やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。 作:ローファイト
誤字脱字報告ありがとうございます。
今回、かなりのボリュームになったので、前後編に分け、一気に投稿します。
話の流れ上、前はかなり短いです。
1月3週の日曜日の朝。
俺は早朝から家を出て、今、東京のとあるビルに向かっている。
元旦を迎え、そして成人式が終わり、年始めの大きなイベントは大方前半で既に終わりを告げた。
成人式とは、大人の仲間入りとなる節目の儀式の一つだ。
世間では、お祭りか何かと勘違いし、暴れまくり迷惑行為を行う若者も見受けられる。
あれはいったい何なのだろうか?大人の仲間入りを果たす場にも関わらず、わざわざ自分が稚拙な存在ですと晒す行為は……全く矛盾である。
しかし、20歳となり急に大人というカテゴリーに組み込まれ、何が変わるのだろうか?
酒が飲める?刑罰の違い?選挙権の有無?
大人とは世間に対し責任を持つ人間の事と定義してる文言をしばしば見ることが出来るが、そもそも世間に対する責任とはなんだ?
美神令子23歳
横島忠夫19歳
氷室絹18歳
美神さん23歳は果たして大人なのだろうか?
いや、確かに体は大人だ。プロポーション抜群だし、美人だし。しかし性格は最悪だ。世間に対し責任?何それ?って感じなのだ。俺の給料とかちょろまかそうとするわ。税金ちょろまかそうとするわ。世間では言えないような事をへっちゃらでするわ。まだ、素人だった俺を妖怪妖魔の巣に落としたり、何も知らない俺を餌にして妖怪をおびき寄せたりと、やりたい放題だ。世間でバレたらどんなことになるのだろうか?
横島師匠19歳、この人は来年成人式を迎えるはずだが、無事に大人になれるのだろうか?
この人が大人なイメージが全くわかないのだが。
確かにたまにキリっとした時もあるのだが、普段はとんでもない行動しか起こさないのだ。
ちょっと待てよ。20歳になると下着泥や覗きがギャグでは済まされないという事か?刑法的には立派な犯罪者だ。まあ、19歳でも十分犯罪だが……
流石に師匠が犯罪者とかは勘弁してほしい。あの人に十分言い含めよう。いやキヌさんに手伝ってもらって、説教をしよう。
キヌさん18歳、なんかいい。18歳のキヌさんとか……それだけで惚れてしまいそうだ。アレ?
キヌさんは誰もが思う世間で言う立派な大人だ。もはや聖母レベルで真面目で心優しく。ひたむきなのだ。
悪いことなどは絶対できないのだ。
この、最低な二人と最悪な環境で良く自分を見失わないで、ここまでの性格を維持できたものだと素直に感心する。
そう、年齢で大人のボーダーラインを引くのは間違っていると俺は思う。
精神鑑定の上、大人か子供かを決めた方がいいのでは、そうなると横島師匠と美神さんは一生子供のままなのかもしれない。
まあ、成人式とは、大人とはそう言うものではない。
とりあえず、その年になれば責任を持てよという、一種の枷なのだ。
世の中には何事にも線引きが必要だ。
そこに個人の性格やら私情は一切入らない。そうしないと世の中が回らないからだ。
そんなこんなと思考しながら、寒空の中、コートを着込んで歩き、とあるビルに到着する。
日本GS協会本部ビル。
俺は美神さんから業務命令を受け、ここにサイバーオカルト対策講習を受けに来たのだ。
昨年の10月末頃から、千葉で起こった若者の精神暴走事件は、オカルトが絡んだ事件だった。
何者かがネットを使って、精神暴走を起こす術式をばら撒いたのだ。
未だその犯人は捕まっていない。
この事件を重く見た政府は、政府主導でオカルトGメン及びGS協会と共に新たな対策とその資格制度の整備を行う事を決定した。
それの先駆けとして、このサイバーオカルト対策講習が開かれたのだ。
これに参加できるのはGS資格者だけではない。警察や自衛隊、各公官庁の人間やネット会社やプログラミング会社などなど。
優秀な霊能者は慢性的な人手不足。霊能者でしかもネットの知識をプログラミングレベルで習得してる人間などほぼ皆無だ。そんな中でも、サイバーオカルトというジャンルを何としても確立したいという政府は、GS資格者とは別にサイバーオカルト対策が講じられる技術者としての人材を確保しようと動いているのだ。
今回は午前、午後の部で300人づつが参加する。
大々的に公募していないのにかかわらず、あまりにも応募が多かったため、2次、3次講習も後日開かれるらしい。
それはそうだ。ネットで商売してる企業にとって、これらの法整備に興味を持たないわけがない。
しかも機密保持のため参加者は全て、政府対策委員の書類審査を受けた上での参加なのだ。
まあ、俺の場合はGS協会所属してるし、あの事件にも関わったしな。
キヌさんも参加したかったそうだが、大学受験を控えてる時期でもあり、今回は諦めて、次回に参加するらしい。
受講票を持って、GS協会ビル7階の大会議場へ
受付で俺の受講番号を見せる。
すると、受付の女性が手元の書類と俺の顔を交互に二度見て、大きく目を見開く。
どうやら、何かに驚いているように見える。
何だ?何か手続きに不備でもあったのか?
「比企谷八幡さんですね」
しかし、女性はすぐに、元のにこやかな表情に戻り、俺に個人を証明するネームプレート2枚と資料やらテキストやらを手渡してくれた。
どうやら、受付の手元資料に経歴書のような物があるみたいだ。
ネームプレートの裏にも書かれているが、俺の参加資格が、GS協会会員だけでなく。美神令子除霊事務所所属CランクGSにオカルトGメン機構役員東アジア方面管理官美神美智恵氏推薦とGS協会六道会長推薦まで書かれてるのだけど……、何そのごつい肩書からの推薦。そりゃ、受付の女の人も俺の顔を二度見するよな。しかもそれが、ボッチ臭を漂わせる高々高校生だったらなおさらだ。
俺は会場に入る。席は指定されておらず、自由に空いてる席に座って良いらしい。
会場の席は結構詰まっている。まあ、俺が来たのは講義開始10分前だしな。受け付けは30分前には始まってたし、致し方が無い。
既に、自衛官やら警察官の制服組の人たちが前の方に座って陣取っていた。空いてるのは後ろの方か……
俺は適当に後ろの方に空いてる席に座り、周りの人たちに倣い、受付で貰ったネームプレートを机に立て、鞄を椅子下に置く。
俺はサインペンなどの筆記用具を用意してると……
「あら、偶然ね比企谷君」
横から不意に女性に話しかけられる。
その声はよく聞きおぼえがある声だったのだが……
後編は直ぐに投稿します。