ヌッ!(略)
『ワタシ、地球へ向かうよ』
『そりゃ唐突だな・・・』
『キミも来るでしょ?故郷なんだろ?』
『・・・今更帰りづれえよ』
丘の上で二人、男女が話していた。はるか、はるか遠いどこかの惑星。
『そっか・・・ワタシは少し会いたい人たちがいるんだ』
『旧支配者の?』
『うん。キミがこっちにいるっていうならワタシもすぐ帰って来るさ』
『ああ、またな』
「・・・ニャル」
「ん、起きましたか」
男、九龍・ピーターが研究所の寮でガサガサと起き上がる。隣に座るのは玲。机の上で何かを組み立てていた。
「あんたは・・・」
「私は的井玲。ここの研究員です。ここは私の寮です。帰ってきていきなりぶっ倒れたんで。あ、ベッドは未使用なのでご安心を」
「・・・そうか。悪いな」
ゆっくり体を伸ばし、ベッドを出た。
「お前は・・・俺のこと聞いてたのか?」
「二度と犯してはならない失敗・・・蓮上所長はそう言ってました」
「・・・所長まで登りつめたのか、博士。定期連絡では全くプライベートを喋んなかったからなぁ」
「あなたが出てった直後に結婚したとも」
「恋人・・・里子さんだっけ?よかったじゃんか。・・・俺は何をしてりゃいいんだ?」
ベッドから立ち上がり、玲の作業を覗き込む。どうも暇そうだ。
「好きにしてください。あなたはもう任務が与えられてないんですから。更新のなかったおかげで正式には職員じゃありませんし・・・それに先の任務の達成報酬と事故の謝礼で凄まじい額があなたにぶっ込まれてるんです。働く必要もないんですから」
「・・・そうかい。ちょっと基地の中見てくる」
「ええ。お好きに」
玲の言葉を背に受け、廊下へと出た。
すれ違う職員たちに適当に挨拶。その最中で彼が感じたのは、若い人物の多さだ。研究機関としての側面以外に、テロリストらと戦う側面が入ったせいである。若い人物は、学習を終えていなくても十分に戦力となる。そういう時代なのだ。
そんな中、見慣れた顔に出会う。
「産霊ちゃんじゃねえか!」
神崎産霊だ。彼女の父の研究者の縁で、ピーターやその友人の作夜は彼女の面倒を見る事が多かった。
「あら、ピーター!・・・ごめんなさい。ちっさかった頃の癖で・・・」
最後に見た彼女の顔は、11歳。まだまだ肩にも届かない少女だった。今や並ぶほどにまでなっている。
「かたっ苦しいだけだし敬語はいいって。しっかしあんなちっさかったお前が・・・」
「ふふ、ありがとね」
嬉しそうに挨拶を済ませると、自身の任務へと戻っていった。
ピーターは突然に座りたく思い、休憩室へ向かった。そこにはまばらながら人は結構休憩しており、それぞれ携帯をいじったりゲームをやったりとその時間を満喫していた。
「・・・あいつら、小学生か?しかしエージェント用の制服を着てんな」
部屋の奥のテーブルに座るのは一と小夜。小夜が一に何かを渡していた。
「君、今日誕生日だよね?アザラシ。ぬいぐるみ」
「・・・!まさか口説き・・・私に
「僕は男だ。それに君のことを恋愛的に見てるわけじゃないし」
「ま、あなたはお相手がいますからねぇ。産霊さんとはどんな・・・」
「作夜・・・?」
ベラベラと話す二人に割り込むように名前を口にするピーター。小夜の顔、声、話し方。全てに見覚えがあった。
「えっと・・・ピーターさん?だっけ。僕のお父さんに何か・・・」
「・・・そっか、あいつのクローンか、お前。ほんっとあいつに似てんな。なんか安心したぜ。そっちの子は・・・玲に似てるな。娘さんなんか居る年か?」
「私もクローンなんで。こう見えて一歳です」
「クローンも進化したもんだな。俺は・・・」
「クーロンさんだよね!」
「クリュウだ。俺がクーロンだったらこの三人クローンとクローンとクーロンじゃねえか」
パッと放った冗談に、二人が柔らかく笑う。小夜のその仕草に、再びかつての親友、作夜を重ねて。
「ハハハ・・・死人と喋ってる気分だぜ」
悲しみを含んだため息。そんな中、小夜のもとに連絡が入る。エージェントとしての出動任務だ。
「じゃあ僕、行ってくるよ!」
「おう、じゃあな」
「頑張ってください」
二人とも手を振り、小夜を見送った。
「俺もひっさびさに自宅に帰ってみるかな」
背を伸ばし、彼も出口へと向かって行った。
「なーんか全然変わってねえな」
戻ってみても、出るときとそこまで変わってはいなかった。GM職員の定期清掃をやっていたらしく、埃も大したことはなかった。
「十年ぶりの地球なんだが・・・あんま実感ねえな。あの星も地球と何か変わったことがあったかっつーと・・・んなことねえし」
そこで、久し振りに映画を観ようかと彼は思い立った。近くのレンタルショップを思い出し、雨の中そこへと向かうことに決めた。
「傲慢な人間よ・・・滅びるときだ!」
レンタルショップへ来てみれば、男が店長の首をつかんでいるではないか。見れば、さっきまで店員だったのであろう人型が床に転がっていた。
「まーだ暴れてんのか・・・デストロイ・・・」
「久し振りだな九龍。我に叩きのめされて以来だ」
「今度はどうかな・・・!!」
『1!2!3!4!Ready go!armor the god!his name is…CHIYOU!』
男、司馬煉は神格接続器を装着し、暗黒と煉獄と絶望の鎧、『サイコデストロイ』をその身にまとった。
煉はGMを裏切ったアウトローである。一度盗み出した装甲『デストロイ』は改造によってすでに生まれ変わっていた。
「見たことねえぞ・・・!」
「当然だ!ただのパワードスーツは我が祖先、蚩尤ををまとった軍神の鎧となったのだ!」
「そいつはよかったな・・・!」
ピーターは簡素な腕輪、装甲発動機を装着し、スイッチを起こした。
『Ready go!』
銀の鎧タイムスをまとい、突撃した。
「おらぁ!」
ハイキック。しかし防がれ、あちらの攻撃でむしろタイムスがダメージを負う。
「ピーターさん!」
ピンチ。そこに小夜が駆け寄る。
「結構きついな・・・」
ピーターの困り声を受け、小夜は神格接続器をその腕に装着。4つのスイッチを上げた。
『his name is…CHRONUS!』
雨粒が集まった上に粒子が重なり、時の守護の鎧ティエンポが現れる。
「はっ!」
鎌、クロスアックスを構え、サイコデストロイの方へ走る。
斬り付け。サイコデストロイは防ぐが、力で押し返すことはできないようであった。
「暗黒縛霧!」
そこに、サイコデストロイが羽を展開。黒い霧が手の形を成し、ティエンポを避けてタイムスを掴んだ。
「まずは貴様からだ・・・!」
「ピーターさん!」
腕を伸ばして掴もうとするも無意味。鎌を離せば、それはサイコデストロイの自由を意味する。
絶体絶命。その最中、黒い影が煙を切った。
「作戦を開始する」
黒い長髪と学生服の少女、無花果だ。カラーリングブレードを持ち上げ、そのレバーに手をかける。
「装着」
『了解…装着を開始します。コードブラック。起動。ウェーブ…』
ぶちまけた漆黒のインクを固めるように、鎧、ブラックウェーブがその形を成した。
「君・・・誰?サンメリーの装着者名簿に載ってたっけ?」
「私はあそこの装着者ではない。無駄口はいい。やるぞ」
小夜の言葉を適当にあしらい、サイコデストロイへ攻撃を始めた。斬り付けを右手で防がれるが、むしろ右手を抑えたということ。空いた左側へとティエンポとタイムスが突撃。それぞれ斬撃とキックを繰り出した。
まずタイムスを右手で掴む。残るはティエンポ。暗黒縛霧でその腕をつかみ取ろうとするが、そこに
「こっちだよ・・・!」
後ろにすでに回り込んでいた。時間停止だ。サイコデストロイは右のタイムスを殴り飛ばし、右手でティエンポを抑えた。
「使えないやつだな・・・!!」
無花果の悪態にうっすら顔を歪める。事実なのだから受け止めるほかない。
「俺は・・・」
「ピーターさん!今こいつの電波妨害で通信ができないんだ!だから・・・」
「エージェントに直接伝えりゃいいってか・・・!わかった!」
危機を伝えるべく、彼はGMの本部へと走った。
「みんな・・・出ちまったのか!?」
「そうだ。悪いが誰も戦いに出れる人物は・・・サンメリーに連絡はしたが、そこはサンメリーの基地から遠いんだ。だから・・・」
「くそっ!」
悔しさのあまり、壁を叩く。桜二も見てはいられないようだった。
「・・・!俺、保管庫の方向かいます!」
「どうした!」
桜二の言葉を背中で受け止めつつ、スーツ保管庫の方へと向かった。
「確か・・・誰でも使えるアーマーが・・・!」
「アナザーゴッドかしら?」
倉庫を見回すピーターへ産霊が話しかけた。
「アナザーだが・・・強化されたのか?
「そうだけど・・・あれはまだ調整中だしテストもしてないわ・・・」
「でも・・・!」
「それよりもっといい作戦があるわ。見て」
そういうとピーターのバッグから素早くウォークマンを取り出し、機械にセットした。
「見覚えのない神格反応がデバイスに映ってたのだけれど・・・こいつね。いつの間に」
今度はタイムスを置き、設定を始めた。
「面白いくらいの適合性ね・・・やっぱりピーターのもの同士惹かれ合うってことね」
機械が何かしらガタゴト言ったのち、開く。ウォークマンは消え、代わり映えない銀の鎧がそこにあった。
「これは・・・」
「ビヤーキー・・・ラヴクラフトが預言した神性ね。あとはあなたが神格接続器を使って・・・着るだけよ。『このノータイム』を」
「ノータイム・・・」
「一応装着後にこれも被るといいわ。対強化ガス兵器用フルフェイス酸素マスク。こいつの能力を活かすならね」
「・・・分かった。感謝するぜ!」
マスクをカバンにしまって外に飛び出すと、装着者用のバイクにまたがり、急いでビデオ屋前まで飛ばした。
「くっ・・・!」
サイコデストロイとティエンポ&ブラックウェーブの戦いは全く進展を見せなかった。サイコデストロイの攻撃をティエンポが時間停止で避け、二人の攻撃をサイコデストロイは防ぐ。そしてブラックウェーブは間合いを取ってそもそもターゲットから外れる。その回転が続くだけであった。
「待たせたな」
そこに現れるピーター。右腕には、接続器。
「援軍は・・・」
「誰も居ねえとよ。だが・・・この際それは問題じゃあねえ。行くぜ・・・ノータイム!」
深く息を吸うと、人指しから小指で4つのスイッチに指をかける。
「装着!」
『1!2!3!4!』
そして同時に起動。粒子が固まるように銀の軽い装甲が現れ、最後にガスマスクをかぶる。
『Ready go!armor the god!her name is…BYAKHEE!』
『神速の鎧』ノータイムの初陣だ。
「追いつけんなら・・・ついて来てみな!」
威勢良く叫び、地面を蹴ってサイコデストロイに急接近。キックを当てた。
「・・・さっきより威力は上がってるか」
両腕で防いだサイコデストロイへブラックウェーブとティエンポの斬撃。怯んだそこへ再び蹴りを叩き込んだ。
「くっ・・・」
「効いてるぞ。このまま畳み掛ける」
「最初っからそのつもり!」
そしてティエンポとブラックウェーブが再び連撃。共闘は慣れてないせいか若干ぶつかりながらの攻撃だ。
「今だよピーターさん!」
「おう!」
名前を呼ばれたそこへ、瞬間移動へ見まごうスピードで接近。ありえないスピードでの連続蹴りを叩き込んだ。
「カスでも三人居ては話は別か・・・」
逃げようとするサイコデストロイを、「
「逃がさないよ!」
[Cras!aqua element!]
「アクア!時限終焉!」
そしてティエンポは超必殺技を発動。クロスアックスでサイコデストロイのバックパックを切りつけた。
青い炎に飲まれ、バックパックが消失。攻撃手段を一つ失った。
そしてブラックウェーブは背中から「
「くっ!」
吹っ飛ばされたサイコデストロイ。さらにトドメをささんとブラックウェーブはフォトンになるべくレバーに手をかけた。
だが
「失敗はこまりますよぉ!ワタクシの流した情報が無駄になるではありませんか」
そこに割り込む紫のウェーブ。ピエロのようなそいつは土を巻き上げ、サイコデストロイ共々姿を消した。
「めんどくせえことになったな・・・」
二人は装着を解除。逃した悔しさに三人ともため息をついた。
「今・・・あーちゃんと言ったわね?」
裁け、地獄の管理官。次回、「天罰と私」
みなさんこんにちは。スピードといえば何故かエイトマンが出てくるサードニクス(15)です。走れエイトマン、弾よりも速くってね。あとフラッシュかなぁ。ドラマが面白いのよフラッシュは。映画版フラッシュも楽しみです。クイックシルバーを思い出そうとして何故かシルバーバレットが出て来る。スティールボールランでDioが乗ってた馬ですね。
ピーター君はゴリッゴリに設定を突っ込みました。しょぼい付け足しになってないけどいいですが。植物銃は次回の活躍にご期待。で、ちらっと無花果。なんか彼女を見てるとアマゾンシグマを思い出すのよね。どこも設定被ってないのにさ。
当初はゼロワンと小夜をくっつけようとも思いましたが、産霊が来たので予定変更。ゼロワンは・・・秘密です。
しっかし最近読者参加型が増えましたのぉ。嬉しいかぎりでございます。見つけた読者参加型が募集終了してた悲しみのサードニクスでした。