やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。 作:ローファイト
誤字脱字報告ありがとうございます。
はた迷惑な続きですw
由比ヶ浜の家に転がり込んだボケ老人とその保護者とは、あの世界的に有名な錬金術師、ヨーロッパの魔王ドクター・カオス氏とカオス氏が錬成した人工霊魂を搭載した女性型アンドロイド、マリアさんだった。
マリアさんがドクター・カオスが日本に来た理由を、由比ヶ浜親子と俺に語りだす。
ドクター・カオスは錬金術で自らの魂に永遠の命を吹き込むことはできたのだが、肉体の老化までを防ぐことが出来なかったそうだ。
そして、脳細胞が限界が近づき、あと50年程度で崩壊し自らをコントロールできないレベルに達する事は早い段階で分かっていたとの事。
それを阻止するために最初は他人の肉体を奪って、それを防ごうと考え実行に移したが、うまく行かなかったそうだ。
しかし、3年前に転機が訪れた。あの大規模霊災のさなか、世界創生に関わるオーパーツを手に入れ、脳細胞と肉体の若返り化をする術式と霊薬を生み出したそうだ。
霊薬はその生命が歩んだ過去の時空にアクセスし、その過去の肉体の情報をコピーし、今の肉体の上から上書きするというものだ。
簡単に言えば、過去の肉体を手にすることが出来る薬、若返りの秘薬だ。
世界のどこかにあると言われる復活薬エリクサーと同等、いや、場合によってはそれ以上の価値がある霊薬だ。若返りの霊薬の存在など今迄聞いたことも無い。
その価値は計り知れない。人によっては、全財産を叩いても欲しいと思うだろう。
そんなものを設計し生成してしまうとは、有史以来世界最高の天才錬金術師ドクター・カオスと言ったところだ。
但し、その霊薬は複製も再生成もできないらしいのだ。その生成には二度と手に入らないそのオーパーツが使用されてるからだ。
そんなとんでもない貴重な霊薬がもし、世間に知れ渡ったら、どうなるかは想像に易い。
権力者やすべての女性の希望を詰め込んだような夢の霊薬だ。その存在が知られれば、争いは避けられないだろう。下手をするとその若返りの霊薬を巡って世界を巻き込んだ戦争が起きるかも知れない。
何よりも、絶対に美神さんに知られるわけには行かないだろう。強欲の権化の美神さんは他人を突き落としてでも、何が何でも奪い取り、すべて自分の物にする事は容易に想像できてしまう。
マリアさんもその事を知っているから、美神さんには協力を仰がないどころか、秘密にしたかったのだろう。
GS協会に知られても、似たようなものだ。この霊薬のことが何処からか漏れ、簒奪者がそこらかしこから現れるだろう。
その若返りの霊薬だが、実は3年間の熟成期間が必要だったらしく、生成した後にカオス氏が住んでいたアパートの床下を10メートル穴を掘って、熟成術式を施した箱と共に埋めておいたらしい。それで丁度10日前に、3年間の熟成期間が終わり、マリアさんが密かに掘り起こして、今はマリアさんが所持してるらしい。
近所に若返りの霊薬なるものがほったらかしで埋まってたと美神さんが知ったら、地団駄踏んで悔しがるだろうな。
霊薬が完成し、持ち出したのなら、直ぐにカオス氏に使用すればいいものだが、そこには問題があった。
その若返りの霊薬を使用し、過去の肉体の情報をコピーし上書きすると言う事は、記憶もすべて上書きしてしまうということなのだそうだ。という事は、そのまま霊薬を使用すると、過去の肉体以降から今迄の記憶がすべて失われると言う事だ。
そこで、カオス氏はフランスの拠点で、現在の自らの記憶を、ハードディスク等の現代の記憶媒体にコピーする魔導術式を完成させた。
そのコピーした記憶を、若返りの霊薬で若返ったカオス氏に入れなおす方法を思いついたのだ。
しかしここでも問題があった。カオス氏の1000年分の記憶と知識量をそのままコピーすると、記憶容量として凡そ1エクサバイト、要するに100万テラバイト必要だと試算がでたそうだ。桁違いな容量が必要だと判明したらしい。普通の人間は生涯で1000テラバイトの記憶容量を擁していると俗説があるが、ざっとこれの1000倍だ。これはグーグルが所有するストレージサービス用に保有する記憶媒体と同じ容量だ。マリアさんの話によると、カオス氏は特殊な記憶方法で、脳内で記憶の圧縮を行っているということらしいため、実際カオス氏の脳内では100万テラバイトの記憶が圧縮され4万テラバイト程度の容量で収まっているとの事だ。それでも4万テラバイトの容量を持つことが出来るとは、やはり天才は生まれた時から脳の作りからして違うものだろうか?
それはさておき、圧縮した状態の4万テラバイトをハードディスクに落とすことは、困難だが現実に不可能でもない数字ともいえる。4テラバイトのハードディスクが現在の相場は凡そ8000円。そうなると必要ハードディスクは、3.2億円分必要となる……
それ用の場所やサーバーや管理システムも必要だろうし、最低でも10億円近くはかかるだろうが、やってやれない事は無い。
しかし、カオス氏には残念ながらその財源が無かった。
だがカオス氏は世界中に広がるネットワーク環境に目を付けた。
自らの記憶の断片と化し世界中のネットワーク上にこっそりと、潜ませる事にしたのだ。
ここまで話を聞いても、とんでもない話だ。
若返りの秘薬を生成し、脳記憶の圧縮に、記憶媒体へのコピー。普通じゃ考えられないような話だが。天才の名をほしいままにしてるドクター・カオスなら話は別だ。過去に失われた魔術や錬金術、霊能、はたまた、神や悪魔の知識を持つと言われてる人物だ。
そんな事もやり遂げてしまうのではないかと思ってしまう。
そして実際に既に、圧縮した脳の記憶4万テラバイトの記憶をネットワーク上アップロードし分散させ、世界に飛び交う情報網の中に紛れ込ませたとのこだ。
但し、カオス氏は何かのミスで、最後まで残しておくはずの理性や記憶も、ネットワーク上に流してしまい。こんな感じで前後不覚になる程ボケてしまったそうな。
まあ、弘法も筆の誤りというしな。天才といえどもミスはあるものだ。
本来は、霊薬を使用する前に、最後まで残しておく理性の部分は一度、マリアさんの中にある霊体記憶媒体に保存するつもりだったらしい。
世界に飛び交うカオス氏の記憶断片をダウンロードするソフトと記憶圧縮展開システムはマリアさんの中に搭載されており、それを融合させながら、全てではなく、必要最低限の記憶をカオス氏の脳内にダウンロードする予定なのだそうだ。
全てダウンロードすると、カオス氏の脳内がパンクする恐れがあるからだ。そりゃそうだ。脳内ギリギリのデータを、既に記憶データの有る脳に上書きするのだ。容量を確実にオーバーしてしまう。
残りの大部分のデータは後で何とかする方法もある程度考えているそうだ。
しかし、一連の作業を行うためにはカオス氏が独自に組み上げた霊的術式が必要らしいのだが、本人がボケてしまったため、霊的術式の起動が出来なくなくなってしまったのだとか。その起動にはカオス氏の代わりとなる霊能者が必要となり、それで横島師匠かキヌさんを頼ろうとしたらしい。
しかも、超貴重な若返りの霊薬が関わる事だ。信用のおける人しか頼むことはできないだろう。そこで知り合いであり、霊薬にあまり興味がなさそうな人物として、横島師匠とキヌさんを選んだのだろう。
横島師匠は、性欲以外の欲はほとんどないし、キヌさんは聖母だし、この事を頼むのにうってつけだったのだろう。
由比ヶ浜とガハママはマリアさんの話がどこまで理解できたか疑問だが、一応ずっと頷いていた。
マリアさんの話がひと段落すると由比ヶ浜は俺に聞いてきた。
「ヒッキー、要するにお爺ちゃんのボケを直すって事?」
「簡単に噛み砕いたらそういう事だな」
ざっくり過ぎるが、由比ヶ浜も凡その内容は理解していたようだ。
正確には若返らせることにより、ボケも解消されると言う事なのだが、まあ、それでいいだろう。
そして俺はマリアさんにその一連の操作を行うための霊的術式の起動を頼まれたのだ。
「ミスタ・比企谷・術式起動を・お願い・できますか?」
横島師匠は今、オカルトGメンに行って、打ち合わせしてそうだし……。キヌさんは美神さんと一緒に居るだろうし、内緒ごとなんて出来ない性格だしな。
「ヒッキー、あたしからもお願い!お爺ちゃんのボケを直して」
「……まあ、ここまで話を聞いてしまったからにはな」
こうして、ドクター・カオス氏のぶっつけ本番若返り作戦が始まったのだ。
カオス氏とマリアさんが寝泊まりしてる部屋に案内され、マリアさんが部屋いっぱいの大きな布を広げると、円状に術式魔法陣が描かれていた。
その中心にボケたカオス氏を座らせる。
俺は術式についてマリアさんにレクチャーを受ける。
それは全く見た事も聞いたことも無いような術式だった。
……なるほど、起動術式を展開するとそれが連鎖的に、描かれた術式魔法陣が起動し、連鎖的に他の魔法陣やマリアさん自身に搭載されてる術式が起動し、自動的に一連の作業が完遂する仕組みか、カオス氏自身が被検体だからな。起動後は自らが術式の対象となるため、それらをコントロールすることが出来なくなる。それで、最初の起動術式を展開させ、後はオートマチック化させたのか……、起動術式のコントロールはそれほど難しくない。霊気量を一定に注ぎ込み、念を込めるだけの作業。これならばある程度の霊能者ならば誰でも出来るだろう。
マリアさんが陶器の小瓶を取り出し、100ml(ミリリットル)ビーカーに80ml注ぐ。1mlで凡そ10年若返るとのことだ。だから800年若返らせるとの事だ。カオス氏は正確には1056歳だから、250才ごろに戻す予定なのだそうだ。
250才といっても、どの程度なのか検討も付かない。普通人間は80歳位生きられればいい方だからな。
カオス氏の頭に、配線がむき出しのヘッドギアみたいなものをかぶせるが、ボケたカオス氏は嫌がって暴れ出す。
……しかし、マリアさんがカオス氏の腹にワンパンチ食らわせ、それ以降ぐったりと……
確かに効率は良いが……そのもっと優しくしてあげても良くないかな?
マリアさんもアンテナが左右に付いたカチューシャを頭に取り付ける。なぜかその姿はしっくりくる。
円状の術式魔法陣の真ん中でヘッドギアをしたカオス氏に膝枕をする。
ビーカーに注いだ若返りの霊薬はマリアさんの手に……
「ミスタ・比企谷・よろしく・お願いします」
「わかりました。行きます」
俺は寝ているカオス氏の右側にある起動術式に手を触れ、霊気を注ぎ込み、【過去のありし姿を顕現させよ】と念を込める。
円状の術式が青白く光り輝き、カオス氏とマリアさんを包み込む。
俺はそっと、術式から手を離し、壁際まで離れ立ったまま様子を見る。
部屋の角で座って様子を見ていた由比ヶ浜親子は、その幻想的な情景を見て、小さく感嘆の声を上げていた。
そして、マリアさん自身も、術式が浮かび上がり、青白く光り輝く。
カオス氏の頭のヘッドギアも起動したのか、LEDランプがあちらこちらで点滅する。
カオス氏は軽く痙攣し、それが収まると、マリアさんは手に持っていた若返りの霊薬をカオス氏の口に注ぐ。
術式魔法陣がさらに輝きだす。
目を開けていられないぐらいの光だ。
5分ぐらい経ち、光が徐々に収まって行く。
すると、術式魔法陣の真ん中に人が立っていた。
「うわっはっはーーーーー!!やっぱりわしは天才だーーーーー!!」
年は40前ぐらいだろうか。ハリウッド俳優のようなイケメンが大口を開いて高笑いをしていた。
「え?誰?」
由比ヶ浜はポカンと口を開けたまま、その人物に聞く
「ん?小娘、わしが誰じゃと?よく聞け!!数多の魔術や科学を極めし、知の探究者にして、天才錬金術師!!ヨーロッパの魔王ドクター・カオスとはわーーしのことじゃーーーー!!うわっはっはーーーーーーー!!……うっ、ゲホゲホホっ」
その自信に満ち溢れた顔で、高らかに宣言し、高笑いをし、……咽る。
どうやら、このシブイイケメンが若返ったドクター・カオスらしい。
「協力感謝するぞい!マドマーゼル!」
そう言って、そのイケメンは、唖然と座ってるガハママの手を取って、手の甲にキスをする。
「小娘も、よくやった!!」
そう言って、由比ヶ浜の頭をわしゃわしゃと撫でる。
そして……俺のほうに振り返り。
「ガリレオ!!我が至高の大実験に付き合えたことに感謝せよ!!はーーっはっはーーー!!」
そう言って俺の肩をバンバンと叩く。
「……いや、ガリレオじゃないんですが……」
マジでか、マジで若返ったぞ。結構半信半疑だったんだが……天才錬金術師ドクター・カオスの名は伊達じゃなかった。
そのわりには、俺の事、ガリレオって勘違いしたままなんだが?もしかして、何か失敗したか?
「ええええーーー!!おお、お爺ちゃんが若返って、イケメンになった!?何で!?」
由比ヶ浜は大いに驚く。
……え?
さっき、マリアさんの説明を理解していたと思っていたが……ただのボケの解消だと思ってたのかよ?
「あらやだ~、超好み~」
……え?
ガハママはうっとりした表情で目がハートになってるんだが。
「うーむ。800年前に設定したが、どうやら700年位前、350才位のわしじゃなこれ!まあ、細かいことはどうでもいいか!!若返ったし!!頭もスッキリ晴れ!!力も、気力も、漲って来るわ!!うわっはっはーーーーーーー!!」
……え?
それいいのかよ。結構な誤差だと思うぞ?なんか副作用とかあるんじゃないのか?
「うわっはっはーー!!そなたらには世話になった!!褒美を取らせるぞ!!言ってみよ!!このカオスが叶えてやる!!」
高笑いをしながら、由比ヶ浜親子にこんな事言う。
「ええ?急に言われても!?」
由比ヶ浜は困り顔だ。
しかし、ガハママは……
「うーん。ママも若返りたいなーー」
「ええーー?ママ??」
「だって、結衣の頃には、お腹の中に結衣が居たし、友達と遊んだりできなかったのよね~、パパとは甘い恋はしたけど。ママもお友達と青春してみたいなーって?ダメ?」
ガハママはもじもじしながら、可愛らしくそんな事を言う。
「マドマーゼル!よいぞ!!ならばさっそく!!」
「ええ?ちょ、ママ!?」
若返ったカオス氏はガハママの腕を引っ張り、マリアさんに膝枕をさせ、術式魔法陣を起動させ、若返りの霊薬をほんのちょっぴり飲ませる。
20秒もしない内に……
「ええええーーーーママぁ!?」
由比ヶ浜の叫び声が部屋中に響き渡る。
「どうしたの結衣?」
キョトンとした感じのガハママ。
マリアさんはガハママに手鏡を渡す。
「あらやだ~、この姿、結衣を授かる前だわ」
……ガハママが20歳位若返ってしまった。という事は由比ヶ浜よりもちょっと年下に。
由比ヶ浜というよりも、マリアさんに似ている!
胸は由比ヶ浜より、ガハママの方がちょっと大きいな……いや、言ってる場合か!?
これどーするんだよ!!ヤバくないか!?
ちょ、実の娘より若いって!?どうすんだよこれ!ガハマパパ帰ってきたら失神ものだぞ!!
いやいやいや、近所付き合いとか!!パート先とか!?どうするんだよ!?
「ほほう!!これは!!若かりし頃の姫にそっくりじゃ!!うわっはっはーー!!」
なに、高笑いしてんだこのおっさん!!
「ちょちょ、ドクター?これって元に戻るんですよね?」
俺は慌てて、若返ったドクター・カオスに詰め寄る。
「ん?なんじゃガリレオ?なに馬鹿なこと言っておる!?」
カオスは俺を呆れた顔で見る。
まだ勘違いしてやがる!もうガリレオの事はこの際どうでもいい!その反応はまさか!?
「はーーーっはっはーーー!!そんなものは無ーーーーーい!!」
やっぱりかーーー!どうすんだよこれ!!
「結衣!プリクラ撮りに行きましょ!カラオケに!甘いスイーツ!インスタ巡りとか~!」
ガハママ!?何呑気な事をいってるんだ!?順応しすぎじゃないか!?
「ちょっと!?ママ!?えーー!?」
由比ヶ浜は混乱しまくってる。
当たり前だ!!自分の母親が、若返って自分と同じ位の年齢になったんだぞ!!
由比ヶ浜の反応が正しい!!
「がーーはっはっはーーーーー!!」
そんなこんなで、いつまでもカオス氏の高笑いが響き渡っていた。
とりあえず、カオス氏とマリアさんは暫く、由比ヶ浜家に世話になるそうだ。
ガハママもそれを歓迎していた。
由比ヶ浜は暫く混乱していたが、さすがは親子、直ぐに順応しだす。
若返りの霊薬は後、18ml残っている。計算上とはズレを起こし、実際には1mlで約9歳若返る事が分かった。まあ誤差範囲といえば誤差範囲だが……だから正確にはカオス氏は、720歳若返り、ガハママは18歳若返った事になる。
俺は取り合えず家に帰る事にしたが、何かあったら直ぐに連絡するように由比ヶ浜には言い聞かせる。
結局カオス氏は俺をガリレオと勘違いしたままだった……なんでだよ。
そして、その残った若返りの霊薬18mlが後で大問題になるのだが今の俺達に知る由もない。
由比ヶ浜はカオス氏に何度も何か願い事は無いかと尋ねるが、由比ヶ浜はそれを拒否していた。
しかし……俺が帰った後。
「結衣さん・ありがとう・ございました」
「いいよいいよ。マリア。よかったね。お爺ちゃん若返って」
「……マリアは・ドクター・カオスに・作られた・アンドロイド……・ロボットです」
「ええ?別にいいんじゃない。マリアはマリアだよ。お爺ちゃんもマリアの事、娘か孫みたいに思ってるし」
「ありがとう・結衣さん」
「ああ?もう若返っちゃったし、お爺ちゃんって言えないね!」
「ドクター・カオスは・結衣さんに・お爺ちゃん・と呼ばれる事を・嬉しく・感じてます。・だから・そのままでいいです」
「そうなん?」
「はい……ところで・結衣さん・本当に・願い事とか・欲しいものとか・無いのですか?」
「うーん。欲しいものあるけど、これは自分で頑張ってやらないと意味が無いんだー」
「それは・なんですか?」
「今日来たでしょ。ヒッキー。ヒッキーの恋人になりたいんだ。でも、これはあたしの問題だから」
そんな会話をする二人を、扉の隙間から見据える、中年が……
「ふむなるほど!小娘はあのガリレオと!くふふふふふっ、その願い。このカオスが叶えてやる!」
とんでもない人物に聞かれていた。
ドクター・カオスは満足げにあてがわれた自室に戻って行く。
その後ろには何故か由比ヶ浜家の愛犬ミニチュアダックスフンドのサブレが尻尾を振りながらついて行っていた。
これで、結衣にも後ろ盾が……迷惑極まりないですがw
サブレ改造されなければいいんですがw