やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。 作:ローファイト
返信が遅れてしまって申し訳ないです。徐々に返答させていただきます。
誤字脱字報告ありがとうございます。
というわけで、今回はつなぎ回です。
内容はタイトル通り進まないので、飛ばしてもいいレベルの話です。
俺は昨日、奉仕部に千葉で起こってる学生の精神暴走事件について、情報提供協力を正式に依頼した。
今回のこの精神暴走事件、オカルトが関わっていることが判明し、警視庁やGS協会、オカルトGメンからのこれらの事件の犯人の捜索と真相の調査依頼を正式に美神令子除霊事務所に持ち込まれたのだ。
理由は現役学生のGS資格免許を持っている人間が二人も居るからだ。学生である俺とキヌさんが正式にこの依頼の担当となり、俺は学生から噂や情報を集め、犯人の手がかりや事件の真相を捜索することになった。
しかし、学校ではボッチで空気の俺は学生達とコミュニケーションが円滑に取れるわけもない。
そこで、俺は雪ノ下と由比ヶ浜に事情を説明し、精神暴走事件の噂や情報の提供の二人に依頼したのだ。特に由比ヶ浜の学内におけるコミュニケーション能力に俺は期待していた。
昨日は途中で平塚先生の邪魔が入り、最後まで話し合いが出来なかったが、今日は大丈夫だ。
俺は今日、仕事に行く予定がないからだ。
朝、平塚先生を見かけたら、めちゃ機嫌がよかったな。アニソンっぽい鼻歌を歌いながらスキップしてたぞ。もしや横島師匠あの後捕まって、お持ち帰りされたか?後で横島師匠に慰めのメールでも送っておこう。
放課後の奉仕部部室で昨日の続きを話し合った。
「ヒッキー!。いろんな子に聞いてみたの。そしたら何人かそれっぽい人見つけたよ!」
「由比ヶ浜、わざわざ聞き回ったのか?積極的じゃなくていいんだぞ。昨日も言ったが、危険な目に遭う可能性も無いわけじゃない。実際に被害を受けてそうな人間を知らせてくれるだけでいいんだ。後は俺がやる」
どうやら、由比ヶ浜はいろんな生徒に聞きまわったらしい。
「大丈夫。ヒッキーに言われたから、直接会ったりしてないし、優美子や姫菜は知らなそうだったから、ちょっと知ってそうな子に何人かに聞いただけだから」
「ならいいんだが……あと、助かる」
そういうことなら、あまり問題なさそうだ。精神暴走した学生は暴力をふるうケースもあるからな。直接会うのは厳禁だ。
「うん」
由比ヶ浜は嬉しそうに頷く。
「私もクラスメイトにそれとなしに聞いてみたのだけど、有益な情報は得られなかったわ」
雪ノ下も一応、クラスで聞いてみてくれたようだ。俯き加減で話す雪ノ下は、申し訳なさそうだ。
雪ノ下のクラスは特進クラス。要するにエリートクラスだ。お堅いイメージがあるからなあそこは……
「なんだ雪ノ下。クラスで話せる奴がいたのか」
「バカにしないで、私はあなたと違って、皆から嫌われてるわけでもないわ。普通に話しかけることぐらいできるわ」
まあ、俺の場合。クラスというよりは同学年、下手すると学校中の嫌われ者だからな。学園祭で盛大にやらかしたあの噂が広まるの早かったしな。
雪ノ下の場合、話しかけづらい雰囲気を常に醸し出してるしな。周りからは話しにくいだけで、嫌われているわけではないか……。しかし、ボッチの雪ノ下の方から噂を聞くためにわざわざクラスメイトに話しかけてくれたということか……
「すまん。助かる」
「そう」
雪ノ下は静かにうなずく。俺の返事に満足したようだ。
「由比ヶ浜、あたりを付けた奴ってどんな奴だ?」
「うんとね。えーっとC組のかすみの彼氏の高岡くんと、D組のまさこの彼氏の三島先輩、1年の高橋琴音ちゃんの彼氏の2年の飯島くん」
由比ヶ浜はごちゃごちゃとプリクラを貼りまくった手帳を取り出す。
なぜ3人ともリア充?しかも暴走の相手は全部男だし……
「……一応聞くが、なぜ精神暴走の可能性があると」
「なんか、かすみの彼氏の高岡くんが最近かすみにつらく当たるんだって、付き合う前までそんなことなかったらしいのに」
「…………」
なにそれ、その高岡くんってもしかして、付き合う前まではいい顔して、いざ付き合っちゃうと女の子を自分の持ち物って感じで扱っちゃう典型的なDV型のダメな奴なんじゃ?
「まさこの彼氏の三島先輩は、この頃引き込もり気味で会ってくれないって」
「…………」
それは3年の12月の初旬だ。受験勉強で忙しいだけじゃ?
「高橋琴音ちゃんの彼氏の飯島くんは急に前触れもなく、学校休んじゃって、もう10日も学校来てないんだって、その間その飯島君とも連絡が付かないみたいって言ってた」
「……やけに具体的なんだが、それって本当に噂程度の話か?」
「チッチッチー、ヒッキーくん。わかってないなーー。女子同士の会話では彼氏がいる女子の噂話はみーんな興味深々なんだよ。だからちょっとした事でもすぐに噂になるし、正確な情報を求めるものなんだよ」
由比ヶ浜はわざとらしい誰かの言い回しを真似したような感じで、どや顔で言ってきた。
なんか怖!なにそれ、恋人同士になった連中は、ずっと女子に監視されてるのか?リア充にプライベートはないってことか?……彼女とかいなくてよかった。四六時中女子の目に気をつけないといけないとか、どこの芸能人かよ。……俺の場合彼女が居なくても悪い方向で噂になってる可能性は大きいが。
「そういうもの、…なのかしら」
雪ノ下は由比ヶ浜の話に、少し首をかしげながら中途半端な返事をする。
疑問を持っているが、ボッチの雪ノ下にそれを否定する材料もないと言ったところか。
由比ヶ浜の話から、最初の二人の話は外れっぽいな。三人目の一年の高橋って子の彼氏の飯島君が怪しいな。急に学校を休むか………詳しく話を聞いてみた方がいいな。
「由比ヶ浜、その高橋って子の彼氏の飯島って奴が怪しいな。高橋って子に直接話を聞きに行った方が良さそうだ」
「え?……ヒッキーが直接聞きに行くの?」
「ああ、そうするつもりだ」
「でも、ヒッキー……」
「俺は別にコミュニケーションができないわけじゃない。学校でしないだけだ。この仕事は被害者や依頼者とコミュニケーションがうまく取れないと致命的だからな」
そう、ゴーストスイーパーの仕事は除霊相手の情報や現場の状況を正確に知る必要がある。そうでないと致命的なミスや失敗を起こす可能性があるからだ。だから依頼者と現場周辺の聞き込みを正確に行うために、コミュニケーション能力は必須といえるだろう。
まあ、最初は失敗ばっかりだった。美神さんによく怒鳴られた。あの人容赦ないからな。
おかげで俺の中学までの最底辺コミュ能力はこの一年半で一気に向上した。
「比企谷君、自分が学内の生徒にどう思われてるか知ってるかしら?急にあなたに話しかけられればあなたの事を良く知らない女子生徒は、まず逃げ出すわね」
雪ノ下は呆れたような表情をしていた。
確かにその可能性は無きにしも非ずだ。俺は文化祭で相模に酷い暴言を吐いたからな。その噂は学校中に確実に広まってる。
あの時のつけがこんなところで返ってくるとはな。
「……それは」
「だから、ヒッキー、あたしが聞いてきてあげるよ」
「そうね。私も付き合うわ」
「いや、さすがにそこまでは……」
「別に、彼女の方に事情を聴くだけよ。問題となってる彼と会うわけじゃないから特に危険はないわ」
「分かった……頼む」
「うん。頼まれた!」
返事をする由比ヶ浜は笑顔だった。
雪ノ下は笑みを浮かべていた。
早速二人は、高橋って子が所属してる文芸部に話を聞きに行った。
あらかじめ、聞いてほしいことを雪ノ下に伝えたし、大丈夫だろう。
俺も頼んだ手前、何もしないのもあれだ。危険は無いと思うが、念のために遠くから様子を見ることにした。
俺は文芸部が使用してる教室前で高橋と話してる由比ヶ浜と雪ノ下を廊下の角から様子を伺う。
普通の奴がこんな尾行をすれば、傍から見れば、二人をストーカーしてる人間にみえるのだろうが、俺の場合は、職業柄尾行は慣れたものだ。廊下の壁と一体化するまである。というのは冗談だが、自然にふるまえば、今の俺は暇を持て余した生徒が廊下で本を読んでるだけにしか見えないはずだ。
しかし、
遠方から俺が良く見知った顔が早足にこちらに向かっくる。……このタイミングで最悪なんだが。
「せーんぱい。こんなところで何やってるんですか?もしかしてストーカーですか?」
生徒会長の一色いろはが俺の目の前にまで来てこんなことを言ってきた。なに俺の完璧な偽装がバレた?
「ちげーよ。本を読んでるだけだ」
……よく考えれば文芸部の部室って生徒会室の近くなんだよな。こいつと出くわす確率は最初から高かったわけだ。
「えーそうなんですか?実は私の事が心配になって見に来てくれたんじゃないんですか?はっ、もしかして私の事を……いくら私の事が好きだからってストーカー行為をするような犯罪予備軍は願い下げです。ごめんなさい」
何もしてないのに、こいつに何度振られるんだ?俺は
「はぁ、だから違うと言ってるだろう」
「えー、本当ですか?…ん?」
一色は遠方から聞こえてくる話声に気が付き、俺の肩越しに、角から文芸部の方へのぞき込む。
そして、文芸部の教室前で話している由比ヶ浜と雪ノ下、高橋の姿を見る。
「……先輩。なにやってるんですか。本当にストーカーする人だと思ってませんでした」
一色は自分の胸を隠すように腕を抱き、俺を睨みつける。
「だから、ちげーって言ってるだろ」
「ん?アレって隣のクラスの高橋さん……最近2年の彼氏ができたって、自慢してた子ですよ」
「お前、そういう噂はなんでも知ってるな」
「そりゃそうですよ。敵……いえ女子の情報は常にアンテナを張ってないと、でも何で高橋さんに結衣先輩と雪ノ下先輩が?」
今、こいつ敵って言ってたぞ。相変わらずこいつは一年の女子に嫌われてるのか?
「奉仕部の仕事だ」
まあ、そういえば誤魔化せるだろう。流石に精神暴走事件の事を調べてるとは言えるわけがない。
「なるほどですね」
一色は納得したようにうなずく。
なんだ。一色の奴もしかして、精神暴走事件を俺たちが調べてる事を知ってるのか?
「なんか知ってるのか」
「いえ、たぶん彼女の依頼は、彼氏と連絡をつけたいとかじゃないですかね……だったらその依頼は無駄ですよ。彼氏さんは来週には登校してきますよ。彼氏さんは10日前に学生では行ってはいけない、いかがわしいお店に入った所を補導されて、2週間の停学処分です。携帯電話も取り上げられたはずですよ。登校してきた時が楽しみです。きっと修羅場になりますよ。ざまーみ……高橋さんも可哀そうですね」
いきなり解決したんだが、しかも外れの方向で……精神暴走事件とは関係ないな。それにしても、飯島って奴、彼女が出来たのに、なんでそんな店にいったのだろうか?……もしかして……やめておこう。俺は由比ヶ浜を見て、雪ノ下と高橋って子のある共通する部分を見比べて、男という生き物が如何にバカなのかを改めた考えさせられた。
それと、一色さん?心の声が漏れてますよ。まるで横島師匠みたいに。今ざまーみろって言おうとしただろ?
「……一色、貴重な情報、助かった」
一色はどうやら依頼内容を勘違いしてくれたようだ。今回の件は外れだが、一色のおかげで余計な手間もかけずに解決だ
「どういたしまして?……それはそうと先輩。明日は三校合同会議ですから、忘れないで出てくださいね」
「ああ、雪ノ下と由比ヶ浜にも伝えておく」
「……別に先輩だけでももういいんですけど」
一色は小声で何かぶつぶつ言っていた。
「なんか言ったか?」
「何でもないですーっ」
何故か膨れる一色。
……明日か、そういえば久々に会った折本の様子がおかしかったな。昔からあっけらかんとした奴だったが、さすがにあれはな。
……やはり、精神暴走か?流石に考えすぎか……いや、念のために明日声をかけてみるか。
次回は合同会議と折本さん再びかな?