神様と僕達   作:さわたり

6 / 14
お待たせいたしました。ゼロワン回です。こんな感じで、頂いた順に一人一人やっていきます。


2話 偽物と私

「調子はどうだ?」

 

「元気です」

 

小学生ほどの少女に話しかける玲。人造人間ゼロワン。それが彼女の名。小さい体躯だが詰まった脳みそは玲とさほどの違いはない。

 

「・・・うん。これなら実戦に出るのも近いな」

 

「ありがとうございます。スーツの方は?」

 

「鋭意制作中だ。待ってくれ」

 

コーヒーの缶を捨て、オフィスへと戻って行く。ゼロワンもまた自分の任務へと向かって行った。

 

 

 

 

 

「なぜ我々に協力しないのです!!信仰を取り戻すのであれば我々の協力は不可欠なはずだ!」

 

所変わって会議室。管理官の上森彰が詰め寄る政治家の男に困り果てていた。

 

「ですから、オレ達のAGは力を誇示するものではありません!全く・・・帰ってください。あなた方に売る気はありません!」

 

「引きさがれるものか!サンメリーに行っても収集がなかったというのに!!」

 

テーブルを倒し、さらに詰め寄る。

 

「だーかーらー!渡さないって言ってるでしょ!!帰ってください!」

 

「・・・私に刃向かった事を後悔するといいさ」

 

ボソッと呟き、扉を開けて帰って行った。続いて上森は溜息。舐められたもんだと、呆れる。

 

「はあ・・・」

 

こんな輩が来るのはいつものこと。力を持つことは同時に面倒を引き寄せるのだ。

 

 

 

 

玲が進めているのはアーマー作成。擬似神格による操作のアーマーだ。

 

「こいつか・・・?」

 

だが、そのデウスエクスマキナが何を依存物とするかが分からなかった。何を機械を通しても、エラー音を立てるだけ。

 

「どうかしたんですか?」

 

「狗神さん。いや、どうも依存物が見つからなくて」

 

玲に話しかけたのは狗神沙羅。研究員の女性だ

 

「これってスーツありきなんですよね?」

 

「そうですが?」

 

「なら、スーツに合わせたものなんかどうでしょう」

 

「スーツ・・・迷彩と重火器。戦車とかですかね」

 

「何もそんなにとばなくても。例えばこれ」

 

そう言って拳銃を機会に通す。玲はなんでこんなもん持ってんだと思いもしたが、気にしない方向に。

 

「・・・え?」

 

結論から言うと最適物だった。成功した喜びと、今までの苦労はなんだったのだと言う脱力。

 

「ありがとうございます。こいつに合わせて・・・」

 

「頑張ってくださいね」

 

沙羅が出て行くのと入れ替わって青年が入ってくる。

 

「おいーっす」

 

「む、五神か」

 

玲の研究室へ訪れたのは五神(いつかみ)京。神術師を務める青年だ。

 

「進捗どんな感じですか?」

 

覗き込むモニター内には、小柄な鎧が写っている。

 

「アーマーは出来た。創造物の擬似的神格化も出来た・・・あとは接続だな」

 

「擬似神格ってあそこのコンピューターですか?」

 

「あれはパーツだ。良く見ろ。あそこの研究室がそのままデウスエクスマキナになっているんだ」

 

指差す先は扉。隣の間取り図を見ると、どうやら玲がパソコンをいじっているこの部屋と同じくらいでかいらしい。

 

「うわあ・・・制御大変そうですね・・・」

 

「ま、やりがいといえばやりがいさ」

 

「それなら良かったです。で、っと・・・うおおおおおとととと!!」

 

「危ない!」

 

そんな中、コードを踏んづけて転ぶ。精密機械まみれのここで転ばれては困る。玲は捕まえることを選んだ。

 

だが、彼女の運動神経はお世辞にも良いとはいえない。彼女の手をすり抜けてしまう。

 

その先にあったものに、京は頭を突っ込んでしまう。

 

 

ふわっ

 

 

「ん?」

 

「お前・・・そこ・・・私の胸だ・・・」

 

「うわああああ!ごめんなさい!!ごめんなさい!」

 

彼の特性と言っても良い。ラッキースケベという奴だ。

 

「私・・・五つ上だぞ?お前のことロリコンだと思っていたが・・・年上もいけるのか」

 

「なんでちょっとまんざらでもなさそうなんですか。あ、私は仕事戻ってますので。では」

 

「うるさい。全く。この場にゼロワンが居たらなんと言われ・・・・・・ゼロワンはどこだ。もう戻ってきてても良いだろうに」

 

噂をすれば。玲の元に突如連絡が入る。

 

「ゼロワンがさらわれた!?・・・潜入任務中にか・・・!」

 

今まさに出来上がったアイテムを持ち、飛び出て行った。

 

 

 

「返して欲しくばスーツを持ってここに来い!!」

 

政治家の男が人質としてゼロワンに拳銃を突きつける。警察も身動きが取れない。

 

「背に腹は変えられんか・・・これだ」

 

玲が神格接続器を持って、ゆっくりと渡す。政治家は乱暴に奪い取ると、ゼロワンと玲を蹴り飛ばし、腕に装着した。

 

「ハハハハハハハハハハ!!これで・・・!」

 

スイッチを全て起動。装着の準備を終えた。

 

『No!No!No!No!sorry…』

 

「・・・は?」

 

「馬鹿だろお前。適合する鎧がない癖に装着できると思っていたのか?」

 

「騙したな・・・!!」

 

「言われた通りスーツを持ってきただけだ」

 

「黙れ!!・・・呼んでおいてよかった。グレー!出ろ!」

 

政治家の合図に合わせ、セーターの男グレーが現れる。

 

「・・・テロリストの」

 

「おひさー。オレがいなくて寂しかったかな?遊んでやるよ!生身でついてこれりゃだが」

 

『SEKIYOU…wake up!』

 

取り出したメカメカしい銃の側面に付けられたレバーを引く。銃から飛び出た煙が粒子化。定着して鎧へと変化した。

 

石妖をイメージした装甲。「岩礫」がその姿を表した。

 

「ったく・・・装着!」

 

『1!2!3!4!his name is…TAKEMINAKATA!』

 

「あんたもアーマーゲットしたのか!いいねえ・・・扇風機?」

 

「あ?そうだよ!」

 

岩礫の拳とカザツチのブレードがぶつかる。

 

 

 

 

「待て・・・!!貴様は人質だ!」

 

政治家がゼロワンを追って銃を乱射。避けはしているが、いつ当たってもおかしくない。

 

そして、石ころにでも突っかかったのか転んでしまう。

 

「くくく・・・こっちへ来い!しかし人質としては役立たんか・・・よく見ればいい顔してるじゃないか。ハハハハハ」

 

「離してください・・・!!」

 

「だれが!このまま押さえつけて・・・ガハッ」

 

突如、彼の胸から刃が飛び出る。新たな力に目覚めたわけではない。血まみれ刃の()()()()()()と同時に、男が倒れた。

 

「困った時の神頼みぃ?だっさいわねえ。あら?あなたはゴッズメカニカルの子かしら?」

 

剣を持った女性がゼロワンの方を向き、微笑む。

 

「そっかそっかぁ・・・探したわよ。殺さなきゃ!」

 

口を歪め、へばりついたような笑顔。剣を構え、振る。

 

すんでで避けるが、すれ違った髪が切られる。触れてはひとたまりもない。焦りと恐怖がゼロワンを襲う。

 

「死ね・・・妄言の気狂いども!」

 

「キチg・・・気狂いはそっちでしょう!」

 

だが、そうも言っていられない。政治家の死体の横から神格接続器を拾い上げる。急いで腕に装着。

 

次はバッグの中から腕輪を取り出し。右腕に装着。スイッチを入れた。

 

「こうなれば・・・テストなしの実戦投入です!」

 

『connect1…準備完了』

 

次はベルト。腰に丁寧に巻き、斬撃を避けながら拳銃をセットする。

 

『connect2…準備完了』

 

「そんなら私も・・・装着!」

 

女、ライムが手にした剣のグリップを引く。

 

『了解…装着を開始します。コードシアン。起動。ウェーブ…』

 

水色の光が彼女を覆い、鎧の騎士『シアンウェーブ』が姿を現した。

 

ゼロワンの方はヘルメットを装着。紐で首に固定し、バイザーを下げる。

 

『connect3…準備完了。装着スタンバイ』

 

「どういうことだ?あんたらの扱う・・・神格とやらの力が観測できないわ」

 

「今から起きますからね」

 

『1!2!3!4!準備完了…擬似神格起動…確認…装着開始!Ready go!armor the god!his name is…DEUS・EX・MACHINA!』

 

土が舞い上がり、四角く形をなす。ガタガタと鎧となってゼロワンの体に装着。迷彩色の『似せ物の鎧』マキナ(機械仕掛け)が姿を現わす。

 

「ウェポン起動!!当たれ!!」

 

アサルトライフルを起動。連射。あまりダメージとなっている様子はないが、足止めには成功している。

 

それで十分。この武器の真髄はそこではない。

 

「グレネェドォ!!」

 

グレネード弾を発射。爆煙がシアンウェーブを襲った。

 

「熱いわね・・・この!」

 

 

 

 

「くっ・・・体力が・・・持たない!」

 

急に膝をつくカザツチ。マスクの中で眠たげな目だ。

 

「あんた石妖知らないわけ?」

 

「民俗学には精通しているが・・・男の元に現れて・・・肩を揉んで・・・気付くと引っかき傷?・・・睡眠か!!」

 

「イェース。脳波に干渉しての睡眠属性。それがこの岩礫の技さ!」

 

カザツチを蹴り上げ、さらに回し蹴りで追撃。ダメージは蓄積していく。

 

 

 

 

 

グレネード弾による猛攻で、シアンウェーブは手を出せずにいた。

 

「くっ・・・」

 

思い切って避け、飛び上がって斬りかかる。が、こちらはアサルトライフルで撃墜。さらに追撃をもらう。

 

「もう無駄です。大人しく自首しましょう?」

 

「誰が・・・!」

 

無理矢理体を起こし、レバーを倒す。

 

『コードシアン。変更。フォトン!!』

 

突如、シアンの姿が変わる。アーマーがパージされ、刺々しいアーマーが姿を現わす。シアンフォトンへと姿を変えたのだ。

 

「うおおおおおお!」

 

体が粒子化。高速移動で銃弾を避ける。マキナの背後へ回り、剣の一撃を当てた。

 

「うああああ!」

 

「痛そー。同情だけはしてあげるわ」

 

「ううう!」

 

そこに吹き飛ばされたカザツチ。追ってきた岩礫とそこにいるシアンフォトンに、図らずして挟まれる形となった。

 

「ねえ、例の政治家は死んだわ。私に依頼されてくれないかしら?」

 

「良いぜ。こいつらぶっ殺しゃ良いんだろ!」

 

再びシアンフォトンの体がぼやける。粒子化だ。

 

「・・・ゼロワン。頼める?」

 

「分かりました!」

 

急いで神格接続器の四つのスイッチをオフに。超必殺を発動した。

 

『Crash!ground element!』

 

「グランド!機械仕掛けの神!!」

 

地面をエネルギーが伝わり、爆発でもするかのように粒子が舞う。

 

「やべえ気がするぜ!!」

 

岩礫はとっさに避難。その影響で睡眠攻撃も解除。シアンフォトンはもろにマキナが放った粒子を喰らう。

 

『error』

 

粒子が収まったそこにいたのはライム。装着が解除されたのだ。ゼロワンの装着も解け、腕輪やベルトが外れる。

 

「これがデウスエクスマキナの必殺技だ!そして・・・貴様も逃がさんぞ!」

 

『Crash!ground element!』

 

逃げる岩礫の方を向き、ファンを空中へ投げる。同じ高さまで飛び上がり、そいつを蹴り飛ばす。

 

竜巻と刃が岩礫を襲い、その装着を解除。ライムもグレーも闇に隠れて逃げて行った。

 

「・・・よし。帰るぞゼロワン」

 

「分かりましたママ!」

 

「冗談でもやめてくれ。そんな歳じゃない」

 

「・・・娘みたいなものなんですけどねえ」

 

「・・・まあ、そうだが」

 

おもむろに肩車。降ろしてくださいと言う声も聞かず、走り出した。

 

一戦終えたとは思えない、微笑ましい情景だ。




「下がれ。妾に任せろ」
海のように広く、波のように強く。次回、「海原と私」

はい。マキナ独特の装着法です。ほかの装着者は神格接続器のみで装着なので。
こんな感じでめっちゃくちゃ設定盛ります。
敵も増えました。テロリストは「アッシュ()」「グレー」などの、彩度低めの名前です。アーマーは二字熟語。船幽霊や石妖などの妖怪がモチーフです。モチーフってだけで完全科学です。
対しサンメリーのアウトローはフルーツ名です。アーマーは「色ウェーブ」と「色フォトン」の2タイプチェンジです。
てな訳で、次回お会いしましょう!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。