今日も俺は半殺しにされる   作:荒北龍

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俺の俺は俺でした

「頭、あの小娘はどうしますか?」

「すぐに追いかける」

「このゴミはどうしやしょう」

「金目のもんだけ剥いで捨てろ」

 

そう言って東洋の暗殺者達は、地面に転がり、ピクリとも動かなくり、周りに龍夜のちと思わしき血痕や、東洋の暗殺者達の仲間と思われる死体がいくつも散乱している中、東洋の暗殺者達に踏まれながらも、ハンターナイフや、金袋などなどを剥ぎ取られていく龍夜。

そして東洋の暗殺者の一人が、龍夜の付けている首飾りに気づく。

 

「珍しい首飾りだ。··········紅い石か?」

 

そう言って首飾りを剥ぎ取郎とした直後、突然東洋の暗殺者の腕を、龍夜の手が強く掴んだ。

 

「!?まだ生きていたのか!」

 

その言葉を聞いた東洋の暗殺者達は、全員が龍夜の周りから一定の距離をとる。

そしてその場は沈黙と殺気で静まり返り、数秒、東洋の暗殺者達の頭が何かを悟ったのか、龍夜の傍にた歩み寄る。

 

「頭!?危ねぇぞ!」

「···············いや、死んでる。こいつは確実に死んでるな。脈が動いてねぇ」

「だ、だけど俺、確実にうで、腕を思いっきり掴まれたんだ!」

「それは儂も見た!··········こやつ、話には聞いていたが、ここまで化物だとはな。やはり今ここでこやつをバラバラにして海に沈めろ。もしかしたらこやつ、まだ動けるかもしれぬからな」

 

そう言って東洋の暗殺者達は、腰に携えた短刀を抜き、ゆっくりと龍夜に近づき始める。

 

(···············狂気、確かにあやつの力は"凶器"だ。あやつはまるで人を殺すことだけに特化した人間。··········やつもこちら側の人間だったということか·············)

 

東洋の暗殺者達の頭はそんなことを頭に思いながら、ふと、記憶の引き出しから急に出てきた名前を思い出す。

 

「龍夜?はて、どこかで···············まぁ良い」

 

しかし、それを思い出すのはあと____

 

 

 

§

 

 

 

「罪を犯したものは無知と怒りゆえ」

 

そうしてハゲは俺の頭にゲンコツした。

 

「憎しみに飲まれるのは未熟ゆえ」

 

そうして再びハゲは俺にゲンコツした。

 

「この行いを元に学び、悔やみ、そして改めるが良い。これからの自分を過去と見つめ直し、そして助け導くのじゃ。それが強者の役目」

 

そう言ってハゲは俺の頭を優しく撫でた。

 

「僧とは神を信じるもの。仏とは人のみでありながら悟り、神の地位を手に入れたもの。神とは己の信じ、憧れ、生きがいであり、そして自分の全てである」

 

頭には痛みはない。その代わり、頭には細くて、シワシワで、冷たい手が俺の頭を優しく撫でていた。

俺の目からは、胸の当たりが冷たくて、風穴が空いたみたいに空っぽで、その空っぽの胸の中に、嬉しさと悲しさで一杯で、それが苦しくて苦しくて、涙が止まらなかった。

 

「次はお前が誰かの神になる番だ、『▂▂』よ」

 

俺は気がつけば僧に抱きしめられられていた。

俺の空っぽの胸に、嬉しさと悲しさ、それと溢れて破裂しちまいそうなくらいの優しく暖かい"何か"が注がれ続けた。

それが何なのかは今の俺には分からない。だけど、その何かこそが、俺が生きていた中で、一番欲したものだったことに気がつくまであと━━━━━

 

 

 

 

§

 

 

 

 

「弱い、とろい、カスい、雑魚、使えねぇ。ほんとにお前って俺なわけ?」

「あ"ぁ"?」

 

そこには、ボロボロの装備に、体にバリスタ弾や矢や剣が体に突き刺さり、体からは血がしたたり、手足には枷や鎖が着けられており、肩には大剣を担いだ"俺"が立っていた。

 

「なぁ、もう何もかも忘れちまえよ。師匠を殺した人間や王族が憎いだろ?あの小娘だって王族で、しかも師匠を殺した国王の孫娘だぜ?そんな奴の娘を命はって守ってるお前の気が知れねぇ」

「黙れや、"狂花"」

 

龍夜は声を太くして、今目の前にいる自分と瓜二つの、狂花と呼ばれる男に敵意と殺意をぶつけると、狂花もまた笑いながらではあるが、龍夜に敵意と殺意を向けた。

すると、奥の方から誰かが歩いてくる。

それは、背中に立ちを背負ったまた龍夜そっくりな男だった。しかし、その顔は無表情で、どこか悲しげだった。

 

「··········なんでてめぇが出てくんだァ?祟羅ぁぁぁぁ?」

「·········俺がいたらまずいのか?」

「てめぇなんぞいても意味ねぇだろうがよおぉ。とっとと消えやがれ。師匠を見殺しにしたゴミが」

「師匠を見殺しにしたのはお前も同じだろ」

「あ"?」

「はは、言えてる」

「お前もだろ、龍夜」

「あ"?」

 

龍夜、祟羅、狂花、三人全員が同じ顔なのに、よく見れば三人とも風貌が異なる。

 

一人は、好戦的で、血を好み、殺しを好み、己の弱さを憎み、人を憎み、王族を憎み、憎しみに呑まれ、神をなくし、もう存在しない者を求め続け、己さえも見失って、命の尊ささえも忘れ鬼へと変わった者。

 

「てめぇら偽物の分際で図が高ぇ、俺は師匠を殺した人間を皆殺しにすんだよ、邪魔すんじゃねぇ」

 

一人は、自分を救った者に憧れ、溺れ、それに執着し、ただそれだけを求め続け、手を伸ばし、しかし永遠に手に届くことはなく、"それ"が手に入るならば己の命も惜しまない、愚かなる者。

 

「邪魔なのはお前らだ。俺はあの人の為に、もっと力が必要なんだ。お前らに構ってる暇わない」

 

一人は、己の過ちに気づき、"それ"が自分の求めたものでは無いと気づき、大事なものに気づき、今度は間違えないよう、今度は守れるよう、今度こそ、今度こそ、"あの人"に胸を張って会えるよう、その為に、己を取り戻そうとする者。

 

「どいつもこいつも、好きかって言ってんじゃねぇ。俺は早くあの忍をぶっ押してあのわがまま姫との約束を守らにゃならねぇんだよ!」

 

三人の意思は異なり、そして、三人全員が己が正しいと確信し、その他の二人が間違っていると確信する。だからこそ、邪魔な者を排除する。残りの二人は不純物だと確信し、そして三人が全員、己の信じ、愛した者を信じる為に、その為なら、邪魔者は誰だろうと排除する。

 

 

 

 

 

 

たとえ自分自身が立ちはだかろうとも、邪魔ならば

 

 

 

 

「「「邪魔すんならぶっ殺す!」」」

 

 






ちょっとややこしいので作者から龍夜、祟羅、狂花のまとめ

龍夜

師匠である花恋に憧れてハンターとなり、花恋正式な弟子になり、下位ハンターから五ヶ月で上位ハンターに進級。後、三年で上位ハンター一位となり、G級ハンター試験を受け、見事に進級する。
G級ハンターに進級してからも、目覚しい成果を上げ、次々とクエストを達成していく中、あるクエストを受け、"クエスト達成"して以来、名前を改名し、"祟羅"と名乗る。

祟羅

とあるクエストを受けて以来、師匠である花恋とは別行動をとることが増え、連続でクエストを受ることが増え、人と暮らすよりも、モンスターを狩猟する時間の方が圧倒的に多く、一時期G級ハンターで最も多くのモンスターを殺し続けているハンターとして有名になる。
ある日、師匠である花恋が"黒龍"討伐のクエストを受けたと聞き、単独ですぐに助太刀に向かうが···············

狂花

師匠を殺され、怒り狂い、師匠を殺した国王軍、及び国王、実弟である上位ハンター一位【モンスターハンター】を惨殺し、G級ハンター二人に拘束され、連行。
後に、G級ハンター会議により、G級ハンターから上位ハンターへと下がり、一年の【終焉監獄】に収監され、一年後上位ハンターとして復帰すると━━━━━━━

???

とある増と出会う



こちらもよろしく
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