やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

いろいろとご意見があろうかと思いますが、徐々に開示していくので、待っててくださいね。皆さんの疑問が多かったものの一部をちょっと繰り上げて今回開示してます。

どうしても八幡目線での話なので、前後出来ないものが多いため、まだここまでなのは心苦しいですが…………、まだ、シロタマも出てないので、許してやってください。




⑳京都での終演

「比企谷くん起きたみたいね。ちょっといいかしら」

襖の外から、土御門家当主、土御門風夏さんから声がかかる。

 

「どうぞ」

 

「入るわね」

風夏さんはそう言って襖を空けこの部屋に入る。

 

「よお、八幡元気か?」

そして、横島師匠が入って来る。

 

「そう見えますか?」

 

「いいな!八幡は!美人なお姉さんに看病されて!!俺も看病されたい!!」

 

「あんたは怪我したって一瞬で治るでしょう………冗談はさておき……師匠、助けて貰ってありがとうございます」

俺は上半身を起こし、師匠にお礼を言う。

 

「こっちこそ、すまん。あれは俺のミスでもあった」

 

 

風夏さんは俺の布団の右側に座り、風夏さんの横に陽乃さんが座り直す。

「比企谷くん。身体は大丈夫?」

 

「大丈夫です。力は入りませんが………」

 

「ちょっと話を聞いてもらっていい?」

風夏さんは俺に優しく聞いてきた。

 

「いいですよ」

俺の返事とともに横島師匠は俺の左側に腰を降ろす。

 

 

「すみませんでした。愚息が大変申し訳無いことを……あなたになんてお詫びすればいいか………」

風夏さんが頭を下げると同時に長男と陽乃さんも頭を下げる。

 

「いいですよ。こうやって無事でしたんで……その数馬さんも……操られていたようですし」

 

「いいえ、そういうわけには行きません。このお詫びはちゃんとした形に、させていただきますので」

 

「はぁ」

 

「八幡、こういう時は素直に受け取っておくべきだぞ」

師匠は俺にニヤケ顔でそう言う。

 

「わかりました。受けさせていただきます」

 

 

「それと、今から話すことは決して口外無用に願います。特に陽乃、妹にもよ」

風夏さんは俺と陽乃さんを見据えて言った。

 

「今回の件の。酒呑童子の再封印を邪魔した奴がいるって話だ」

横島師匠がそう切り出した。

 

「………今回、再封印に向けて、不安要素がありました。酒呑童子の生まれ故郷である越後……新潟ですね。そこで不穏な動きがあると……酒呑童子はあの八岐の大蛇の子供であるという説が有力です。それはすなわち、元神である八岐の大蛇の血を色濃く引いているということです。それだけ強力な鬼なのです。そこで、GS協会を通じ、緊急重要案件として横島くんを指名して新潟に調査に行ってもらいました」

……酒呑童子の生まれについては俺も知っている。有名な話だ。しかしなぜ、横島師匠を指名したのか………あの力を持っていると知っていたからか?

 

横島師匠が語りだす。

「俺は新潟に行って不穏な動きを探っていた。確かに新潟ではあちこちで鬼にまつわる霊障の類が起こっていたが…酒呑童子の封印とは無関係だった。俺はとっととその霊障をおさめ、京都に向かった。酒天童子の首が封印された場所と曰く付きの平等院。そして、胴体の一部が収められたといい伝わっている清水寺。何れも異常がなかった。もちろん松尾山は、土御門家が再封印のための術式を組んでいた事も確認した。確かに酒天童子の霊気が漏れつつあったが、想定範囲内だった。そして、一昨日から酒天童子にゆかりのある場所で次々と霊障が起こっていた。滋賀の伊吹山近隣、それも霊障を抑え、昨日の夕刻前土御門家に戻り報告。ちょうど八幡が出ていった後だ。その後、松尾山周辺を探りを入れていた」

 

なるほど、それで昨日、戸部の海老名さんへの告白タイムにかち合ったのか………

 

横島師匠は話を続ける。

「その後、またしても、酒天童子のゆかりのある奈良の葛城山で大きな霊障が起こったと報告を受け急行した。ちょうど葛城山に到着した辺りで、昨日の酒天童子の封印が解けかけ、霊気が一気に漏れ出す現象が起きた」

 

「私はこの緊急事態に、酒天童子の封印だけは解かないように、強力な結界術式を張り巡らせ、なんとか抑えました。……後でわかったことですが、何者かが、結界陣の祠の一部に細工をしていたようです。………多分数馬が行ったのでしょう。既に何者かに操られていたのかもしれません。そして、比企谷くんがご存知の通り、数馬は茨木童子に操られる始末に……茨木童子は本当は私を狙う予定だったのかもしれません」

風夏さんは悔しそうな顔をしていた。

 

「俺は体よく、京都から遠ざけられたって事だ。……俺を知っている奴の仕業だとしか思えない。その罠に嵌まったんだ。だから……俺は京都に戻るのが遅くなった」

横島師匠は俺に申し訳無さそうな視線を送っていた。

 

「しかし、その何者かには誤算がありました。茨木童子がうまく機能しなかったことです。比企谷くんが身を呈して時間稼ぎをしてくれたと言っていいでしょう。そして、横島くんの帰還スピードです。誰もあの距離を一瞬で戻れるなんて思っていなかったに違いありません。それはこれを計画した何者かもです」

風夏さんは俺と横島師匠に目配せをしながら頭を下げた。

 

この戦いの裏では…………こんな話になっていたのか………いや、何だこれは………横島師匠ありきの話じゃないか………どういう事だ?

 

「………師匠。その横島さん。聞いてもいいですか?」

陽乃さんは風夏さんと横島師匠の顔を交互に見る。

 

「どうぞ」

 

「その妹に聞いたのですが…あの茨木童子を一瞬で倒したって……横島さんが……………」

 

「横島くん……比企谷くんは………」

風夏さんは横島師匠に何かを確認するかのような口ぶりをする。

それに横島師匠は首を振って否定した。

 

「横島くん………いいの?」

 

「ちょうどいい機会です。八幡も命がけで人を守ることができる立派なGSです」

横島師匠は何なのかはわからないが、風夏さんに一任する。

………真面目顔の師匠にそう言われると嬉しいやら、照れくさいやら………一人前のGSに認められた気分だ。

 

 

「陽乃、それと、比企谷くん。今から言うことも他言無用です。世界でも極一部の人間しか伝わっていない情報です。あなた達はその一部に触れたためです」

風夏さんは緊張感のある面持ちで俺たちに再度確認をとる。

 

「はい……」

「わかりました」

 

「横島くんは…………SSSランクGS。ブラックカードの免許をもったGS。世界でたった一人の………唯一魔神に対抗できる人間です」

 

!?ば…………ばかな……………魔神………………だと………………………

俺はあまりの衝撃の言葉に頭が真っ白になる。

陽乃さんも俺と同じようだ。口が空いたまま塞がらないようだ。

 

「大げさっすよ。魔神何かと出くわしたら、逃げるのが精一杯っすよ」

横島師匠は苦笑気味に言う。

 

俺はそんな横島師匠を呆然と見ることしか出来なかった。

 

 

それが事実であれば………横島師匠は上級神に匹敵する力を得ているということだ。

………生身の人間が可能なものなのか?………そもそも……魔神なんていうものが本当に存在するのかも怪しい………

 

この100年、世界で上級魔族の存在も確認されていないはずだ。

なぜそんな事が………

 

 

「あらあら……陽乃も黙っちゃって、いつもの元気はどうしたの?流石にこの話は厳しかったかしら」

 

「………いえ…その」

陽乃さんも俺と同じだ理解をしようとしても、身についた常識がそれについていけないのだ。

 

「まあ、あれだ。ランク付けなんてただの記号だ。それで真の実力が図れるわけじゃないし、指針みたいなもんだ。一応そんな大層なランクがついてるが。一応そういうふうな基準になっているってだけってなもんで、大した意味はない」

横島師匠はあっけらかんと言う。

 

「師匠……意味が無いって………でも、茨木童子を倒した師匠の霊力は明らかに美神さんや美智恵さんよりも上でした。霊圧も半端なかったです」

 

「……八幡の霊視に優れた目には………わかっちゃうか…………」

 

「美神さんは……それを知って師匠をこの件に派遣を………キヌさんは?」

 

「もちろんおキヌちゃんは知ってるよ……シロとタマモもだ」

 

 

「はい、もう堅苦しい話は終わり、横島くんのことは、そういう人だってことだけ頭に入れてくれたらいいから……皆夕飯まだでしょ、準備させるから食べましょ」

風夏さんは手を打って、この話を終わらせる。

 

 

その後の夕飯は何を食べたのかその衝撃の事実で覚えていない。

多分豪華な物がでたんだろうが………

 

 

俺は土御門本家でもう一泊して、明日の朝、横島師匠と共に千葉へ帰ることになった。

 

 

俺は布団の中で、茨木童子と戦った事、今日知った横島師匠の事が頭に離れず、中々寝付けなかった………

 

茨木童子………確かに、Aランクを遥かに越える霊力を持っていた。まず間違いなくSランククラスの霊力だ。

 

それをいとも簡単に倒してしまった横島師匠。

 

そして………世間では秘匿されている世界唯一のSSSランクGS。魔神と対抗できる人間。

 

そもそも魔神が現存するかも怪しい存在だ……なのに存在するSSSランクGS

その意義はなんだ?

 

SランクGSの美神さんや美智恵さん、風夏さん。

 

AランクGSの西条さん、小笠原エミさん、六道冥子さん、唐巣神父。

 

俺らが教本で習ってきたのはSランクGSまでだ。

SランクGS、中級魔族、中級魔族と同等の力を持った存在と対峙できる力をもつGS。

AランクGS、下級魔族、下級魔族と同等の力を持った存在と対峙できる力をもつGS。

 

Bランク以下は除霊実績などで主にランク付けされる。

 

そもそも、AランクGSに上がった人はこのランク付けシステム出来てから居るのか?

 

そして……横島師匠だ。SSSランクってなんだ?その間のSSがあっても良さそうだが………

 

 

ランク付けシステムが出来て2年、

大凡3年前の世界一斉大厄災があり、それに伴い。法令の改正などの大改革の際出来たものだ。

 

この……GSのランク付けに…………違和感を感じる。

GSランク付けにはなにか裏があるのでは………GS協会いやオカルトGメン、上層部はなにか隠していることが?…………いくら考えてもわからん。

 

 

しかし、今日の横島師匠、格好良かったな………師匠があんなに強かったなんてな………まあ、それはそれであの人の弟子でやりがいが有るってもんだ。横島師匠にこのまま鍛えてもらったら、下手すると美神さんより強くなったりして………………ありえないか…………………相手がSランクとはいえ…デコピン一発で命の危機に陥るようじゃな。ちょっとは近づけたかもって思ったのにな。はぁ……横島師匠の背中はめちゃくちゃ遠い。

 

ああ、今日はまじで命の綱渡りだったな……………もう二度とごめんだ………………!?

 

 

ああ!?

 

あああああ!?

 

明後日から、学校じゃねーか!?

 

雪ノ下と由比ヶ浜にGSってバレて!!

 

しかもーーーーーーー!!

 

あんなことや!!………こんなことや!!………そんな恥ずかしいことを口走ってしまってるうううううーーーーー!!!?

 

どんな顔して会えばいいんだ!!おいーーーーーいい!!

 

あれ?あれ?あれ?……これ終わってない?

 

なにこれ!?もしかして西遠方で死ぬほどひどい目に会うってこれのことじゃねーか?

 

ああああ!!恥ずかし!!恥ずかし!!あの時の俺、死んどけよ!!もう、学校行くのいやだ!!!!もう引き籠もるしか無い!!!!ああああああーーーー!!

 

 

 

俺はこの日、あまりにもの羞恥心で眠れなかったのは、仕方ないだろう。

 

 

 

 




横島くんのこの強さの秘密はもちょっと後になります。
シロ、タマモ登場後になります。

その他もいろいろと疑問があるかもしれませんが…………待ってください。

感想ではお答えできる範囲でお答えさせていただきますんで…………
ズバリは厳しいですけどww

次回はちょっとあれです。
学校に行きづらい八幡のお話です。

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