やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

遅くなりました。
今回はあまり、進展しません。次についての布石です。


㉝奉仕部への依頼

 

 

最近ニュースで取りざたされていた千葉市近郊で多発する学生の発狂、暴力などの精神暴走事件は、実はオカルト絡みの事件だった。

警察からGS協会、オカルトGメン経由の依頼が美神令子除霊事務所に来たのだ。

中高生の精神的な事件というかなりデリケートな扱いが必要である上に、同じ目線で調査が出来る人材が必要不可欠ということで、現役高校生のしかもGS免許を取得してるというアドバンテージを持つ俺とキヌさんに白羽の矢が立ったのだ。

俺の役割は、学生の精神暴走事件に関する噂や情報を、精査し、精神暴走させる術式を学生に仕掛けた犯人又はその術式が学生にどのようにわたったかというルート解明の手がかりを見つける事だ。犯人を特定し捕まえれば最良だが、そこまでは求められていない。

GSの花形である派手な妖怪退治などもあるが、こういう地味な調査等の仕事をこなしてこそのプロだ。

 

俺は二つ返事でOKしたものの、よくよく考えると、中高生の目線に立ち、この件の噂や情報を集めることになる。当然中高生の間でまことしやかにささやかれてる噂や話題にアンテナを張らないといけない。その際、学生に直接聞き込み等をしないといけない場面も出てくるだろう。しかし、俺は学校内ではボッチだ。普段、クラスメイトに気軽に話す事も無い上に、名前さえロクに覚えていない。はっきり言って学内での俺のコミュニティはほぼ無いと言っても過言ではない。まさしく陸の孤島状態なのだ。

いきなり暗礁に乗り上げた気分だ。……流石に今更断れないだろうな………だって、美神さん、この依頼、結構な金額が入ってくるって喜んでたしな。……ダメでした。なんて言った日には半殺し確定かも………しかも、キヌさんとのコンビで受けた仕事だ!キヌさんに恥をかかすわけにはいかないのだ!猶更そんなことは断じてできん!

 

とりあえず、クラスメイトで唯一の友人と言っていいだろう戸塚に聞いてみたが……戸塚はそういうことには疎いらしく、知らなかったようだ。まあ、戸塚は見た目は天使だが体育会系のノリで部活一筋だしな。

となると、やはりあの二人に頼るしかないか………

 

 

 

放課後の奉仕部部室。

 

俺は雪ノ下と由比ヶ浜に精神暴走事件に関係してそうな噂を聞くことにする。

俺の唯一の学内でのコミュニティは奉仕部しかないからな。

「ちょっといいか?」

 

「なにかしら」

「なになに、ヒッキー」

 

「変なことを聞くんだが……学内で生徒が急に叫んだり、暴行をふるったりとかそんな感じの噂とか事件を知らないか?」

 

「昨今ニュース番組等で報道されてる件ね。それがどうかしたのかしら?」

「うーん。……って、ゆきのん。それニュースになるぐらい有名なんだ!」

予想通りの反応だ。雪ノ下は流石に知っているな。由比ヶ浜はあまりニュースとか見てなさそうだ。

だが、重要なのはそこじゃない。

 

「その事だな。学生による精神暴走とか言われてる奴だ。それに関わってそうな噂や話をしらないか?どんなもんでもいいんだが」

 

「なぜ、あなたがそんなことを知りたがるのかしら?」

「……うーん。なんかそんなのを聞いたような……うーん」

 

「まあ、そのなんだ。仕事の方で、ちょっとな」

正直に話すべきか迷うところだな。深くかかわると……今のところ危険の目はないが、結構突っ走って、しまいそうだしな。特に雪ノ下は……

 

「……そういうことなのね。あなたが学生のこんな事件に興味がわくなんておかしいもの……十中八九この事件、オカルト絡みの疑いがあるのね」

察しがいい雪ノ下にはやはり分かってしまうか……

仕方がないが協力を仰ぐか……こいつらにこんなことに関わらせたくはなかったが、今の俺だけでは学生間で飛びかう噂一つ精査することもできん。

これも、まともに学生生活を送るつもりがなかった弊害ってところだろう…皮肉もいいところだ。

但し、線引きはしないといけないがな、危険な領域に踏み入れない程度に協力を頼むか。

 

「そうなの?ヒッキー」

 

「ああ、雪ノ下の言う通りだ。オカルトが関わっている可能性が高い。だが手がかりが少なすぎてそれすらも確定ができない状況だ」

 

「それで、手がかりが欲しくて、私たちにあんな質問をしたのね」

雪ノ下は呆れたような表情をする。

 

「そ、そういうことだな」

 

「もしかして、ヒッキー!私たちを頼りにしてくれてるの!?」

由比ヶ浜は嬉しそうだ。

 

「まあ……そんなようなもんだ」

 

「私たちに?……あなたでも一人で解決できないこともあるのね」

 

「そりゃな、GSと言っても、実力も経験もまだまだだ。俺じゃこなせない仕事は五万とある」

 

「……そう、あなたでも……」

雪ノ下は静かに言うが、少々驚いたような顔をしていた。

 

「ヒッキー、もしかしてこれ、ヒッキーからの依頼なのかな!?」

 

「そう……だな。依頼してもいいか?」

 

「そうね。でも比企谷君、まずは依頼内容を聞いてからよ」

そう言う雪ノ下は悪戯っぽい微笑を浮かべていた。

 

「ゆきのん、いいじゃん。せっかくのヒッキーの依頼なのに」

 

「由比ヶ浜さん、こういう事は形式が大事なの、それとイレギュラーの前例を作るのも良くないものよ」

雪ノ下は由比ヶ浜にそうやって窘める。

まあ、確かにそうだな。形式は大事だ。仕事には順序があるそれを一つ飛ばすだけで、何らかの不具合が起きるものだ。GSのようなイレギュラー性が大きい仕事でも形式はちゃんとある。

 

「……わかった。依頼内容を話した後で決めてもらっていい……」

俺は会議用テーブルを挟んで雪ノ下と由比ヶ浜の前に椅子を持ってきて座る。

 

「では、依頼内容をどうぞ、依頼者の比企谷君」

どことなしに雪ノ下は楽し気なようだ。

 

「先ずは……すまんな。これも形式の一つなんだ。GSが正式に聞き取りや情報提供を受ける場合や、こちらもある程度の情報を提供する必要がある場合。これを提示しないといけないんだ。情報提供者等に対する身分提示と守秘義務が発生する」

俺はそう言いながらポケットから革製のカードケースを出しGS免許を提示する。

GSは正式に聞き取りを行う相手や情報提供者にGS免許を提示する義務がある。まあ警察と同じようなものだ。身分を証明するのと同時に、守秘義務が情報提供者や聞き取り相手に掛かってくる。さらに情報提供者の保護の目的もあるのだ。報告書には必ず、情報提供者や聞き取りを行った相手の氏名等を上げることになる。聞き取り者が身分提示を拒否した場合、性別年恰好のみの報告をする決まりだ。

因みに革製のカードケースは横島師匠が俺がGS免許を取得した時にプレゼントしてくれてたものだ。

 

「ヒッキー!なんかかっこいいね!ドラマの刑事さんみたい!」

由比ヶ浜はGS免許証をまじまじと見ていた。

 

「……CランクGS。……こう見るとかなり実感がわくわ……普段のあなたはとてもそうは見えないもの」

 

「……まあ、ランクはたまたまだ」

 

「CランクGSって何?」

 

「由比ヶ浜さん、GSにはランクがあるのよ。上はSで下はFまであるわ」

 

「ということはヒッキーは真ん中なんだ。あの時のヒッキー結構かっこよくて強かったのに」

 

「そうね。但し、真ん中より上というのが正解よ。GSは実力主義の世界。ランクで一番人数が多いのはDランクのGS、次にEとCよ。日本にSは数人だけ。Aでも30人前後よ。Cランクというのは自分で個人事務所を持つことができるレベルなのよ。Cランクからが本当の実力者ということになるわ」

やっぱり良く調べてるな雪ノ下。陽乃さんの事で相当調べたのだろう。

 

「え!?ヒッキー!やっぱ凄いんだ!!」

なんかこそばゆいんだが……まあ、褒められて悪い気はしない。

 

「ほ、本題はいいか?」

 

「脱線したわね……どうぞ」

 

美神さんからは情報提供者に対してはある程度事情を話していいとは言われている。

まあ、俺の場合、この学校で事情を話せるのはこの二人と担任の先生と平塚先生ぐらいだが……

俺は話せる範囲で、美神さんから頼まれたこの案件の概要を伝えた上で、奉仕部で受けてもらいたい依頼内容を提示した。

事件に関する噂や情報、それ以外に千葉近郊の学生が行きそうなところや、巷で流行してる遊びやグッズやアイテム、グルメなどの情報提供だ。

 

「ヒッキーの依頼、あたしでも出来そう!あたしは全然OKだよ!ゆきのんももちろんOKだよね」

由比ヶ浜は楽し気だ。

 

「由比ヶ浜。わざわざ、情報集めに行かなくていいぞ、知ってる事とか、クラスで噂になってる事を教えてくれたらいい」

変に色々聞き込みに行って、精神暴走した人間に暴力でも振るわれたら本末転倒だからな。

もし、聞き込みが必要な場合は俺が行く事にしよう。

 

「確かに学校で独りボッチの比企谷君では難しい案件ね。いいわ。その依頼を受けましょう」

 

「助かる。……しかし、それはお互い様じゃないのか?」

美人で学業優秀、スポーツもできるとハイスペックな雪ノ下なのだが……間違いなくボッチだ。

まあ、この前の独白で分かったことだが、自ら他人とに巨大な壁を作ってるからな……

雪ノ下には噂とか情報集めとかに期待はしてない。考える方に回ってもらえると助かる。

 

「あら、失礼ね。私は別に人と話せないわけではないわ。一人が好きなだけよ。あなたと一緒にしないでくれるかしら」

そんなことを言いながらも、雪ノ下は楽し気だ。

でもな雪ノ下、それはボッチの奴が言う言い訳のベスト3に入る言葉だぞ。

聞いてるこっちが辛くなる……

 

「ゆきのんとヒッキーにはあたしが居るし!大丈夫!」

なに恥ずかしい事さらっと言っちゃてるんですか由比ヶ浜さん。……まじでこっちが赤面しそうだ。

 

「……まあ、それは置いといてだ。由比ヶ浜、なんか知らないか?」

やはり、コミュ力が非常に高い由比ヶ浜が今回の依頼のカギだ。

 

「うーん。事件かぁ、なんかあったような……今度、優美子とかに聞いてみる。流行ってる事とかは、結構あるよ!」

ここからは由比ヶ浜の独壇場だった。

学生の流行りとか、遊びとか……複雑怪奇だな。

多種多様に富んで、もはや絞り切れるものじゃない。

俺は検証するためにメモをする。雪ノ下も同じくメモを取っていた。由比ヶ浜が語る、流行りの遊びや、流行りのグッズや服や雑誌………

雪ノ下は目に見えて、疲れが見える。体力の無い雪ノ下にはこれはきついものがある。

俺も、由比ヶ浜が楽し気に次々と語る話についていくのがやっとだ。

 

ちょっと休憩を取った方がよさそうだな……

 

しかし……

 

 

奉仕部の部室の扉が勢いよく開け放たれた

「比企谷!比企谷八幡は居るか!」

 

「……先生、ノックをして下さいと」

雪ノ下は部室に無遠慮に入ってくる平塚先生にいつも通りの注意をする。

 

「大声出さなくても、ここにいますよ」

 

「ふはははははっ、今日、君はバイトの日じゃないのかね!さあ行くぞ!」

雪ノ下と俺の声など耳に入っていないのか、平塚先生は勝ち誇ったような笑いをしながら勝手に話を進めていく。

しまったーー!!もうそんな時間か!当初の予定では部活を早めに切り上げて平塚先生が来る前に、仕事先に(美神令子除霊事務所)向かうつもりだったんだが、由比ヶ浜の話で、時間が過ぎているのに気が付かなかった!

そう、平塚先生は俺を仕事先まで送るつもりなのだ。目当ては横島師匠だ。このハイテンション、どうやら、横島師匠がアメリカから帰ってきてるのを知っているようだ。

 

そして、俺は平塚先生に腕をがっちりと絡ませられ、強引に引っ張られていく。

 

「ちょっ!引っ張らないでくださいよ!……由比ヶ浜!続きは次で頼む!」

 

「ヒッキー!」

「……今日はここまでにしましょうか」

由比ヶ浜の心配そうな声と、雪ノ下の呆れたような声が教室から強引に引っ張り出される際に耳に入ってきた。

 

またしても、俺は平塚先生に強引に引っ張られ、車に乗せられ、美神令子除霊事務所に向かうのであった。





次は……GS回確定か?
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