やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト

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誤字脱字報告ありがとうございます。

では前回の続きです。


(90)八幡巻き込まれる後編

天才錬金術師ドクター・カオスが作成した若返りの霊薬を手に入れるために、ドクターの若返りの現場に立ち会った俺から、情報を引き出したり利用しようとする人たちに狙われる事になった。

 

それは質が悪い事に、身内だったり、関係者のお偉いさん方だった。

そう、美神さんと美神美智恵さん、六道会長に狙われる事になったのだ。

 

俺は美神令子除霊事務所から脱出を図り、戦術的撤退を敢行し、今は東京の街中をこそこそと逃げ隠れしながら移動する。

 

電車で逃げようとしても、既に最寄りの地下鉄駅入り口には、美智恵さんの指示によるものだろう警察の手が回っていた。

そして、ハンターのように俺を狙うシロとタマモ。

彼女らの嗅覚は凄まじい。人間には感じられない霊気の残り香を探知し追ってくる。

俺は霊視能力をフルに活用しながら、シロとタマモからコソコソと逃げ回っている。

俺の霊気の残滓や、臭いを辿らせないように橋を使わずに川を渡ったり、ビルの屋上から隣のビルに飛び移ったりと彼女らの鋭い嗅覚をかく乱しながら移動する。

 

人混みの中に紛れやり過ごそうとすると、六道会長の指示で動いてる六道女学院の制服を着た女子高生のチームがあちらこちらで俺を探し回っている。その手には見鬼くんという特定の霊気を辿る事が出来るカラクリ霊能アイテムを持っていた。

俺は目立たないように、自らの霊気を抑える札を張り、さらには帽子とサングラスを購入し変装している。

 

時々、オカルトGメンの職員か六道家の霊能者だろうと思われる強めの霊気を持つ人たちが、俺を探すかのように行動してるのを広範囲の霊視で確認することが出来る。

 

美神さんや美智恵さんからはかなり間合いを取って回避してる。

幸いにも、美神さんと美智恵さんや六道会長はかなりの霊気を内包をしてるため、集中して霊視すればかなり遠距離でもその存在を感じることが出来る。

 

 

……なんでこうなった!?

 

俺はまさに映画の逃亡者の気分だ。

しかも、俺は何も悪い事はやっていないし、冤罪にかけられるような行動もしていないのに。なぜ?

やはり、ドクター・カオスに関わってしまったがためか?

いや、由比ヶ浜がどっぷりドクターに関わってしまっているのを見過ごすわけにも行かんだろう……運命と思って諦めるしかないのか。

 

 

しかし、このまま逃げっぱなしというわけにもいかない。

ここまでの捜査網を引かれてる。しかもただの警察じゃない。プロのしかも超一流の霊能者に追われてるのだ。しかもあの美神さんだぞ!地獄の底まで追いかけてくるだろう!かならずいつかは捕まってしまう。

 

打開策として、今考えられるのは三つ。

 

①キヌさんを見つけ、キヌさんにあの三人を説得してもらう。

 

②ドクター・カオスとマリアさんに接触して、三人を説得してもらう。

 

③妙神山に逃げ込み。やり過ごす。

 

出来れば③は避けたい。

なにせ、明日が三年時の始業式だ。

妙神山に逃げ込んだは良いが、いつ復帰できるか分かったもんじゃない。

今日中には解決したい。

 

残る①と②が現実的だ。

しかし、キヌさんとドクターと一緒に住んでる由比ヶ浜に連絡を付けようとしたのだが、俺のスマホは回線がストップさせられて、通話ができない状態だ。多分美智恵さんの仕業だろう。

 

俺は電話ボックスから、家に居るだろう小町に連絡し、二人の電話番号を聞いて、電話を掛けるつもりだった。

しかし、既に比企谷家は警察の手が入り、逆探知されていた。

電話越しの小町が、それとなくそれを知らせてくれたのだ。

 

くそっ!普通ここまでするか?

改めて、美智恵さんの恐ろしさを実感する。

この親子、考え方とかは全く異なるくせに、やってる事は一緒だし!

 

俺の家がこんな感じだ。となると、ドクターが居候してる由比ヶ浜家も警察が張ってる可能性が高い。

 

くそ、残りは出かけたキヌさんを探すしかない。

キヌさんは大学が始まるのが4月中頃からと言っていた。

だから、大学に行ってる事は無い。

キヌさんがよく出かけるのは、買い物か美神さんのお使いだ。

それならば、大体わかる。

高校の友達に会いに行くとか、イレギュラーな事だったら探しようがない。

 

とりあえず、キヌさんが買い物か美神さんのお使いで出かける先を探すしかない。

 

先ずはキヌさんがよく買い物に行く商店街に行き、遠目で霊視する。

居ないか……

 

次に厄珍堂だ。

ここも居ないか……

 

キヌさんが買い物に行くだろうところをこの後3件程回ったが見つからない。

 

そして次だ。

唐巣神父の教会だ。

 

霊視能力を最大にして、周りに美神さん達や、捜査員たちが居ないか確認してから、教会に飛び込む。

 

「し、神父。キヌさんこっちに来てませんか?」

 

「どうしたんだね。血相を変えて、君らしくない」

「比企谷!?」

教会の祭壇で何やら作業をしてる神父と、椅子の拭き掃除をしてる川崎が正面扉から入ってきた俺に振り向く。

 

「比企谷、何をやったんだい?さっきGS協会から電話があって、比企谷を見かけたらすぐに知らせてくれって!」

川崎が慌てたように俺に聞いてくる。

やっぱり、ここにも連絡がきてたか。

 

「比企谷君……何か理由がありそうだね」

神父に神妙な面持ちで尋ねられた。

 

俺は神父と川崎に包み隠さず、追われてる理由を話す。

 

「この迷える子羊を救いたまえ。ふう…何をやってるのか。美神君はわかるが、美智恵君や六道さんまで……」

神父は十字をきり、ため息を吐いて三人の所業について呆れていた。

 

「比企谷、災難だったね。……神父」

川崎は神父に何やら同意を求める。

 

「比企谷君、落ち着くまでここに隠れていたまえ、もし、彼女らが押し寄せても私が説得しよう」

神父は川崎に微笑みかえしてから、俺に優しい笑顔を向ける。

 

「ありがとうございます神父」

ほんと滅茶苦茶いい人だ。

この人が美神親子の師匠だなんて、どうしてああなった?

 

「おキヌちゃんには私から電話をしておこう」

そう言って神父は、スマホから電話を掛けようとするが、

「比企谷君すまん。おキヌちゃん個人の携帯番号は知らなかった。美神君の事務所にかけるわけにも行かないし……」

……くっ、手詰まりか!

 

 

すると……、教会の外から、スピーカーで美智恵さんの声が聞こえてくる。

「比企谷君。ここに居るのは分かっております!素直に出頭すれば、手荒な真似は致しません!」

げっ、もう嗅ぎ付けられた!くそっ!流石はオカルトGメンと警察か!

 

さらに……、バンと教会の裏口が勢いよく開け放たれた。

「比企谷ーーーー!!手間かけさせてくれたわねーーー!!あんたが最後に逃げ隠れ出来る場所はここだけって踏んでたのよ!!だから、ここの周辺1㎞だけはシロやタマモも立ち入らずに探させていたのよ!!そんで超望遠カメラをこの教会が見える位置に設置して、あんたが来るのを見張っていた!!あんたの高い霊視能力がアダとなったわね!!……さあ、洗いざらいしゃべってもらおうか比企谷ーーーーー!!」

目が血走り鬼の形相の美神さんが現れたのだ!

くそーー!嵌められたのか、多分美智恵さんも同じ理由だろう。

 

「いっ、お、お、落ち着いてください美神さん」

俺は後ずさる。

 

「美神君。これは無いんじゃないかね。弟子を大事にしなさいと何度も言ったはずだがね」

唐巣神父が俺の前に出て、美神さんの説得にかかる。

 

「先生は黙ってもらいましょうか!これはうちの事務所の内部の話よ!!」

美神さんは神通棍を構える。

か、唐巣神父じゃダメだ。優しすぎる!!この鬼(美神令子)にはもう正論は通じないんだ!!

 

「………こ、こうさ」

このままじゃ、川崎も巻き込んでしまう。しかも唐巣神父に迷惑が。

俺は諦めて降参しようとしたのだが……

 

その時だ。

教会の正面扉がゆっくりと開き。

「あれ?美神さんに比企谷君?……外には美智恵さんやオカルトGメンの人たちもいましたけど、どうかしましたか?」

た、助かった!神は俺を見捨てなかった。いや聖母は俺を見捨てなかった!!

 

「げ、おキヌちゃん!?」

美神さんは狼狽する。

 

「ミスタ・唐巣・お久しぶりです」

しかもマリアさんまで一緒に!

後で聞いたのだが、キヌさんはマリアさんと買い物中にばったり会って、唐巣神父に挨拶に行くマリアさんに同行したそうだ。

 

俺は泣き付かんばかりにキヌさんとマリアさんに駆け寄り、早口で今回の騒動のあらましを簡単に説明する。

 

「……美神さん。何をやってるんですか?」

あっ、久々のゴゴゴゴゴのキヌさんだ。怒ってらっしゃる。

怒る姿も素敵で神々しいです。

 

「あれ、あはははっ!?」

今度は美神さんが後ずさる番だった。

 

「比企谷君をいじめたらいけないと、何度も言いましたよね美神さん。今後2週間禁酒です」

キヌさんは美神さんに罰を突きつける。

 

「そんなつもりじゃないのよ。ちょっと知的探求心で聞きたかっただけ」

慌てて言い訳を言い出す美神さん。

 

「3週間禁酒です」

キヌさんはぴしゃりと言い切る。

 

「そ、そんな、おキヌちゃん~」

狼狽しまくる美神さん。こんな美神さんを見たのはいつ以来か。

 

「比企谷君にも謝ってください」

 

「えーー!?だって!?」

 

「1か月禁酒です」

 

「わ、わかったわよ!……ご、ごめん」

美神さんが俺に謝った!?なんの奇跡だこれ?

キヌさん凄すぎる!なにこれ、まじ聖母だ!神や悪魔も恐れぬ美神令子を謝らせた!

 

そして、美神令子除霊事務所に戻り、キヌさんは美智恵さんと六道会長にも説教をしていた。

何時もの優し気な口調なのに、なぜか迫力がある。まじ凄いですキヌさん!!俺の救世主です!!

 

さらに一緒に居たマリアさんが衝撃の事実を語りだした。

実はあの若返りの霊薬は本当にもう無いのだそうだ。

ドクターが、次の実験に陶器の空き瓶が必要だったとかで、そこにあった若返りの霊薬が入った瓶を、何気なしに中身の霊薬を由比ヶ浜家の窓から捨ててしまったのだそうだ。

そんな貴重なもの、そこらへんに置くか?しかも捨ててって……あの爺さん。馬鹿だろう?

 

それを聞いた美神さんはその場で「しょんなーー!」とか言って足元から崩れるように倒れてしまった。

美智恵さんはこめかみをぴくぴくさせて、その場で頭を押さえる。

六道会長は泡を吹いて気絶してしまった。

 

ふう、やっぱあんなもんは世の中にない方が良いよな。

人をこんなにも狂わせる。

 

 

 

因みにだ。

由比ヶ浜の家の窓から若返りの霊薬を捨てたもんだから……

近所のハゲの爺さんの髪の毛が急に生えたりとか……

枯れ掛けてた樹齢100年の桜の木が急に花をつけ若々しくなったとか……

下の階のおばさんの肌がつやつやになったとか……

 

そんな都市伝説のような影響が出たそうな。

 

 

無事疑いが晴れ、家に帰ると、小町が待ち構えていて、心配されるやら、説教を食らうやら……

俺はまた、小町に心配を掛けて迷惑をかけてしまっていた。

 

 




次の章に移って
しばらくはガイルパートになります。
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