やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

先に謝っておきます。
平塚先生ファンの方すみません。
そういうお話です。


㊷知らなかった事にしよう

「先輩、雪ノ下先輩と結衣先輩と何かありましたか?この頃の雪ノ下先輩は特になんですが、何か楽しそうなんですよね。生徒会長選の時は全然違う印象なんですよ」

一色の奴が俺が一人でマッ缶を片手にベストプレイスで一息ついていた所にいきなり現れてこんなこと聞いてきた。

一色はなんだかんだと、人の事を良く見てるからな。まあ、自分を可愛く見せるための情報収集のためだが……

 

「……さあな」

 

「先輩は私に隠し事をしてませんか?」

 

「はぁ?あのな。誰だって知られたくない事の一つや二つ持ってるもんだ」

 

「何言ってるんですか。先輩のくせに、私に隠し事ですか?」

一色はふくれっ面でこんなことを聞いてくる。

妙に絡んでくるな今日の一色は……

 

「……ふう、雪ノ下と俺との間には何もない。お前に雪ノ下がそう見えるのなら…雪ノ下が何かを変えようとしてるんじゃないか?」

一色の生徒会長立候補問題の後、雪ノ下は俺と由比ヶ浜の前で独白した。

それは俺にとってかなり衝撃的な内容だった。

それからの雪ノ下は確かにあの張り詰めたような空気感を出すことが少なくなった。周囲への当たりも柔らかな気がする。それと同時に、何かにもがいているようにも見える。それは雪ノ下自身が変わりたいと思っている証拠なのではないかと思う。

俺は雪ノ下に何もしてやれない。いや、できないでいる。どうすればいいのかがわからないからだ。

ただ、俺ができることは、応援することだけだ。邪魔する奴がいれば排除するがな……

 

「ふーん……先輩って周りの人を変えちゃうんですね」

 

「……なにそれ?俺が病原菌か何かって言いたいの?はっ、もしかしてお前、俺の小学校の時のあだ名を知ってるのか!?」

そう、俺は小学校の時、比企谷菌というあだ名をつけられ、比企谷菌がうつるから逃げろとか言われ、いじめられてたのだ。子供って本当に残酷だ。

 

「なんですかそれ。まあいいです。今度のディスティニーランドは期待してますよ」

 

「おい、お前のために行くんだろうが、なぜ上から目線?」

 

「そうでしたっけ?…………私も変わらなくっちゃ」

一色はとぼけた事を言った後、小声で何か言っていた。

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「何でもないです。先輩、ちゃんと来てくださいよ」

 

「……さぼりたい」

 

 

 

 

東京ディスティニーランド、言わずと知れた日本で一番集客力を持つテーマパークだ。

まあ、ここ近年関西にあるUSGに押され気味だが……

 

「ヒッキー!やっはろー!!」

「比企谷君、おはよう」

相変わらずの挨拶をする由比ヶ浜に雪ノ下。

ここは待ち合わせ場所の東京ディスティニーランドの最寄駅前広場だ。

 

「おはようさん」

 

「ヒッキー!遅い、もう皆来てるよ」

 

「いや、まだ5分前だろう?……しかも一色を見かけないが」

 

すると駅前コンビニから一色が現れる……

いや、その後に葉山隼人が……しかも、その隣に三浦優美子、さらに後ろに戸部翔に海老名姫菜。なぜ?

葉山はわかる。何かと理由を付けて一色が呼んだのだろう。

後のメンバーはなんだ?

 

「おい」

俺は由比ヶ浜に視線を移し声をかける。

 

「うーー、しかたなかったの!いろはちゃんだけに味方するわけにいかないの。こっちも板挟みなんだよ」

由比ヶ浜は俺が言わんとしたことを理解したのだろう。両手で耳を抑えて、目をバッテンにして、俺に訴えかける。

 

「……これ、大丈夫か?」

俺は雪ノ下に聞く。

 

「……彼らの事は別に考えましょう。私たちは私たちの仕事をすればいいのだから」

雪ノ下は冷静に答える。

 

「そうするしかないか」

まあ、そうなんだが………ほらみろ、さっそく一色と三浦が葉山を巡って、静かに攻防を繰り広げてるぞ。見てる方が胃が痛い。

由比ヶ浜はまだ、目をバッテンにしたまんまだ。

 

 

葉山や三浦たちとも軽く挨拶をし、入場ゲートに並ぶ。

「まじで人が多いな。……帰りたい」

 

「ヒッキー!まだ入っても居ないのに帰りたいって!」

 

「遺憾ながら、私も比企谷君と同じ意見だわ。なぜわざわざ人が多いこんな日に来ないといけないのからしら」

雪ノ下はすでに疲れたような表情をしていた。

雪ノ下……遺憾ながらってわざわざそこに使う?

 

「ゆきのんも!?いいじゃん、いいじゃん!!みんなで来れたし!!」

由比ヶ浜はそう言って、雪ノ下の手と俺の手を引っ張り入場の列に並ぶ。

 

「おい………ん?」

俺は由比ヶ浜に手を放すように声をかけようとしたのだが………前方に見慣れた人達がこそこそと何やら怪しげな動きをしていた。

 

……黒いサングラスに黒ずくめのスーツを着たその美女は、そんな服装なのに目立っていた。

……その横で、可愛らしい普段着を着た聖母が、申し訳なさそうに黒ずくめスーツの美女について行く。

 

……美神さんとキヌさん……こんなところで何やってるんだ?

美神さんは誰かを追跡してるようだが………仕事の最中だろうか?

よく見ると、さらに遠方にシロとタマモまでいるんだが……シロもなんか楽し気に美神さんと同じような黒ずくめのスーツを着て誰かを追っているようだ。その横のタマモはまるでやる気がないような雰囲気なのはなぜだ?

 

4人がそろうということは、敵は相当大物なのだろうか……となると、引き返した方がいいな。

巻き込まれる可能性もある。

とりあえず、雪ノ下と由比ヶ浜に事情を話し、ここから皆を離した方が良いだろう。

 

俺は雪ノ下と由比ヶ浜に声を掛けようとしたのだが………

 

まるでウエディングドレスのような純白のドレスを着た女性が黒髪をたなびかせ、俺たちの目の前を駆け足で通り過ぎていった。

なんだ?これも何かのイベントか?それともコスプレ?

 

「まったぁ?」

純白のドレスを着た女性はかなり前方で並んでる男の前まで行くと甘えた声を出していた。

……なんか聞いたことがある声なんだが。

 

「………なんでせう、そのかつこうは?」

男の方は、言葉がおかしい。というか、ドン引きしていた。

 

「え?これは私の普段着。ちょっと気合い入れすぎちゃったかな?変?」

普段着でそれはないだろう。どこの欧米貴族だ!……気合いというか、明らかにおかしいだろう!!今から結婚式上げる勢いだぞ!!しかも、男の方はめちゃドン引きしてるぞ!!

 

「………」

ほら見ろ男のほうが黙ってしまったじゃないか!

男を捕まえたいのはわかるが、押しすぎだろ!崖から突き落とす勢いだぞ!!

 

「あれ?どーしたのダーリン?黙っちゃって、のど渇いちゃった?直ぐに飲み物買ってくるわ!待っててダーリン!」

そう言って、その男から離れ、純白のドレスの残念臭が漂う女性がこちらに向かって走ってくる。

後姿は美人そうだったが………あれ?どこかで……!!!!!??????

 

俺たちの目の前をその女性は通り過ぎる。

………俺は見てはいけないものを見てしまった。

 

「ひ……ひ、比企谷君……い、今の?」

ああー遅かったか、雪ノ下も見てしまったか。

雪ノ下もあまりの事にいつもの余裕のある表情はどこかに行き、驚愕とも困惑とも言えないような美人にあるまじき表情をしていた。

 

「……ゆ、雪ノ下。俺たちは何も見てないし、何も知らない。そういう事にすべきだ」

 

「……そ、そうね」

雪ノ下はようやく気を取り直したが、そう返事するのが精いっぱいのようだった。

 

「どうしたの?ヒッキー?あれ、ゆきのんも?」

どうやら由比ヶ浜は気づかなかったようだ。

由比ヶ浜、知らない方が幸せということもある。

 

 

そして、純白のドレスを着た痛すぎる三十路の美人教師のお相手の男が何やら雄たけびを上げていた。

 

「ああああ!!このままだとヤバい!!人生が終わってしまう!!やはり地雷女だったか!!いや、しかし美人は美人だ!!スタイルもいい!!もったいないが痛すぎる!!しかし美人教師だぞ!!今後の人生、美人教師とどうにかなるチャンスはあるだろうか!!いや、すでに半ストーカーだぞ!!しかし一夜だけの過ちなら!!いや、既成事実を押し付けられ、なし崩し的に結婚もあり得る!!しかしこの横島!!目の前に美人が居るのに手を出さないとは!!いやしかし!!」

 

「ヒッキー、あそこで騒いでる人、ヒッキーのお師匠さんじゃない?」

 

「……赤の他人だ」

あんな奇声を上げて、大声で下衆な事を言う人間の知り合いは俺には居ないはずだ。

俺の知り合いに横島忠夫なんて言う人物は存在しないはずなんだ!

 

「えーー絶対そうだよ」

由比ヶ浜…その通りなんだが、事実を突きつけないでほしい。

俺だってたまには心の整理をする時間が欲しい……ふぅー深呼吸、落ち着いた。

横島師匠何やってるんすか?平塚先生もなんですか?そのドレス。今から結婚式でもあげるんですか?しかも何その似合わない言葉遣いは?ダーリンっていつの時代の恋人像だよ!!……そういえば、前生徒指導室で古い漫画を見ながら、これで完璧だとかなんか言ってたな!……うる〇やつらとか……タ〇チとか……めぞん〇刻とか……そんなんを参考にした結果がこれか!……そのままやるとは……普通に頭のおかしい人にしか見えない。

なのに何だか、横島師匠が押され気味になってる?……これはこれでうまく行っているのか?

 

はっ!?

俺は膨れ上がる殺気を感じる。

 

殺気の先には……黒ずくめのスーツを着こんだ美神さんが……手に持ってる双眼鏡を素手でバキッとへし折っていた。

隣のキヌさんはオロオロしながらも様子を伺ってる。

ま、まさか、この2人、いや4人は、横島師匠と平塚先生のデートを監視していたのか?

 

美神さんが上機嫌で休日をくれたあの日、すでに横島師匠と平塚先生とのデートを察知していた?いや、確かに電話の美神さんの声は上機嫌に聞こえたのだが……そういえば、なんで上機嫌と思ったんだ。俺に対して丁寧な言葉遣いをしていたからか!あれは何かもっと別の恐ろしい仄暗いものだったのではないか……怒りを抑えるため、いや、隠すためにあんな言葉遣いを……

 

 

なにこれ?もしかしてとんでもない現場に出くわした?

俺は背中に冷たいものを感じていた。




平塚先生は随分GS側の人間に><
元々その才能は十分あったのですが……
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