やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト

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㊿ドラゴンへの道、その6

小竜姫様と対峙する俺。

 

異界空間修行場の対戦場で、今から手合わせを行うのだ。

小竜姫様は、見てる分には東洋風ファンタジー系コスプレ美少女なんだが……

 

「では、参りましょうか」

小竜姫様から、凄まじい霊圧が放たれる。

 

「くっ」

流石は女神様ってところか、なんて霊圧だ。しかし、出会った時には一歩も動けそうもないという感じだったが、今は体が動く。

あの厳しい修行のおかげか。

 

俺は霊気を一気に霊力に変換し、身体能力強化を行い、さらに、霊気を体から放出し続け、霊視空間把握能力の準備を進める。

 

小竜姫様が、一気に俺の眼前に迫る。

「速い!」

 

そして、小竜姫様は掌底を俺の胸下辺りに放つ。

俺は両腕で受けつつ、威力を殺すために、上半身を逸らし、掌底の威力を体の外に逃がす。

俺は逸らした上半身の勢いを使い、その場で一回転し、サマーソルト気味に、小竜姫様の右肩口から首にかけて、蹴りを放つ。

小竜姫様は左に避け、難なくかわす。

 

しかし、小竜姫様は左に避けるのと同時に、下段回し蹴りを放ってきた。俺の着地際を狙われたのだ。

俺は体を無理やり傾け、腕から地面に着地し、側転のような受け身で、横に大きく飛びのく。

 

「武術もかなりの出来栄えですね。私の動きをよく見えてます」

 

「………」

全く気を抜けない。今のがギリギリだ。

俺は近距離は危険だと判断し、じりじりと後ろに下がり、間合いをあける。

凡そ、小竜姫様との間合いは15mといったところか。

 

「では、こういうのはどうでしょうか?」

小竜姫様はそう言って、腰の剣を抜き構え、その場で振り下ろす。

 

すると目に見えない霊力の斬撃が俺に向かって放たれた。

霊視空間把握能力が無ければ全く感知できない代物だ。

俺は、それを体捌きで避け切る。

 

そして、その攻撃が次々と角度や速度を変えて飛んでくる。

それらをギリギリ何とか避けきった。

 

「これも避けますか、霊視空間把握能力とはなかなかのものですね」

小竜姫様は感心したように言う。

 

俺はその間も油断なく小竜姫様を見据え、さらに、修行で成長した霊視空間把握能力を使い、小竜姫様の弱点を探ろうとする。

しかし、レベルの違いなのだろうか、小竜姫様の体全身に光を放つように見えるだけで、弱点や霊的構造が把握できない。いや、背中の一点のみに力の源のように強い力を感じる。

 

そこが弱点だろうか……いや、いやな予感しかしない。

 

「でも、これには大きな欠点があります」

小竜姫様はそう言うと、さらに霊圧を上げ、全身から霊気が嵐のように吹き荒れる。

すると、対戦場に満たされていた俺の霊気が吹き飛ばされた。

 

「これで、あなたの霊視空間把握能力は使えませんね。……?なかなか、あなたの周囲3メートルは死守したと言う事ですか」

小竜姫様はそう言って、感心したように頷いていた。

 

そう、この弱点は俺も知ってる。美神さんや横島師匠には何度となく指摘され、手合わせで同じように破られていたからだ。

だから、それを克服した。いや正確にはまだ改良中だ。ようやく実戦で使えるレベルになり、なんとか周囲3メートルは死守できるようになった。

異なる濃度の霊気を薄い膜状にして重ね合わせ、霊気の層を俺の周囲3メートルに作り上げたのだ。

これは最初に消費する霊気は多少大きくなるが、霊気の層のおかげで、霊気の拡散が防ぐことができ、結果的にはこの3メートルの間合いに関してだけは、霊気消費量は抑えることができるようになったのだ。

 

「では、その間合いでどこまで、出来るのか見せてもらいましょう」

小竜姫様は、先ほどの目に見えない斬撃を飛ばしてきた。

 

約15メートル離れた場所からの目に見えない霊力の斬撃は、俺の霊気が満たされていた先ほどまでは小竜姫様が放った瞬間から把握できたが、今は正確に判断するには俺の霊気の層の間合い3メートルのみだ。後は小竜姫様の剣を振り下ろすモーションで飛んでくる斬撃の角度やスピードを予測するしかない。

俺は、集中力を高め、凡その斬撃角度とスピードを予想し避けつつ、3メートルの間合いに入ってきた斬撃の正確な情報を得て、サイキックソーサーを盾に捌いて行く。

 

「勘、ではないですね。これをその状態で避けますか。頭脳もセンスもかなりのものを持ってますね。流石は横島さんの弟子と言ったところでしょうか」

 

「………」

集中だ集中。集中を切らしたらおしまいだ。これが神魔と人間の明確な差なんだ。

これが修練でなく、本当の死闘ならば一つ間違えば死ぬ。

 

「では、ちょっと本気を出してみましょう。覚悟はいいですか?」

 

「………」

俺は頷くこともできず、唾を飲み込む。

分かっていた事だが、先ほどまで小竜姫様は俺に合わせて手加減していたんだ。

本気とは……

 

とりあえず集中、集中だ……

 

 

「がっ!!」

 

俺は一瞬のうちに吹き飛ばされ、対戦場を囲む柱に激突していた。

 

「ぎりぎりで体を捻り、直撃を避けましたか」

 

何が起きた!一瞬小竜姫様が光ったと思ったら、既に俺の霊気の層の間合いの中だった。

反射的にサイキックソーサーを強化し、体を捻るのがやっとだった。

多分、超スピードによる攻撃だろうが、目では全く見えなかった!

 

俺は柱に手をつき、辛うじて、立ち上がる事が出来たが………今のは対処がしようがない。

俺の意識が辛うじて感じる程度の一瞬の出来事だ。考えて対処できる間も無い。

 

 

「それでは、もう一度」

小竜姫様は構える。

 

 

もっと集中、集中だ!来る!!

 

 

え?……

 

 

「!?今のは!」

小竜姫様は驚いたように俺の方に振り向く。

 

俺は地面にしりもちをついていたが、小竜姫様の超スピード攻撃を避けていたのだ。

 

先ほどとは違っていた。

小竜姫様が一瞬光ったのまでは一緒だ。

俺の間合いに入った瞬間、小竜姫様の動きが先ほどと違って、コマ送りのように感じることができたのだ。俺は避けようと意識するが、それでも体はついて行けないと思ったが、何故か避けることができた。

 

そして、俺の目の前には黒い霧のような塊が漂い、一塊の雲となり集合していった。

シャドウだ!

形は異なるし、サイズは随分小さいが、さっき石舞台の召喚陣で顕現させたものと同じだ。

なぜ?石舞台の結界陣の外なのに、なぜ俺のシャドウが顕現されてるんだ?

しかし、今の……たぶんこのシャドウが何かしたんだ。

 

「……ふう、それがあなたの新しい力と言う事ですか。比企谷さん」

小竜姫様は、剣を鞘に納め、俺の方へ歩む。

 

「おお?面白そうな能力だな。それ」

横島師匠も俺の方に歩いてくる。

 

「あの、シャドウが勝手に……。どういう事なんですかね。俺、召喚陣や術式なんて知らないし」

 

「まあ、シャドウは本来、自分の内面を具現化したもんだからな、それを理解すれば、出し入れできる。しかし、どうやらそう言う理由じゃないようだな……八幡、霊視空間把握能力を解除しろ」

 

「あ、はい」

俺は横島師匠に従い、霊視空間把握能力を解除する。

すると、シャドウも消えてしまった。

 

「やはりな……」

「そういう事ですか」

横島師匠と小竜姫様はアイコンタクトを取り頷く。

 

「どういうことですか?」

 

「八幡の霊視空間把握能力は自分の霊気を空間に満たして出来てる。さらに、改良し、相手の霊気や霊圧に屈しないよう霊気の層を作り、その内部は八幡の霊気が満たされているわけだ。いわば霊気の結界のようなものだ。シャドウとは霊気、霊圧、霊格、心が具現化したものだ。お前が作ったこの霊気の結界はいわば、お前の霊気構造の一部と言っていいだろう。

先ほど、シャドウを無理やり、召喚陣で呼び起こした影響だろう。

限定的ではあるが、お前のその霊気の層で作りだした霊視空間把握能力の中で顕現できるようになったようだな」

横島師匠の話から、どうやら、霊視空間把握能力の霊気層3メートル範囲の中限定でシャドウを顕現できるようになったようだ。

 

「え?そんな事が……それもそうなんですが、何故か小竜姫様の動きが少しゆっくりに見えたんです」

シャドウの件もそうだが、小竜姫様の動きが若干遅くなったように見えた。

 

「私はそのシャドウが現れるのを確認し、シャドウごと比企谷さんを薙ぎ払うつもりでした。しかし、シャドウに触れたと同時に、若干の抵抗を感じました」

 

「俺は外から見たので、よくわかりましたが、八幡の影から現れたシャドウが小竜姫様に立ちふさがりました。防御したというよりは、シャドウに触れた小竜姫様のスピードが一瞬緩くなったように見えました」

 

「なるほど、エレメント系のシャドウにそういう特殊能力がある事は聞いたことがあります」

 

「でも師匠、俺はそれでも小竜姫様のスピードを避けれる気がしませんでした」

俺は一瞬コマ送りのように見えた小竜姫様の突進にわずかに体が反応したのみだった。

完全に避け切るタイミングではなかった。

 

「俺の予想では八幡のシャドウが小竜姫様に触れることにより、小竜姫様のスピードを緩める事はできた。しかし、小竜姫様の霊力と突進力に負け、霧散したんだ。その反発力で八幡は吹き飛んで避ける事ができた。偶然避けれたようなもんだ」

 

「そういうことでしたか」

小竜姫様は横島師匠の意見に納得する。

 

「根本の能力はわからないですが、小竜姫様のスピードが落ちたのは事実です」

 

「とりあえずは、検証が必要そうですね」

 

小竜姫様と横島師匠はこのシャドウについて色々と話し合っていたが、実際に俺のシャドウを出して検証してみることにした。

結果わかったことは、やはり霊視空間把握能力の3メートル範囲の霊気の層内でのみ、シャドウを顕現させることができるということ。シャドウ自体は闇属性のエレメントタイプであること。出来ることは触れた相手の相対速度を遅くすること。シャドウ自身防御力が高いわけではないが、この霧状の体のおかげで相手の攻撃が効きにくいようだ。

シャドウが石舞台の召喚陣で顕現させた時に比べ、形とサイズが異なるのは、まだまだ、不完全な状態であるからだそうだ。今はこんな申し訳程度の能力しかないが、俺次第で、成長するとの事だ。

 

それよりも、横島師匠と小竜姫様は俺の霊視空間把握能力の改良版である。霊気の霧散と拡散を防ぐ、3メートル周囲の霊気層を褒めてくれた。

小竜姫様が、この3メートル周囲の霊気層を霊視空間結界と名付けてくれた。

限定的だがシャドウが顕現するのも、この霊視空間結界あってのことだと。

 

この後、しばらくシャドウの検証を1人で行う。

小竜姫様にはシャドウに名前を付けるように言われたな。

そうすることで、より一層シャドウとの結びつきが強くなるとの事だ。

シャドウか、俺も限定的だがスタンド使い、元い、シャドウ使いの仲間入りだ。

何か、かっこいい名前を付けてあげたい。

 

闇のエレメントで黒い霧が集まった雲みたいな形だしな……

 

「我が定めし運命に従い顕現せよ!!ダーク・アンド・ダーククラウド!!」

俺はポーズをとり、空に向かって手を掲げ叫ぶ。

うむ…決まった…な……

 

「八幡夕食だぞと……お前なにやってんの?中二病がまた発病した?」

急に俺の後ろから横島師匠が声がかかる。み、見られた!?

 

「………横島師匠いつからそこに?」

俺は多量の冷や汗を流しながらギギギと首を後ろに回し、横島師匠に尋ねる。

 

「ぷくッ、『我が定めし運命に従い顕現せよ!!ダーク・アンド・ダーククラウド!!』て、ところだな。ぷくッ!」

横島師匠は笑いを堪えながら、俺の物まねをする。

 

「これはその、あのー、そのですね」

全部じゃねーーーか!!全部見られた!!ど、どうする!!

 

「あーーはっははっはーーーー!!八幡、お前時々あるよなそれ!!ぷくくくくくッ!それ雪ノ下ちゃんや由比ヶ浜ちゃんが見たらどう思うよ!!」

 

俺は横島師匠の真正面に立ち、両肩を思いっきり掴み、横島師匠の顔から視線を外しながら、低い声で早口に言う。

「今の忘れてください。……その二人には絶対言わないでください。人生終わってしまうんで」

 

「お、おう」

横島師匠はわかってくれたようだ。

絶対だぞ、絶対だからな。言ったら泣いちゃうからな。

 

 

この後、夕食には小竜姫様お手製のお節料理をふるまってくれた。

折角ふるまってもらったのに、先ほどの事で、何を食べたのかも記憶に残らなかった。

そういえば、今日元日だったな。

 

横島師匠や小竜姫様に褒められたのはうれしいし。

新しい技も認められ、限定的だがシャドウも使えるようになった。

すばらしい日になるはずだったのに。

 

最後、すべてが台無しに。

俺はその日の夜。布団を頭まで被り、恥ずかしさに悶えていた。




八幡の修行の結果

霊気、武術、五感、全体的にパワーアップ。
サイキックソーサーや霊波刀もバージョンアップしてる。

八幡の固有特殊能力パワーアップ

霊視空間把握能力
自分霊気を場に満たすことによって、霊気が満たされた場に入った相手の動きが正確に把握できる。ある程度の霊視も可能。
今回の修行で霊視部分がパワーアップ
相手の霊的構造体を把握できるようになり、単純な相手の弱点を見ることができる。

霊視空間結界(霊視空間把握能力の上位バージョン)
3メートル範囲に霊気層を作り、霊気の拡散の霧散を防ぐ。
霊気量消費を抑える。
副産物として、その範囲内であればシャドウが使える。
シャドウは今の所、相手の動きを遅くできるの力を持つ。
攻撃が効きずらい特性がある。
また、若干だが防御や攻撃も出来る。



八幡の現在の強さは文殊獲得直前の原作横島くん位かな?
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