やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。 作:ローファイト
誤字脱字報告ありがとうございます。
やりたかったギャグ回。
遂に来た!三学期編を始めるにあたって、この話は最初から決まってました。
しかし何故か長くなって、前後編に?なぜ長くなった?
放課後の奉仕部。
今日もゆったりと時間が流れ出す。
雪ノ下は何時ものように窓際の席で、猫のブックカバーを背にした文庫本を開き、淑女然とした姿勢で読んでいる。
雪ノ下から一人分離れた席で由比ヶ浜は、ノートを開き教科書とにらめっこをしている。
最近の由比ヶ浜はだいたいこんな感じだ。二学期前半までの風景とは随分異なる。
由比ヶ浜が取り組んでいるのは、今日出された宿題と、雪ノ下が選んでくれた参考書だ。新学期に入り、どういう心境の変化なのか由比ヶ浜は真剣に勉強に取り組むようになった。しかし、今までさぼってきた分を取り戻すのに、かなり苦労してるようだ。
分からない事があれば、隣の雪ノ下に聞いていた。まあ、下手な塾に行くよりは、この環境は由比ヶ浜に合っているだろう。
しかし、変わったのは由比ヶ浜だけではない。見た目は変わっては無いが、雪ノ下が今読んでいる本は、単行本サイズのGSに関する参考文献だ。雪ノ下もどういう心境の変化なのかわからないが、先日サイバーオカルト対策講習を受けに来たのだ。
そこで発表された一年半後に施行される国家資格試験を受けるつもりらしい。手始めにそれほど難易度は高く無いと思われる、半年後に実施されるオカルト事務管理資格者認定試験を受けると言ってたな。霊能力がない雪ノ下にとって命の危険が上がる選択だと一応止めたのだが……なんだかんだと言って、雪ノ下は姉の陽乃さんの手助けをしたいのだろう。まあ何にしろ雪ノ下が親の方針とは異なる自分自身で定めた目標を作る事は、雪ノ下にとっていい傾向だろうと思う。
ただ、気になる事と言えば、雪ノ下はどうやらキヌさんと頻繁にコンタクトをとっているらしいという事だ。人見知りでボッチ体質の雪ノ下が自らの意思で、人と接するのはいい事なのだろうが……その相手が、よりによってキヌさんなんだ?まあ、わからんでもないが……キヌさん程、出来た人間はいないだろうしな。完璧主義者の雪ノ下のお眼鏡にかなったのだろう。
俺はというと、相変わらず、ラノベを読んでいる。俺だけが変わっていない。
俺にとって、この場所はリラックス空間なのだ。GSという精神的にも肉体的にもきつい仕事をしてるのだ。そんな俺にはやはり癒しは必要なのである。
依頼が無い奉仕部は、誰にも邪魔されずに読書ができる人目を気にすることが無い図書室のようなものなのだ。
本物の図書館や図書室は静かではあるが、何かと人も多いし、雑霊とかも集まりやすい。結構気になる事が多い。それに比べ、ここは雪ノ下と由比ヶ浜だけだ。別に今更何かを気にするような間柄ではないし、あいつらはあいつらで、静かに自分がしたい事をやっていて、俺の読書に干渉してこない。しかも、この頃、温かくてうまい紅茶も自動で出てくるのだ。
本末転倒ではあるが依頼のない奉仕部は俺にとって望ましい姿なのだ。
そんな癒しの空間に、招かれざる珍妙な客が現れる。
「たのもー!」
扉の向こうから妙な掛け声が聞こえるが、誰一人それに答える者はいない。
「たのもー!」
「たのもー!」
それでも、めげずに掛け声をかけてくる。
それでも誰も取り合わない。
「ぐぬぬぬぬ。我が来たのだぞ!そんなに我を無視するとは、さてはこの我を恐れての所業か!」
さらに仰々しい物言いが聞こえてくる。
「……比企谷君。あなたの案件よ」
雪ノ下はついに我慢しきれずに、俺に声の主の相手をするように言う。
「我って誰だよ。そんな奴は俺は知らない。要件が無ければ帰れ」
俺はしぶしぶ、扉の向こうの声の主に応対する。
こいつが関わると面倒な上に、かなりどうでもいい依頼を持ってくるからな。早々に追い返した方が心の安寧を保てる。
とうとう、扉の向こうの声の主の男は我慢しきれなったのだろう。返事を待たずして扉をガラリと開け部室に入ってきた。そして屋内なのにベージュ色のロングコートを羽織り、指ぬきグローブを嵌めた手で、わざわざそのコートをバサッとはためかせ、決めポーズをとって暑苦しい笑顔を俺に向けてくるのだ。しかも、四角い眼鏡が何故か、一瞬煌めく。
「けぷこん、けぷこん。笑止千万!八幡よ。我に恐れをなしたか!」
うむ。こいつは、通常運転のようだ。よく恥ずかしげもなく、そんなわけが分からん言い回しと恥かしいポーズが取れるな。
同族とは思われたくない人物の一人だ。
「材木座なんだ?またあのパクリ小説を持ってきたのか?」
そう、こいつは2年C組材木座義輝。同じ名前である戦国時代の剣豪将軍と呼ばれていた足利義輝をリスペクトし、そのキャラ設定オマージュしているのだ。その時代がかった高圧的な訳が分からん言い回しは、そこから来ているのだ。そしてこいつは中二病だ。重度のな。何らかのアニメの影響なのか、春夏秋冬その暑苦しいコートを羽織り、指ぬきグローブを嵌めている。夏になると本当に暑苦しい。本人も中年太りのような体格もあって、汗ダラダラと掻く癖に、その暑苦しいコートを脱ごうともしないのだ。
こいつは、かなりの頻度で奉仕部に現れ、依頼と称して、自作のラノベを俺達に読ませ、その批評させるのだ。
文脈も何もない意味が分からないラノベを延々と読まされるのに、最近は俺も雪ノ下も疲れてきてるのだ。由比ヶ浜は、最初から読む気が無いから、そうでもないようだが、何かと材木座を無下に扱う。まあ、俺も大概だがな。それでもめげずにラノベを持ってくる根性だけは、感心する。
「パ、パクリ!?ふはははははっ、今日はそのような些末な要件で来たのではない!」
こいつ、自分で自作ラノベを些末なものとか言っちゃってるよ。
「じゃあなんだ?」
「そ、それは……」
ん?なんだ材木座の奴、足がめちゃ震えだしたんだが、なんか顔色が悪いぞ。どんどん青ざめてるし。
「どうした?」
「我、見ちゃった」
「何をだ?」
「ゆゆゆゆゆゆ幽霊!!」
しまいには全身をガタガタと震わせ、顔面から汗を垂れ流す材木座。
その材木座の発言に、雪ノ下と由比ヶ浜はピクリと反応し、雪ノ下は本のページをめくる手を、由比ヶ浜は解答を書く手を止めてしまった。
「材木座、お前。遂に白昼夢を見るようになったか」
「はちまーーーーん!!我が我が、霊感強いの知っておろう!今回はモロに見えちゃったんだーーーい」
材木座は涙をちょちょ切らせながら、椅子に座る俺の足に縋りつく。いちいちオーバーな奴だな。
しかも、キャラ設定が崩壊してるぞ。
「知らん」
俺はそう言って否定したが、材木座は霊感が普通の人よりもかなり強いのは確かだ。
こいつとの出会いは、それに関するものだった。
1年時に、とある事がきっかけで、俺は材木座と知り合いとなったのだが、それが霊感がらみだった。
他クラスとの合同体育の授業中、俺がちょっと雑霊が多いのが気になり、他の人には何もない空間をジッと見据えていたのを材木座に見られ、霊感の強い材木座もそれに気が付いたらしく、俺を勝手に霊感が強い同族だとみなし、それ以降付きまとわれるようになったのだ。
いや、どっちかというと、雑霊よりも、材木座の方が迷惑なんだが……
雑霊は別に問題起こさないし。
因みに俺は奴にはGSだとは伝えていない。伝えると厄介な事になるに決まってるからだ。
「はちえもーーーーん!!我は確かにこの目ではっきりくっきりと見たの!わわ我のクラスに、ししししし白いドレスを着たゆゆゆゆ幽霊を!!」
涙をちょちょ切らせながら必死に訴える材木座。
「おまえ、妄想と現実が混同してるんじゃないか?一度病院に行った方がいいぞ」
俺は一応否定はしているが、霊感の強いこいつの事だ、たまたま学校に紛れ込んだ思念が強い浮遊霊か何かが見えたのだろう。
幽霊は生前の思いや思念が強いと、見えやすい。霊感がある人間には特にだ。
思念が強い霊は、何かに固執してる霊であることが多いため、地縛霊などにその傾向が強いのだ。
因みに総武高校には地縛霊は存在しない。地縛霊なんていたら、俺の霊的に良すぎる目に見えないはずがないからだ。
「ひどいでおじゃるーー!!」
もはや、元のキャラ設定のかけらも残ってないぞ材木座。
そんな材木座と俺のコントを、由比ヶ浜は興味しんしんに聞き耳を立て、雪ノ下は恐々といった感じで手を止め聞いていた。
そこに、部室の扉をノックする音がする。また来訪者のようだ。
こんな話の後だ、材木座は俺の後ろにとっさに隠れ、雪ノ下はまたしてもビクっとしていた。
「どうぞ~」
ノックの主に由比ヶ浜が返事をする。
ガラリと扉が開き。
「先輩方、こんにちはです」
「いろはちゃん、やっはろー!」
「い、一色さん、こんにちは、何かしら」
由比ヶ浜は何時もの挨拶で、雪ノ下は生徒会長の一色いろはを見てホッとした表情をし、少々不機嫌そうに挨拶を返す。少々驚かされたことに不満だったのだろう。
「うす」
俺も会釈程度で返す。
「せんぱーーい!ピンチです。助けてください」
そんな次なる来訪者の一色は、俺の方に顔を向け、突然泣きまねをしだし、俺の方へ駆け寄ってくる。
「知らん。自分でやれ」
俺は一色を冷たくあしらう。
此奴の事だ、どうせ雑用で俺を使い倒そうという算段に決まっている。
もう、その手にはのらん。
「そうだ。我が先だぞ。似非(エセ)めぐりん」
材木座も俺の背後から、顔だけをだして一色に抗議する。
ぷっ、なにそれ材木座。ナイスたとえ!俺は思わず吹き出してしまった。
確かに一色のゆるぽわ系に可愛らしく見せるあざといキャラ作りは、前生徒会長の元祖天然癒しゆるぽわ系の城廻先輩にはかなわない。養殖物は天然ものにはかなわないのだ。
「中二先輩は黙っててください」
一色は材木座を睨みつけ、冷たく言い放つ。
材木座は睨まれた蛇のごとく。再び俺の背後に隠れる。
あの、君たち。材木座の扱いが酷くないですかね。そんなに悪い奴じゃないよ。確かにうざいし、暑苦しいし、文章は壊滅的だが。
「違うんです先輩~」
一色はあざと可愛く俺に上目遣いをする。
何が違うのかわからないが、多分何時もの雑用の要件とは異なると言いたいのだろう。
「はぁ、それで何の用だ?」
「実はですね。先週からちょっとした事件が校内で起きてまして、生徒会が調べることになったんです」
「それを手伝えと?俺は生徒会でも何でもないぞ。正式な依頼なら、うちの部長に相談しろ」
「むー、先輩この頃、私に冷たくないですか?わかりました」
そう言って、一色は雪ノ下と由比ヶ浜の前に行き、近くの椅子を引っ張り出し座る。
「雪ノ下先輩、さっきの話、生徒会から正式に依頼していいですか?」
「内容によるわね。学生の範疇に収まらないような内容であれば、教職員に相談した方がいいわ」
「はい、一応教頭先生に相談したんですけど。奉仕部に協力してもらえと言われたんです」
なるほど、一応の手続きをした上で、ここに来たんだな。何だかんだと成長してるな一色の奴。しかし、なぜ教頭がわざわざ奉仕部に頼めといったのだろうか?
「それならば、学内で収まる程度の事件なのかしら?」
「生徒が怪我したとか、いじめられたとか、何か盗まれたとか、そう言うのじゃないんで」
「実質被害が無いのね」
「いえ、被害はあるにはあるんですが……」
一色は言いにくいのか、口ごもっていた。
「一色さん。内容がわからない依頼はうけられないわ」
「はい、そうですね。……先週の初めなんですが、華道部が活けていた生け花の作品の、白い花だけを全部抜かれる事件が起きたんです」
一色は意を決したように内容を話始める。
「誰かの悪戯って事かしら?」
「酷いね」
雪ノ下と由比ヶ浜は相づちを打つ。
「そうかもしれないです。でも、おかしいんです。華道部の部長さんが帰るときにはちゃんとカギを閉め、担当の先生に返してるんです。翌日に部室に入る前も、ちゃんとカギはしまってて、窓とかもちゃんとしまってたんです」
「密室事件って事かしら?」
「そうなんです。誰かが入ったような跡も見当たらないんです」
「その捜査の手伝いをすればいいのね」
雪ノ下は難事件を解決したいという探偵の気分なのだろうか?何故かやる気満々でそう返答する。
「なんかおもしろそー!」
由比ヶ浜も同じようだ。
「依頼はOKってことでいいですか?」
「ヒッキー、なんか面白そうだしやろうよ」
「わーったよ」
まあ、大方誰かの悪戯だろう。たまにはこういうのも良いだろう。二人ともやる気満々だしな。
「満場一致ね。いいわ一色さん。その依頼受けるわ」
「ありがとうございます。先輩達ならそう言ってくれると思ってました!生徒会の先輩方は気味悪がって、参加してくれなくて」
一色は、ホッとしたような表情をしてから、こんなことを言う。
「どういう事かしら、一色さん」
雪ノ下はそんな一色に訝し気に聞く。
「この事件には続きがありまして……華道部で抜かれてなくなった白い花の一本が、翌日の朝の1年D組で、花びらを全部抜かれて、床に散らばってたんです」
「……犯人はかなり性格がねじ曲がってるようね」
雪ノ下は吐いて捨てるように言う。
「その次の日は1年B組、そのまた次の日は3年F組、週明けの昨日は2年C組で、同じような事が起きたんです」
「何だか、本当に気味悪いね」
「許せないわね。犯人は面白半分でやってるのでしょうが」
由比ヶ浜は気味悪がり、雪ノ下は犯人に怒りを覚えたようだ。
そこで、材木座が急に震えながら声を上げたのだ。
「そそそそそれだーーー!わわわわわ我は見っちゃった……昨日の19時に、白いドレスを着た幽霊が教室で白い花を一心不乱にむしってたーーー幽霊がをををををーーーーーーーぁああああああ!!我、呪われるのか?呪われちゃう?助けてーーーーーはちえもーーーーーん!!」
材木座は発狂し叫び出し、俺に縋りつく。
「材木座、落ち着け、それはお前の妄想だ」
「……先輩、それが、その中二先輩と同じような事を言ってる人が何人も居るんです。皆白いドレスを着た幽霊が、教室で花を毟ってたと……。19:00は部活の最終下校時刻じゃないですか。部活帰りに教室に忘れ物を取りに行った時とか、問題の教室の前を通って下校しようとしたら見たとか……」
一色はそう言いながら、自分の体を抱くように腕を組み眉をひそめていた。
「ヒッキー、それってやっぱり……」
由比ヶ浜は俺の方を振り向き、目配せをしてきた。俺はそれに大きく頷いて見せる。
本当に幽霊の可能性が出てきたな。しかし、何人も見てるという事は、霊感が無くても見れるレベルの幽霊か、そうなるとただの霊じゃないな。かなりの思念を持った存在だ。白い花に対し何らかの怨念をいだいているのか、かなり執着してる。見た人間が呪われたり、襲われてないところから、悪霊にはなっていないが、それも時間の問題だ。もし本当に幽霊の仕業だったのなら悪霊化する前に解決した方がいいな。
まあ、まだ、悪戯という線も全然捨てきれてないがな。
俺は霊視能力をフルに発揮し、ここから、2年C組を霊視をする。
……霊気の残滓は残っていない。
悪戯の可能性の方が高いか……
いや、地縛霊以外で、この学校の敷地外から何らかの理由でその時間になれば現れる浮遊霊という事も考えられる。
浮遊霊がそんな怨念レベルの思念を持つパターンとして、悪意ある何かに引き寄せられるパターンや、誰かが意図的に浮遊霊を悪霊化させてるパターンが多い。
もし、幽霊だとしても、まだ悪霊化はしてないようだ。
「…………」
俺は雪ノ下の方をちらりと見る。雪ノ下は青ざめて沈黙していた。
おい、そんな調子で良く、オカルト系の資格を取ろうとしたな。
「先輩、どうしたらいいですかね。教頭先生は、先輩達に頼んでみたらいいって言ってましたけど、本当に幽霊だったら、怖いですし、いくら何でも……すみません。やっぱり、もう一度、教頭先生に話しますね」
一色は申し訳なさそうに、そう言って、俺達に頭を下げて、部室を出ようとする。
一色、意外といい判断するようになったじゃないか。本来ならばそれが正解だ。
それにしてもあのハゲ教頭め、俺がGSと知ってて、俺に押し付けたな。本当にオカルト事件で学校側で対処しようとすると、プロのGSに頼まないといけないだろう。そして金がかなりかかるからな。新年度の予算編成の時期だ。本当に幽霊の仕業なのかよくわからない事で、余計な出費をだし、来季の学校の行事プログラムに影響がでないとも限らないしな。
まあ、内容が内容だけに、誰かの悪戯だろうとは判断したのだろうが、万が一も考えて、俺が居る奉仕部に頼めと言ったんだな。
そう言うところだけは、計算高いなあの教頭は!
そう言えば、こういう面倒な話は平塚先生の担当なはずだが、なぜ直接教頭に一色は相談したんだ?
「あれだ。幽霊だと決めつけるのは早いんじゃないか?霊能者じゃないのに、幽霊がそんなにくっきり見えるのもおかしいだろう。多分誰かのいたずらだろう。幽霊に模した。まあ、乗りかかった船だ。俺たちの方で調べておく。ご丁寧に毎日19:00に現れるしな。今日にでも解決できるんじゃないか?」
確かに幽霊の可能性がある。
ハゲ教頭に乗せられるのは癪だが、一色の成長した姿を見るとな。
俺は一色を安心させるためにそう言って、この依頼を俺一人で解決しようと決める。
「え?先輩良いんですか?」
「まあ、後は俺にまかせろ」
「先輩?なにカッコいいこと言ってるんですか?はっ!もしかして、それは私に対して男らしさアピールですか!一瞬カッコいいとか思っちゃいましたけど、よく考えると先輩ですし、まだちょっと、ごめんなさい」
なんで俺は告白も何も言ってないのに、毎回お前に振られるんだ?
「はぁ、もうなんでもいい。俺の方で対処しておくから、お前は生徒会の仕事を終わらせて、とっとと帰れ」
「そんなわけにはいかないですよ。元々生徒会の仕事ですし、私も一緒に行きます先輩」
おい、なんでそこで真面目になるんだ一色。正直言って邪魔なんだが。
「もちろん。私も残るわよ比企谷君。奉仕部の部長として、見過ごすわけには行かないわ」
雪ノ下は恐々としながらも、平静を装っている。雪ノ下はGS関連の資格を取るならば、もうちょっと幽霊とかに慣れた方がいいぞ。
「ヒッキー、私も何か手伝わせて」
由比ヶ浜は珍しく、真剣な顔で俺に言う。なんだか、らしくないな。
俺一人の方が楽でいいのだが、まあ、こいつらの前で霊能を発揮しても問題ないしな。まだ、霊の仕業とは決まっては無いが、仮に霊だった場合は、こいつらを即退避させればいいか。霊だったにしろ、浮遊霊に毛が生えた程度のEランク未満の仕事だ。こいつらに危害は及ばないだろう。
雪ノ下には少しはGSの勉強の足しにもなるだろうしな。
「わーーはっはーーー!!幽霊など恐るに足らん!!この剣豪将軍材木座義輝が成敗してくれる!!」
何こいつ、さっきまで震えていたのに、急に元気になりやがって、……いや、足がめちゃ震えてるし、ノリで言っちゃったんだな。
しかし、お前は邪魔だ。とっとと帰れ。
という事で、何故か奉仕部+一色と材木座で、幽霊の仕業かもしれない事件を解決しに行く事に……
先に言っておきます。ギャグ回です。今の所ギャグは少な目ですが、必ずギャグ回です。
後半へ続く。
材木座義輝……めちゃいいキャラですね。
因みに「けぷこんけぷこん」とか「ゴラムゴラム」とか、あれ咳払いらしいですよ。
中二病が過ぎてしまい。そんな事に。
週末には投稿したいですが……ちょっとスケジュール的に厳しいかもしれません。