キツネとカミサマ   作:ろんめ

4 / 208
1-04 ばすさがし

ロッジを出発して……どれくらいだろう?

時計とかは持っていないので時間がわからない。

太陽で判断できるけど出発した時の高さは覚えてない。

まだ少しかかりそうだから色々聞いてみよう。

 

「ねえかばんちゃん、ラッキービーストってこの辺りにもいるの?」

 

「はい。多分いると思います」

 

「必要なら他のラッキービーストと通信して呼ぶこともできるよ」

 

「通信もできるんだ! 便利だね」

 

「そうなんだよ! ボスはときどきとってもかっこいいんだ!」

 

じゃあその「ときどき」以外はそんなにかっこよくないのかな…

 

「通信は必要ないかな、見つけたらでいいや」

 

「わかったよ」

 

「あ、そういえば、かばんちゃんは今までどうしてたの?」

 

「それは、話すと結構長くなりますけど……」

 

「いいから聞かせて!」

 

「はい。わかりました……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどなるほど……すごいね」

 

全部聞いたけどそれに尽きる。

話によると多分かばんちゃんはヒトのフレンズだから

それも何か関係してるのかもしれない。

 

「そうでしょ! かばんちゃんはすっごいんだよ!」

 

サーバルは嬉しそうだ。

見ていて仲がいいのがよく伝わってくる。

あと、何か聞きたいことってあったかな…

 

「見て!バスがあったよ!」

 

とサーバルが指を差す方を見ると、

黄色い車体で屋根に耳のついたバスがあった。

やっぱりサファリバスみたいな見た目だ。

 

「あれ、運転席しかないね」

 

「巨大な黒セルリアンの時に、後ろのほうは少し遠くの安全な場所に

置いておきました」

 

「そうなんだ、でも…タイヤが壊れてるね」

 

バスは立ってはいたけどタイヤが一つパンクしたせいで傾いている。

取り替えないと走れなさそう。

 

「かばんちゃん、どうすればいいのかな……?」

 

「うーん、どこかに代わりのタイヤがあればいいんだけど……」

 

目的がバスさがしからタイヤさがしに切り替わろうと

していたその時、後ろから声が聞こえてきた。

 

「あ、あれは、かばんさんなのだ! ひさしぶりなのだ!」

 

振り向くとそこには二人のフレンズがいた。

キコキコとぺダルを漕ぎながら

歩いたほうが早いと思うスピードでこっちに来ている。

 

 

「やあかばんさんに、サーバルにー……知らない人ー」

 

知らない人と呼ばれた。

いや、正しいけど、「知らない人」って呼び方は…。

 

「あ、はじめまして、コカムイっていいます」

 

「”コカムイ”? 聞いたこともない動物なのだ。

 

フェネックは知ってるのか?」

 

「わたしも聞いたことないねー」

 

そっか。フレンズは動物の名前で呼ばれてるから

名乗ったらその名前の動物だと思われるのか…。

これからは自己紹介にヒトだと付け加えよう。

 

「コカムイって動物じゃなくて、僕はヒトだよ」

 

「お前もかばんさんと同じヒトなのか!?

でも、よく見たら納得なのだ!

尻尾も耳もない動物なんてヒト以外いないのだ!」

 

耳、あるんだけどなあ。

 

「で、コカムイさんはどうしてここにいるのかなー?」

 

「昨日、船に乗って島に来たんです。

コカムイさんは覚えてないみたいですけど」

 

「ほーほー、島の外から来たんだねー。

それで、覚えてないってどうしてー?」

 

「セルリアンに襲われて船ごと吹っ飛んで……ってことがあって

それで忘れちゃったのかもね」

 

一切覚えてないけど多分そんな感じだ。

 

「って、そうなのだ! 忘れてたのだ!」

 

とこっちを向いて、

 

「アライさんはアライさんなのだ! よろしくなのだ!」

 

「わたしはフェネックだよ。よろしくねー」

 

「そして、かばんさんにいいお知らせがあるのだ!」

 

とアライさんは乗ってきたものから

真新しいタイヤを持ってきた。

 

「ふっふーん! アライさんたちはかばんさんのために

”まんまるのぴっかぴか”のを見つけてきたのだ!」

 

これは思わぬところで手間が省けた。

 

「ありがとうございます、アライさん」

 

「じゃあ、さっそく取り付けよう」

 

ラッキービーストの指示に従ってタイヤを取り替えた。

これで後ろの車体と合わせれば多分問題なく走るだろう。

 

「よーし! じゃあ後ろのがあるところまで行こう!」

 

ラッキービーストの自動運転のためにかばんちゃんが

運転席に座り、僕とサーバルが歩いて、

アライさんとフェネックが”ばすてき”なものに乗って

バスの後ろ側まで向かった。

 

”ばすてき”についてはアライさんに

「それは何て名前?」

ときいてみたら

「”ばすてき”なものなのだ! 博士たちに貸してもらったのだ!」

と言っていた。

 

そんな感じでなんなくバスの後ろも見つかって合体させて、

ロッジに戻ることにした。

 

「二人とも、またねー!」 「ありがとうございました!」

 

「じゃあね、また今度」

 

「それじゃあ元気でなのだ!」

 

「またねー、コカムイさんもがんばってねー」

 

 

 

 

 

 

 

ロッジに戻るころには、空はオレンジ色になっていた。

オオカミさんとアリツカゲラさんが出迎えてくれた。

 

「おかえり、無事に見つかったみたいだね」

 

「はい。アライさんとフェネックさんのおかげで」

 

「じゃあ、明日には出発するということですね」

 

「うん。少し疲れちゃった」

 

「それにお腹も空いたよ」

 

「それなら、ジャパリまんを持ってきますね」

 

 

 

アリツカゲラさんは朝とは違う味のジャパリまんを

持ってきてくれた。

いろんな味があるからしばらくは飽きることはなさそうで

少し安心した。

そしてお腹が満たされると眠くなってくる。

 

「それじゃあみんな、おやすみー…」

 

「おやすみー! また明日!」

 

サーバルはまだ元気が残ってそうだ。

多分夜行性だからかな?

 

朝起きた時の部屋で寝ることにした。

布団に入ってみたけどなかなか眠れない。

……そうだ。

せっかくだから日記を書いてみよう。

あれ、日付は……まあいいか

 

『ジャパリパークに着いて 1日目

 

この日はセルリアンに襲われてそれ以前のことを全然

覚えていない。

この日の出来事は全部かばんちゃんが教えてくれた。』

 

 

『2日目

 

自己紹介をしてジャパリパークやかばんちゃんの旅について

教えてもらったりした。

バスを見つけて明日から図書館に向けて出発する。

 

 

初めて出会ったフレンズ

 

かばん(ヒト) サーバル

 

タイリクオオカミ アリツカゲラ

 

アミメキリン アライさん

 

フェネック                            』

 

 

こんな感じでいいかな。

日記はローマ字の名前が書いてあった手帳に書いた。

さて、明日に備えて寝ることにしよう……

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。