やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

色々とご意見ありがとうございます。
アンチ・ヘイトの件ですが、前回の話だけだと、アンチに見えてしまいますね。
こちらの配慮が足りなく申し訳分けございませんでした。
これ以上はネタバレになるため言いにくいのですが……アンチの意図はありません。

ただ、話の内容的に単発話事でアンチになりやすいのは確かなので、アンチ・ヘイトのタグを追加した方がいいのかもしれないと検討しております。

今回は思いっきり、つなぎ回、話は進みません。


㉛やはりキヌさんは素晴らしい

六道女学院が到着し、改めて皆の自己紹介を行ってから、会議を再開させたのだが……何故か視線が痛い。

なんでみんな俺に注目してる?俺はまだこの会議が始まってから、自己紹介を軽くしたのみで、特に発言なんてしてないんだが……

特に六道女学院の全員がキヌさんの後輩からはなんか怨念のようなものを感じるぞ。

 

しかも、何故か身内からのプレッシャーも凄いんだが……一色さん?笑顔が怖いぞ、擬態が半分解けてるし……由比ヶ浜さん?なんで頬を膨らませて俺を見てるの?会議の内容を聞けって……雪ノ下の奴はさっきまで凍てつく視線を俺に向けてたが……今は、何故かキヌさんをじっと見てるし……。まあ、わからんでもない。この恐ろしくギスギスした会議場の中で、キヌさんのとこだけ別空間だ。会議場全体が冬のように厳しいが、キヌさんの周りだけ春満開の暖かなオーラが出てる……あの笑顔を見てるだけで心が和むしな………まじ、めちゃ落ち着く。まさに聖母だな。

 

 

さっきまで進まなかった合同演目についての打ち合わせだが……さっきと同じく、海浜総合高校が色々訳が分からん理屈をこねて、なかなか先に進みそうもない。

そんななか、笑顔のキヌさんがナイスな意見をだした。

 

「六道女学院はここまでの距離も遠く、演目を皆さんとご一緒させていただくには、スケジュールや練習時間を考慮するとご迷惑おかけする事は必然です。そこで私たち六道女学院は独自演目を行わせていただきたいと思います。それであればスケジュール、練習とも自校で行えます」

さすがキヌさん!いい意見だ。俺たちの高校もそれに乗っかろう!

 

「3校が折角集まってるのだから、皆で考えたらどうですか?まだ時間はあります」

海浜総合高校生徒会長の玉縄がキヌさんにそう反論する。

貴様!キヌさんに意見するなどもってのほか!!万死に値する!

 

「だめ?…ですか?」

キヌさんは困った顔をする。

おい!キヌさんを困らせるなんてなんて罰当たりなんだ!!信奉者(俺)に磔にされても文句は言われんぞ!

 

「ああ、ちょっといいか。この時点で何をやるかも決まっていない。そして六道女学院はわざわざ東京から来てもらっている。物理的に合同で何かを成す時間がほぼない。後、何回こうやって話し合いができるかもわからない。ならば、独自演目をっていう意見かなり建設的だと思うが、それに考えてみてくれ、俺たちの方が東京に出向いた場合はどうだ?」

俺は今日初めてこの会議で口を挟む。

困ってるキヌさんを見過ごすわけには断じていかんのだ。

 

「それは、…せっかくの…」

玉縄は何かまた反対意見を出そうとした。

キヌさんをそれ以上困らすつもりならば、覚悟はいいようだな!……貴様に罪を言い渡す!美神令子直伝千年殺しの刑だ!

 

「どうか、お願いいたします」

キヌさんは玉縄に向けて聖母の微笑みを浮かべる。

 

「………んん!?……まあ、いいでしょう。その……六道女学院は遠い……仕方がない。これは仕方がないのだ」

……なんだ。玉縄の奴、顔を赤らめて咳払いしたぞ……しどろもどろだな、おい。………どうやらキヌさんの微笑みで落ちたようだ。まあ、あの微笑みで懇願されたら断れるはずもないか。

千年殺しは許してやろう。

 

これを皮切りに、会議は進んでいく。

結局、3校全て独自演目となった。

その代わりとして、キヌさんの提案で、クリスマスソングの合唱は3校合同で行うこととなる。歌うだけならば、各校でパートさえ決めておけば練習できるしな。少ない時間で合わすことができる。

さすがキヌさんだ。

 

その他の事も順調に決まっていく。

 

……結果的にキヌさんの独壇場だったな。

実際、キヌさんが提示した提案はすべて建設的なものばかりだ。

反対意見を言うのも難しいものだった。

しかも、あの微笑みで懇願されるとな………反対意見を持ってても、思わずうんって言っちゃうよな。

 

 

そして、今日の合同会議は滞りなく終わり……

会議室を出たところでキヌさんが俺に声をかけてくれた。

 

「比企谷君、さっきは助けてくれてありがとう」

 

「いえ、当然の事をしたまでですよ」

 

「比企谷君、また事務所でね」

キヌさんは俺の耳元に小声でそう言って笑顔を向け、六女のメンバーの元へ足早にかけて行く。合流したキヌさんは笑顔のまま会場を後にするが……

六女の方々が俺の方を振り返って、めっちゃ睨んでくるんですけど!なぜだ?

 

 

 

 

「……なんで先輩に東京の超お嬢様学校の3年生にお知り合いがいるんですか?あの人とどういう関係ですか?」

キヌさんの後姿を見送った俺に、一色は笑顔で聞いてくるのだが……何その笑顔怖いんですけど。

 

「ああ、キヌさんはバイト先の先輩だ」

 

「バイト先の先輩!?バイトなんかしてたんですか?意外!……で~、先輩が下の名前呼びなんて、ずいぶん仲がよさげなんですけどー?」

 

「まあ、それなりに付き合いも長いからな」

 

「ムー、先輩が誰と知り合いだろうと私には関係ありませんけど!」

なんなんだ?一色のこの態度は?

 

「あの人がキヌさん……ヒッキーの……うー」

なんか由比ヶ浜はぶつぶつと独り言を言ってるし……

 

「……比企谷君、氷室絹さんを今度紹介してくれないかしら?」

雪ノ下は、普段通りの口調だな………あまり、人と接触したがらない雪ノ下がなぜ自分から絹さんを?……

 

「いいが……失礼な言動とかするなよ。お前の一言は免疫がない人にはきついんだよ。自覚してくれ……」

こいつの毒は猛毒だからな……キヌさんを困らせてしまうこと必須だ。

 

「あら、私が毒を吐くのは比企谷君にだけよ」

雪ノ下は心なしか楽し気な口調だ。

まあ、それならいいか……?なんで俺だけなんだよ!

そういえば、雪ノ下はあれから俺に毒を吐いてない。どういう心境の変化なのだろうか?

雪ノ下は毒を吐くことで俺から距離を取り、自分の殻を守っていたが……あの独白でそれをする必要性がなくなったのかもしれない。

 

「ヒッキー!あたしも!あたしも!紹介して!!」

 

「せーんぱい。当然私もですよね?」

 

由比ヶ浜はどうやら俺とキヌさんの関係を誤解してるようだし、ちょうどいい機会だ。キヌさんに誤解を解いてもらうとするか……俺が言っても由比ヶ浜は納得しないだろうしな。

一色は代表同士話し合う機会があるから必要ないだろう?

 

「まあ今度な……」

曖昧に返事をする。

 

面倒な事にならなければいいが……

 

 

 

今日はいろいろとあったな。

一色に生徒会主催の3校合同クリスマス会を手伝ってくれとのことだったのだが……。

最初は困難な気配がしていたが、終わってみれば、意外にも事が順調に進んだ。

その要因は、キヌさんだった。

そう、3校のうちの1校がキヌさんの東京の超お嬢様学校として有名な六道女学院で、その代表代理としてキヌさんが参加したのだ。これはうれしい誤算だ。

そして、そのキヌさんの笑顔と理にかなった提案で、難航しそうだったメインの合同演目の打ち合わせは、ぐずっていた海浜総合高校を説得し、各校がそれぞれ演目を出し合うことに決定される。その代わりと言っていいが、比較的やりやすい合唱を合同演目として追加され、3校が合意し今日の打ち合わせは終了したのだ。

さすがはキヌさんだ。

美神さんや美智恵さん、横島師匠や他のAランクGSたち等、あくの濃い人達を毎度、仲立ちして諫めてきたのだ。これくらいの事はキヌさんにとって日常茶飯事なのだろう。

 

……あれだな。キヌさんと話す俺に対し視線が集中していたな。まあ、それは甘んじて受けよう。今から考えれば当然の事だからだ。俺も知らん男がキヌさんと楽しそうに話してたら、そんな視線をその男に送っていただろう。いや、視線だけで呪い殺すまである。

しかし、男共はわかるが……何故か身内からや、その関係がなさそうな六女の女生徒からは特に怨念のこもった視線を受けたような………。解せない。

 

それとだ。折本かおりとの再会か。

折本は中学の時のクラスメイトだ。容姿も良く。誰にでも気さくに話しかけるクラスの人気者でもあった。

その折本は海浜総合高校の有志によるサポートスタッフらしいのだが……俺の事なんて忘れていたと思っていたが、覚えていて話しかけてきた。

それはいいのだが、再会でいきなり過去(告白)を暴露されることになった……まあ、今更気にしちゃいないが………昔から、誰に対しても明け透けというか、空気を読まないというか……良く言えば表裏がない奴だったのだが……なんか変な方にパワーアップしてなかったか?

雰囲気が少し……??…いや…ちょっとまてよ……いや、考えすぎか……。

次会ったときに確認するか、どうせ海浜総合高校とは何度も打ち合わせするんだ。

 

 

そういえば……。一色の依頼は海浜総合高校とコミュニケーションがうまく取れず、打ち合わせが難航してるから、俺達奉仕部に手伝ってほしいという依頼だったな……それって今日、解消されてないか?……俺たちは何もやってないがな……全部キヌさんが解決しちゃったんだけど……、依頼完了では………まあ、そういうわけにもいかんか、関わってしまったからには最後まで手伝わないとな……うちの高校だけで、演目することになり、明らかに人手が足りなくなったしな……。

決して、制服姿のキヌさんが見たいとか。一緒にイベントをしたいとかないぞ!………自分に言い聞かせるが全く説得力がないな………制服姿のキヌさんの学生らしい姿が、その眩しいです。

 

 

 

コミュニティーセンターから直接帰宅した俺は、今、小町とテレビを見ながら夕食を取っている。

テレビのニュース番組では、切れる学生というテーマで特集を行っていた。

カルシウム不足。ストレス社会。ネット社会によるコミュニケーション障害などなどと………

ちょい昔から言われてきた話題だ。

 

「お兄ちゃんは大丈夫だよね。お兄ちゃんってヘタレのくせにストレス耐性は無限にあるし、コミュ障はこじらしてるけど、今は雪乃さんや結衣さんがいるし。何より、小町の栄養バランスを考えた夕食は愛情たっぷりだよ。小町的にポイント高い!」

 

「……そうだな」

なんだその謎ポイントは……

まあ、学校ごときでストレス溜めるようでは、美神令子除霊事務所では働けない。小町、お兄ちゃんはコミュ障じゃないぞ!……これも、GSのバイトのおかげでだいぶ解消してるしな。コミュ障じゃこの仕事が出来ん。相手は特殊だが、いわば客商売のサービス業のようなものだからな。

 

 

「でもお兄ちゃん。うちの学校でも最近になって、なんか急に暴れ出したり、叫んだりした子が何人も居て、入院したり、学校休んでる子がいるんだ」

さっきとは打って変わって小町は不安そうな顔をする。

ニュースでも千葉市では最近急増してると言ってるな……

 

「小町、気になることや、ストレスを感じたら、お兄ちゃんに相談しなさい。なんでも答えてやるぞ」

 

「え~、お兄ちゃんが?頼りなさそう。逆に小町がお兄ちゃんを癒してあげるよ。ん?これも小町的にポイント高い~」

小町はニカっとした笑顔を向ける。

どんどん小町の謎ポイントが溜まっていくな。溜まったら何と交換してくれるのだろうか?

 

まあ、なんにしろ、この様子だと小町は大丈夫そうだな。




次はひさびさのGS回予定ですw

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