やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト
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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。


ここで一つご報告。
このシリーズもいつの間にやら80話。
読んでいただいたみなさんのおかげです。
残りあと3話程度、この章で一旦終了いたします。

では、この訓練の結末をお楽しみください。



(80)温泉旅行④恐怖の訓練

 

「やめてくれーーーー!!それは、それだけはーーやめーーうがーーーー!!」

俺はじたばたするが、座椅子が俺をロープで拘束する。

 

「ヒッキー、落ち着いて!」

 

俺がサイコロを振って出たのは。

【半年間】【黒歴史】さらに、コマを進めた先に【もう1回】と出たのだ。

 

そして、映し出されたのは……

『ちょっとイタズラが過ぎたようだな!!この外道妖怪!このゴーストスイーパー八幡様が成敗してくれる!!』

ポージングを取りながら、どや顔をしてる俺が映し出されたのだ。

これは俺が免許を取った時に、部屋で一人で決めポーズをとっていた所を小町に見られたという黒歴史だ。

 

続けてさらに。

『我が定めし運命に従い顕現せよ!!ダーク・アンド・ダーククラウド!!』

俺はポーズをとり、決め顔をしながら空に向かって手を大きく掲げ叫んでいた。

そう、これは限定的にシャドウを発動し、そのシャドウに名前を付けた時のシーンだ。

しかも、これ横島師匠に見られてたし。間違いなくこれも黒歴史だ。

 

 

「…………」

「…………」

「…………」

目の前の3人は何故か黙ったままだ。

 

ディスプレイ越しの美神さんだけは、爆笑して笑い転げまわっていた。

 

「何とか言ってくれ!悪かったな。昔中二病だったんだよ!!その名残だ!!笑いたければ笑え!!」

 

 

「……ヒッキーって普段真面目だから、ちょっと可愛いかも」

由比ヶ浜さんなに言っちゃってるの?中二病が可愛いってどういう事?

 

「そうね。意外でもないわ。あなたのその捻くれた考え方も、そうなのだけど、無きにしも非ずってとこかしら」

雪ノ下、何それ、意味がわからん。慰めてるの?それとも貶してるのか?

 

「八幡っぽいわね。八幡ってさ、意外と正義の味方っぽい言動するじゃない。だから、まあ、そうなんだろうなとは思ってたわ」

なに?陽乃さんには既にバレてた?

 

「あのー、もう。しませんので。俺的に恥ずかしいんでもう、この辺でいいでしょうか?」

いや、逆に納得されるとそれはそれで気恥しいんですが。

 

「プククククッ、は――笑った笑った!!次、次よ!!」

悪魔(美神令子)め、人の黒歴史を思いっきり爆笑しやがって!

 

 

 

陽乃さんがサイコロを振る。

そして出たのは。

【1年前】【大切な物】

 

『辛い修行の日々、私には癒しが必要だった』

映し出されたのは、多分京都の土御門の屋敷だろう。

そして、陽乃さんは自室のベッドに転がる。

 

『雪乃ちゃん今頃どうしてるかな?一人で泣いてないかな』

ベッドの上で三分の1デフォルメ雪乃人形を抱きしめ、その人形に話しかける。陽乃さん。

 

 

「いやーーーーー!私だけの秘密がーーーーー!!」

陽乃さんは発狂したように叫び出す。

どんだけ、妹が好きなんだよこの人。流石の俺でも引く。

小町人形か……いや、流石に……うーん。いいかも?

いや、バレたら嫌われるなこれ。

 

「姉さん………私は姉さんから貞操を守らないといけないのかしら?」

雪ノ下はそう言って身じろぎをし、姉を残念そうな目で見据える。

この事がきっかけで、雪ノ下から尊敬する姉という見方は無くなるのではないだろうか?

 

「違うの!雪乃ちゃん!雪乃ちゃんにこの時は半年も会えなかったから、つい!妹成分が足りなかったの!」

……妹成分かそれは同意できる!小町に半年会えなかったら俺もこうなる自信がある!

 

「くーーーッ!良いわ!土御門陽乃はシスコンのド変態ですって吹聴できるわーーー!!」

美神さんはめちゃくちゃ嬉しそうだ。この悪魔!

 

 

 

くそ、早くこの双六、ゴールしなくては!!ダメージがデカすぎる!!

俺は改めてこの双六の恐ろしさを思い知る。

 

俺の番でサイコロを振る。

【1か月前】【秘密の隠し場所】とでた。

まさか!?やばい!!これはやばい!!

 

「や、やめてくれーーーー!!見ないでくれーーーー!!」

 

3人は興味深々で、映像を見据えていた。

そして、流れ出る映像。

 

『横島師匠に譲って貰ったエロブルーレイをどこに隠すか?小町にバレたらヤバいよな。とりあえず封印するか』

 

やっぱりかーーーーーー!!

 

さらに、3人は映像に集中する。

 

『はぁー、流石に不味いよな。これ、師匠に譲ってもらったものの、流石にこれはな』

そこに映っていたのは師匠から譲ってもらったエロタイトルが白日の下に!

しかも、同級生の知り合いの女の子とその姉にバレるとか、どんなにヘビーなんだよ!!罰ゲームどころか死の宣告だろうこれは!!

 

「ああああーーー!もう、殺せ―――!!」

 

そう、巨乳物がわんさかと……しかも、俺が手に持ってるものは、【同級生の爆乳の子と秘密の出来事】って言うタイトルなのだ。しかもラベルに映ってる女優さんがちょっとピンクっぽく脱色した髪の色で、しかもショートカットなのだ!

 

「ううっ!この巨乳好き谷君!!」

雪ノ下は目に涙を貯めながら俺に怒り出す。

いや、別に巨乳好きってわけじゃないんだぞ。たまたま、横島師匠が選べって持ってきたのがそんなのばっかりで!!

 

「ふーん。巨乳好きなんだ。お姉さんの事をいつもそんな目で見てたのね。もう、八幡たら」

陽乃さんは含みを持たせた微笑みをした後に、俺の事を誘惑するような言い方をする。

確かに陽乃さんはスタイル良いですよ!そんな目で見たことは無いハズ?

 

「あの……その……ヒッキーの、その手に持ってたのって……少し、あたしに似てるね……ヒッキーはそ、そうなの?」

由比ヶ浜は俺の隣で、顔だけでなく全身真っ赤にして、小声でぽしょぽしょと俺にこんな事を聞いてくる。

確かに、由比ヶ浜に似てるなと思ったぞ!顔はそうでもなかったが、全体的な雰囲気が!!でもこれは俺が選んだんじゃないんだ!!全部横島師匠が選んだものなんだ!!確かにお世話になったかもしれんがーーーーー!!俺だって健全な男子高校生なんだ!!許してくれ!!

 

「……もう……勘弁してください。……一応言い訳を言わせてください。全部横島師匠のセレクションです。それを鑑賞したのは事実ですが……はい。もう、これ以上は勘弁してください……」

俺は精神のほとんどを魂ごとごっそり持って行かれたような感覚で、その場で脱力した。

俺は名作あしたのジョーの最後のシーンを思い出した。全てを出し切ったジョーが白くなりリング袖でたたずむシーンだ。

俺もまさしく、体も精神もすべての色が抜け、もぬけのからとなった感覚に陥った。

 

……確かにこの双六、美神さんでさえ二度とやりたくないと言わしめた代物だけある。

これはきつい。今まで、どんな屈辱でも耐えてきたが、これほどきつかったものはあるだろうか?

いや、目の前のこの3人だからそう思うのだろうか?これが唯のクラスメイトだったらどうだろうか?

 

 

「まあ、比企谷君もこのへんは普通の男子って感じで、あんまり面白くないわね」

ディスプレイ越しの美神さんにとっては、あまりいいネタではなかったようだ。

 

 

 

俺はその場で項垂れ、目は腐りきった。

もう、声を発することも起き上がる気力もない。

 

「ヒッキー、別にあたしは嫌じゃないよ」

隣の由比ヶ浜は顔を真っ赤にさせながらも、慰めてくれてるようだ。

なにそれ?このタイミングで優しくされると、間違って惚れてしまいそうになるぞ!

 

 

 

そして、陽乃さんの番だ。

サイコロを振って出たものは。

【1か月前】【大切な物】

 

『修行の日々、つらいけどもあなたの事を思えば、私は耐えられる』

 

またしても、映し出されたのは、京都の土御門の屋敷、そして陽乃さんの自室。

『八幡。あなたとだったら、私はどこまでも強くなれる気がするわ。将来は夫婦ゴーストスイーパーなんちゃって?』

3分の1デフォルメ目腐れ人形…いや八幡人形を抱きしめながら、その人形に語り掛ける陽乃さん。

 

「いやーーーーー!!私だけの、綺麗な思い出なのにーーーー!!」

 

「陽乃さん……なんだかんだ言ってましたけど、本当はヒッキーの事好きですよね。これ」

「八幡人形…ほしい」

 

 

俺は先ほどの件で思考が停止していたため、今のこの状況が全く理解できていなかった。

 

 

「ふーん、面白くもなんともないわね。次よ!」

ディスプレイ越しの美神さんはそう言って俺にサイコロを振る事を促す。

くそっ!人の黒歴史をほじくり返して、楽しむなんて悪趣味も良いところだ!この極悪魔!!

 

 

「ヒッキー大丈夫?あともうちょっとでゴールだから、頑張ろうね」

由比ヶ浜は、項垂れ気力を失った俺に優しく語りかけ、俺の手にサイコロを握らせてくれた。

由比ヶ浜ってこんなに優しかったっけ?あれ、なにこれ、あれ?

 

俺は無言でサイコロを振る。

そして出た目は……

【1年前】【見る】とでた。

1年前か、何かあったか?

 

そして、双六は語りだし、映像を映し出す。

『あの日、俺は見てはいけない物を見てしまった』

 

俺が事務所の3階の書庫を掃除してる風景が映し出される。

『書庫を掃除してると、偶然にも地下へと続く隠し扉を見つけてしまって、……そこで見たものは。金塊だった。それも、物凄い量の……慌てて、書庫に戻ると、誰かが来たので咄嗟に隠れた』

 

『危ない危ない、封印をかけ忘れてたわ。こんなものママや国に見つかったら追徴課税でいくら持って行かれるやら』

 

『俺は冷や汗を一杯かきながらも、息を止め、霊気も出来るだけ抑えることに努力する。そしてその人物は俺に気づくことなく書庫から出て行く。……これは一生黙っておこう。俺がこれを知っていると気づかれたら、俺は消されるかもしれない』

そこで双六からの映像が途切れる。

そうこの事は記憶の奥底に鎮め、思い出すことを拒否し、忘れ去ろうとした記憶だった。

だって、そうだろ?こんなの知ってたら、殺されかねないだろ?誰にって?そりゃ美神さんに決まってるだろ!

 

「「「…………」」」

 

「だ、誰かしらね。こんな金塊を持ってるなんて、かなりのお金持ちよね。う、うらやましいわーー」

ディスプレイ越しの美神さんは額に汗を滲ませ、こんな事を言っていた。

 

「「「…………」」」

皆は沈黙を保ったまま、美神さんをジトっとした目で見つめる。

 

 

そこでディスプレイ越しに美神さん以外の声が聞こえて来た。

「ふー、この子ったら、こんな事だろうと思ったわ」

 

「げっ!ママ!なんでここに?」

 

「幹部会議をほったらかしにしてこんな事を。大体の事情を把握してるわよ。あなたという娘は」

間違いない。この呆れ果てたような声を発してるのは美智恵さんだ。

 

「ごめんね。令子ちゃん。おばさんが話しちゃったの。令子ちゃんに双六貸したことを」

これは六道会長の声だ。

 

「お、おば様まで!?」

 

「陽乃がちゃんと比企谷君にアプローチしないから、こんな事になったのよ」

この声は、土御門当主、土御門風夏さんだ。

 

「美神くん。これは流石に無いんじゃないかね?弟子を大切にしないといけないよ」

そして、唐巣神父。GS協会の重鎮がそろい踏みだ。

 

「先生まで!!」

 

「美神さん。比企谷君をあまり虐めたらだめですよ。本当に事務所辞めちゃいますよ」

この声は聖母、いやキヌさんだ。

 

「おキヌちゃん?……おほほほほほほっ、何の事かしら?私はただ、新人に霊能訓練を行っていただけですのよ」

美神さんは冷や汗を流しながら取り繕う。

 

「……令子。もはや言い逃れはできませんよ。貴方が行って来たことは既に把握してると」

 

「な、何の事かしら?」

 

「こうなる事はわかっていました。だから、令子、貴方の動向はこの一週間把握してたのよ。流石に金塊をまだ隠して持っていたとは思ってなかったのだけど」

 

「ん!?誰だ!?誰か裏切ったのねーーー!!誰だ裏切ったのわーーーーー!!」

美神さんはくわっと目を見開き鬼の形相で喚き散らすのが見える。

 

「……ふう、横島君が、令子が悪だくみをしそうな顔をしてたってね。出張前に見てあげてくださいって」

 

「あんの裏切者ーーーーーー!!」

拳をプルプル震わせる美神さん。

 

「六道先生にも聞いたら、ここで霊能訓練許可申請してるのと、あのとんでもない双六をあなたに貸したって言うし」

 

「金塊はちょっとした手違いで残ってただけよ!!今年の年末調整でちゃんと申告するわよ!!ふん!!それにこれは正式な訓練よ!!ちゃんとGS協会にも許可をとってるんだから、文句あるママ!!」

流石美神さん。言い訳をいわせると天下一品だ。言い逃れができるようにあらかじめ色々と手を打っていたようだ。

 

「文句は無いわ。そうね令子。私とひさびさに一緒に訓練しますか?GS協会員であれば自由参加なのよね。久々に母が見てあげます。ゴキブリの部屋か、双六。どっちがいいかしら令子?それとも両方とも?双六は六道先生も一緒に参加してくださるそうよ」

 

「……ママ。私、用事思い出したわ。それじゃバイバイ!」

美神さんは何かのボタンを押そうとしていた。多分脱出装置か何かだろう。

あの人、こういう事には抜け目ないから。

 

「横島君からね絶対に脱出経路を確保してるからと、注意されてたのよ。それはあらかじめ無効にさせてもらったわ。……令子、このメンツから逃げられると思ってるのかしら?あとそうね。外に冥子さんにも待ってもらってるから」

 

「いい!?横島の奴ーーーっ!!いいいいいやーーーーーーーーーーーーーーー!!」

どうやら、GS協会幹部に囲まれた上に、言い訳のしようがない状況に持って行かれ、美智恵さんに、引っ張られて行かれるのが見えた。

 

 

大魔王令子は幹部(横島師匠)の裏切りに合い、熟練の勇者たち、勇者美智恵、猛獣使い六道親子、賢者土御門風夏、僧侶唐巣神父、聖母キヌさんに滅ぼされるのであった。

 

 

 

その後、どうなったって?

 

俺は精神があの世に逝きかけてたため、キヌさんにマインドアップヒーリングを行ってもらい、立ち直る事が出来た。

 

 

結局この後、陽乃さんが貸し切りにしていた土御門家が経営する旅館に、雪ノ下と由比ヶ浜も一緒に宿泊することに。

GS協会幹部の皆さんやシロとタマモもそこに一緒に宿泊することになった。

美神さんはというと……旅館には夕方ごろ、美智恵さんに白くなって、魂が抜けたような状態で連れられてこられたそうな。

どうやら、ゴキブリ部屋と双六を両方ともやらされたそうだ。

 

 

 

それと……陽乃さんと雪ノ下と由比ヶ浜は、あんなに険悪だったのが、今は何事も無かったように和気あいあいとしていた。

陽乃さんは外面仮面を脱いで、二人と接していた。そりゃそうか、あんなに内心を双六で暴露されればな。隠す必要性なんてないよな。

 

美神さんが起こしたこの騒ぎは、図らずとも3人の仲を取り持つことになった。

雨降って地固まるとはこの事か、美神さんは全く意図してなかった事だが……

たまには美神さんの暴走迷惑行為も、役に立ったと言う事だ。

 

あれ?俺だけ酷い事になってないか?

中二病はバレ、エロブルーレイや嗜好がバレ………

明日から俺は雪ノ下と由比ヶ浜と、どう接すればいいのだか。

……偶然とは言え、金好きの美神さんの隠し金のありかを暴露してしまったし……俺、後で殺されないだろうか?

 

今回も結局は横島師匠に助けられたな。

あの人はどこまで先の事を読めているのだろうか?

普段はあんなとんでもない変態な感じなのに、大事な場面ではしっかりと押さえてくれる。

あの人なりの優しさなんだけどな。

 

しかし、横島師匠は事務所に戻ったら確実に美神さんに半殺しにされるだろうな。

いや、しばらくサンドバック確実だろう。

それが分かってても……

 

 

まあ、明日の事は明日考えよう。

今はゆっくり温泉に浸かって、疲れを癒すか。

俺は今、寒空の夜風に当たりながら、露天風呂を堪能していた。





次は温泉旅行2日目の夜と3日目
番外の予定が1話入ってます。
元乙女達の攻防という内容になる予定。


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