先に謝ります。すいません。
「ここは、どこでしょう…?」
私、真城 静音は、ふと目を開けてみると真っ暗な空間の中にいて、簡易な木の椅子に座っていた。それが確認できるのは、私の足元が程よく明かりが発せられていたからです。
「真城 静音(まき しずね)さん。」
突然声が聞こえたので、その方向に顔を向けると…。
「ようこそ死後の世界へ。貴女はつい先ほど不幸にも亡くなりました。短い生涯でしたが…」
目の前には、女性なら誰もが羨む美しい容姿をした。青い髪に青い瞳をした女性が、机ごしに椅子に座り、優げに微笑んで、そう告げていた。
「…え、死んだ…って?…」
私が目の前の女性が言い切る前にふいに呟く。だってそんな事いきなり言われても‥。
「終わったのです。」
私はその言葉を聞いた瞬間。頭の中に一気に映像が流れ込んできた。これは、記憶‥?
映像の中で私は、黒縁メガネに髪をいつも一つ結びしていた。仕事は大学を出てすぐに地元に帰ってきて、市役所に勤めて、職員として淡々とつまらない日々を過ごしていた。
だけど、そんな日々でも癒しがあった。弟だ。年は10歳以上離れている。弟は学校でのできごとを、本当に楽しそうに話してくれる。私はその時に見せてくれる眩しいくらいの笑顔に助けられている。
私は弟と会話をしながら家に帰宅していると、
「静ねぇちゃん!これ見て!」
弟がズボンのポケットから一枚のカード?を体を目いっぱい伸ばして、私に見せてきた。そんなに見せたいんかな?私は弟の目線の高さまで姿勢を低くして聴いてみた。
「なぁに?またお友達に格好いいカードくれたの?」
そう、最近弟はカードゲームにハマっている。確か遊戯王?だったかな?元々親戚のお兄さんがやっていたものを弟が興味を持ち、もう最近やらなくなったからあげると言うことで譲り受けたのである。
そして学校で話すとやっている子が結構いたようで、その繋がりで友達も増え、お姉ちゃん的にもポイント高い。ちなみに私はアニメ好きである。
「この女の人。静ねぇちゃんに似てる!」
私に似ている?確かに、このカードゲームはモンスターもいるが人のカードもある。少し気になる。
「うーん?見せてくれる?」
「うん!」
そう言って渡してくれたカードは…沈黙の魔術師‥サイレント・マジシャン?
「うーん?」
正直言うと、何だか悲しくなってしまうけど、全く似てない…。髪の色とか服装は当たり前で違うし、こんなにスタイル良くない。ましては顔も…。
「…えーーと、何処がお姉ちゃんに似てたのかな?」
弟に聴いてみると何だか不満そうにしている。あぁ、気を悪くしちゃったかなぁ?
「えー!!似てるよ!静ねぇちゃんがいっつもお仕事してるところに行った時に見た静ねぇちゃんみたいでカッコよくてキレイだったもん!」
ん?見た?
「い、いつ来たの?」
「うーん。火曜日に職場体験?に行くときに行ってきた!その時に見たんだ!静姉ちゃん。」
ああぁ、そういえば妙にあの時子供たちがいるなあと思ったら‥そういえばそんなメールが来てたような気がするなぁ‥。
「そ、そう。‥ありがとう。」
私は何だかいろんな意味で恥ずかしくて、思わず弟の頭を優しく撫でた。
「えへへ、…そうだ!これ静姉ちゃんにあげる!」
「えっ?いいの?‥何だかキラキラしてるし良いカード何じゃないの?}
もし何か価値のあるものだったら何だか気が引ける。けれど弟はまた笑って言う。
「良いんだ!だからこれからもお仕事頑張ってね!このカードみたいにキラキラしててね!」
「…!!?」
私は、今まで何度この子に‥救われれば気が済むのだろう。学習するんだろう?その場で私は泣きたいのをぐっと堪えて、弟を思わずギュッと抱きしめた。
「どうしたの?‥静姉ちゃん?寒いの?」
あぁ、この子はどれだけ優しい言葉を持っているんだろう?さっき止めたばかりの涙が溢れちゃいそうになる。だけど出来るだけいつも声で、めいっぱいの優しさで答えた。。
「ううん‥‥大丈夫。もうこれ以上は要らないってくらい温かいから…ただ、少しお腹が空いたかな?」
今日の夕飯は、私も手伝おうかな?せめてもの恩返しにね。
「じゃあ早く帰ろう!ほら早く早く!!」
私の言葉を聞いて帰宅を急かす弟。そんな無邪気な姿に少し可笑しくなる。可愛いなぁ‥
「待って、そんなに急ぐと転んじゃうよ!?」
「大丈夫!!」
そう言って丁度よく青信号の横断歩道を渡ろうとした時、私は見えてしまった。明らかに普通じゃない速度でこちらに来る車の姿を…駄目!!!
「ユウ君!!」
私は必死に走った。ヒールをすぐさま脱ぎ捨て、失くしたって知らない!
今は、弟を、今まで助けてくれたユウ君を…助けたい!!
私はユウ君の背中を追いかけて、腕を全力で前に押し出し、ユウ君を突き飛ばした。その直後、大きな衝撃が体中を巡った。
その後、私の視界は暗転した。
すべて‥思い出した。と言うことは、本当に死んだんだ。私は‥。
「どうですか?思い出されましたか?」
どうやら、しばらく待っていてくれたらしい。どれ程待ってくださったのかわからないけれど‥。
「あの‥私の死については理解しました。‥ちなみに、私の弟は、ユウ君は無事でしょうか?‥それだけが、心残りで‥。」
すると、目の前の女性は私の不安を取り除くように
「貴女のおかげで、多少擦り傷がありましたが、生きています。」
良かった。それが確認できただけでも私は満足だ。けれど女性は少し悲しげな表情になった。
「ただ、貴女が死んでしまってから、自分のせいだと思い込んで、引きこもっているようね‥。」
え、でもあの事故の原因はどう見てもユウ君のせいじゃないのに、
「そんな、アレは赤信号なのに向かってきた車の運転手のせいなのに…。」
でも女性は首を横に振り、告げる。
「あの子からしたら、本当の理由よりも自分が走らなければ、ああならなかったという思いが先行して、そうなってしまっているようね‥。」
そんな、そんなの私は望んでない。あの子を本当の意味で救えていない。どうすれば‥。
「そんな貴女に、三つの選択肢があるわ。」
選択肢?
「一つは、ゼロから、ようは赤ん坊から別の人生歩むこと。二つは、天国的な所に行って、何もせずのんびり過ごす。三つめが、記憶をそのままして異世界に転生するよ。」
…ん?三つ目が何だか。
「あの、三つ目の異世界への転生って、その剣と魔法の有ったりする世界って事ですか?」
と言うかこのタイミングでこの話をしても、私は何も出来ないのでは…?一体何の意図があって、
「そうなの!そして何と!その異世界に行って魔王を倒すともれなくどんな願いも叶えられるの!どう?魅力的じゃない?」
…何でしょう。先程の私の悲しみが薄れてしまいそうになりました。と言うかこの人は何者なんでしょう?この妙なセールス口調のおかげで少し冷静になれました。少し待っててね?ユウ君。
「あの、貴女はそもそも何者なんでしょう?何だか自然と会話していましたけど…。」
すると女性は、ポンと手を打った。本人も忘れていたようですね。
「私の名はアクア。日本において若くして亡くなってしまった人を導く女神よ。」
あぁ、女神さん。まぁその方がごく自然ですね。さて、何故こんな話をしたのかの理由と、その目的の為に何をすべきかは何となく察せますね。それでは、幾つかの質問をしましょう。
「では、アクア様。私としては三つ目を選択したいと思います。しかし、それに当たって質問があります。宜しいでしょうか?」
するとアクア様は目をキラキラさせて、数回頷く。
「そう来なきゃね!良いわ!ジャンジャン聞いてきなさい!!」
何故こんなに急にテンションが変化したのか分かりませんが良いですね。別に。
それから幾つか質疑応答を繰り返し、大体の事は分かりました。
世界風景 中世のヨーロッパが妥当
モンスターの存在 在り
転生するにあたっての私のスペック 転生特典(伝説上に存在する聖剣、魔剣または道具。私の好きなアニメの世界にある武器や能力。他に能力向上促す力)をにより大きく左右されるが大体は元の住人よりは高い
異世界での言葉の弊害 女神側のサポートにより改善さる模様(多少不安要素あり)
この提案を吞んだメリット 魔王を倒せば何でも要求を一つだけ叶える。
以上がアクア様から得られた情報でした。何故か私が終了を告げた瞬間アクア様がお疲れのようでしたが、どうしたのでしょう?
「じゃ、じゃあ、持っていく特典をこの中から選んでくれる?私何だか疲れちゃったから少し横になるわ‥‥。」
そう言うとアクア様は、指を鳴らす。すると簡易的なベットが現れた。さすが女神、便利ですね。
さて、色々有りますが正直ファンタジー系のアニメは見ていますが、余り神話には詳しくないんですよねぇ。どうしましょう?暫く悩んでいると、アクア様がベットに横にながら、
「出来れば早くしてぇ、意外と死者数って多くて大変なの。ノルマもあるし…。」
そんなに多いんだろうか、いや、それ以前にそんなに女神さま方はその、事務的にしていらっしゃるのでしょうか?何だか少し複雑ですね。
まぁ、言われてしまったので早く決めましょう。うーん。ん?これは…。
「アクア様。決まりましたので、お手数ですが準備お願いしますか?」
聞こえたのか少し、いえかなり嫌々に立ち上がりました。えー何でしょうこの気持ち。確実なのはいい気持ちではありませんね。
そして私から選んだ特典を見て、何だか最初に見せた女神らしい優しい笑みを浮かべていました。まぁしょうがないですよね、女神ですしね。ある程度過程を知っているでしょう。
この特典は、私に勇気をくれる…本当の意味の魔法なんです。これは、
『遊戯王のモンスターの容姿、職業、能力。なおモンスターの選択は所有者の自由、一度選択されたモンスターは変更不可 または付随する魔法・罠カードはスキルとして取得。その他のモンスター・魔法・罠カードの能力はランダムに発動できるスキルとして取得する。』
「じゃあこれで良いなら、転生前にモンスターを選択してからにして頂戴?」
そんなの決まっている。
「沈黙の魔術師ーサイレント・マジシャンで、お願いします。」
すると、あの時ユウ君がくれたカードが現れ、私の中に光ながら入っていった。何だか、不思議な感覚ですね。
「よし!じゃあ、そこの魔法陣の中に入ってくれる?」
そう言いながらアクア様が指さす方を見ると青い輝きを放つ魔法陣が現れた。そこに指示通りに入ると、
「では、承りました。真城 静音さん。貴女の希望は規定に乗っ取り、受諾されました。今から魔王討伐のための勇者候補として送り届けます。もし魔王を倒した暁には、神々からの贈り物を授けましょう。そう、たとえどんな願いを叶えましょう!!」
突然しっかり女神口調で語られたので、少し面を食らってしまった…。あぁ、最後は決めたいのですね。
「さぁ、勇者よ!願わくば、幾多勇者候補の中から、貴女が魔王を打ち倒すことを祈っています。さぁ、旅立ちなさい!!」
私はその言葉を最後に光に飲み込まれ、二度目の意識の暗転をした。
女性主人公、難しいです。