やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字ありがとうございます。

再開いたします。
ここから2部です。言うならば三年生編の始まりです。
三年生編は俺ガイル原作どおりには全く進まない予定です。(予定のつもりです。今の所は)
ぼちぼち更新していきます。


第二部【八章】新学期早々に
(84)新学期早々に


3月末日の深夜、俺は妙神山の10日程の修行を無事終えて、現世に戻ってきたのだった。

10日間も開けて仕事の方は大丈夫なのかという不安はあったが、キヌさんも同じころ1週間程実家に戻る予定にしていたため、あらかじめこの期間は仕事の量を減らし、美神さんとシロ、タマモでまわせる量でセーブしていたらしい。但し緊急案件があった場合は、式神で妙神山に知らせる様にし、何時でも戻れるようにはしてあったとの事。まあ、横島師匠はその間、ちょくちょく事務所の様子を見に行っていたようだが……

 

妙神山と東京の横島師匠の住んでいるボロアパートの押し入れは次元ゲートでつながっており、普通に行けば東京から半日以上かかる道程を一瞬で戻る事が出来る。

横島師匠が妙神山で斉天大聖老師の内弟子として生活し、美神令子除霊事務所に通うために、このゲートをわざわざ斉天大聖老師が、知り合いの神様にお願いして作ってもらったらしいのだ。

 

俺は今回斉天大聖老師から直接指導を受ける機会があったが、はっきり言ってレベルが違い過ぎて、直接の手合わせなどは、ほとんどできなかった。

手合わせしても、超手加減一撃で吹っ飛ばされて、立ち上がれなくなるからな。

まあ、最後は超手加減の三撃まで耐えれるようになったが………その程度だ。

成長したのかもよくわからない感じだ。

天界きっての武闘派、武神斉天大聖の名は伊達じゃない。正直言って、あの茨木童子が可愛く見えてしまう程だ。そう考えると、あの頃に比べ力を付けたのかもしれない。

 

それよりも、基礎訓練や武術や術儀の手ほどきをしてくださったのはでかい。

俺が今迄横島師匠から教わっていた体術や武術は、斉天大聖老師の教えの物だったのだが、横島師匠の場合は、既にかなり自己流が入っていたため、理論付けや解釈が難解なものや、俺に不向きなものも結構あったからだ。

そして、復習を兼ねた自己訓練中にわからない事があれば、小竜姫様が丁寧に教えてくれる。

 

俺の霊視空間結界のパワーアップもある程度果たすことができたが、問題も残った。

基礎訓練のおかげで、目標の半径10メートルは到達した。

しかし、この霊視空間結界を半径10メートル規模のものを作るための初期霊気消費量はかなり大きくなり、霊気消費効率が悪くなることが判明した。今までのように、霊気の質を変えた膜を重ね合わせて霊気の層を作り上げる方式ではこの辺が限界だった。

 

行き詰っているところを斉天大聖老師と小竜姫様の指導をしてくださったおかげで、霊気結界の構造を変更することで半径10メートル以上伸ばせる可能性が出てきた。まだ俺自身がこの方式を扱い切れないため、今はまだ10mに達しないが、完成すれば霊気消費量は五分の一以下で同等の物が出来る。

斉天大聖老師は術儀に関しても超一流だった。

ありとあらゆる神術や仙術を極めたとも言われているのは伊達じゃない。

 

その他にも俺が使えそうな術儀や術式を色々と教えていただき、実りある10日間だった。

後は教えていただいた物を使えるように日々の訓練と検証が必要ではある。

俺は横島師匠みたいに見様見真似で出来ない。

あの人が天才であることを改めて思い知る。

 

 

 

俺は妙神山から次元ゲートを通り、東京の横島師匠の自宅ボロアパートに戻って、そのまま師匠の車で千葉の自宅まで送って貰った。

2日間休みを貰って、4月3日から仕事初めの予定だ。まあ、8日から学校が始まるから、まともに仕事に行けるのは3日~6日までの4日間程度なのだが。

横島師匠は10日分の仕事の穴を埋めるかのように、4月3日から西条さんとオカルトGメンの仕事で海外出張に行くと聞いてる。横島師匠じゃないと解決できない事件が海外でもあるという事なのだろう。きっと、昨年の京都のような霊災事件が世界でも起きているのだろう。

 

 

家に着いたのは深夜だったため、既に小町や親共は寝ており、俺はそのまま黙って風呂に入ってから寝る。

 

 

 

 

「お兄ーーちゃん!!起きろ!!もう昼前だよ!!」

小町の声が寝ている俺の頭に響く。

 

「うーーん。……今日は休ませてくれ」

 

「結衣さんと雪乃さんから、小町に電話がかかって来たんだよ!!お兄ちゃんスマホは!?」

 

「………寝かせてくれ~」

俺は布団を頭まですっぽり被る。

だって。あれだ。まだ、覚悟が完了してないんだ。

確かに小竜姫様からありがたいお言葉を頂いたんだが……

早い、早すぎる。やっぱ急には無理だ。

どんな風に、由比ヶ浜と雪ノ下と接すればいいんだよ!

布団の中で頭を抱えていた。

 

「こら!!お兄ちゃん!!」

小町にベッドの布団を勢いよく無理矢理剥がされる。

 

「………小町ちゃん寒いんで勘弁してください」

 

「んっ!」

怒りの形相の小町が俺に小町のスマホを渡してくる。

俺は恐る恐る手に取り耳にする。

どうやら、既に誰かと繋がっているらしい。

 

『おはよう比企谷君。帰ってきたら連絡してと言ったわよね。電話も繋がらないのはどういう事なのかしら』

スマホ越しに凛とした中にも少々不満そうな女性の声が聞こえる。雪ノ下だ。

 

「お、おう…すまん。昨日は遅かったし、今起きたばっかりだ。スマホは電源を切ったままだった」

聞きなれた声だが、つい10日前にあんなことがあった後だ。気恥しい事この上ない。

俺の脳裏にあの時の事が自然と思い浮かんでしまう。

 

『そう、ならいいのだけど。……その明日空いてるかしら』

雪ノ下はそう言って、ちょっと上ずった声で聞いてきた。

 

「そのだな。あれだな……」

も、もしかして、リア充的なイベントのお誘いなのか?デー何とかとかいう。これなんて返事すればいいんだよ?

 

小町がスマホを強引に俺から奪い取り、

「雪乃さん。お兄ちゃんは明日空いてるんで、いつでも大丈夫ですよ!」

そう言って、再び俺にスマホを渡す。

 

『そう、その……比企谷君の自宅にお伺いしてもいいかしら?』

雪ノ下の声はやはり、いつもよりも上ずってる感じがする。雪ノ下も緊張してるのかもしれない。

 

「はぁ?……そのなんだ。なんで俺んち?」

 

『そのあの……比企谷君の家の猫……カマクラに会いに……去年会わせてくれると言っていたわ』

 

「そんな事も言ったかもしれないな」

 

怒りを露わにし、スマホをまたもや強引に奪う小町。

「馬鹿なの!!馬鹿なんですかお兄ちゃんは!!そこは『君だったら何時でも歓迎さ!』でしょ!?」

 

いや、そんなセリフ、思いつかないし、そんな事恥かしくて言えないんですが、言ったら悶絶死しちゃうんですが、小町ちゃん。

 

「雪乃さん。うちの馬鹿兄には十分言い聞かせますんで、来てください!……うん。10:00ですね!お待ちしてまーす」

雪ノ下と話をつけ、通話を切る小町。

 

そして……小町は鬼の形相で俺に怒鳴り散らす。

「このヘタレ八幡!!あの奥手の雪乃さんが勇気を振り絞ってお兄ちゃんのことをデートに誘って、しかも迎えに来るとまで言ってるんだよ!!なんでそんな馬鹿な返事しかできないの!?」

 

「今のってそういう事なのか?」

雪ノ下の話方からは、この家にカマクラを見に遊びに来ると言う事だと思ったぞ。

雪ノ下は大の猫好きだからな。

 

「だからダメなんだよ!お兄ちゃんは!!先ずはこの家でお兄ちゃんとお話したいんだよ!雪乃さんは!!カー君(飼い猫のカマクラ)もいるしね!そこから、デートに行くに決まってるでしょ!!馬鹿、ヘタレ、八幡!!」

 

「八幡は悪口じゃないぞ。小町ちゃん」

いや、そこまで読めないだろ普通は。

 

 

「次は結衣さんだよ!!その前に自分のスマホの電源を付ける!!」

 

「………電池が完全に切れてるな。後でかける」

俺は電源が切れたスマホを充電器に差す。

10日間ほったらかしにしてたしな。案の定電池は切れていた。

スマホは電波が届かない妙神山に持って行っても意味が無いのと、それと修行に集中するためにと、自宅に置きっぱなしにしていたのだ。

スマホが手近にあると、ついなんとなく触ってしまうからな。

 

「んっ!」

小町は自分のスマホを操作して、またしても俺に渡す。

 

「……」

 

『やっはろー、小町ちゃん。ヒッキー起きた?』

スマホから聞きなれた陽気な女性の声が響いてくる。由比ヶ浜だ。

 

「よ、よう由比ヶ浜」

 

『え!?ヒッキー?……ヒッキー起きたんだ!でも、もう11時だよ?』

 

「そ、そうか。そんな時間か。すまん。スマホの電源を落としたままだった」

 

『そうなんだ。ヒッキー!修行どうだった?怪我とか無い?』

 

「そ、そうだな……大丈夫だ」

由比ヶ浜はいつもの感じに話しかけてくるが、俺は一杯一杯だ。つい10日前の事を思いだしてしまう。顔が火照る。

 

『あのねヒッキー。ちょっと相談があって、今日会えないかな』

 

「今日か……」

俺は返事に躊躇するが、横でこの話を聞いてる小町がジェスチャーで、即答して行けと命令する。

 

『急には無理だよね。帰って直ぐなのにごめんね』

 

「午後からだったら……相談ってなんだ?」

俺がそう返事をすると、横で小町が呆れ顔で、そんな事を聞くなというジェスチャーを送って来る。

 

『終業式の次の日に、お爺ちゃん拾っちゃって、今、家に居るの。それで……』

 

「おい、ちょっと待て。お爺ちゃん拾ったって、見ず知らずのか?警察に届けをだしたのか?」

爺さん拾ったって、犬や猫じゃないんだぞ?終業式の次の日から今も家に居るって、もう10日だぞ?

 

『うううん。ちょっとボケてて困ってそうだったし。ママも張り切って面倒見てあげてるし』

なにそれ、おおらかすぎるだろ!ガハママ(由比ヶ浜ママ)!?会った事はないが。

 

「大丈夫なのか?ボケた爺さんの保護者の方とか心配してるだろ?警察に早く届けるべきだ」

 

『その保護者っていうか、孫っていうか、今、一緒に住んでて』

 

「ちょっとまて、保護者も一緒にってどういう事だ?お前の親父さんは何て言ってるんだ?」

おいーーー、なんだそりゃ?保護者同伴で他人の家に転がり込んでって、危なくないのか?

 

『うーん。パパは仕事で出張中だし、基本パパはママの言う事なんでも聞くし』

何それ、親父さんはガハママに尻に敷かれてるって事か?もしかしてガハママはめちゃ怖い人とか?

 

「由比ヶ浜、何かされなかったか?」

 

『へ?お爺ちゃんはボケてるし、マリアはすごく良い人だよ』

なんだそりゃ!マリアって誰だよ。とりあえずこの親子は危機意識が全くない。

 

「……わかった。直ぐに行く。お前ん家の正確な住所教えてくれ」

結構やばいんじゃないか?滅茶苦茶トラブルに巻き込まれてるんじゃないか?

 

『え!?ヒッキー!家に来てくれるの!!うん!!メールで送っておくね!!』

何嬉しそうにしてるんだ?お前ん家が危機的状況だって言うのにだ!

 

そこで通話が切れた。

 

「お兄ちゃん!小町は信じていたよ!直ぐに家にって、お兄ちゃんのポイントがうなぎ登りだよ!」

俺の隣で目をウルウルさせる小町。

いや、それどころじゃないだろ?

 

 

 

俺は出かける準備を直ぐに済ませ、チャリで家を出る。

小町は何故か「お兄ちゃんファイトだよ!」と家の外まで送り出してくれた。

 

電車に乗り、由比ヶ浜ん家の最寄の駅まで向かう。

去年の夏休みに、由比ヶ浜を自宅付近まで送った事はあるが、正確な住所は知らない。

スマホを確認すると……新着トップは由比ヶ浜から自宅住所のメールだ。その他ズラっと新着の未読が続いていた。妙神山での修行中の10日間分だ。

 

……平塚先生ばっかりなんだが!何通あるんだよ!連続で100通以上あるんだが!!怖い。まじ怖い!……中身を見るのが憚られる。とんでもない長い文章の羅列が書かれているに決まっている。!内容も見ないでもわかる。きっと横島師匠に連絡が付かない件だろう。……うん。今は見なかった事にしよう。

その中でも、一色や川崎、折本、戸塚からもメールが届いていた。材木座?知らん。

 

不在着信や留守電も同じような感じだ。留守電の容量はすべて平塚先生に持って行かれていた。

うん。すべて消そう。留守電機能は俺のスマホには無かったと言う事に……マジであの人、完全にストーカーだよな。早く振ってください横島師匠!!

 

 

とりあえず、対処のしやすい順にメールを確認だ。

戸塚は、春休みも部活で忙しいらしい。近々他校との練習試合を行うとある。どうやら近状報告の様だ。戸塚の文章も内容も癒される。マジ天使。

そんで、メールを返事が遅くなった事を詫びを入れて返信する。

 

次は折本だな。

ん?なにこれ。

一緒に遊びに行かないかという誘いだ。中学の女友達何人かとらしい。

いや、普通行かないだろ。なにそのリア充的なイベントは?俺は中学の時の友達とかいないし。

メールの返信の遅れを詫びつつ、必殺、仕事を理由に断るを選択。我ながら大人の対応だ。

 

次は川崎。

唐巣神父の教会の事で相談があるから、会えないかとある。

あれだな。何時もの相談事だな。電話でもいいんじゃないか?

まあ、俺もちょっと唐巣神父の書庫で気になる書物があったから、見には行きたい。

春休み中の仕事の空きで、直接唐巣神父の教会に行って話を聞くと言うのはどうだろうか。その場で相談事も解決できる上に、俺も見たい書物を気軽に見せてもらえることができる。一挙両得だな。

こっちも、メールの返信の遅れを詫びつつ、近いうちに唐巣神父の教会に行くようにすると書きこみ、送信する。

 

問題は一色だな。

きっと生徒会の仕事を手伝えとか、そんな感じだろう。

俺はため息を吐きながら、一色のメールを開く。

 

……やっぱりだ。【生徒会室に来てください】と書いてあるが、内容はほぼ強制的だ。休みの日に学校に行くのは勘弁してくれ。しかも、既に期限が切れてる。

次の一通は、なんで電話もメールも返事をしないのかと抗議のメールだ。

その次は、……おい、なんで俺ん家まで来てるんだ?しかも小町と親共と俺の家で昼食まで食べたとある。仕事の長期出張が終わったら連絡くださいと最後にあった。

なにこれ、連絡するのが怖いんだが……ここまでするって事はだ。とんでもない仕事を押し付けようとしているのではなかろうか?

よし、一色も仕事を理由に断る事にしよう。

メールの返信の遅れを詫びつつ、仕事を理由に断るだ。

仕事を理由に断るというこの方法は、かなり有効かつ効果的だ。これならば相手も仕方が無いとあきらめてくれる。

 

ん?一色から速攻で返信が来た。

………なにこれ。

【先輩は、4月1日と2日と7日は仕事休みですよね。だから、絶対来てくださいね♡】

 

おいーー!!誰だ俺の休みの日を一色に教えたのは、小町か小町だな!?

 

【PS~、まさかと思いますが、ボッチを名乗ってる先輩がデートとか無いですよね♡結衣先輩とか雪ノ下先輩とか、陽乃さんとか】

 

!!!!!?

 

おいーーーーーーー!!どういう事だ!?なにこれ……どどどどういう事だ!?終業式のアレを見られていた?い、いや、そんな事は無いハズだ。奉仕部の教室には俺達3人しかいなかったハズだ!

 

電車に揺られながら俺は額に汗がにじみ出ていた。

 

落ち着け……これはきっとあいつのブラフだ。

冷静にかつ慎重にメールを送信だ!

【今日と明日は普通に用事がある。7日だったらいけるかもしれないが確定ではないし、次の日が学校だろ?その時でいいだろ?】

 

スマホのバイブが鳴り直ぐに返信が来る。

【せーーんぱい。仕事って、ほとんど午後からって聞いてますよ。午前中はこれますよね♡それとも私が先輩の家に行きましょうか♡】

 

………【3日の早朝に学校に行かさせていただきますです】

俺は愕然として、送信ボタンを押すしかなかった。

 

 

そして、丁度電車は由比ヶ浜の自宅近くの駅に到着した。

 




次は皆さんお分かりだと思いますが、あのGSキャラが登場!

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