やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。 作:ローファイト
誤字脱字報告ありがとうございます。
最近早かった投稿ペースを元に戻します。
というか、妄想詳細ストックが切れました><
ある程度の流れは決まってるんですが、詳細が……
俺は美智恵さんに呼ばれ、オカルトGメン東アジア統括本部に来ている。
正確にはオカルトGメン東アジア統括管理官、美神美智恵さんの執務室。
なんかアレだ。テレビとかで見かける警視総監の部屋とかよりもずっと広いし、絨毯敷きだし、シンプルなつくりだが豪華だ。執務室の前には秘書室みたいなのもある。きっと一流企業の社長室ってこんな感じなのだろう。でも「こんな豪華なもの作るよりも、他に予算を回してほしいわ」なんて本人は言ってた。美智恵さんらしい。どうやら日本政府が気を使ってこの内装に仕上げたらしい。どんだけ影響力有るんだこの人。
そこの応接セットに今座って正式なオカルトGメン統括官としての制服を着用している美智恵さんの前に、いつもより緊張していた。
高々高校生の俺が踏み入れていい場所なんだろうか?かなり場違いなんだが。
東アジア統括本部は、公官庁等が隣接してるGS協会本部の近くのビル内に事務所を構えている。
発足当初は、日本支部と同じ事務所内に東アジア統括本部の機能を置いていたらしいのだが、オカルトGメンの組織が拡大し、東アジア統括本部の事務所機能の拡張と、公官庁やGS協会との結びつきをより強固にするためにそちらに引っ越したのだそうだ。
因みに日本支部は美神令子除霊事務所の目と鼻の先に在る。
東アジア統括本部には実務部隊が存在せず、何かあれば日本支部から人員を割く事になっている。
まあ、東アジア統括本部と日本支部はそんなに距離は離れていないし、一緒にすればいいのだが一応独立した組織として、体裁を整えるためだけだろう。
現在日本支部の所長(部長)は西条さんが勤め、東アジア統括本部の実務部隊の本部長も兼ねている。
東アジア統括本部長と言っても実務部隊は日本支部に依存しているため、役割はほぼ一緒だとか。そうは言っても本来は別の人間がすべきなのだろうが、西条さんが非常に優秀なのと、代わりを出来るだけの人間が居ないのだろう。ここでもどうやら人手不足が深刻化してそうだ。
それはさて置き、美智恵さんに呼ばれた主旨は、やはり昨日の件だ。
美神さんと横島師匠がキヌさんが大学のサークルの新人歓迎会で酷い目にあったと勘違いして暴走し、新人歓迎会の二次会が行われていたカラオケボックスに乗り込んで、男性陣を文字通り全員吊るし上げるという事件を起こしていた。
幸い目撃者の女性参加者と被害に遭った男性陣は、美神さんと横島師匠の事を、悪魔か悪霊だと勘違いしていたため、その勘違いをそのまま利用し悪霊が起こした事件という事にしたのだ。
それで、二人の暴走を止めに行った俺が、その悪霊を除霊して解決したことになっている。
被害者が出ているため、もろ警察とオカルトGメンの管轄下となり、悪霊を除霊したことになっている俺が簡単な事情聴取を受けることになったのだ。まあ、本来なら現場検証と報告書を提出すれば、事情聴取を受けることは無いのだが。今回、俺自身残って現場検証は行わず、偽の報告書の提出だけを行ったからな、……訝し気に思われても致し方が無い。
しかしだ。事情聴取は日本支部の西条さんかその部下の人が行うのがセオリーのハズだが、その上の組織の長である東アジア統括管理官の美智恵さんに呼ばれたのだ。
多分、美智恵さんに今回の真相がなんとなくバレているのだろう。それでわざわざ美智恵さんが担当してくれたのだ。美智恵さんは呆れた顔をしながらも、「君には苦労をかけるわね」と労いの言葉を掛けてくれ、俺の作成した偽の報告書通り処理をしてくれるという事となった。
とまあ、ここまでは良い。……良くは無いが。
同じく昨日、美神令子除霊事務所が請け負った仕事である某私立大学の悪霊退治を行った際、異界の歪みを生成する魔法陣と出くわした事を、美智恵さんに話をしたら……呆れ顔から顔が一変し、真剣そのものの顔に……
美神さんにもこの件を美智恵さんに伝えるように言い含められていたが……どうやら何らかの事件に関わっているようだ。
俺が似てると感じた霊災を遊び感覚で起こしてるあの愉快犯のような奴の事だろうか。
「比企谷君。詳しく説明してくれないかしら」
美智恵さんはそう言いつつ、秘書官のような人を部屋に呼び、現場検証に誰かを行かせるよう指示をだしていた。
俺は昨日の某私立大学の悪霊退治の一件を改めて一から詳細を説明する。
特に美智恵さんは鏡を使った魔法陣について、質問を繰り返す。
魔法陣自体はタマモが消し炭にしてしまったため、もう残っていない。現場検証を行ってもどんな魔法陣なのかは判明しないだろう。
俺が覚えている限りで説明をする。
「ふぅ、君に今からでもオカルトGメンに入ってほしいぐらいよ。そんな異界の歪みなんて話は本来眉唾ものだけど、君の話から十中八九そうだと判断できるわ。よく異界の歪みだとわかったわね」
「魔法陣関連と異界の門について、最近読んだ文献が功を奏しました。それと、小竜姫様の所で、修行で異界にはよく放り込まれたので、異界の扉を潜るときの感じとか、その異界の空気感とかが感じがよく似ていたんです」
妙神山の修行で、横島師匠に異界の修行場に毎日放り込まれたからな、光と音が無い世界とか、霊気が吸われ続ける底なし沼とか……、唐巣神父の所で、魔法陣の遍歴についての本を読ませていただいたのが功を奏した。特に禁忌と呼ばれる魔法陣が多数存在することも……そのうちの一つが異界の門を開く魔法陣だ。術式については勿論記されていないが、実際にそう言うものがあったと書かれていた。
衝撃的だったのが、大悪魔の軍団を呼び寄せるために、街一個分の生贄を使って魔界との異界の門を開いたなんて、眉唾ものの物があった。それは唯の物語だと思いたい。
結構信憑性が高いのは、下級悪魔や魔界生物を多量に呼び寄せるための異界の門だ。
召喚魔法陣でも十分可能だろうが、基本召喚魔法陣は一体ずつしか呼び出せない。
しかも、それ相応の契約や供物も必要だ。
高度な召喚魔法陣は時間はかかるが、発動中、次から次へと、一体一体時間をかけて徐々に呼び出すことはできるが、一気にとは行かない。まあ、俺がクリスマスに出会ったガルムの召喚魔法陣がそれだ。
俺の認識だと、異界の門と召喚魔法陣との優位性は、契約や供物無しに異界の門は多量に一気にそれらを呼び寄せられるが、呼び寄せられる悪魔や魔獣などのレベルが低い。逆に召喚魔法陣は契約や供物が必要だが、下手をすると魔族まで呼び出すことが出来る。但し、物量的には圧倒的に少ない。
召喚魔法陣は使い用によっては、物量を補う事も出来る。そうやって呼び出した悪魔や魔獣を封印して、多量にストックする事だ。但し、それには条件がある。高レベルな悪魔や魔獣を封印出来る程、術者の技量が必要だという事だ。これは召喚魔法陣で悪魔や魔獣を呼び出すよりも、封印する方が困難なのだ。
まあ、今回は異界の門のなんちゃってな感じで、異界の歪みを起こす程度の物だったが……気になるのは悪霊が成長する霊気……いや瘴気というのだろうか、そう言う場所に意図的に繋げたという事だ。どこに繋がっているかはわからないが、悪霊が育つとか、ろくでもない所だろう。
「優れた霊視能力もさるところながら、状況判断も的確、おごらずに勤勉、小竜姫様にそんな修行まで許可してもらえるほどの将来性。ねえ比企谷君、本気でオカルトGメンに入る事を考えてくれないかしら。令子の事は何とでもなるわ」
「いや、その……流石に返事は出来かねます」
……多分、何とでもならないと思います。
昨日の美神さんの暴走を見るに、俺が事務所辞めてオカルトGメンに入りますって言った日には、俺はどうなっちゃうんだろうか?まじで死んじゃうんじゃないか?いや、死よりも恐ろしい目に遭うのが確実ではないだろうか……なんか急に胃が痛くなってきた。
「私は本気よ、真剣に考えて頂戴。……話は戻すわね。異界の歪みは意図的に鏡を利用した魔法陣で生み出され、しかもご丁寧にその魔法陣に手を出すと、トラップ魔法陣が起動するようになっていたのね。……そして、異界の歪からは悪霊が育つ瘴気(霊気)が漏れ出していた。ふう、最近の悪霊の狂暴化してる事件が見られるようになったのは君が見つけた異界の歪みの魔法陣が関わってる可能性が大だわ。悪霊が現れた場所と異界の歪みは近接せずに距離がそこそこあるものだから、担当したゴーストスイーパーも現場検証した術者も気が付かなかったのね。悪霊の狂暴化した事例については一から現場検証をやり直し……また人手が足りないわ。令子に言って君を借りようかしら」
「はあ、正式な契約なら大丈夫かと」
いくらかは知らないが、それ相応の契約金は必要だと……
「それにしても、誰が、何のためにこんな事をしでかしたのかが、意図が全くわからないわね。君が言ったように、昨年から続く、いろんな角度から愉快犯的な霊災を起こしてる犯人と同じ臭いがするわ。……ただ、今回の事で分かったことがあるわ。犯人は一人じゃない」
「どういう事でしょうか」
「言い方を訂正しましょう。愉快犯的な霊災を起こしてる犯人が複数いる可能性が高いと言う事ね。
召喚術はそれだけで、術者は一生を捧げるようなものよ。しかもその召喚術者は、悪魔を呼び寄せる専門だったり、魔獣を呼び寄せる専門だったりするのが一般的。なんでも呼び寄せることが出来る召喚術者なんてものは、それこそ歴史に名を残す程の大魔導士や大魔法使い。ほぼ皆無」
確かにそうだ。美神さんのようにほぼ全域にわたって出来る霊能者は皆無だ。その美神さんだって、呪いについてはエミさんにはかなわないし、エクソシスト系については唐巣神父にかなわない。キヌさんの精神感応系やましてやヒーリングにはかなわない。横島師匠のように霊気を自由自在に集束させることも苦手だ。
本来霊能者は何かに特化した人間が多い。エミさんの呪い専門。六道家の式神。唐巣神父のエクソシスト系、土御門家はオールマイティな陰陽師の家系だが本来結界封印術だ。
一連の愉快犯的な霊災は俺が関わっただけで、昨年11月のネットを使った呪い。同じく11月のデジャブーランドの嫉妬妖怪召喚。12月のクリスマスの同時霊災、あれはGSを狙ったものだが、魔獣を呼び出す召喚魔法。今年に入って2月のチョコを使った呪い。それで今回の魔法陣による異界の歪み。大雑把に考えても2系統はある。ネットとチョコは呪い系。それ以外は召喚術、しかも西洋の魔法陣だ。
俺が関わっていない事でも、これ以外にあるかもしれない。
俺が知ってる事件だけで少なくとも二人以上……、同じ犯行グループなのか、まったく別なのか……
さすがに10月の京都のあれは別だろう。茨木童子なんてものが関わっているんだ。一応解決はしたが、茨木童子をそそのかした奴がいるようだ。そいつについてはわからずじまい。いや、横島師匠は何か知ってそうだが……
「比企谷君、ちょっと待ってて貰っていいかしら」
「はい」
美智恵さんはその場でスマホを取り出し電話をする。
「もしもし令子。ちょっと比企谷君を今日と明日借りるわね」
『正式な依頼で報酬をくれなきゃ嫌よ!!』
電話越しに美神さんの大きな声がここにも聞こえてくる。
「ほぅ、令子……昨日の悪霊がカラオケボックスで大学生を吊るし上げた事件あったわよね。比企谷君が解決したと報告が上がってる分よ。現地の警察官が被害男性と目撃者の女性から事情聴取をしたのだけと、一人は髪の長い般若のような女の悪霊と、その奴隷のような男の悪霊とあったのだけど、何か知らないかしら?」
『ギクッ!……私は知らないわよ。あっ、そうだ。比企谷君は今日と明日休みだった』
ギクッて言っちゃってるし美神さん。しかもそんなわけないでしょ。今日と明日は出勤日なんですが。なにさらっと言っちゃってるんだ?給料ちょい消しにするつもりだな。全くセコい。
「いいわ令子……彼はフリーなのね。オカGで正式に彼個人に外部協力者契約を結ぶわ」
『ダメよ!!いいわよ。わかったわよ!!ちゃんと事務所の仕事中にするわよ!!それでいいんでしょ!!』
悔しそうに涙をちょちょ切らしてる美神さんを電話越しでも容易に想像できる。
「それ以降の話は正式に契約を結んであげるわ。但し、契約金には期待してるわ」
『ママの意地悪!!あああ!!もう好きにしてーーーーっ!!』
ブツっと美神さんの電話の切れる音がする。
うーん。このまま帰ったら、八つ当たりされそうだ。
どうやら、交渉は美智恵さんの思う通りに行ったようだ。
まあ、最初っからアドバンテージは美智恵さんにあったしな。今回の美神さんと横島師匠のやらかしを黙認してくれたんだから。
「比企谷君。そういう事だから、しばらくはよろしく頼むわね」
ニコっとした笑顔を向ける美智恵さん。
「はぁ」
この親子。根本は本当に似た者同士だ。
ちょっとまてよ。今のって今日と明日だけじゃないのか?それ以降はって……今日明日以降の件は事務所とオカGで正式に契約を結ぶからいいんだが。しばらくこの事件についてオカGを手伝うということになるのだろうか。
俺は美智恵さんに、今からオカルトGメン日本支部に行くように言われた。
西条さんと一緒にとある場所にいって、今回の事件の鍵である異界の歪みの魔法陣について、聞いてきてほしいとの事だ。
その場所とは『レストラン魔鈴』
あの人参上です。ちなみに西条さんは話の中ではよく出てきましたが、何気に次回正式に出てくるのが初めてです。