吸血鬼の憂鬱(魔法使いの消失)   作:NeoNuc2001

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イズミさんの月レミはリメイクまでしばらくお待ちください。

レミリアの敗北後。とはいえ、初敗北ではないので注意。

追記
どうやら月レミの閉鎖は一時的だったようです。


第四話 伝説の証明 (上)

───???───

意識は回り、精神は静寂

 

ただ(Scarlet)が在るのみ。

 

上を見ようと、下を見ようと、左右を見渡そうと、(Scarlet)しかない。

 

その中では私は紅一点なんだろう、笑えない。

 

だがやがて、周りの(Scarlet)が静かな血の海だと気づくと最初からそうであったかのように心がくるりと反転したように感じた。

 

欲しい

 

欲しい

 

欲しい

 

その心は強くなる。

 

思わず笑みをこぼしてしまう。

 

ああ、心地がいい。

 

やがてその心に従い、血の海の流れの強さに構わず、血を吸う。そう、吸うだ。

 

しかし、吸えない。

 

心は強くなり続けているのに、吸えない。

そして気づく。

 

自身の服が深紅に染まっていないことに。

 

血の感触、匂いが一切ないことに。

 

不透明な海に浸かりながら自身の服が見えるのはおかしいが...そうか、これは夢か。

 

夢か。()()()()()()()

 

自身の虚ろを自覚しながら、私は至福の満足感と絶望の渇望感に挟まれながら精神を少しずつ狂気に落としてこの心を漂う。

 

 

 

 

 

───レミリア・スカーレット───

 

目を開けようとする。昨晩の戦闘からか疲れでまぶだが重いが、日差しが窓から否応なく私のまぶたを貫通する。鳥は歌い、花は咲き誇る。目覚めの朝としては最高、人間ならば。吸血鬼は人間とは昼夜逆転した生活をする。確かに真祖である私に睡眠が必要ではないとは言え、睡眠欲自体が無いわけでもない。さらに言えば、昨夜の戦いの回復をしなければならない。そんな私の睡眠を邪魔したのは、

 

「ほ〜ら!起きなさい!もう朝だよ!」

 

魔法使いのアリス。どうやら彼女はお節介らしい。

 

「いや、吸血鬼にとって朝は睡眠時間だが?そもそも、昨夜の戦闘で疲れているんだ。寝かせてくれ。」

 

「そんな残業帰りのサラリーマンみたいなことは言わないの!そもそも、それを言ったら私も同じでーす!」

 

サラリーマン?一体なんのこと言っているんだ。まぁいい。

 

「それを言うならばお前は手加減を...いやもういい!眠気が失せた。」

 

アリスと話していたらすっかり眠気が失せてしまった。一杯食わされたと言うべきか、ぐたらないと嘆くべきか。

しかし、なぜ私はアリスとこうまで親しく話しているのだろうか。立ち上がった私をニコニコと見る彼女には悪意は無いように見える。しかし、それだけでは理由にならない。

 

本当に何故だろうか。

 

そう考え始めようとしたところ、アリスが彼女自身の手を私の頭の上に乗せ、

 

「よ〜しよし。やっと起きられたね〜。」

 

「私は子供か!」

 

と、いわゆるなでなでをして、そして当然、私は怒った、先程の疑問など忘れて。

 

「会ったときから気になっていたが、お前は私を子供扱いしているようだな?容姿のみを理由にしているなら改めた方がいいぞ。何故なら私は既に200年を生きた───」

 

「やっぱり子供だね〜」

 

私の威圧的な言葉に対し、アリスはテヘッ、と笑みをこぼしながら反撃する。

 

「いや、なぜそうなる!?人の寿命より遥かに長く私は生きているぞ。」

 

「だって、私が生きた年月と比べたらまだ赤ん坊みたいなものよ。」

 

「いや、あり得ない」と私は心の中で即答する。何故なら、彼女の言葉を信じるならば最低でも8000年は生きている。今から逆算したら、当然、人の文明が生まれる前の時代にアリスは誕生したとなる。やはりあり得ない。しかし相手は魔法使い、仮にあり得るとすれば、

 

「さては...未来から来た時間渡航者か?」

 

アリスが未来から来たのならば話は変わる。寿命の問題も年齢の問題も全て時間と未来の文明が解決してくれるだろう。何より魔法使いであるならば時間渡航という壮大な奇跡も不可能には聞こえない。

 

「違うよ。」

 

しかし、私の仮説はあっさり否定された。

 

「ならば、一体どうして人間の身で、そこまで長く生きている?もしや、人間ではないのか?」

 

「ううん。私は、少なくとも肉体はれっきとした人間だよ。理由は...秘密にしようかな。あっ!でも、おばさんって呼ばないでね。怒っちゃうから。」

 

前半は妖しく微笑みながら、後半は慌てたように、でも最終的に不気味な笑みをこぼしながら、アリスは言った。

 

この瞬間から遠くに真っ赤で細い運命線が一つ、私には見えるが...詳細は知らないでおこう。

 

「そうか。折角だ、私が直々に館を案内しよ...うん?」

 

館を紹介をするために扉を開けようとしたら、全く動かない。真祖の腕力で動かないことからして空間固定の類いだろうが、

 

これは結界か?

 

「あぁ、ごめんごめん。それ、わたし。何か嫌な感じがしたから結界を張っといたの。」

 

「嫌な感じ...だと?」

 

だとすれば敵襲か?いや、昨晩のことを考えれば謀反の可能性も。だとすれば、

 

「ハッ!」

 

自慢の爪をもって結界をぶち壊す。

仮に空間固定を使おうと、それが結界であるならば結界自体を破壊してしまえばいい。相手が魔法使いであろうとこちらは真祖なのだ、魔法ならともかく、魔術ならば不可能などではない。

 

しかし、周囲の物ごと破壊する強引な手だが、そのようなことを考えている暇はない。

 

結果的に扉ごと吹き飛ばし、広間を視界に収めた瞬間。

 

「うん?」

 

二人の吸血鬼が広間に横たわっていた。

 

「多分その二人じゃないかなぁ。よっぽどの初心者じゃなければこの結界の効果に気付くから。」

 

結界の効果とやらはおそらく失神のような物だろうが、

 

今はどうでもいい。

 

部下の謀反の意思を見抜けなかったのは痛かったが、

 

「とりあえず殺すか。」

 

私は殺意と爪を剥き出しにこれらに歩み寄る。

 

「待って!彼らの処遇は私に任せてくれないかな?実際に倒したのは私だし。」

 

ここでふと一考する。これらを無力化したのはアリスだ、それなりに強力な結界を利用して。ならば、これらはアリスに任せるべきではないか?そもそも、このような低俗なモノに対して私が手をわずわらせる理由はない。ならば───

 

「確かに、一理あるな。アリス、こいつらはあなたに任せる。但し、この館にはもう二度と入れるな。」

 

そう私がいった瞬間に二つの物体が消えた、ように感じた。

 

「空間転移で適当な異界に飛ばしたよ。二度とここには来ないんじゃないかな?」

 

「そうか、ならばそれでよい。」

 

今の感じでは文字通り、飛ばしたのではなく、別領域に転移したのだろう。あいつら程度ならば異界から脱出することはまず無理だろう。

 

私では出来ないとは言えない魔術だが、能力を使うならばまだしも、純粋な魔術理論のみでは魔力量が足りない。しかし、流石は魔法使いと言うべきか、苦もなく魔術を発動した、無詠唱で。

 

やはり、彼女は必要な逸材だ。

 

 

 

 

 

 

───フランドール・スカーレット───

「何...これ...?」




真祖
地球に住むヤベー存在。核兵器程度では傷もつかない。

魔法使い?
人類から生まれたヤベー存在。魔力だけなら真祖を上回りうる。

■■
■■に■■■■ヤベー存在。■■な■■を保有する。

ここまで来て気づいたが、「月姫」というワードが入ってる作品のリメイクってそもそもできるのか?
いや、イズミさんはきのこと違うから...

というわけで第四話。フランの初セリフ。多分主人公のはずなのに...

というわけで、ここまで読んでくださってありがとうございます。

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それではまた次回

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