やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。 作:ローファイト
誤字脱字報告ありがとうございます。
長くなったので、途中で切っちゃいました。
京都からの帰り。
「横島師匠……俺は今回力不足で有ることを身にしみました。GS資格免許を取ったからといって浮かれていたのかもしれません。茨木童子には全く歯がたちませんでした。師匠がいなければ、俺は死んでいました。そしてあの二人を助けることすら出来ませんでした」
「八幡。茨木童子を倒すことが目的だったのか?違うだろ?あの子達を助けることが目的だったのだろ?だったら八幡の勝ちだ。八幡が生き残れた。あの子達は怪我もなく助かった。どんな形だろうが、これはお前が泥をすすりながらも勝ち取った勝利だ」
「……師匠………………なんか変なものでも食べましたか?……それとも昨日酒にでも手を出しましたか?」
横島師匠なに?ちょっと涙がでそうなんですが、めっちゃ嬉しいんですけど………やはり横島師匠は格好いい。これがずっと続けば良いんだが…………
「おいーーーー!!俺だってたまには良いこと言うぞ!!………あっ、八幡!あそこのお姉さんめっちゃ美人じゃね?バスト84のCだ!!」
……やっぱ続かなかったか…………で、いつも思うんだが、なんで見ただけで胸のサイズがわかるんだよ!人間メジャーかよ!!
俺は翌日、午前中一応病院で検査を受け、午後から学校に登校した。
職員室に行き、担任の先生と平塚先生に挨拶をする。
なんか、平塚先生涙目だったな……心配かけたみたいだ。
5時限目から出られるな……ああ、ダルい。霊的構造もまだダメージ残ってるし、霊気もまだ回復していない。本調子には程遠い。
……由比ヶ浜とは顔を合わせづらいな。まあ、なるようにしかならんな。嫌われたら嫌われたで仕方がない。
教室に入ったのは良いのだが…
「ヒッキーーーー!!」
勢いよく由比ヶ浜に抱きつかれた。
俺はなんとか踏ん張って、倒れるのだけは避ける。
「……おい!ちょ、離れろって」
俺は無理やり由比ヶ浜を引っ剥がす。
めちゃ恥ずかしいし、お前はいろいろと危ない感じになるから!八幡の八幡が反応しちゃうから!
「ヒッキー!もう大丈夫なの?……」
由比ヶ浜は俺の体のあちこちを触ってくる。
「大丈夫だ。この通りだ」
俺は由比ヶ浜にバンザイしてみせる。
「本当に?」
何故か涙目の由比ヶ浜。
どうやら、嫌われてはないようだが……なんか心配性のかーちゃんみたいになってるぞ。
「ああ、心配かけたな……授業始まるぞ」
「よかった……」
後で戸塚に聞いたのだが、どうやら俺は、妖怪に襲われて病院に運ばれた事になっていたそうだ。
それも、由比ヶ浜と雪ノ下を庇ってという尾ひれ付きだ。
間違っちゃいないがな。
そのおかげで文化祭後最底辺だった俺の株はちょっと上がったらしい。
クラスの様子や戸塚の話しぶりから、どうやら由比ヶ浜以外のクラスメイトにはGSバレは無い様だ。
放課後、俺は覚悟を決めて、奉仕部へ向かおうとしたのだが………
何故か由比ヶ浜が俺の横を「えへへへ」と嬉しそうにしながらピッタリとくっついて歩くのだ。
歩きにくいし、なんかいい匂いするし、恥ずかしいんで止めてくれませんかね。
「はぁ」
なんなんだこいつは?よくわからん。
まあ、嫌われなかっただけよしとするか……問題は雪ノ下だな。
陽乃さんと電話で随分話してたみたいだからな………こりゃ、毒舌、罵りのオンパレードか、口を利かないパターンか。何れにしろ嫌われただろうな。
俺は覚悟を決めて奉仕部の部室扉をガラリと開く。
「うっす」
「やっはろー、ゆきのん」
「比企谷くん!……と由比ヶ浜さん。こんにちは」
俺の顔を見て勢いよく立ち上がるが、また、すぐ席に座り直す。
俺はいつもの廊下側の席に座ろうとしたのだが………
「んっんー、比企谷くん。ちょっといいかしら」
「あ、ああ」
来たな……まあ、しゃあないか。GSのバイトは嘘ついて隠してたしな。
「……こっちに来てもらっても良いかしら」
そう言って雪ノ下が何時も座っている窓際の椅子の前に何時もはない椅子が対面に置かれていた。
ここに座れということなのだろう。
俺はそこに座ると、由比ヶ浜が椅子を持ってきて、俺の横にピッタリ椅子をくっつけ座る。
「………おい」
俺は自らの椅子を横一個分ずらして座る。
しかし、由比ヶ浜は「てへへへ」とニコニコ笑顔を俺に向けて、その一個分を詰めてくる。
なんだか、こいつが飼ってる犬のような仕草だ。名前はクッキーだっけ?いやソフレだっけか?
「んっんー、由比ヶ浜さん?それでは話しづらいわ」
「う~」
由比ヶ浜は渋々といった表情で、椅子を一個分離す。
「その……怪我の具合はどうなのかしら?」
「ああ、俺の師匠が……治してくれた。一流の霊能者だからな」
「そう………ところで比企谷くん…………」
来たな…俺は知っている。下手な言い訳や、遅い釈明は相手を余計に相手を怒らせ、とんでもない目に会う。……横島師匠がそれを証明してくれている。下手な言い訳をする度に、普通の人間だったら死んでしまうような制裁を受けている。………しかも毎度だ。学習能力が全く無いんじゃないかと疑うレベルだ。
だから俺はこうする。
「すまん。黙っていて悪かった……」
俺は席を立ち、二人に向かって詫びのお辞儀をする。
先手必勝だ。先に謝れば、印象はガラリと変わるはずだ。
「え?……」
「ヒッキー?」
なんか驚いた表情をしているぞ?俺が詫びを入れるのがそんなに珍しいのか?……まあ、珍しいわな。
「俺がGSで、GSでアルバイトをしていたのを黙ってた事だ」
「いえ……そうじゃないの」
「ヒッキーがなんで謝るの?」
これじゃない?違ったか?
「その……せ、先日は助けてくれてありがとう」
「ヒッキー、本当にありがとう!」
雪ノ下は照れくさそうに視線をそらしながら、由比ヶ浜は上目遣いの笑顔で、そう言った。
「……助けたのは、俺の師匠。横島忠夫だ。俺は何も出来なかったからな……」
「あたし達の事を助けてくれたのはヒッキーだよ!!あたし達のこと一生懸命に!!あんなにボロボロになって!!怪我までして………」
「私は恐怖で何も出来なかった。逃げることも出来なかったわ。何度もダメだと思った………それでもあなたは、諦めないで………私達を助けようとしてくれた。だから、ありがとう…よ」
「……まあ、弱くてもGSの端くれだからな………」
「ヒッキーは弱くないよ!あたし達を助けてくれたもん!」
「姉さんが言っていたわ。比企谷くんだけだったら逃げることが出来た状況だったと……それなのに…………わざわざ、私達のところに戻って……」
「後味悪いだろ?……知り合いが目の前で殺されるかもしれないのに、その……放っておくのは…さすがにな」
俺は視線をそらしながら、そういう。流石に面と向かってお礼を言われるとは思って無かっただけに、気恥ずかしさが倍増だ。………まあ、悪い気はしないが。
「……本当に素直じゃないわ。相変わらず捻くれた思考をしてるのね。あなたらしいと言えばらしいのだけど」
「ヒッキーのそういう所は変わらないね。でも、本当に嬉しかった!ヒッキーが何度も何度も庇ってくれて!あんなに必死になって…あんな怖い鬼から!!」
「……そういえば捻くれ者の比企谷くん。あなた、あの恐ろしい鬼となにか交渉していたみたいだけどなんなのかしら?」
雪ノ下は何時もの調子に戻りこんな事を言ってきた。
………それはその……あれだ。鬼の配下になったら、女をおすそ分けしてくれると言ってたのだが、……俺は受けてないからな。断じて心は動かされてない!
「いや……あれはだな」
「ヒッキー、あたし達の事、気に入ってるから鬼にくれって言ってた。それってその………その……えっと……ヒッキーはあたし達の事を……その?」
「それはだな。ああ、あれだ時間稼ぎの…なんだ」
「そういえば………こんな事も言ってたわね。『この二人は俺の恋人なんだ!』と……これはどういう事かしら?私が何時、あなたの恋人になったのかしら?」
雪ノ下は不敵な笑みで、俺のトラウマになりかけたあの言葉を俺の口調を真似て言ってきた。
や、やめてーー!!それは忘れたいトラウマベスト5に入るから!!
「あたし達は、ヒッキーの恋人なんだーーー!そうなんだ!」
由比ヶ浜はなぜか嬉しそうに俺の顔を覗いてくる。
「私達を普段からそういう目で見てたということかしら。しかも……二人を同時に恋人などと……あなた、あの鬼が言っていた公家か貴族なの?ハーレム谷くん」
雪ノ下はわざとらしく自分の体を腕で抱いて俺から身を引く仕草をする。
「その……すまん。緊急事態でだな。時間稼ぎをするためにだ。だからわ、忘れてくれ」
雪ノ下と由比ヶ浜を助けたいからのブラフだからといって……二人同時に恋人宣言ってどんなゲスなんだよ。あん時の俺は!
「忘れないし。………怖かったけど。あの時のヒッキーあたし達を何度も何度も、立ち上がって庇ってくれて嬉しかったの!すごく嬉しかった!だから忘れないし!」
「あら?残念ね。時間稼ぎのためだけに、あんな事を言ったのかしら?……ゴーストスイーパーの比企谷くん?」
何時もの雪ノ下なんだが、なんとなく楽しそうだぞ。俺をいじめて楽しいのか?
姉妹そろって、S気質なのか?
「言ってろ」
はぁ。恥ずかしいからその話題そのそろそろ止めてくれませんかね。俺もうここで悶絶死しちゃうぞ?
なんだ、由比ヶ浜の奴、席を少しづつ詰めてきたぞ。
「そうだ!ヒッキー。ゴーストスイーパーだったんだね。最初の小さな妖怪をあっと言う間に倒しちゃった時は何がなんだかわからなくて、びっくりしたけど。ヒッキーは何時もより格好良かった!あの、ゆきのんのストーカーみたいな奴もなんかバーンってやっつけて!凄かった!!」
「姉さんから聞いたのだけど、修学旅行の数日前あなたが学校休んでいたのは。GS免許試験を受けにいっていたためだったのね」
「………免許取り立ての見習いだよ!悪かったな!」
「そうなんだ!ヒッキーがゴーストスイーパーって凄いね!陽乃さんもゴーストスイーパーなんだよね。ヒッキーは前から知ってたの?」
「いいや、知ったのはそのGS免許取った時が始めてだ」
「ふーん。でもなんか仲よさげ」
由比ヶ浜は疑う様な目で俺を見る。
「そんな理由無いだろ?」
何処をどう見たらそうなるんだ?……いや、なんかそう言えば、俺を婿にするとか言ってたなあの人、あれ冗談だよな。
「ヒッキー!それでゴーストスイーパーってどんな事をするの?」
「……由比ヶ浜さん。知らないで散々ゴーストスイーパーの比企谷くんを褒めてたのかしら?」
「し、知ってるよ!幽霊とか妖怪とか倒すお仕事でしょ!でも、何やってるか見たことないから」
「まあ、そうだな。戦って倒す事もあるが、けっこう地味な仕事も多い。幽霊が近づかないように細工したりとか。霊障の原因を探って、解決したりな」
「ふーん。ゴーストスイーパーってどうやったらなれるの?あたしでもなれる?」
「ゴーストスイーパーは超難関国家試験よ。試験は年2回。年間32名しか取得出来ない免許よ。学力テストだけでなく。実技が必要なの。誰でもなれるようなものではないわ」
雪ノ下、なんかめちゃ詳しいんだけど。まあ、なんだかんだいって、陽乃さんの事が気になって調べたのだろう。
「ヒッキー!!めちゃくちゃすごいじゃん!!」
「おい、さっき褒めてたのはなんだったんだ?」
さっきのはなんにも知らずになんとなく褒めてくれたようだな。まあ、由比ヶ浜が知ってるわけもないか。
「そう、誰にでもなれるものではないわ。特殊な才能が必要なの。血筋や生まれ持った才能が………雪ノ下は陰陽師の大家、土御門家の分家筋……霊能者の家系。大分血は薄まってはいるのだけど、たまに霊能力に優れた人が生まれるわ。……それが姉さん。生まれた時から才能に恵まれて、それでGSに………私には……まったく才能が無かったわ。………」
雪ノ下は最後の方はうつむき加減で話す。
まあ、優れた姉がいると苦労するのだろう。あの人の場合。霊能力うんぬん以前に全てにおいて高スペックだからな……同腹の妹として思うところが有るのだろう。
「そ、そうなんだ。ということは、ヒッキーって霊能者の家系なの?そしたら小町ちゃんも?」
「いいや。俺の家系は誰一人霊能者はいないはずだぞ。聞いたこともない」
「……ということは突然変異かしら?」
突然変異って。もっと言い方ってものがあると思うんですが。雪ノ下さんや。
「……そんなようなもんだ。しかも俺の場合、後天的にだがな」
あんま言いたくなかったのだがな……どうやら陽乃さんは俺があの事故で霊能に目覚めたことを雪ノ下に黙ってくれてるみたいだしな。
「ヒッキーって天才だったんだ!」
「いや、才能は無いから……大分苦労した。俺の様に後天的に霊能に目覚めちゃうと、生まれ持って霊能がある奴と違って、扱うすべがないから暴走しちまう。だから、アルバイトをしながら霊能者のお世話になって、扱うすべを学んでいたということだ」
「……………」
雪ノ下は何かを考えているようだ。
バレるなよ。バレると余計な面倒が増える。
「でも、ヒッキーいっぱい妖怪たおしてくれたよ?」
「師匠の教えが良いからな」
「師匠って、あの横島さんっていう人?ナンパばっかりしてた変な人?」
間違っちゃいない。確かに変な人だ。普段からちゃんとしてくれたら良いのだが………
しかし、この前の戦ってる師匠はなんか別人に見えるぐらいの迫力だった。
……なんか、真ん中ぐらいでちょうどいい感じなのはないのか?あの人は………
「そうだ。あの人は普段あんなだけど、こと霊能については超一流だ」
「なんか。兄弟みたいに仲良さげだった」
「ああ、良くしてもらってる」
「へ?ヒッキーが他人を褒めた?」
「ま、まあな。俺がこうして普通の生活をしているのはあの人のお陰だ」
「……………比企谷くん………もしかして、あの事故で…………」
しばらく会話に入らず何かを考えている風だった雪ノ下は恐る恐る聞いてきた。
次回はバレちゃうのと
ついに、シロタマ登場!