やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。 作:ローファイト
誤字脱字報告ありがとうございます。
新章です。
今回は思いっきりガイルパートです。GS要素無し
原作とはかなり異なります。
原作のIFって感じです。
ちょっと甘い感じになってます。
(91)3年時新学期が始まる。
3年時新学期が始まる。
泣いても笑っても高校生活最後の年だ。
そして高校生にとって、最大のイベント、クラス分け発表だ。
共に一年間過ごすクラスメイトがこれで決まるのだ。まあ、ボッチの俺にはあまり関係ないのだが。
雪ノ下が在籍する国際教養科は元々1クラスしかないためクラス替え自体が無い。
後の9クラスの生徒達は文系と文理系と別れはするが、ほぼ無作為にシャッフルされると言ってもいいだろう。
登校すると、昇降口周辺には人垣が出来上がっていた。
昇降口横に臨時に看板が設置され、クラス分表が張り出されているのだ。
大時代的な仕様だ。あらかじめメールで通知してくれれば色々とはかどるだろうに。
俺は人垣をスルスルと避けながら、看板前にたどり着き、クラス分表を見上げる。
ひ…ひ……比企谷、比企谷と、あったな。H組か。
この学校は一学年10クラスある。雪ノ下が所属する国際教養科がJ組1クラス。文系はA組から
F組まで6クラス。文理系がG組からI組まで3クラスある。今年は文理系選択者が少なかった影響で例年より少ない3クラス編成となったようだ。そう俺は3年時は文理系を選択したのだ。
理系科目が苦手な俺が文理系とか、疑問に思うかもしれないが、それには理由がある。
霊能関係の術式体系や魔術、陰陽術は一種の科学である。
特に術式構成は数学の知識がなければ、再構成や自分用に調整が出来ない。一種の超高度な数式群で出来上がっているからだ。まあ、知識が無くてもできなくはない。今はパソコンや専用の演算ソフトがあるからな。但し、それで賄えるのはごく一般的な術式だけだ。
さらに、高度な陰陽術式や魔術魔法陣を扱うには自然科学や化学、地学などの総合知識が必要なのだ。
俺は一年生時にそれを知って、苦手だった数学や化学や物理を中学レベルから勉強しなおした。苦手な科目の理系をある程度克服し、そのおかげで今では俺の総合成績は10番台まで登ることが出来た。
2年時三学期の期末テストは総合12位だった。まあ、雪ノ下は入学からずっと総合1位だけどな。
大学も理系の大学を狙うか、唯一、霊能関連の学科がある公立大学を目指すつもりだ。
因みに、キヌさんが合格した大学はその東京にある公立大学だ。まあ、私立でも、今後国家試験となる『オカルト管理責任者資格』『サイバーオカルト対策管理者資格』を見越して霊能系の学科を設立しようと動いている大学もあるようだが……。かなり難しいだろうな。今は私立で霊能科があるのは六道家のお嬢様女子短大ぐらいだ。
そういえば、陽乃さんがこんな事を言ってたな。
来年から土御門家が協力して、京都の国立大学に霊能学科を作るとか。ゆくゆくは六道家のように専門学科がある高校を設立する事を目指しているのだそうだ。霊能系の専門学校は関西にも二つ三つあるが、大学と高校が設立すれば西日本初だそうだ。そうすれば西日本でも優秀なGSを育てられる環境が整っていくというものだ。
これも、裏では美智恵さんが大いに関わってそうだ。
俺はそんな事を考えながら、3年H組の教室に入り、黒板に張り出されていた出席番号順の席のとおりに座る。
……俺への視線とコソコソとよからぬ噂話のような物が聞こえてくるが、まあ、いつものことだ。特に去年の文化祭で大いにやらかしたからな。悪名だけは高い。
席に着き机にうつ伏せて居ると、慌ただしく教室に入って来る奴の足音が後ろから聞こえる。
どうやら、俺の方に近づいてきているようだ。
「ヒッキー!また一緒のクラスだね!よかった!本当に良かったよ~」
お団子頭のピンクっぽい髪色の女子生徒はそう言って俺の背中を軽く叩き、俺の正面に回る。由比ヶ浜結衣だ。相変わらず元気いっぱいだ。
「由比ヶ浜も一緒か、まあ、よろしくな」
「え?ヒッキー、クラス分表であたしと一緒って気が付かなかったの?」
「いや、見てなかった」
「えーーーー!?なんで!?見ようよ!!」
「どうせ、後でお前が教えてくれるだろ?」
「ヒッキーって、ひねくれてるって言うかツンデレだよね」
「誰がツンデレだ」
由比ヶ浜が文理系なのも、去年の初めの頃の由比ヶ浜を知ってる奴だったら驚くだろう。
由比ヶ浜は去年の2学期中間テストまでは、成績は凡そ一学年400人弱いる生徒のうちの、300番台だったからだ。
それが、前学期の2年三学期の期末テストは総合62位という成績まで一気に駆け上がったのだ。
相当努力をしたのだろう。部活では毎度必死に勉強していたのは知っている。元々勉強ができなかったわけじゃないようだし。わからない事があれば直ぐ横の雪ノ下が親身に教えていた。それで一気に伸びたのだろう。
それにしても、なんで文理系なんだと三学期の末頃に本人に聞いたのだが、秘密だそうだ。
そしてまた、教室内がざわめきだす。
まあ、そりゃそうだよな。由比ヶ浜は美少女で、しかも校内きっての人気者だ。
俺みたいな嫌われ者の日蔭者と気軽に話すなんてな。
「由比ヶ浜、教室で俺と話さない方が良いんじゃないか?」
「そんなの関係ないよ。だって、あたしはヒッキーの事が好きなんだもん」
由比ヶ浜は拗ねたようにこんな事を言い出した。しかも堂々とだ。恥ずかしいだろそういうの!
さらに教室内が騒めきだす。
「おい!?お前、声がデカいって、こんなところで何いっちゃってんの!?」
「あたしはあたしのしたい様にするの!周りの目なんて気にしないし、関係ないし」
何それ?雪ノ下が乗り移ったの?いや、もうちょっと気にしろよ!気遣いができる由比ヶ浜さんはどこに行ったんだ?
教室のざわめきが収まらないどころか大きくなる。
さらに……
「よっ、比企谷。またあんたと一緒ね。よろしく頼むわね」
青みがかった黒髪をポニーテールとシュシュでまとめ、背も高く、モデルのような体系、大人びた顔立ちが若干きつめの美人女子生徒が俺に気軽な感じに話しかけてきた。川崎沙希だ。
川崎は元々国立大学を目指していたため、文理系であるのは当然だが、まさかまた同じクラスとはな。
「お、おう」
「サキサキも一緒だね!よろしくね!」
「サキサキ言うな!ったく。まあ、由比ヶ浜もよろしく。……ってかさ。この教室騒がしくない?何?」
川崎は由比ヶ浜にも何時ものような感じで対応し、鋭い目つきで騒がしい教室を見渡す。
すると、騒めいていた教室は、水が引いたように静まり返る。
川崎は自分では気が付いていないだろうが、同級生だけでなく、下級生からも、恐れられていた。
俺より少し低いぐらいの女子にしてはかなりの高身長に、この鋭い目つきだ。
さらに、あの女番長三浦とも、事あるごとにもめて、しょっちゅうメンチ切りあってる女傑なのだ。
傍から見ると、女番長とそのライバルの一匹の狼改め一匹の女豹に見えるだろう。
実際に大した度胸だ。あの唐巣神父の教会での川崎を狙う悪魔の襲来時でも、慌てず冷静に行動がとれた程だ。
その割にはお化け屋敷とか苦手なんだよな。どういう事なのだろうか?本物の悪霊が大丈夫で、作り物の幽霊が怖いとか。
度胸で言えば、由比ヶ浜も大したものだと思う。三浦にも友達として叱る事も出来るし、幽霊もあまり怖がらない。あのドクターとも物怖じせずに対応できるのだ。
チャイムが鳴り、生徒達はそれぞれの出席順の席につく。
由比ヶ浜は俺の隣で、窓際の席だ。
「えへへへへっ、隣だねヒッキー」
由比ヶ浜は嬉しそうに小声で耳元で囁いてくる。
あの、そういうの教室でやめてもらえませんか?俺が恥ずかしいのと、周りの目が痛いんですが!
はぁ、天使戸塚とクラスが離れてしまったのが非常に残念だ。
戸塚は文系だし、わかっていた事なんだが……
しかし悪い事ばかりではない。材木座も文系だから、同じクラスになる事は無い。
この後、体育館で始業式を執り行われ、長ったらしい校長の話を、必殺ぼーっとするで凌ぐ。
その後は全校集会に移行し、生徒会長の一色が壇上に上がり、近日の予定やらを説明する。
二日後の明後日が、新入生の入学式。
その次の日、今日から三日後から2週間、部活の勧誘期間だそうだ。
昇降口付近や、中庭等にでブースを作り、校内で自由に部員を勧誘することが出来るというものだ。
一種のイベントだな。さらには、来週明けの月曜日の午後から、体育館で新入生に対して部活や同好会が6分間の紹介スピーチを行うと言うものだ。毎年新入生に行っているそうだが、俺は入学から3週間は事故で入院していたため、この勧誘スピーチは知らない。
まあ、奉仕部は雪ノ下が全部やってくれそうだが。
それと、スマホで見れる各部のホームページを立ち上げるとの事だ。
最低でも1ページ分掲載されるらしい。各部が独自に作成してもいいらしいし、特に要求が無ければ生徒会の方で各部の内容に従って作成するとのことだ。
多分一色が企画した物だろう。
新入生の部活加入率を上げるためと、総武高校の生徒の自主性を内外にアピールする目的だろう。何だかんだと積極的生徒会の活動をする一色。しかもあいつ何気にスペック高いしな。
という事は、俺たちの奉仕部もホームページが掲載されると言う事か。奉仕部には元々学内限定のホームページがある。かなりシンプルなつくりだが、そこからメールで悩み事相談を匿名で受付ていた。ほとんどがメールのやり取りだけで解決してしまうような内容だったし、どうでもいいような内容も多かった。特に材木座の相談はな。まあ、そのホームページをちょっといじって、生徒会にデータを提出すればいいか。
部員勧誘という話題があがり、改めて思う。俺達以外の奉仕部部員ってのはまったく想像がつかなかった。今までそんな事も考えもしなかった事に……
あと、一色の奴、なんか5月に新入生が高校生活に馴染めるようなイベントを行うような事を言ってたが、具体的な内容は後日発表だそうだ。まあ、この時期に決まってなければ、事前準備が必要なものではないのだろう。ギリギリになって俺達(奉仕部)を頼って来るのだけはやめてくれよな。
その後、クラスに戻り、ホームルームだ。
そして、担任が現れる。
長いストレートの黒髪をたなびかせ、スラックススーツに白衣姿の美人教師が壇上に立つ。
「担任の平塚静だ。2年時は国語の担当として諸君らと関わってきたが、今年は担任だ。まあ、生徒指導でじっくり関わった生徒も何人かいるがな。諸君らは受験も控えている。勉学に励まなくてはならないが、それだけが学校生活ではない。君らはこのクラスに何かの縁で一員となった。皆じっくり付き合って行こうではないか」
担任は平塚先生だった。カッコいいし、美人だよな。普通に……。恋愛が絡まなければと言う前提はあるが。どうしよう。横島師匠には振って貰わないといけないのに、しかも担任とは、胃が痛む。
その後、新クラス初日の恒例の自己紹介が出席番号順に始まる。
川崎の自己紹介は相変わらずツンケンした態度だった。
俺はシンプルに名前と元クラス名と部活名を名乗るだけにした。
「比企谷八幡。元F組。奉仕部所属」
むろん拍手はほとんどない。由比ヶ浜と川崎と後数人だけだ。
「おい比企谷。もっとあるだろ?」
平塚先生は俺に突っ込んでくる。
確かに、他の連中は挨拶やら、よろしくねとか、趣味とか豊富とか言っていたが、俺のそんなものを聞いても誰も楽しくないだろ?川崎も、「川崎沙希、元F組。部活無し。よろしく」しか言って無いし。言葉の字数だったら、俺は川崎よりも一文字多いはずだぞ。何で俺だけ突っ込むんだこの三十路女教師は?
「趣味は読書」
八語で済ます。簡潔だ。
「たくっ……まあいい。私はこいつが所属してる奉仕部の顧問でもある。無口でひねくれた奴だが悪い奴じゃない」
平塚先生は呆れた顔をしてから、何故か俺のフォローをし出した。
まあ、俺の悪評は平塚先生も知ってるしな。しかも、俺が文化祭で悪評を被ったその理由も知ってる。たぶんだが、その悪評を軽減させるために言ってくれたのだろう。俺の悪評はクラスメイトよりも、他のクラスや上下級生に広まっていたからな。2年時はやらかし当初、クラスでも悪評を口々に噂されていたが、俺は普段は大人しく振舞っているし、無害であるとに気づいたクラスの連中は、最終的には随分とマシになった。
まあ、女番長三浦が、そう言う悪口の類を耳にするのが嫌いだったから、そんな三浦のプレッシャーでクラスの連中が口にしなかっただけだったかもしれないが。
「由比ヶ浜結衣です!前は2年F組で、奉仕部に所属してます!クラスも部活もヒッキーって、わかんないか、隣の比企谷君とずっと一緒です!動物が好きで、家にはミニチュアダックスフンドのサブレがいます。みんな仲良くしてください!」
由比ヶ浜の自己紹介で、今日最大の大きな拍手が沸き上がった。
やはり由比ヶ浜は校内でも人気者なんだな。
なんで、そんな由比ヶ浜が俺を………いや、小竜姫様に言われただろ?そんな考えでは、好意をよせる由比ヶ浜に失礼だってな。
しかし、疑問は尽きない。
「席順は一学期はこのまま行こうと思う。まあ、気が向いたら変えても良い。そういう事だ以上」
平塚先生はこう締めくくり、ホームルームが終わらせ、本日の学校の行事を午前中で終える。
「由比ヶ浜さん。この後、どこか一緒にランチに行かない?」
「由比ヶ浜さん。カラオケとかいかない?」
「由比ヶ浜さん。スイーツが美味しいお店があるんだけど、どう?」
女子達が由比ヶ浜の下に自然と集まって来る。
校内屈指の人気者の由比ヶ浜だ。皆、お近づきになりたいのだろう。
それを遠巻きに男子たちが見ていた。いきなり由比ヶ浜に声を掛ける猛者(男)は居ないか。
「ごめんみんな!今日は部活があるんだ。また今度ね!」
由比ヶ浜はクラスメイトに申し訳なさそうに手を合わせて謝り、誘いを断る。
「ヒッキー、部活行こう!」
その後、由比ヶ浜は俺の制服の袖をちょいちょいと引っ張ってきた。
「おい、昼飯は?」
「一緒に食べればいいじゃん!部室にゆきのんも待ってるよ!」
そう言って俺を引っ張る由比ヶ浜。
「ちょっ」
まだ、由比ヶ浜と話がしたそうな女子達は、由比ヶ浜が俺にかまう姿に唖然とし、ご主人に餌を貰えなかった犬のような表情をしていた。
俺達が教室を出て行った後、教室内は騒がしくなる。
妙な噂が立たなければいいが。
俺は由比ヶ浜に引っ張られるまま教室を出た先で、川崎と鉢合わせた。
「比企谷、昨日は大丈夫だったのかい?」
「ああ、キヌさんのお陰でな」
「あんたんところは相変わらず大変そうだね」
「そうだな」
「じゃあ、またね」
「おう」
俺は川崎と軽く会話をし、別れる。
昨日の事とはもちろん。美神さんや美智恵さん、六道会長に若返りの霊薬の事で追われていた件である。
「なに、ヒッキー、昨日サキサキと会ったの?」
頬を膨らませる由比ヶ浜。
「マリアさんに聞いてないか?俺が昨日とんでもない目に遭った事を」
「大体聞いたけど、ヒッキーがサキサキと会ってたのは聞いてない!」
「美神さん達に追いかけまわされて、逃げ込んだ先が川崎がバイトしてる教会だったんだよ」
「ふーんそうなんだ。なんか仲良さげだし!」
何不貞腐れてんだ?由比ヶ浜は。
部室には既に雪ノ下が来ていて、お茶の用意をしていた。
「はい比企谷君。あなたの分のお昼のお弁当よ」
雪ノ下が俺の目の前に可愛らしい弁当箱を置き、開けて見せた。
中身はミニハンバーグにエビフライ、チキンライスにブロッコリーサラダ。典型的なお弁当スタイルだが、手間暇かけただろう事が見て取れるぐらい美味しそうだ。
どうやら、俺の分も用意してくれたらしい。
手……手作り弁当か…雪ノ下の手料理は何度か口にする機会はあったが、弁当という形になるとまた別だ。なんというか……その恥ずかしさで爆発しそうというかだな。
因みに、勉強机を4つくっ付け、布製のクロスを引いた食卓風な感じの簡易テーブルに、俺の前に雪ノ下、横に由比ヶ浜が座ってる。
「……おい、いいのか?俺も一応パンは買ってきてるぞ」
「一人分も二人分を作るのも、手間はあまり変わらないから、せっかくだから食べてもらえるとありがたいわ」
「ゆきのんのお弁当、相変わらずおいしそう!……うう、あたしも料理出来たら、ヒッキーにお弁当作ってあげられるのに!」
由比ヶ浜はうらやましそうに、雪ノ下が作ってくれた弁当を見つめる。
「……ありがとな」
俺は気恥しさをグッと抑え、雪ノ下の好意に素直に甘える。
「いいえ、どういたしまして……その、毎日作って来るわ」
雪ノ下はそう言って気恥しそうに視線を逸らす。
「いや、流石に悪いだろ」
なんていうかだな。こんな返答をするのでいっぱいいっぱいだ。
「私がそうしたいだけ……」
「うううう……あたしも料理が出来たら……料理が出来たら……料理が出来たら」
由比ヶ浜は隣で呪いのように同じ言葉を繰り返していた。
「由比ヶ浜さんのお弁当はいつもと感じが異なるようだけど、自分で……ではないわよね」
「うーー、違うよ!ゆきのんもあたしが料理できないの知ってるのに!マリアに作って貰ったの!」
「あのマリアさんが?彼女は料理も出来るのね」
雪ノ下の口ぶりから、どうやらマリアさんに会った事があるようだ。
春休み中に、由比ヶ浜の家にでも遊びに行ったのだろう。
ならばドクター・カオスともきっと顔を合わせただろう。歴史的偉人だが、あの変人ぶりに流石の雪ノ下も面喰ったはずだ。……あと、若返ったガハママにもな。
そのマリアさんは今迄何百年もあの迷惑変人ドクターの私生活を一人で支えてきた人だ。
料理から家事洗濯、実験補助から戦闘まで何でもできる。
しかも、今ではネットの株取引で、資金を順調に増やしてるらしい。
株で儲けた資金から、生活費をかなり多めにガハママに渡してるとのこと。
由比ヶ浜、この際だからマリアさんにいろいろ教わった方が良いんじゃないか?
俺はここである事に気が付いた。
……これ、どう見てもリア充空間だよな。
美少女同級生2人と机を突き合わせて、仲睦まじく昼飯って……しかも、うまい手製弁当まで作ってもらってる状態だ。
昔の俺がこんな光景を目の当たりにしたら、どう思うだろうか?きっとリア充死ね!と思っただろうな。
しかし現実問題、こんな姿を誰かに見られれでもしたら、何を噂されるか分かったもんじゃない。
こいつらにも迷惑がかかるかもしれない。どうしたら……
雪ノ下からもらったお手製弁当を食べ終わる頃。
この部室に扉をノックする音が響き渡る。
誰だ?この時間帯に。
次はこの続きです。