嘘しか付けない嘘つきな私の信じる人
私の名前は無い、家族も居ない。
だからどんな職についても心配する人も、止める人も居ない。
私はハンターになりたかった。
誰もに信頼される、正義のハンター。
でも私は嘘つきだ。
嘘をついて生きてきた。
家族は山賊に自分以外は殺されたと嘘をつき、自分の名前はライラ=カナリエルと嘘をつき、嘘をついて生きてきた。
いや、誰も信用できなかった。
私はハンターを始めた二年がたって、上位ハンターのランキング?でよく2位や1位をとっていた。
幸いにも、私はハンターの素質があったらしい。
そしてモンスターを倒せば誰もが喜んでくれた。
私はそれがとても嬉しかった。
ある日の事だった。
丁度私が居た集会場に貴族が来た、それは貴族のなかでも王族に匹敵するほどの地位を持つ貴族だった。
どうやら何か依頼を頼みに来たのだろう。
その貴族は私を見て急に
「惚れた!私と結婚しろ!!」
聞いた?結婚しろ?嫌に決まっている。
しかも命令してきている、私はすぐに断ってクエストカウンターにいってクエストを受けて狩りに出た。
そしていつも通りモンスターを殺す毎日。
そんなある日の事だった。
「お前いつもソロで狩りに行ってるけど………………大丈夫なのか?」
「あんたに関係あんの?」
「…………すみません」
「あんただっていつもソロで狩りにいってんじゃん」
「いや、その…………」
なんか変なのに絡まれた。
正直ウザい、声も小さいし、なんだかハッキリしない奴だ。
しかも女だから、と言う理由で心配してるなら余計なお世話だ。
てか本当にウザい。
なにこいつ?本当になんなの?
またプロポーズだったりアプローチだったりナンパだったら無視しよ。
「なんか苦しそうだったから心配したんだが………………」
……………………「は?」
なに言ってるの?こいつ。
本当に訳の分からない奴に絡まれたなぁ。
「意味わかんない」
「………………」
「………………」
どうしよう、喋ることが無くなった。
………………まぁいっか。
「一緒に狩り行く?」
ってなに言ってんの私!?
自分でもわけの分からないこと言ってる。
これじゃぁまるで本当に一人で狩りするのが苦しいみたいじゃん。
「!!行く!」
………………なんだろう、後ろに犬の尻尾が見える。
犬の尻尾をブンブン振っているように見える。
………………はぁ、本当に何で一緒に狩り行こうなんて言ったんだろ………………
……………………はぁ、とっとと狩り終わらせてこの人と縁を切ろう。
うん、それがいい。
─────────────────
なぜこうなった?
私はブラキディオスをあの男と狩りに来た、なかなかブラキディオスが見つからないから二てに別れて探すことにした。
そして見つかったのは
顔がない体だけのブラキディオス。
よく見ると喰われたあとにも見える。
そんなことできるモンスターは居ない。
イビルジョーでもそんなことは無理だ、そんなことすればイビルジョーの腹が爆発性の粘液でぶっ飛び、近くにイビルジョーの死体があるはず。
ならば一体どんな………………いや、イビルジョーならばできる個体が居た。
これは上位の個体のブラキディオス。
ならば、私の勘が正しければ………………ヤバイ!あの男が──────
「ガッ!?」
腹を何か固いもので殴られ、私は空中を飛ぶ。
そして地面に叩きつけられた。
この攻撃はモンスターの攻撃ではない、ならば答えはひとつ。
「まったく、愚かな女だ」
ハンター!しかもあの時の貴族まで!?
どうしてこいつらがここに……………………まさかとは思うが…………
「いやぁ、お前と一緒のパーティーの男が教えてくれたお陰で、お前をすぐに見つけて殺すことができる」
「………………」
分かっていたよ、でなきゃこんな二手に別れてすぐに襲ってくるはず無い。
しかもこの火山のフィールドは他と比べて比較的に広い。
そう簡単に人を一人見つけるなんて不可能に等しい。
まぁ裏切られるくらい分かってたし、集会場のハンターは私の事を嫌ってるみたいだしね。
貴族の方はどうせハンター達や護衛の目の前でフラれたのが気にくわなかったんでしょ。
「まったく、貴族の私の誘いを断らなければこんなことにならなかったのに」
理不尽ねぇ、たかがそのくらいでキレるとかガキか、あんたは。
「お前のような愚か者は体に教えるのが早い」
そういってハンター達が私の防具を無理矢理はがし、私はインナーだけになった。
正直悔しい。
たかがこんなやつらに私が思うがままにされるなんて。
そもそもあの男と一緒に狩りなんて行かなければ、少しでもこいつなら信じられると信じた私が馬鹿みたい。
まったく、馬鹿みたいじゃない、私は本当に馬鹿な奴だ。
そしてハンター達が私のインナーをハンターナイフで引き裂こうとしたときだった。
ハンターの一人が消えた。
否、空中に“殴り飛ばされた”のだ。
そして殴り飛ばされたハンターが落下して地面にハンターの死体が叩きつけられると、それは手足がネジ切れ、上半身の防具の真ん中に大きな拳の跡と、その跡の回りからヒビがはいっている。
最早これは人と言うより肉塊と言った方がいいだろう。
それを見た貴族と貴族に雇われただろうハンター達が混乱する。
しかしハンター達はすぐに武器を構える。
しかし気づけば貴族が居なくなっていた。
するとハンターの一人に貴族の“首だけが”飛んできて、ハンターの一人が避けきれず、顔に貴族の首がぶち当たり、首がもげる。
作者の豆知識、大人の首から上の顔の部分はボウリングの玉と同じ重さだ。
つまり首がもげたハンターにはボウリングの玉が当たったと同然なのだ。
本編に戻ります。
全員は首が飛んできた方を見るが、なにもいない。
しかし、気づけば何か、何かが後ろに居る。
ハンター達はゆっくりと後ろを見た、それは
激昂したラージャン
確かこの激昂したラージャンはこの辺りを縄張りにして居ると噂で聞いた程度、まさか本当に縄張りにして居たとは思わなかった。
本当に今日は最悪の日だ、ハンター達は武器を持つのも忘れて一目散に逃げてるよ。
はぁ、そっちに行ったら
グオオオオオォォォォォォォォ!!!!
耳痛ッ、あれは怒り喰らうイビルジョーかぁ、多分二頭ともG級個体だね。
これは詰まれたな。
防具なし、武器なし、お守りなし。
…………パーティーなしのソロ。
あぁあぁ、全員食べられちゃったね。
ん?
あ、
ブチッベキバキ
「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!」
足を一本引き千切られた。
あまりの激痛に、喉が潰れるくらい大きな声で叫んだ。
両目からは涙が溢れる。
そして今度はイビルジョーがラージャンに攻撃してきた際に腕が喰われた。
そのまま私は吹き飛ばされた。
もう痛みすら感じない、絶望のドン底に叩き落とされた気分だ。
血も止まらない。
目の前ではG級固体のモンスター二頭の縄張り争い。
どちらが勝とうと私は餌になるのが目に見えている。
死ぬのか、随分呆気ない。
………………本当に嫌になる。
こんな嘘だらけの私が
泣きながら助けを求めるなんて。
私はいつの間にか恐怖と絶望で、身体中震えている。
歯がガチガチとぶつかり合う。
涙が止まらない。
体も動かない。
怖い、痛い、誰か、誰でもいい、助けてくれ、嫌だ死にたくない。
誰か、誰でもいい、頼む、何でもするだから、誰か…………私を、助けてくれ。
私は心の中で一瞬、私を襲ってきたハンターでもいいから助けてくれと、願ってしまった。
情けない、自分を襲ったハンターにさえ助けを求めるなんて、情けない。
でも、情けなくてもいい、誰か、助けてくれ。
来るはずもない、助けなんて、それでも助け求めた。
するとイビルジョーが龍ブレスを拭いた。
怒り喰らうイビルジョーは普通のイビルジョーに比べて龍ブレスの範囲が広がる。
つまりこのままでは私に当たる。
今この状況で龍ブレスなんて当たったら即死だ、いや、骨すら残らないだろう。
私は必死で抵抗した。
しかし体は動かない。
抵抗してもまったく意味がない。
あぁ死んだ。
そして物凄い速さで近づく龍ブレスは何故か私にはゆっくりに見えた。
だけどそれがかえって恐怖に変わった。
私はあまりの恐怖に目を瞑った。
あれ?
痛くない、死んだから?
違う、腕と足が痛い、生きてる。
?じゃぁなんで?
「ゲボァ………」
「ぇ…………」
ビチャヂチャと紅い液体が大量に溢れている。
口からも、目からも、顔からも、腕からも目で見える限り全ての部分から紅い液体が溢れている。
防具の上半身が完全に無くなり、紅黒い眼が禍々しく光っている。
それはまるで鬼の眼。
それが一緒に狩りに来たあのハンターだと気づいたのは
あのハンターが、G級個体のイビルジョーとラージャンを殺した後だった。
続く
まだまだ過去編続きますよ!