やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

今回はいつもと雰囲気が異なります。
一旦区切りをつける前に、入れたかった話です。
次につながればと……
(主に私自身が)


(81)元乙女達、神父は憂う。

温泉旅館の一室では酒席が設けられていた。

 

 

「たまにはいいものですわね。こうやって風情ある温泉旅館にて酒席を設けながら会議というのは」

浴衣姿のオカルトGメン東アジア方面統括管理官美神美智恵は、豪華な食事の前で、ここに集まる皆の顔を見渡す。

 

「そうね~。風夏ちゃんところの旅館が近くで本当に良かったわ。ありがとね」

日本GS協会会長六道も浴衣着姿でおっとりした口調で同意する。

 

「いえいえ、うちの身内の不始末でもありますし、今日は存分に食事とお酒を楽しんでください」

日本GS協会幹部理事、西日本における陰陽師の大家、土御門家当主、土御門風夏は頭をさげつつ、そう言った。

 

「いや~、こんな豪華な席を設けてもらいまして、なんていいますか恐縮です」

同じく日本GS協会幹部理事、さらに日本におけるエクスシスト系霊能者の第一人者、唐巣神父は人の好さそうな笑顔で、そう言いつつ、さっそく日本酒を嗜んでいた。

 

「この度はすみません風夏さん。娘が陽乃さんに飛んだご迷惑をおかけしまして」

美智恵は風夏に頭を下げる。

 

「美智恵ちゃん、それは言いっこなしよ。私の方も、陽乃を意図せずとはいえ嗾けてしまっていたから。お互い様。それよりも、六(りっ)ちゃん(六道会長)と唐巣くんにも迷惑かけちゃって、どうもうちの陽乃は恋愛に不慣れなようで」

風夏は六道と神父に再度頭を下げていた。

 

本来、陽乃が八幡を連れ、二人っきりで泊まるはずだった土御門が経営するこの温泉旅館に、その日、GS協会の重鎮4名による、会議という名の酒席が執り行われたのだ。

 

後、理事クラスの幹部は後二人いるのだが、副理事の一人である美神令子は、訓練と称した悪辣な新人イビリがバレ、ペナルティの一環として、美智恵と六道から双六とゴキブリ部屋での訓練を行わされ、この旅館の一室でダウンし寝込んでいる。

それを六道冥子が看病と称し、付き添っているのだが……それはそれで、美神令子にとっては苦痛である。まあ、キヌが様子を見に来ているため大丈夫であろう。

因みに、キヌは美智恵から令子へのヒーリングを禁じられてる。

 

もう一人は副理事兼監査役は今日は欠席だ。

幹部決定に一任するという委任状が1か月前にすでに提出されていた。

元々、監査役という立場もあり、業界外の人物だ。

ただ、あまり熱心に取り組む姿勢には見えない。いや、この幹部連中と同じ席に立つ事はそれだけで凄まじいプレッシャーであろうことは容易にわかる。なるべく顔を合わせたくないのかもしれない。

 

それ以外に準幹部や幹部候補や次席などもいるが今回は上級幹部だけの会合だ。

 

その間、八幡は温泉に浸かった後、シロに散歩をせがまれ、夜中の雪中を走らされていた。

タマモは、一人、部屋で足湯をしながら本を読みくつろいでいた。

そして陽乃、雪乃、結衣、そこにキヌが混ざり、女子トークに花を咲かせていたことは八幡も知らない事だ。

 

 

 

 

「ところで、渦中の比企谷君ですけど。皆さんはどうお思いですか?私の評価は来期にはBランクに昇格しても問題無いと思います。

彼は後天的な霊能者ですが、かなりの高レベルの霊能者であることは間違いないです。防御寄りの汎用タイプで、どのような条件下でも苦にしないタイプです。今はタイプ的には娘の令子と近い霊的センスを持っています。それに彼はまだ発展途上段階、今後も成長し続けるでしょう。そして、何よりも問題解決能力が高い。頭の回転が速いですね」

美智恵は一旦、箸を置き、八幡について皆に意見を聞く。

GS資格免許者は半年に1回審査があるのだが、この席の話は本審査ではなく、その前段階で、飽くまでも個人的意見として聞いていた。

美智恵自身は八幡にかなりの評価と期待を持っているようだ。

 

「ランクの件は美智恵君に同意するよ。ただ彼は、元々霊的センスが高かったわけじゃない。努力してあのスタイルを身につけたのだと思う。それに横島君だ。彼があれだけの指導力があったとは驚きだよ。彼をあそこまでに育てたのは間違いなく横島君だ。比企谷君は言っていたよ。何もわからない自分に根気よく何度も何度も教えてくれたと」

唐巣神父は美智恵の意見に同意しつつも、霊的センスについては、若干意見が異なった。

そして、それは横島のおかげだと言う。

 

「確かにそうですね。横島君にあれだけの弟子育成能力があったのは驚きです。ただ、彼があまりにも大きくなりすぎて忘れがちですが、横島君も後天的な霊能力者です。それもあって、彼の経験がそのまま指導にも生きたのでしょう」

美智恵の意見は尤もだ。美神令子も同じ経験を持つ横島だからこそ、八幡を任せたのだろう。

 

「美智恵ちゃん~。でも、横島君は間違いなく天才型よ。天才型ってなかなか人に教えるのは苦手なはずじゃな~い?」

六道が言う事もいちいち尤もだ。

横島は天才型だ。それは間違いない。小竜姫から霊的補助を受けたからと言って、初めからあのように霊能力を開花させるのは稀だ。いや、小竜姫は横島の天才型の霊的センスを初めから見極めていたのかもしれない。

八幡は天才型ではない。秀才型、努力型と言った方が良いのか、努力を積み重ねてここまで至っている。訓練を怠らず、どん欲に知識を取り込み。周りの一流のゴーストスイーパー達の行動や術をつぶさに観察し、その技術をどんどん取り入れて行ったのだ。

 

「だから驚いているのですよ。先生。横島君に対しての考え方が変わってきてますわ」

美智恵は始め、令子から横島に弟子を取らすと聞き、さらに八幡の境遇を知り、失敗に終わるのではないかと考えていたのだが、それがいい意味で見事裏切られたのだ。

 

「話を戻しますが、私が比企谷君を評価するのは霊的センスもそうですが、まったく別のところです。彼は真面目で純粋だ。そして心が強い。そこを最大限に評価してます。彼は人を助けたいという気持ちを持った実に好青年ですよ」

唐巣神父は八幡の話題へと戻す。

神父が最も八幡を評価するところは、その心持ちだと言う。

 

「確かに最近のこの業界では珍しい子ね。私が言うのも変なのだけど、家のプライドや自尊心が高い霊能家や陰陽師家には無い、唐巣君が言うように、純粋でとても良い子なのよ」

唐巣神父の意見に、全く同意したのは、八幡の境遇と全く反対に位置する立場であるはずの、土御門風夏だった。

 

「そうなんですよ。あの手の子は業界でも珍しいんです。よく令子のところであんな風に育ったと」

続いて美智恵もその意見に同意する。

 

「みんなズルいわ~。私だけ仲間外れよ~。私も比企谷君とお話したいわ~」

六道は若干頬を膨らませ、おっとりした口調で皆に抗議する。

 

「丁度いいではないですか。先生、明日にでも彼と話して見てはいかがですか?」

 

「そうね~。冥子と一緒にお話してみましょう~」

六道はさらりとこんな事を言う。何か別の意図を感じてしまうのは致し方無い事だろう。

 

 

「申し訳ないが、皆さんに苦言を申し上げてよろしいですか?」

神父は神妙な面持ちで皆に話し出す。

 

「唐巣くんな~に?」

 

「比企谷君はまだ17歳です。今、周りでとやかく言う必要はないんじゃないでしょうか?今回の件もそれが一端となっているのではないですか?」

唐巣神父は、皆で八幡の取り合いをしてる事に苦言を呈したのだ。

 

「神父……霊能者に年は関係ないです。彼は来年には18歳で、後1年ちょっとで高校を卒業します。彼の去就に興味が無いとはとても言い難い状況です」

しかし、美智恵は神父の意見に反論した。

 

「え~、美智恵ちゃん。それって比企谷君を~、令子ちゃんの所を辞めさせて、オカGに入れるって事~?」

 

「本人次第ではありますが、私はそう願ってます。オカルト犯罪は、アシュタロスの人魔大戦直後は神魔上層部の介入もあり、一時的には減少しておりましたが。新たなオカルト関連法整備を行って以降、徐々に増加の一途をたどっており、それに対抗しうる霊能者の数が足りていないのは皆さんご承知の通りです。この業界は霊能力こそ物が言う世界です。でも、人々を守るにはそれだけでは足りない。どうしても彼のような心根を持った霊能者と一般人との絶妙なバランス感覚をもった人材がほしいんです。オカGには彼が必要なんです。これは私の我がままだとわかっております。お判りでしょう?オカGの出動回数や依頼回数が増えていることを……そして、対応しきれない案件があまりにも多すぎる。昨年11月とバレンタインを狙ったネットを使ったオカルト犯罪。あれにも対応していかなければならないのです」

 

「美智恵君。君には苦労を掛けてる。それは私達の怠慢でもある事はわかってる……でも、もうちょっと待ってあげてくれないか?彼はほんの2年前までは普通の学生だったんだ。彼を慕う友人も多い。待ってあげてほしい」

唐巣神父はそれでも食い下がる。

 

「……日本だけではないんです。今も横島君と西条君は厄災級の案件をオーストラリアで解決に乗り出しているはずです。魔神アシュタロスを滅ぼし、人類は生き延びることはできました。そして、私達人類は多大な被害を被りました。その真実を知るのは極わずかな私達のような立場の人間のみです。殆どの人達はそのような真実を知らず、神魔上層部の記憶操作のおかげで、世界同時大厄災として認識しています。……隣人があの大戦で亡くなったと、全人類の約8パーセントが減少したのにも気がつかずに。しかし、人々の記憶から抹消されたとしても、魔神アシュタロスが滅んだ事実は無くなりません。あの魔神は仮にも魔界側からアメリカ大陸全域を統括する立場でしたから……人界だけでなく神魔のバランスが欠いた影響が様々な形で今、世界各地で現れているのです。早急な人材確保は急務なんです」

そう、この世界は3年半前、滅ぶ寸前までいったのだ。魔界の三大魔神の一柱。アシュタロスが人界に攻め入った影響で。

魔神アシュタロスは人界から自分たち以外の神魔は封じ、この世界に攻め込んできた。それが人魔大戦と呼ばれる戦いだった。

そして、人類は何とか勝った。その最高功労者が横島だった。しかしその影響で横島は……

その大戦で人類の約8パーセントが亡くなった。アシュタロスを抑えることができなかった神と悪魔の上層部は責任を感じ、人類になるべく影響が出ない形で収めようとしたのだ。しかし、死者は復活させることはできない。そして取った手段は、亡くなった人間が初めから存在しないように人類の記憶を改ざんしたのだった。一部の当事者である人間を除いて……

しかし、影響は魔神アシュタロスが居なくなったことで、世界がバランスを崩し歪が生じ始めたのだ。

それが人類自身や世界各地で色々な形となり影響で始めていた。

 

「……」

唐巣神父は美智恵が語る思いに、沈黙するしかなかった。

 

「それだけじゃないわ。アシュタロスの人魔大戦以前に既に霊能者の数が激減したのが痛かったわね。昭和初期頃から科学の発達と共に、霊能家、陰陽師の量も質もかなり減ったわ……関西一円だけで言えば、今の霊能者の数は、60年前に比べ半分程度。土御門も霊能者の質を維持するのも一苦労。分家から優秀な霊能者(陽乃)が現れてホッと一息ついたところなのよ」

風夏は人材不足について、土御門家が守護する関西一円を例に出し、その一端を説明した。

 

「そうですね。さらに言うと、日本では明治維新と共に本流以外の陰陽師は皆淘汰され、密教系関連はほぼ日本からいなくなりました。そう考えると、江戸時代に比べれば、現在の霊能者の数は圧倒的に少ない。そして、我々エクソシスト系は教会から異端とされ、破門や国によっては迫害の対象となりました。そう考えると全世界的にも、この100年から200年の間に人口は増えてますが霊能者の数は圧倒的に減少してると言えるでしょう。アシュタロスの大戦が無かろうが、いずれこのような事態になっていたと思います。……いや、今から考えると霊能者の減少も、魔神アシュタロスの計画の一つだったのかもしれませんね」

神父はさらに、風夏の意見を掘り下げる。

霊能者は確かに減少の一途を辿っていた。

その霊能者の減少すらも魔神アシュタロスの計画の一つであったのならば、大いにアシュタロスという存在の影響ということであろう。

 

「でも、それを補うための今度の国家資格なのよね~、美智恵ちゃん」

 

「そうです。このまま行くと、オカGやGS協会だけでは対抗できなくなる。霊能者は急には育てる事は出来ない。かと言って減ってしまったものを今嘆いても仕方がないですからね。一般の方でも出来るところは分業し、そして警察や自衛隊、国とももっと結びつきを強くしないと……せっかく痛い思いをし、あの魔神を倒し、得た今です。なんとしても維持しないと」

美智恵は悲痛な面持ちをしていた。

確かに魔神アシュタロスの人魔大戦の最高功労者は横島だろう、影の最大功労者は間違いなく美智恵だった。アシュタロスの人界への介入をいち早く察知、娘の令子と人類を守るため、半生を掛け。追いかけ、情報を集め、アシュタロスの対抗手段を編み出し、勝利への礎を築き上げてきたのだ。やっとの思いでアシュタロスを退け、手に入れた平和だ。その思いは他の誰よりも強いはずだ。

しかも彼女は世界で唯一の自分の意思で時間跳躍をコントロール可能なタイムトラベラーだった。

危険をも顧みず何度も何度もタイムトラベルを敢行し、娘と人類をアシュタロスの手から守るため、時代を行き来していたのだ。時間跳躍は世界の理を破壊しかねないとし、今は神によって禁止されている。だが、もしかすると、彼女はこの先の未来も知っているのかもしれない。

 

「美智恵ちゃん~そんなに肩を張らないで、もっとリラックスよ。時に人はなるようにしかならないんだから」

「そうね。りっちゃんの言う通りよ。美智恵ちゃん。……この話はやめにしましょう。答えが出ないんですもの。比企谷君の事はなるようになるわ。美智恵ちゃんも自信をもって。ここまで形を作ってくれたのは美智恵ちゃんのおかげよ」

東西の陰陽師の大家の当主がそろって、美智恵に慰めといたわりの言葉をかける。

 

「すみません。少々感情的になり過ぎたようです」

 

「……無理もない」

唐巣神父はその苦労にいたわりの言葉を発する。

 

 

 

「でも、令子ちゃんは~どんな時でも相変わらず令子ちゃんね~なんか安心しちゃうな~」

六道は話題を変えようとするが、結局は身内の話になる。

 

「はぁ、あの娘の事は良いです」

美智恵は頭痛がするかのように頭を押さえる。

 

「美智恵君、美神君もやるときはやる子だよ。まあ、性格は強情だけどね。それにオカGの仕事は積極的に受けてるようじゃないか。君の影ながらの苦労を知っているんだよ。それを表だって言わないだけで、彼女なりの優しさだよ」

唐巣神父はやさしく微笑みながら美智恵に令子の事を褒める。

確かに、令子はオカGの仕事を断る事は無かった。何時もしぶしぶという面持ちだが、結局はすべて引き受けていたのだ。

 

「そうですかね。それなりに報酬は渡してますけどね」

 

「まあ、そこは美神君だから仕方がない。……時に美智恵君。ヨーロッパ地中海支部のピート君はどうかな。彼からは手紙は頻繁に来るのだが、オカGから見た彼は」

神父は話題を変え、自分の弟子であるピートの近状を聞いた。

 

「神父。手紙って、メールで良いじゃないですか?流石にあの世代の一人です。すでに向こうの支部のエース級の活躍をしてますよ。バンパイアハーフという事で疎まれる事もあるそうですが、そんな事にもめげずに」

美智恵は大時代的な交流手段に呆れながら、ピートについて話す。

唐巣神父はスマホをようやく最近手にしたのだ。

川崎沙希の勧めでだ。仕事もスムーズに出来るようにと。

 

「まあ、そうだろう。彼ならばやってくれると思っていたよ」

神父は嬉しそうにしながらも、どこかホッとした表情をする。

 

「関西にもあの世代の子達が居ればよかったけど、こればっかりは仕方ないわね」

風夏はうらやましそうに言う。

そう、ピートや横島たちがGS資格免許を習得した世代は豊作の時代と言われ、優秀なゴーストスイーパーが何人も生まれた年でもあった。しかし、そこには関西出身者は一人もいなかったのだ。

 

「そういえば、雪之丞君は今はどこにいるかわかってるのかい?」

唐巣神父が美智恵にその所在を聞いた伊達雪之丞もその世代の一人だ。

 

「オカGとは2か月前に内モンゴルで彼と接触してるわ。相変わらず修行の旅だとかなんとか言ってるわあの子。まあ、生活に困ったらいつでも言いなさいとは言ってあるから……」

どうやら、雪之丞も美智恵にとって、美神令子並みに問題児とみなしているようだ。

 

「相変わらずの様だね」

神父は苦笑するしかなかった。

 

 

「そういえば~、おキヌちゃんもうちの学校を卒業よ~。でも彼女~。年々神々しくなるというか~」

 

「六道先生。憶測ですが、彼女は300年山神として封じられた人柱だったのです。霊気の質は神のそれに近いですし、その影響じゃないでしょうか?ったく令子のところに置いておくのがもったいない人材ですよ彼女も」

美智恵にとってキヌもまた、欲しい人材であった。世界に3人しかいないネクロマンサーでもあるのだ。しかし、令子がキヌを実の妹のようにかわいがる姿は、とても離す気にはなれなかったのだ。

 

「そうそう、美智恵ちゃん。小竜姫様に会うための紹介状だしてもらってもいいかな。妙神山の修行にいつかは家の長男と陽乃を連れて行きたいのよ。ついには私はその薫陶を得ることはできなかったけど」

土御門風夏は小竜姫とはほぼ面識がなかった。

しかし、その霊能力は小竜姫の修行を得た美智恵に匹敵し、巨大で強力な結界術を生み出すことができる。没落した土御門家を一代で、ここまでにするには相当の努力を積み重ねてきたのだろう事は容易に想像できる。

 

「優秀な霊能者が育つのは大歓迎です。紹介状は私の名前で出しておきます。但し、相手は神です。人の生死については常識が通じません。それだけはお忘れなきよう。まあ、小竜姫様に限ってはかなり理解がある方なので大丈夫だと思います」

 

 

「あ~~、そう言えばドクター・カオスがパリから消えたってニュースあったわよ~」

今度は六道から話題が振られた。

 

「オカG西ヨーロッパ支部でも、その所在を確認してますが、行方知れずです。マリアさんも居ないので、一緒に行動してるハズですから大丈夫だとは思うのですが……何分そのご高齢なので心配ですね……」

ヨーロッパの魔王、天才錬金術師ドクター・カオス。ご高齢と言っても。御年1000年を余裕で越えてるのだ。錬金術で寿命は延びたが……脳まではそうはいかなかったようだ。

 

 

この後、こんな感じで深夜まで世間話が続いたのだった。

 

 

翌日、一行は午前には旅館を出て、それぞれの地元に戻って行った。

雪乃と結衣が陽乃が八幡にちょっかい出さないように、常に両脇を固めていたため、この日は八幡は何事もなく平穏に過ごすことができた。

好意をよせる三人を余所に、八幡は一人、温泉を十分堪能したようだ。

因みに美神令子だけは、旅館に残り……しばらく療養を行うようだ。本人たっての希望らしい。

多分、しばらくは酒浸りの生活で旅館に迷惑をかけるのは間違いないだろう。

 

結局八幡は、彼女らが何で揉めていたのかも知る事も無く。日常に戻って行くのだった。

 

 

 




次が一旦区切りのラスワンです。

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