ばれたってことにしてもらっていい?今日見たことも学校や友達には黙ってもらえると助かる」

 

「彼女!?………わかりました。ヒッキー、元気になるんですか?」

「え?その病院にすぐに運ばなくていいんですか?かなり重症ですよ」

 

「大丈夫大丈夫!?これくらいなんともないし。そんじゃ」

師匠はそう言って、大きくジャンプした後、猛スピードでこの場を後にする。

 

「八幡……よく頑張った。もう寝ていい」

その師匠の言葉で俺は師匠の背中で意識が深く沈んでいった。

 

 

 

 

 

「…………雪ノ下か?」

 

「比企谷くん目が覚めたようね」

 

「………雪ノ下さん?ここは?」

いや顔立ちは似ているが、式服を着た陽乃さんだ。

俺はどうやら布団で寝かされているようだ。

 

「ここは土御門本家よ」

陽乃さんの言葉で俺は周りを窺う。

12畳ほどの和室の真ん中で一人寝かされているようだ。

 

「どのくらい寝てましたか?」

起き上がろうとするが、力が入らない。

ただ痛みはない。右腕の感覚も戻っている。どうやらヒーリングを誰か施してくれたようだ。

 

「丸一日よ。まだ寝てないと。怪我は比企谷くんの師匠が治したみたいだけど、霊気はまだ回復してないし霊的構造のダメージが相当残ったままよ」

丸一日か……修学旅行は終わってもう学校の連中は千葉に帰った頃だな。

 

「師匠は何処です?」

師匠がヒーリングを?確かに自分自身の回復スピードは凄まじい物があるけど、他人に使っているのを見たことがない。

 

「私ん所の師匠と今話してるわ」

 

「そうですか………」

あの時の師匠は……あれは何だったんだろう。

人間の域を超えているような凄まじい霊力に霊圧。……そして文珠

 

「比企谷くん……ありがとうございます」

陽乃さんが改まって正座のままきれいな姿勢で俺に頭を下げた。

 

「どうしたんですか?急にらしくないですよ」

 

「雪乃ちゃん……いえ、妹を命がけで助けてくれて………しかも私のせいで」

 

「あれですよ。俺もゴーストスイーパーの端くれですし、まだ見習い期間だけど」

 

「……雪乃ちゃんから電話かかってきたの、大凡の事は聞いたわ……兄う…数馬の件も……あの茨木童子相手に……雪乃ちゃんを守ってくれて………本当にありがとう」

陽乃さんは涙ぐんでいた。ここ(土御門)では本当に素の陽乃さんなんだな………

 

「いや、助けたのは横島師匠ですよ」

 

「……雪乃ちゃんが言ってたわ。どんなにボロボロになっても、情けない姿を晒しても、一生懸命に命がけで助けてくれたって」

確かに情けなかったな、敵に媚び売ったり、千年殺し決めたり………

 

「俺は………力及びませんでした。雪ノ下と由比ヶ浜を逃がすことすらも出来ませんでした」

 

「それでもよ!……一人だったら逃げれたはず!でも、雪乃ちゃんを見捨てず身を呈して守ってくれた………ありがとう」

 

「………まあ、なんですか。その3人しかいない部活仲間ですし、成り行きです」

 

「……もう、素直に受け取ってよ。比企谷くんらしいといえばらしいわ」

陽乃さんは涙目から、笑顔を見せる。

やっぱり、ここに居る時の陽乃さんの笑顔はいい。

 

「………茨木童子……平安の鬼。一人では手も足も出ませんでした。昔の陰陽師や武士は強かったんですね」

 

「………それを言うなら、あなたの師匠よ。横島忠夫!雪乃ちゃんからの情報だと、一瞬で倒したっていうじゃない!なんなの?あれを倒すには少なくともSランクGSじゃないと……しかも一瞬って…でも、GSリストには乗ってないわ」

 

「…………何だったんですかね。あの時の師匠は」

俺は横島師匠の戦う背中を思いだす。

あの圧倒的な霊力に霊圧を………

俺はあんな師匠の姿を知らない。

でも……やはり………後ろ姿だけは、何時も俺が追っている師匠の背中だった。

 




というわけで、次は横島くんの真実?


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