やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。 作:ローファイト
誤字脱字報告ありがとうございます。
調子に乗って連続投稿しちゃいました。
……ごめんなさい。
美神さんのあまりの攻めに、ちょっと壊れかける陽乃さん><
これだけを先に言っておきます。
遭難仕掛けた俺達は、雪崩に流された先に偶然あった旅館に駆け込む。
しかし、その旅館は罠だった。
そこで、雪ノ下と会うが、美神さんが現れ、俺は意識を持って行かれた。
これは美神さんが仕掛けた罠だった。雪崩さえも、そう最初からすべて罠だったのだ。
俺達をこの旅館に誘導するために、そして陽乃さんを陥れるための。
そう、雪ノ下達は美神さんに温泉旅行の件を話してしまったのだ。
俺は美神さんだけにはこの件は話したくなかったのだ。
美神さんはどうやら陽乃さんに対して腹に据えかねていた。
しかし、バックには美智恵さんが居るため容易に手出しができない。
そして、この機会を得たのだ。美神さんはきっと、とんでもないことを考えているに違いない。
目を覚ますと、霊能力を封印され、しかも鉄球を取り付けられていた。
陽乃さんも、鉄球こそなかったが、霊能力の封印を施されていた。
美神さん本人がディスプレイ越しに登場し、ここが訓練所だと告げる。
俺達になんだかんだとこじつけ、訓練を無理矢理受けさせられることになった。
なんでも、3つの試練とかいうのを用意してるらしい。
「看守員の二人!訓練生にアレを渡しなさい!」
美神さんがディスプレイ越しにそう言うと、扉が開き、看守員姿の雪ノ下と由比ヶ浜が現れる。
「雪乃ちゃん……やってくれたわね。まさか、美神令子をバックに付けていたなんてね。甘く見たわ」
陽乃さんは近づいてきた雪ノ下を一睨みしてそう言った。
「姉さん……私は本気よ。比企谷君は渡さないわ」
雪ノ下はそう言って、陽乃さんの首から、何か布製の小袋を吊り下げた。
「ヒッキー……ごめんね。まさか、ヒッキーもこんな事になるなんて」
由比ヶ浜は謝りつつも、俺の首から陽乃さん同様、何かの布袋を吊り下げる。
何か甘い匂いがするなこの袋。
「ああ、由比ヶ浜のせいじゃない。美神さんが全部悪い。もっと早くに気が付けばよかった。そうすれば由比ヶ浜達も巻き込まずに済んだ」
「美神さん!せめてヒッキーのこの重り、外してください」
由比ヶ浜は涙目でディスプレイ越しの美神さんに訴えかける。
「ふん。ダメよ。そいつは真面目な奴だけど、横島の奴の弟子よ。何をしでかすか分かったもんじゃないわ」
まあ、そうだよな。しかし、美神さんが警戒してくれるのは嬉しくもあるな。
「由比ヶ浜、いい、大丈夫だ。そんな顔するな。こんなのは日常茶飯事だ」
「うん。ヒッキー頑張って」
そう言って由比ヶ浜は雪ノ下と一緒に部屋から出て行った。
「さあ、訓練生の諸君。第一関門。あんた達の精神を鍛えてあげるわ!この大きな扉から、いくつもの部屋を用意してあるわ。そこを突破しゴールを目指しなさい!!」
美神さんはノリノリでこんな事を宣言した。
そして、正面の扉が開かれる。
「一人づつよ!まずは土御門陽乃訓練生!行きなさい!」
「……ふん。土御門のどんな訓練だって乗り越えて来たのよ。たかが一家しかない霊能家に負けるわけが無いわ」
そう言って、陽乃さんは開かれた扉の向こう側へと足を運ぶ。
「………」
しばらくして……
「キャーーー!!」
「ぷははははははっ!これならどう!?」
「くっ、何よこんなもの」
「……何よ。これは大丈夫みたいね。面白くないわ。次の部屋ね」
「いやーーーーー!!これはダメなのよーーーーー!!」
「その泣きっ面が見たかったのよ!!私はーーー!!あははははははっ!!」
陽乃さんの悲鳴と、ディスプレイからは美神さんの勝ち誇った笑い声が響き渡る。
この先……何が待っているのだろうか?
陽乃さんが悲鳴を上げるなんて、初めて聞いた気がする。
意外と可愛らしい悲鳴だな。
一時間から二時間は経っただろうか、陽乃さんの悲鳴と美神さんの高笑いが止まる。
「比企谷!次はあんたもよ。行きなさい!」
俺は黙って、開いた正面扉を潜る。
すると部屋には、無数のムカデとヤスデが床だけでなく、壁や天井に蠢いていた。
タマモの幻術だなこれは……しかし、本物も結構混ざってる。美神さんらしい手口だ。
しかも首に下げられてる甘い匂いがする小袋は虫や獣を引き付ける誘引剤だな。
これで、虫が寄って来るということか。
次の部屋はナメクジだらけの部屋。そんでもって、次がハエだらけ。その次はヘビ。
各部屋に15分づつ閉じ込められる仕組みだ。
そして、今俺はヒルとミミズの部屋だ。
「チッ、あんたには効果無いみたいね」
部屋に設置されてるディスプレイ越しに美神さんが舌打ちをして来る。
「まあ、そうですね。美神さんは何がしたいんですか?」
俺は天井から降って来るヒルを鉄球と手で払いながら美神さんに質問をする。
「あんの、くそ生意気な土御門陽乃の恥ずかしい姿を撮って、業界にばら撒いてやるのよ!!笑いものになればいいわ!!さっきの泣きっ面は良かったわよ!!できれば糞尿を漏らしてるシーンがほしかったけどね!!世間に表立って歩けなくしてやるのよ!!しかし次の試練はどうかしら?クーックック――!」
ほんとこの人悪魔だ。
まじもんの悪魔だ。
最低だ。
「……はぁ、そんなことをして何の得があるんですか?」
「私がスカー――っとするわ。それで二度と私に逆らえないようにするのよ!!」
マジ最悪だ。この人。マジで人か?ド畜生の所業なんだが。この前の大悪魔アザゼル並みに……いや、それ以上に最悪だ。
「……相変わらずですね。まあ、足をすくわれないように」
「フン、この美神令子があんな小娘に足をすくわれるわけないでしょ?……次の試練はあんたも覚悟した方がいいわよ。ついでにあんたの弱みも握って上げるわ。……次の試練。この私でさえ、二度と行いたくないと思うものよ!ク―――クック!!楽しみで仕方が無いわ!!精々いい悲鳴を上げなさい!!あははははははっ!!」
そこで、各部屋に設置されてるディスプレイがプチンと切れる。
この悪魔め!
小娘って、美神さんと陽乃さんって2歳位しか年違わないじゃないですか。
それに次の試練が気になる。美神さんさえ恐れる試練か……ここは締めてかからないと。
この次はカエルだらけの部屋、そんでゴキブリ……
嫌がらせを考えさせたらこの人に右に出る人は居ないな。
それにしても、この試練、霊能力と関係なくないか?
俺は何事もなく。第一の試練の部屋から出て行き、通路を歩き、床に描かれてる矢印にしたがい休憩室と書かれた部屋に到着する。
陽乃さんは休憩室の隅で体育座りをして蹲っていた。
「クスン、苦手なのよ。誰だって一つくらい苦手なものがあっても良いじゃない。クスン」
「大丈夫ですか?」
「八幡!?こ、これくらい。だ、大丈夫よ?」
俺に気が付いたのか、陽乃さんは立ち上がって、目をこすり、強がって見せる。
でも、足は震えたままだ。
何が怖かったのか。
そこで、給仕姿の雪ノ下と由比ヶ浜が現れる。
「お昼御飯よ」
「ヒッキーって苦手なもの無いんだね。かっこよかったよ」
休憩室の大きなテーブルの上に、昼ご飯が並べられる。
「雪乃ちゃん……恨むわよ」
陽乃さんはテーブルに着くと、雪ノ下を上目づかいで睨む。
しかし、さっきまで涙目だった陽乃さんの眼力には力が無い。
「姉さんのお昼ご飯はカエルのから揚げよ」
「いやーーーー!カエルいやーーーー!!」
陽乃さんは慌てて、テーブルから遠ざかり、壁を背にし震える。
こりゃ、トラウマになったな。
「……冗談よ。姉さん。まさか、カエルが苦手だったなんて知らなかったわ」
「嫌なのよ!あのヌメヌメして、テカってて、飛び跳ねて、あの鳴き声が!!」
震える陽乃さんは雪ノ下に抗議をするかのように叫ぶ。
「比企谷君は大丈夫のようね。苦手なものとか無いのかしら」
雪ノ下は陽乃さんの叫びを無視し、俺に聞いてくる。
「……いや、あった。しかしな。俺の上司がアレだろ?克服した」
「確かに……」
雪ノ下はしみじみと俺の言葉に同意をする。
「……ヒッキー、苦労したんだね」
何故か、由比ヶ浜が俺の頭を撫でる。
あの、やめてもらえませんかね。そう言うの、勘違いするから。
「ふ、ふん。美神令子の試練とやらも大したことないわね」
陽乃さんは席に戻って、出された食事を食べ始める。
「さっきまで、泣きわめいてた人が良く言うわね」
ため息を吐きながら、その横に座り、手を合わせてから、食事を始める雪ノ下。
「泣いてなんていないんだから!今度雪乃ちゃんの部屋に犬を一杯つれてってやるんだから!」
「ひ、卑怯よ!姉さん!!」
そんなやり取りをしてる雪ノ下と陽乃さんを見て俺は思う。
……霊能力さえなければ、普通の仲がいい姉妹だな。
姉はちょっと強情っぱりで、妹はツンツンしてるが。
そして、4人で昼食をすます。
どうやら、この昼ご飯は雪ノ下が作った物らしい。
多分。美神さんもこの建物のどこかで、シロとタマモと食事をとってる頃だろう。
昼ご飯を挟み。俺と陽乃さんは雪ノ下と由比ヶ浜の案内で広い和室に通される。
座椅子が二つ用意されていた。
そこに俺達は対面に座らせられる。
そして、雪ノ下と由比ヶ浜が大きな、ボードゲームを取り出してきて、俺と陽乃さんの間に置く。
見た目は人生ゲームに近いが、かなりアナログチックだ。文字も古い。これはボードゲームというより、双六と呼んだ方が良いだろう。
しかもこの双六、精霊石が各所に散りばめられていた。
これ単体でもかなりの霊気を感じる。
雪ノ下は陽乃さんの横に座り、陽乃さんにサイコロを二つ渡す。
由比ヶ浜は俺の隣に座り、同じく俺にサイコロを二つ渡してくれた。
そして、和室の正面にあるディスプレイが映り、美神さんが第二関門について説明しだす。
「午後からの第二関門ね。心を鍛える訓練よ。この双六をやってもらうわ。これは唯の双六じゃないわ。六道家が400年前の江戸時代に一族が精神を鍛えるためにドクター・カオスに依頼し作らせた一品よ。時価数百億はくだらないものを借りて来たわ。但し……六道家の人たちには精神修行にならなくて、毎年普通に正月に楽しんでるものよ」
その言葉を聞いて、緊張気味だった陽乃さんは心なしかホッとする。
しかし、俺は違った印象を持った。六道家の人の精神性を知ってる俺は……
しかも天才錬金術師、ヨーロッパの魔王と呼ばれたドクター・カオスが作った一品だ。今はボケてるらしいが、400年前のドクター・カオスだ。本当に心を鍛えるものなのだろう。
しかも、さっき美神さんが二度とやりたくないと言っていたものだ。やばそうだ。
「土御門陽乃さん、さっきはいい表情だったわ。今回は楽でしょ?双六でゴールにたどり着けばいいだけよ。では始めなさい」
美神さんは意地悪そうな笑顔で始まりの合図をする。
「フン、たかが双六よ」
そう言って、赤と青のサイコロを振る陽乃さん。
そして、赤が2、青が4が出た。
双六の駒を2進めて、4の番号が振られたカードを引く。
駒を進めた先には【2年前】と書かれ、陽乃さんが引いた4の番号のカードには【思い出】と書かれていた。
すると、双六の中央に取り付けられた精霊石が輝きだし、その上に大きな立体映像が浮かび上がった。
そして、何故か双六が陽乃さんの口調で語りだしたのだ。
『2年前の雪乃ちゃんの中学卒業式』
そして映像が流れる。
『雪乃ちゃん日記。雪乃ちゃんの中学卒業式、私はこそっとその風景を覗き見ていた。私の妹の雪乃ちゃんはちょっとお姉ちゃんにツンデレだけど、可愛い妹』
中学卒業式の様子をストーカーのように覗き見る陽乃さんの映像が映っていた。
「姉さんこれは何なのかしら?」
冷たい視線を姉に向ける雪ノ下。
「な!?何よこれ!?」
陽乃さんは慌てだすが、座椅子からロープが伸び、陽乃さんを拘束する。
映像には一日中雪ノ下にストーカーをする陽乃さんの姿が映し出されていた。
「こ、こんなの作り物よ!!」
陽乃さんは座椅子に拘束されながら喚き散らす。
そこでディスプレイ越しの美神さんが高笑いをする。
「おほほほほほっ、その双六わね。真実を写す双六なのよ。あんた達の恥ずかしい過去をね!土御門陽乃さん?あなた超が付くシスコンだったのね。おほほほほほっ、うわーーーーキモ!」
美神さんはとても嬉しそうだ。
陽乃さんの隣で座っていた雪ノ下は陽乃さんから少し離れ身じろぎをする。
「あーーー!違うの雪乃ちゃん!これはね。卒業式に不届きにも、雪乃ちゃんに告白しようとするかもしれない男子から陰ながら守っていただけなのよ!」
もはや陽乃さんは涙目だ。陽乃さんはしょっぱなから大ダメージを受ける。
鬼だ。鬼がここに居る。美神令子は間違いなく鬼だ。
次、俺の番なんだけど。
嫌だな。マジで……何の罰ゲームなんだこれ?
「ヒッキーの過去の秘密……ヒッキー早くサイコロ振って!」
由比ヶ浜さん?なんでそんなにテンション高いんですかね?
俺は恐る恐る青と赤のサイコロを振る。
青は4、赤は6.
4つ駒を進めると【4か月前】と書かれてあり、カードは【見る】と出た。
そして、双六の精霊石が光り、立体映像を映し出す。
今度は俺の語り口調だ。
『4か月前のあの日、俺は見てしまった』
俺は漠然と思い出す。アレの事かとホッとする。
映像には……
泥棒のようにほおかむりをする横島師匠が映し出される。
『横島師匠はどうやら、今日も美神さんのシャワーを覗きに行くらしい。俺は一応止めたのだが……多分この後、美神さんにボコボコにされるのは目に見えていた。……しかし、横島師匠はホクホク顔で戻ってきた。美神さんはいなかったらしいが、ブラジャーを数枚ゲットしたらしい。分け前をやると言われたが断った。……美神さんに知らせるべきか迷ったが、これは多分美神さんと横島師匠の同意の上での一種の遊びだろうと思ったので、そのままほっておいた』
ディスプレイ越しに怒声が響き渡る。
「比企谷ーーーー!!なぜほっといた!!あ、遊びじゃないわ!!」
「え?そういうプレイじゃないんですか?だって、毎度やってるでしょ?」
「ちがうわーーーーー!!横島の奴!!帰ったらボコってやるわーーーーー!!」
何故か顔を真っ赤にして怒り出す美神さん。
「ウフフフフフ、どうやら、美神令子除霊事務所って相当乱れた環境のようですね」
さっきまで涙目だった陽乃さんは余裕の表情をしてこんなことを言っていた。
「ぐぬぬぬ、次よ、次!!」
陽乃さんがサイコロを振る。
出たのは【1年半前】【思い出】だった。
そして映像は……
雪ノ下の入浴中に脱衣場で雪ノ下の…妹の下着を漁る陽乃さんだった。
「比企谷君見ないで!!姉さん!!」
「アレ?私こんな事してたっけ?」
しらばくれる陽乃さん
「ヒッキー!!見ちゃダメ!!」
そう言って、由比ヶ浜は俺を後ろから手で目隠しをした。
『雪乃ちゃんは高校生になって、身長も伸びたけど、胸のボリュームが変わってないわね。ブラジャーのサイズは中学1年生のままと、雪乃ちゃん日記の記録と……身長、体重はいいのだけどね。身長160cm体重は47キロ。バストは……』
そう言って、入浴中の雪ノ下を覗く陽乃さんが映し出される。
「ダメ!聞かないで見ないで比企谷君!!」
「ヒッキーダメーー!!」
雪ノ下は涙目で慌てて俺に駆け寄ろうとする。
由比ヶ浜は俺の目と耳をふさぐために真正面から頭を抱きしめるような形になる。
『7〇の〇、ウエストは5〇cm ヒップは7〇 スレンダーだけど、ちょっと色気が足りないかしら。』
陽乃さんの声が双六から聞こえるが、由比ヶ浜に半分遮られる。
あのーーその由比ヶ浜さん?その柔らかい二つのものが顔に埋もれてるんですが……あの超やわらかいんですが……アレ?これってアレだよな。アレだよな。なにこれ?どういうこと?なにこれあれ?あれ?あれ?
「姉さん!!いい加減にして!!」
今度は雪ノ下が涙目で、陽乃さんに怒鳴りつける。
ダメージを受けたのは雪ノ下だった。
「だって、その双六が言った事よ。私じゃないしー」
しらを切る陽乃さん。
「姉さんの過去でしょ!!」
俺はそれどころじゃない。今、ちょっと天国に行きかけてるのだ。
「ゆ……由比ヶ浜さん?ちょ、ちょっともう、はな、離してくれてもいいんじゃ……ないでしょうか?」
「あ、ごめん」
由比ヶ浜は慌てて俺を離す。
「いや、だ、大丈夫だ」
俺と由比ヶ浜はお互い顔を真っ赤にして、顔をそむけた。
なにこれ、自分たちだけでなく。他にも飛び火するんだが……
しかし、この双六の恐ろしさをこの後にさらに味わう事になる。
遂に始まった美神令子のいじめ……じゃなかった訓練。しょうもない方法なのに、本人に確実にダメージが溜まって行く。
次回はどうなる。双六の後半に!!
あ、ついでにゆきのんごめんなさい。