やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。 作:ローファイト
誤字脱字報告ありがとうございます。
タイトル考えなくていいので楽ですw
では続きを……
今、俺の目の前に理想のヒロイン像を体現したような美少女が微笑み掛けてきていた。
「私は小竜姫と申します。この修行場の管理者を賜ってます」
「……管理者?」
管理者ということはこの修行場のお偉いさん?
もしくは、修行場の事務方のトップか?
俺とそんなに年が変わらないように見えるが……
「そうですよ。もしかして疑ってますか?こう見て私もそこそこ強いんですよ」
「いえ、そんなことは……」
すると小竜姫と名乗った美少女から、突如、凄まじい量の霊気が勢いよく放たれる。霊気の圧力はまるで迫りくる大津波のような錯覚に陥った。
圧倒的な霊圧に俺は思わず後ずさる。
……なんだこれ?……え?……この霊力は……あの時の茨木童子よりも上じゃないか……ど、どういうことだ。
しかし、なんて澄み切った霊気なんだ。……キヌさんのそれにも似てるが何かが違う。なんと表現すればいいのか……神々しいとはこういう事なのかもしれない。
俺はさっきまで目の前の美少女に舞い上がっていた気持ちが、一気に覚める。
「なっ!?」
「少しは驚いてくれましたか?でも、さすがは横島さんのお弟子さんですね。これだけの霊圧を当てても、怯まないなんて、普通の人間だとこの霊圧に当たるだけで、気を失うんですけどね」
小竜姫さんはニコっとした笑顔を見せるが……先ほどのように、舞い上がるどころの騒ぎじゃない。それどころか背中に冷たいものが流れる。
「……小竜姫さん、あんたはいったい」
「驚いたか小僧!!小竜姫様の剣技は天界でも有数の実力者なのだぞ!」
「小僧無礼であるぞ!口を慎め!小竜姫様は神族の中でも高位に属する竜神族の姫君であられるぞ!」
復活した門扉の鬼たちが口々に偉そうに言ってくる。
「え?……天界……神族って、小竜姫さんって神様なんですか?」
確かにあの神々しいまでに澄み切った霊気に、あの霊力に霊圧だ。神様と言われれば納得せざるを得ない。
まじか……俺、本物の神様に会ったのは初めてだ。確かに神の存在は確定したものだとされてるし、事務所の皆は神様にあったことがあるっぽいしな。それに悪魔が居るんだから神様がいてもおかしくない。
その初めて出会った神様がヒロイン属性満載の女神様だとは、なんて幸運なんだ!!
いや、神は皆美男美女なのかもしれないが……それはないか一言主って俺と同じ目をしてるらしいしな……流石に美男ではないのだろう。
「私はこの妙神山にて人間と神との懸け橋を行ってる神です。その、私は竜神族といっても末席ですよ」
マジか……竜神ということは!あの角は本物!!しかも竜神の姫様って!!さらに属性付いたじゃねーーーか!!しかもあの霊力!なにこのヒロイン力!!もう振り切れてるんですが!!
俺はまたもや、中二心が蠢きだし、舞い上がって行く。
「無礼を働きすみません。小竜姫様」
「いいんですよ。そんなに堅苦しくしなくとも」
「そういうわけにはいきません」
しかも、優しそうだ!
……まてよ。もしかするとこの小竜姫様が修行を付けてくれるのかもしれないと言う事か?
何それ、この修行場、パラダイスなんですが!
いつも事務所で鍛えてくれる人は、美人だけど鬼所長と師匠だけど変態な人だもんな!
もしかして、これは今まで頑張ってきた俺へのご褒美なのでは!
「横島さんの弟子で美神さんの部下だというのに、随分と礼儀正しい方なんですね比企谷さん」
いや、横島師匠や美神さんみたいに変な人がそうゴロゴロいるもんじゃないですよ。あんなのが量産された日には、世界は滅びますよ。
「そうですか?」
あの二人に比べれば、誰でも礼儀正しく見えますよ。小竜姫様。
「そうですよ。…とりあえず中に、お入りください」
小竜姫様は笑顔で門内へと案内してくれる。
「「小竜姫様!!まだ、我らの試練が!!」」
鬼門達は俺が門内に入ろうとすると、扉を閉め小竜姫様に異を唱える。
「よいではありませんか、……それにあのまま続けたとて、結果は変わりませんでしたよ」
「「ぐぬ」」
鬼門達はその言葉に意気消沈し、静かに扉を開ける。
門構えの中の敷地は広く、大きな古びれた温泉旅館のような建物と神社の社のような建物など複数見られる。
「あの、小竜姫様。横島師匠が先に来てると思うんですが……」
俺は小竜姫様の後をついて行きながら、話しかける。
「はい、いますよ。横島さんは今の時間は……畑仕事をしてますよ」
小竜姫様は少し考える仕草をして答えてくれたのだが……
「畑仕事?」
俺は思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
横島師匠が畑仕事?なんだその似合わない組み合わせは……もしかして、それも修行の一環か?
小竜姫様に時代劇でしか見たことがないような、平屋のお屋敷に通され、8畳ほどの和室に案内される。
「ちょっとここで待っててくださいね。お茶を入れてきますから」
小さなちゃぶ台の前の座布団を勧められる。
……この部屋、めちゃ生活感がある部屋だな。
このお屋敷はあれだな、修行場の母屋だな。ここで俺も寝泊まりするのかな?もしかして、小竜姫様と一つ屋根の下!……まあ、横島師匠は居るし、他の門人もいるだろう……ちょっとまてよ。先ほどから鬼門とかいう門の鬼たち以外を、ここに来るまで見かけなかったぞ………修行場から訓練やトレーニングをしているような音や、霊気も感じないんだが……どういうことだ?
それにしても、横島師匠、先に来て畑仕事って何やってるんだ?
ここは修行場じゃないのか?もしくは畑仕事も修行の一環なのか?
はっ!もしや、広大な畑を素手で耕し、足腰をきたえるっていう。あの亀仙流的な修行なのか!?
「お待たせしました。横島さんもしばらくしたら戻ってきますよ」
小竜姫様は俺の前に湯飲みを置いてくれて、お茶を注いでくれた。
ちゃぶ台が小さいから小竜姫様が近い。……やばい、顔が赤くなってそうだぞ。
「あ、ありがとうございます」
……こ、これはヤバいな。間近でみる小竜姫様はヤバい。何がヤバいって?色々とやばい!!
その横顔がかわいいとか肌が綺麗とかも、もちろんだが、一つ一つの仕草が洗礼された動きだ。雪ノ下もそうだったが、小竜姫様はなんというか一振りの刀みたいなイメージだ。そんな美しさがある。腰に差してるのは剣だけど……
ん?まてよ、小竜姫様自らお茶を用意されたのか?
あれ、こういうのって、お手伝いさん的な方や、門人がやる事じゃないのか?
仮にも竜神の姫様だぞ。
なんかいろいろとおかしいなこの修行場。
「あの、小竜姫様……お尋ねしていいですか?」
俺はちゃぶ台を挟んで前に座りお茶をすする小竜姫様に尋ねる。
「どうぞ」
「ここの修行場はどういうところなんですか?」
「ここ妙神山は天界と下界をつなぐ場所であり、神と人が直に交わる事ができる数少ない場所なのです。修行場の体を成してるのは、人を鍛え導くためという名目があるからです。昔は徳のある高僧や修験者や陰陽師、巫女や神主などが、良く修行に訪れたものですが、最近では極わずかな霊能者のみとなりました。今の現世の人々にとって神の存在が稀薄になりつつあるのでしょう」
小竜姫様の説明では、ここは天界という、多分神様が住んでる場所と俺たちが住んでる場所をつなぐ場所で、そんで修行場なわけだ。
昔は結構修行をする人がいたけど、今はほとんどいないってことか。
「……そうなんですか。今は、その横島師匠と俺以外に修行される方はいるのですか?」
「いいえ、いません。最近でいうと数年前に霊能者の方々が一時的に修行にこられましたね。美神令子さんと横島さんもその時期に……美神令子さんの母上の美智恵さんが20年位前、その前
に美神親子の師匠の唐巣さんが訪れてます」
美智恵さんも唐巣神父もここで修行して強くなったんだな、まあ、神様から教えて貰うんだから強くなるよな。
それと、今は修行に来てる人間は俺たち以外いないのか、静かなはずだ。
「横島師匠はちょくちょく来てるんですか?」
なんか行きつけの修行場とか言ってたしな。
……たぶんというか、絶対小竜姫様目当てだろう。
……俺も行きつけになりたい。
「横島さんは……」
小竜姫様が横島師匠の話をし始めるタイミングで当の本人がやってくる。
「小竜姫様すみません。対応してもらって……よお八幡、意外と早かったな」
中華風の道着を着てた横島師匠は小竜姫様に軽くお辞儀をしてから、俺に話しかけ、ちゃぶ台の前に座る。
小竜姫様は「いいんですよ」と微笑みながら自然な仕草で横島師匠の前に湯飲みを出し、お茶を入れる。
ん?なんだ……この雰囲気。
「横島師匠、ここの地図しか渡してくれないから、霧の人払い結界にぶち当たった時は流石に焦りましたよ」
「それも修行、修行!鬼門達はあっさり倒したようだな」
「……まあ、アレは何の試験なんですか?」
「さあな、鬼門達はなんか恒例だからと言ってたが……」
「……」
なに、あの鬼達が勝手にやってる事なのか?
「小竜姫様、どうですか八幡は?」
横島師匠は俺との会話を一度打ち切り、小竜姫様に話しかける。
「そうですね比企谷さんは発する霊気からタイプ的には美神さんに近いです。霊気量も高く、霊力コントロールもなかなかですね。動きはまだ見てませんが、歩く仕草や構えから、しなやかに体を使っているように見えます。体術もそこそこ使えるのでは」
小竜姫様は鬼門との闘い?をどこかから見てたようだな。
俺のそれだけの動きでそこまでわかるのか……
「なんだかんだと、一年半以上みっちり鍛えましたから」
「これなら、スペシャルコースを受けても大丈夫だと思いますよ」
「そうですか。でも、じっくり行きたいと思いますのでやめておきます。確かにスペシャルコースは短時間で、霊能の基礎能力が上がりますが、経験や技術は学べませんから」
後から聞いたのだが、スペシャルコースとは霊能力を一日で一気に成長させるコースで、自らの霊能を具現化させた精神体と魔獣を3本戦わせ、無理やり霊能力のポテンシャルを引き上げる方法らしいんだが、精神体自身がダメージを受けると、本人が死ぬこともあるハイリスク・ハイリターンなコースなのだ。ちなみに美神さんは数年前このコースで一気に霊的ポテンシャルを上げたそうだ。
「そうですね。横島さんの言う通りですね」
「今回は一週間で出来る所まで仕上げますよ」
「老師の手ほどきは?」
「今のままでは、まだ早いと思います。この修行次第でとは考えてますが」
「その方がいいでしょう」
小竜姫様と横島師匠は俺の修行プランについて真面目に話し合ってるのだが……
おかしい……
何がおかしいって?
横島師匠が真面目過ぎるからだ!
小竜姫様ほどの美少女を目の前に何もしないんだぞ!相手が神様だからって躊躇するような人間じゃないはずだぞ!おかしい……
確かに俺に修練付けてくれる時も、結構真面目でやってくれるが、こんな可愛い方がいるのに、ちょっかい出さないなんてな!
横島師匠がちょっかい出さないのは中学生以下と人妻ぐらいだぞ!あと例外的に妹扱いのキヌさんだ。そういう意味では小町は安全だったのだが……来年から高校生になってしまうのだ。あのドスケベの守備範囲内に入ってしまう……予防対策を打っておかなくては……
それはさておき、何かがおかしい。
俺が思考してる間も横島師匠と小竜姫様の会話は続く。
「師匠はいつお帰りで?」
「老師は元旦の翌日には戻ってくると思いますよ」
「そうですか」
そういえば、横島師匠が師匠は美神さん以外にいるとは聞いてたな……小竜姫様が老師と呼んでる方と同一人物のようだ……ということは神様か……横島師匠がSSSランクの実力を……人の身でありながら、魔神と渡り合える実力を持つまでに至ったのはその師匠に鍛えられたからなのか?……その師匠とは武神とかなのだろうか、毘沙門天とか不動明王とか……
「八幡、飯はまだ食ってないか?」
「そういえば朝から食べてないですね」
「小竜姫様、ちょっと早めですが、夕飯にしてもよろしいですか?」
「そうですね。では用意しますね」
小竜姫様はそう言って立ち上がる。
もしや、竜神の姫様、自ら料理をするのか?
「俺も手伝います」
横島師匠も立ち上がろうとする。
え、師匠も手伝うって……ここにはお手伝いさんや付き人みたいな方は居ないのか?
「横島師匠、竜神の姫様の小竜姫様が料理をするとか、ここって他に誰かいないんですか?」
俺は立ち上がろうとする横島師匠に小声で聞く。
だが、俺の質問に答えたのは小竜姫様だった。
「はい、ここに住んでるのは、老師と私と横島さんだけですよ」
……………
(ここに住んでるのは、老師と私と横島さんだけですよ)
え?どういうこと?横島師匠と横島師匠の師匠と小竜姫様のお3方だけしかこの広い修行場にいない?
え?どういうこと?横島師匠と小竜姫様が一つ屋根の下に住んでるって?
え?どういうこと?横島師匠は確かボロアパートに住んでいたはず。
え?どういうこと?横島師匠の小竜姫様に対しての態度がおかしすぎるのは?
え?どういうこと?横島師匠、畑仕事してるとか言ってたよな。ここでまじで生活してるのか?妙にこの母屋生活感にあふれてるし……
……………
俺は思考を巡らせるが、もしやの答えしか出ずに、思考も俺のアイデンティティも崩壊寸前だ!
「はあああっ!?」
俺は思わず変な声を上げてしまった。
さて、大いに勘違いしてそうな八幡。
横島君と小竜姫様の関係は?