やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト

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誤字脱字報告ありがとうございます。

ようやくこのお話に到達しました。
この章の締めのお話になります。
このお話の決着後は次の章に移ります。


(89)八幡巻き込まれる

4月7日正午過ぎ

俺は本来仕事は休みのハズだったのだが、美神さんに呼ばれ、今、美神令子除霊事務所に到着し、4階の事務所の扉をノックする。

要件は聞いていない。緊急の仕事の話であれば、事前に話してくれるはずなのだが、何の用事なのだろうか?

 

「こんにちは、美神さん」

扉を開け、所長席に座る美神さんの方に歩みながら挨拶をする。

事務所にはキヌさんは居ない様だ。横島師匠はまだ海外出張中だから、もちろん居ない。

 

「比企谷君。休みのところ悪いわね」

美神さんは機嫌がいいのか、ニコニコとした笑顔だ。

いや、何だかその笑顔が怖い。

何か悪い事の前触れではないだろうか?

 

俺は足取りが急に重くなるのを感じながらも、所長席の前に立つ。

「今日は、何の用ですか?」

 

「君にちょっと聞きたいことがあったのよ」

美神さんはニコニコとした笑顔のままだ。やっぱり何か不気味だ。

 

「はぁ」

俺は生返事をする。

 

美神さんは所長席から立ち上がる。

「比企谷君……君、私に何か報告することを忘れてないかしら?」

 

「いえ、無いですが」

いや、この2,3日の仕事の報告書はその日に全部上げてるはずだが?

 

「そう……実はね。午前中にね。マリアとドクター・カオスが事務所に来たのよ。まあ、マリアはおキヌちゃんと私に挨拶に来て、カオスのじいさんはそれについて来ただけだったんだけど……」

 

「へ~、ドクターカオスはヨーロッパで行方不明でしたよね」

俺はしらばくれる。嫌な予感しかしない。

 

「カオス……かなり若返っていたわよね。流石の私も面喰ったわ」

まだ、笑顔で話す美神さん。

 

「そ、そうなんですか?」

 

「……なんでも、若返りの霊薬を開発して、それを使ったとか……」

 

「へ~、そんなすごい霊薬があるんですか?」

 

「カオスに聞いたら、若返りには霊薬と特殊な術式が必要らしいんだけど、詳しい事は教えてくれなかったわ」

 

「それはそうですよね。独自の術式や霊薬なんてものは、商売上、他人に教えるような物じゃないでしょうし」

 

「……で、その特殊な術式起動に協力者がいたらしいのよ」

 

「………だ、誰なんでしょうね」

や、やばい。バレてるのか?いや、ドクターは俺の事をガリレオだと思ってる。だから多分大丈夫だ。

 

「カオスのじいさんは、友人のガリレオだと言っていたわ。ガリレオね~」

美神さんはジトっとした目で俺を見る。

 

「はははは。歴史的天文学者と同じ名前ですね」

 

「そのガリレオって、目が腐ってて、ゾンビみたいな目をしてたそうよ。何か知らないかしら比企谷君」

また、ニコっとした笑顔を俺に向ける美神さん。

 

「そ、世の中そんな目の人もいるんですね」

これはあかん。あかんやつやーー―!ば、バレてもうてるーーー!?

この目か、この目があかんのやーーーーー!!

動揺のあまり、つい師匠の口真似が!?

 

 

ダンと所長席の机の上に片足で踏みだし、俺に迫る美神さん。

その目は血走っていた。

「ネタは上がってるのよ!!そんな目をしてる奴はこの世にあんたしかいるわけないじゃない!!」

 

そして俺の胸倉を両手で掴みあげる。

「さあ、吐け―――――!!比企谷!!あんた!!カオスの若返りの霊薬について何を知ってる!!」

 

「いやいや、あれですよ。偶然俺の知り合いがドクターと接触して、たまたま知り合って、ちょっと手伝っただけですよ!詳しい事は全然知らないんですよ!」

 

「術式起動させたのは、あんたでしょーーーー!!どんな術式で!!どんな霊薬なの!!その霊薬はどこに、どれだけあるかすべて吐けーーーーーーーー!!」

物凄い形相で、俺に迫り、胸倉を閉めて上に、前後に揺さぶってきた。

これはダメだ。何を言っても聞き入れてくれる雰囲気じゃない!

 

「や、やめ、あの、本当に詳しい事は全然!術式魔法陣を起動も、それほど難しい物じゃないし、その後はほぼオートで全体の術が起動したんで!俺は本当に知らないんですよ」

 

「その術式!!魔法陣だったのね!!起動だけで、あとオートで動く術式群。多重で術式を動かしたって事ね!!霊薬はどんなのだったの!!」

さらに俺の胸倉を掴んだまま、前後左右と揺さぶる美神さん。

 

「か、勘弁してください!本当に知らないんですって!」

キヌさんが居ないのは痛い!いや、ワザとキヌさんが居ない時間帯を指定して俺を呼んだのかもしれない!

 

「あんた!!死にたくなるぐらいの痛みを一生与え続けられるのと!!死にたくなるぐらいのトラウマを植え付けられるのとどっちがいいかしらーーーーっ!!さあ、すべて吐けーーーーーー!!」

そう言った美神さんの顔は般若のような形相だった!

鬼だ。マジ悪魔だこの人!マジでやりかねん!

 

「ほんとそれだけですって!霊薬もマリアさんかドクターがまだ持ってるはずだし!!」

 

「うふふふふふふっ!!若返りの霊薬はまだあるのねーーーーー!!ワンオフ品でもう無いってカオスは言ってたけど!!まだあるって事よね。そうよね比企谷ーーーーーー!!ふはははははっ!!」

しっ、しまったーーーーー!!誘導尋問に引っかかった!!

多分、美神さん対策として、ドクターとマリアさんは若返りの霊薬は全部使ったと言ってたんだ!!それをいぶかし気に思っていた美神さんは俺をダシに!!

 

美神さんは俺の胸倉をパッと放し。高々と宣言する!!

「うふふふふふっ!!カオスめ!一人だけいい目を見ようと、そうは問屋は降ろさない!!若返りの霊薬はわたしが持つべき物よーーーーー!!」

 

「ゲホッ……」

この人悪魔だ!マジもんの悪魔だ!

 

美神さんはその体制でグギギと首を回し、悪魔も恐れるような邪悪そのもののような視線で俺を睨みつける。

「いーい。比企谷。この事は誰にも言うんじゃないわよ。そして、私がその若返りの霊薬を手にするようにあんたは、私の手足になって働くのよ。手に入れた暁には、十分な見返りは与えてやるわ。いーい。失敗は許さない!そうね。失敗したら、あんたを一生お天道様に顔向けできないようにしてあげるわーーーっ!!」

……や、やばいやばいやばい!!どんな妖怪や霊、悪魔や鬼よりもこの人が一番怖い!!

 

 

 

 

ガチャっと事務所の扉が開く音がした。

 

た、助かったーーーー!!キヌさんが戻ってきてくれた!!

 

 

しかし……

 

「令子…またあなたは。ドクターとマリアさんはオカルトGメンにも挨拶に来たわ。……若返りの霊薬はまだあるのね。オカルトGメンで厳重に管理する必要があるわ」

 

「令子ちゃん。独り占めはズルいわ~~。ドクター・カオスとマリアさんはGS協会にも挨拶に来てね。私より若返っちゃったドクター・カオスを見てびっくりしちゃった。若返りの霊薬は私が実証実験で使った後に~、ちゃんとGS協会で管理しないとダメよね~~」

 

現れたのは、キヌさんじゃなかった。

オカルトGメン役員兼東アジア統合管理官にして、日本におけるこの業界の最大の権力者美神美智恵さん。美神さんのかーちゃんだ。

そして、おっとりした口調で話す60前の女性はGS協会の六道会長だ!

 

「………」

これはこれで助かったのか?

 

 

 

 

「とりあえず、比企谷君の身柄はオカルトGメンに預からせていただきます」

 

「え~、美智恵ちゃんそれは、ズルいわ~、でも比企谷君は犯罪者でも被害者でも何でもないわ~、不当に拘束してるわよ~。比企谷君は、六道家がちゃんとおもてなしをして、快適にしばらく過ごしてもらうから~」

 

「先生。比企谷君は重要な参考人であり、犯罪に巻き込まれる恐れがあります。現に令子から不当に犯罪の片棒担がされそうになっておりました。これは立派にオカルトGメンの範囲内です」

 

「ダメよ~。比企谷君は六道家にゆるりと過ごしてもらうのよ~~」

 

何故か二人は穏やかに言い争いを始めた。

 

 

「ママ!!こいつは私のところの従業員よ!!唯の業務命令よ!!別に犯罪をするわけじゃないわ!!カオスから、穏便に譲ってもらえるようにするだけよ!!」

美神さんは、二人のマダムたちにつかつかと近づいて行く。

いやいや、穏便?なにそれ?あんた絶対に犯罪に走る気満々だったじゃねーか!!譲ってもらう!!不当に奪うの間違いじゃないか?それか恐喝とかだろ!!

 

 

「令子!あなたは私利私欲に動いているだけです。若返りの霊薬の存在は、あなたのような人間や犯罪組織に狙われる可能性は十分ありえます。ここは世界機構であるオカルトGメンが厳重に管理するべきです!」

 

「う~ん。若返り霊薬は六道家がドクター・カオスに売ってもらっちゃって、日本の宝にします~。それ程の霊薬はもう今後でないかもしれないので~。参考品として六道家とGS協会で管理しちゃいます~」

 

「おば様!!何を!!カオス自身はもう無いって言い張ってるのよ!!売ってもらえるわけないじゃない!!もし売るんだったら。私が買い取るわ!!」

 

美智恵さん、六道会長、美神さんはそれぞれの立場の主義主張を並べ、言い争いを始めてしまった。

 

一番安全そうなのは、美智恵さんぽいが……美神さんは私欲が全面にあふれてる。

 

 

「比企谷君は今後、令子のような犯罪に走るような人間に狙われる可能性があります。オカルトGメンでガード、管理監督し、安全な場所で過ごしてもらいます」

確かにそうだ。今からでも美神さん(悪魔)から守ってもらいたい!美智恵さんは国のお偉いさんを動かせるぐらいの権力を持ってるから、国に守られているようなものだ。

 

「六道家は一番安全よ。なんなら冥子と同じ部屋で過ごしてもらうわ~。誰が来ても、六道家の術者が全力でガードするし、冥子には十二神将がついてるから、安全は万全よ~。それに、おもてなしもばっちりよ~」

確かに、六道家が一番安全かもしれない。いくら美神さんでも、十二神将相手にはできないだろうからな。しかも、六道家は広いし超金持ちだし、高級ホテルよりも過ごしやすいはずだ。

でも、冥子さんと同じ部屋というのは……ちょっとやばい気がする。俺が十二神将に殺されるかも!

 

「ふん。こいつが、そんじょそこらの連中にやられるわけないでしょ。わたしがそんな風に育ててないわ!それにこいつの事を私の方がよく知ってるわ!私といたほうが安全に決まってるわ!!」

美神さんに育てて貰った?あんたは、俺を妖怪の巣に落としたり!孤島に置いてけぼりにしたり!変な魔術空間の人身御供のように突き落としたりしただけだろ!!確かに、術式とかたまに教えてくれるけど!!俺を育ててくれたのは横島師匠だからな!!どっちかというと美神さんよりも小竜姫様の方が親身に教えてくれたし!!横島師匠の次は、小竜姫様だ!!

 

 

………なんか、やばい雰囲気だ。

横島師匠だったら、こういう時どうするんだ?

 

………逃げ……いや戦略的撤退だ!!

これしかない!?

 

 

俺は3人が言い争ってる間に、4階の事務所の窓をこそっと開け飛び降りる!

 

逃げたんじゃない!!戦略的撤退だ!!

 

 

「あああ!!あいつ逃げた!!このーーーーーー!!シロ!!タマモ!!出番よ!!」

 

「オカルトGメン、警察各班。重要参考人が逃走しました。直ちに確保に動いてください」

 

「六道家各術者、六道女子学院霊能科の皆さん~。護衛対象の方が、追われて逃げてます。直ちに助けて、六道家に連れてきて下さい~」

 

 

 

俺の逃走劇が始まった。

なぜこうなった!?




皆さん直接カオスに手を出さないでしょうね。
だって、とんでもない目に合うのは目に見えてるからw
八幡は完全に巻き込まれてますね。
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