キツネとカミサマ   作:ろんめ

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−1-70 惨劇

 

「んでもって、今日は遥都と二人で下校か、真夜はアレだし……そういや北城もか」

「ああ、北城さんも災難だったね」

「……ま、仕方ないとも言えるだろ」

 

今日は北城も文化祭の準備のに駆り出されている。

 

”人数が足りない”という理由で、真夜が無理やり北城を文化祭準備班のメンバーに巻き込んだのだ。

北城を巻き込んだ理由と言えばおおよそ分かりきっていることだが、ここまでやるとはな。……いや、ここまでやる奴か、アイツは。

 

 

「でも、こういう風に帰るのは珍しいね」

「ああ、こんなときはいつも真夜と三人だったからな」

 

「……」 「……」

 

「話すこと、ないね」

「良くも悪くも、真夜(あいつ)が賑やかしだからな」

 

だとしても、過剰なスキンシップは勘弁願いたいものなのだが。

待てよ、そう考えると今日はある意味安心して帰れる日じゃないか。

もっとこんな日が増えればいいのに。

 

 

「遥都、勉強の方は最近どうなんだ?」

「……まさか、君にそんなことを訊かれるとはね」

「そうか、いつも通り問題ないんだな」

「ハハ、冷めた振りをしても分かるよ」

 

「だったら皮肉めいた返しはやめてくれよ?」

「ふむ……善処しよう」

 

学年トップの余裕か、頭のいい奴って捻くれた性格をしてることが多いように感じるのはなんでだろな?

 

「それはそうと神依、君って好きな人はいるのかい?」

「な、なんだよ藪から棒に」

「いや、高校に入っても君のそういう話は一切聞こえてこないものだからね、少し心配になって」

 

まあ、確かに色恋沙汰は全然ないし、そもそも他のやつのそういう話も俺の耳には一切届いていない。

……嫌われてるのか? 違うよな、そう信じたい。

 

「遥都だって似たような感じだろ?」

「ああ、残念ながら周りに魅力的な方がいないからね」

「へへ、そうかよ」

 

見ての通り遥都はお高く止まってるように見える節があるから、今後どうなるか少し心配だ。……なんか、コロッと騙されそうだ。

 

「話を戻すとして、いるのかい、神依?」

「忘れてなかったか……あー、居ないよ、そんなの」

「……本当かい?」

「……本当だ」

 

記憶を辿ってみても、”好き”というまでに強い感情を抱いた相手は思い浮かばないな。

 

「こんなこと訊いて何になるんだ?」

「何になるとかじゃなくてほら、気になるからさ」

「ま、別にいいけどな」

 

てっきりそこでこの話は終わるものと思っていたが、遥都は納得のいっていないような神妙な顔をしていた。

 

「なあ神依、本当に、いないのか?」

「ああ遥都、本当に、いないんだ」

 

「……そうか」

「なんでそこに拘るんだ?」

「いや、もう気にしないでくれ、それより夏休みの予定はあるのかい?」

 

さっきまでとは一転、遥都は話題を変えたいようだ、まあ興味の薄い話だったしいいか。

 

「予定か、あー、料理かな」

「毎年恒例のだねぇ、でも神依は毎日自分の弁当作ってるじゃないか、”夏休みの予定”とは少し違うんじゃない?」

「それはそれ、これはこれだ、家族全員分作んなきゃいけないんだよ」

 

「神依の母さんが実家に帰るから、だったね」

「ああ、そしてそれが、俺が料理を作るきっかけになったんだ……」

 

「……その話も毎年聞いているよ」

「この際だ、今年も聞いてくれ」

「きっと、オレはこの話を来年も聞くんだろうね」

 

”もう、話してやれなくなっちまったけどな”

 

 

俺が生まれてから母さんが初めて実家に帰ったのは、俺が小学5年生の夏休みだった。

それまで手のかかる俺の世話に追われて、少し遠くの実家に帰る機会がなかった母さん、だけど俺も高学年になりようやく少し楽になって、母さんは実家に帰る時間を取れた。

 

母さんは実家の家族と楽しくやっていたので良かったが、問題はこっちに残された俺と父さんに襲い掛かったんだ。

 

食事はいつも母さんが作ってくれていたし、用事がある時はインスタントで済ませていた。

しかし今回は久しぶりの帰省で少し長く母さんが家にいないため、父さんが代わりに料理をしてくれることになった。

 

……そう、それが悪夢の始まりだった。

 

『……うぇっ!? 何だこれ、まずいぞ父さん!』

『まさか、そんなわけ……んぐっ、何だこれは、一体何なのだ!?』

『父さんが作ったんだろ!?』

 

父さんの料理は絶望的に不味かった。

 

その物体はとても食えたもんじゃなかった。

というか、俺はその時忘れていたんだ、父さんはカップラーメンを作る時でさえお湯をこぼしてしまうほどの料理下手だということに。

 

『かくなる上は……俺がやるしかないか』

 

丁度その頃学校で家庭科の授業が始まり、調理実習も一回だけだが体験していた。

このまま父さんの料理を食べ続ければ一週間と持たない。

 

調理実習で習得した数少ない料理スキルと、レシピが載っている教科書と料理本を駆使して俺は必死に二人分の料理を作った。

 

かくして母さんの帰省中に餓死してしまうことはなく、なんとなくその後もぼちぼち料理を続けたおかげでそれなりに料理が作れるようになった。

 

 

「今俺が料理を作れるのは、あの時の涙ぐましい努力のおかげだったんだ……!」

「ふわぁ~……確かに神無岐や北城さんより上手だもんね」

「その通りだが、なんで欠伸してるんだ? 俺が一生懸命話してるってのに」

 

「ポカポカした陽気で、眠気が誘われるのさ」

「嘘つけ、単に聞き飽きただけだろ! それに今は夏だ、ポカポカというよりメラメラだぞ!」

「分かってるじゃないか……ふわぁ~……」

 

遥都は大きな欠伸を繰り返している。

こんな炎天下でそんな様子を見せられると、少し心配になってくる。

 

「おいおい、大丈夫か?」

「……問題ないさ」

「なら、いいんだけどな」

 

こうして、その後も取るに足らない雑談をしながら、真っ直ぐ家に帰った。

 

 

 

次の日は、一学期の最終授業日だった。

授業を終えて教室から出ていく遥都と北城を眺めた後、俺も支度をして学校を後にした。

どうやら今日は遥都も用事があるらしい、何とは教えてくれなかったが。

 

「まあ今日は、一人で寂しく帰るとするかな」

 

校門に差し掛かったところで後ろから何やら走るような足音が聞こえてきた。

 

なあ急いでる人もいるんだな、と特に気に留めず次の一歩を踏み出そうとしたその時、件の足音は俺の真後ろまで到達し、俺の腕が強く引っ張られた。

 

「うわっ、何だ何だ!?」

「”なんだ”じゃないよ、私だよカム君!」

 

「……なんだ、真夜か」

「むう、また”なんだ”って言ってる……」

 

妙なところに凹む真夜を見ながら、強く引っ張られて痛みを感じる左腕を撫でていた。

 

「で、なんでいるんだ、文化祭の準備はどうしたよ?」

「えへへ、すっぽかしちゃった、ささ、帰ろ」

「よし、今すぐ行ってこい」

 

「……帰ろ?」

「ああ、俺は帰る、お前は準備に行ってきなさいな」

「えー、なんで遥都君みたいな言い方なの?」

 

俺はそんなつもりじゃなかったけど、そんな風に聞こえたのか?

 

「長く過ごしてたら口調が伝染ることもあるだろ」

「遥都君より長い付き合いの()()喋り方は伝染らないのにね」

「そりゃお前、俺が女口調だったら違和感しかないだろ」

 

手を顎に当ててしばし思案に耽り始めた真夜。

おいおい、いちいち考えるようなことか?

 

「……そうだね」

「何だよその間は」

 

「いや、でもカム君なら女装すればもしや……」

「恐ろしいこと考えんじゃねぇ!」

「恐ろしくなんてないよ、カム君って案外中性的な部分もあるからそこを強調すれば……うん、いける」

「”いける”、じゃなくてな?」

 

真夜の着せ替え人形になるなんて死んでもゴメンだぞ、いや、むしろ人形扱いさせられた時点で死んだも同然だ。

”……ああ、死人と同じさ”

 

 

「あれか、文化祭の出し物に”女装”でもあるのか?」

「そうじゃないけど……えへへ、楽しくなっちゃって」

「ったく、やっぱり準備には行かないのか?」

「うん、私の分はきっと雪那ちゃんがやってくれるよ!」

 

「だといいな……」

 

その後は適当なことを駄弁りつつ、燦燦と輝く太陽の下をトボトボと二人で歩いた。

 

しかし、喋っていると一人で帰る時よりも時間が短く感じられる。

暑さにさらされる体感時間が減るのは遥都のどんな素晴らしい知識よりも役に立つだろうと、暑さにやられた頭でそう考えていた。

 

 

 

「あ、もう家まで来たのか。んじゃ、また明日な」

「ま、待ってカム君!」

 

「……どうした?」

 

真夜はまごついた様子でもじもじと身をくねらせている。

 

「え、ええと、やっぱり、何でもない」

「……そうか、言える時でいいぞ」

「うん、じゃあ、また明日ね」

 

クルっと向こうを向いて、逃げるように走り去ってしまった。

俺はそんな真夜の姿を、彼女が見えなくなるまで眺めていた。

 

「まさか……な」

 

 

 

一学期の最終日、昨日よりも太陽は熱く輝き、校長先生は「真夏のようないい天気」とそれを形容した。

どう考えたって程々な気温の方が良いだろうにと、心にもないであろう社交辞令に対してもツッコミを入れてしまうほど俺の精神は暑さに苛立っていた。

 

 

終業式の後には、”死ぬな”とか”万引きするな”とか小学生の頃から聞かせ続けられたいつものアレを言われる学活が待っている。

 

今はちょうど、その学活の始まりを待つ休憩時間だ。

 

「あー、あちぃ……」

「今夜は熱帯夜になるかもしれないね、夕立がありそうな様子だけど、果たしてどうなるか……」

「夕立って雨か? だったら是非とも降ってほしいところだな」

 

「うぅ……神依……」

 

呼ばれて振り向くと、北城が俺に飛び掛からんとする姿勢でいるのが見え、思わず数メートル飛び退いた。

 

「おい北城、今日は間違っても引っ付くなよ、俺を殺したくなかったらな」

「……明日なら、いい?」

「それは明日の俺に聞くんだな」

 

「ふむ、オレの経験上、こう言うときの神依は明日も断るね」

「ひどいぃ、神依ぃ……」

「余計なこと言うなよ!」

 

「まあまあ、怒ると余計に暑いよ?」

「うぐぐ……ああ、そうだな」

 

こんな気温でも遥都はキレッキレだ。

遥都と北城を見ていると、もし真夜もこのクラスだったらと想像して寒気がする。

 

……おお、少し涼しくなった。

 

 

『……では、みんな夏休み明け元気に学校に来るように!』

 

『起立、気を付け、さようなら!』

 

 

「ねえ神依、ちょっと手伝ってほしいの」

「手伝う?」

「うん、その、文化祭のアレなんだけど、昨日真夜ちゃんがサボったせいで本格的にヤバくて……」

 

なんてこった、昨日俺は何に代えてでも真夜を準備に行かせるべきだった。

 

「それで、真夜ちゃんがいても人手が足りなくなって……」

「仕方ねぇ、半分俺の責任だから、手伝うよ」

「あ、ありがとう、神依!」

 

さっき寒気がするとか言ったが、違うな。

真夜は違うクラスにいても俺の手を煩わせるとんでもない奴だ。

……そこが、最高に面白いんだけどな。

 

「遥都、お前は先に帰っていいぞ」

「ああ、待つつもりもないさ」

「こ、こいつ……! ハハ、またな」

「……ああ、またすぐ会うさ」

 

 

そうして俺は準備に駆け付け、真っ先に真夜を叱りつけた。

 

「真夜、昨日のせいでみんなに迷惑をかけ、剰え俺まで巻き込んでるんだ、忘れるなよ」

「はい……ごめんなさい」

「じゃ、さっさと終わらせるか」

 

と思っていたものの、一年生グループの中で真夜が指揮を執っていたせいもあり、昨日の不在が大きく響き仕事は山のように残っていた。

……コレ、一年生に回した奴も相当だな。

 

なんやかんやで必死こいてそれらすべてを片づけた頃には時間はもう既に4時、途中の食事帰宅の時間を抜いてもとても長く作業していたことが分かる。

 

 

 

 

「ああー、疲れた……」

 

俺は誰もいない教室の窓際で、明るい空を見上げ黄昏ていた。

 

「明日から夏休みか、ただ……」

 

高校に入って、四人とも変わった。

何故か、もうすぐ今までのように過ごせなくなるような、そんな予感が頭を過った。

 

「……神依」

 

北城の声だ。

震えている。

 

「ん、北城か――」

「待って! そのまま、そっちを向いてて?」

 

北城は大声で俺を制止した。

何か、見られたくない事情でもあるのか……?

 

「ねえ、神依」

「ああ……どうした?」

 

北城の声は更に震え、潤んでいるようにも聞こえる。

開いた窓から、強く冷たい風が吹きつけた。

 

「神依って、優しいね」

「なんだ、突然?」

「中学の時から、何か言いつつ手伝ってくれたし、最近になっても勉強を教えてくれるし……」

 

北城の口から、沢山の思い出話があふれ出した。

言われてみると思い出すような話も多く、よく覚えているなと……身が強張った。

 

「神依、ボク、ずっと言いたいことがあったんだ」

「……ああ、何だ?」

 

その先に紡がれる言葉が何か、俺は知っている。

 

 

「ボク、神依のことが、す――――――」

 

「…………?」

 

ポツリと、雨音が一つ聞こえた。

 

俺は声を出さない北城を不審に思い、北城の方を向いた。

 

北城は硬直し、目を見開き顔は真っ青、脂汗を流している。

 

「北城、どうした……っ?!」

 

そこで、俺は北城のすぐ後ろにいる人物に気が付いた。

その瞬間北城は力なく倒れ、そいつの全身が見えた。

 

「真夜……!」

 

夕立が、強く、強く降り出した。

雨音が、すべてをかき消してしまう。

 

 

倒れた北城を見ると、背中にナイフが刺さっている。

他にも刺し傷がいくつもあり、真夜には返り血がべっとりとついている。

 

「真夜、どうしてこんなこと……」

「え? ただの泥棒猫退治、それだけだよ」

 

「あ、ぁぁ……!」

 

苦しそうなうめき声をあげる北城を踏みにじり、真夜は俺の方に足を踏み出した。

 

「ずっと、ずっと前からカム君が好きなの、カム君と結ばれるためにどんなことでもしてきたの、今更横取りなんて許さないよ、ねえ、雪那ちゃん?」

 

「やめろ、こんなこと……」

 

真夜はお構いなしに俺に近づく。

北城はもうピクリとも動かない。

 

「カム君、大好き、ずっと私と一緒にいよう、ずっと、ずっと―――っ!?」

 

今度は真夜がさっきの北城と同じように硬直した。

口をパクパクさせるが声は出ず、代わりに血が飛び出した。

 

 

「き、北城、お前……」

 

自分の背中に刺さったナイフを抜き、真夜の喉に突き刺したんだ。

喉から一度引き抜き、自分がされたように真夜の背中をめった刺しにしていく。

 

その度に真夜は声にならない声を上げ、北城は幾度も返り血を浴びる。

やがて、真夜が動かなくなるころには北城の制服は元の色をとどめていなかった。

 

「神依に、言わなきゃ……」

 

しかし北城も出血が激しく、もう長くはもたない。

力を失った手からナイフが零れ落ち、床に当たる音は夕立が隠した。

 

足元はもう定まらない、もう二度と叶わない。

 

ゆっくりと手を伸ばし、たった一度、はっきりと言った。

 

「かむい……だいすき……」

 

俺はその手を掴み取ることができなかった。

空を掴んだ手は落ちて、死体が二つ転がった。

 

「あ、ああ、嘘だ……嫌だ!」

 

 

もう見ていられなかった。

俺はその場から逃げ出し、夕立の中をがむしゃらに走った。

 

「はぁ……はぁ……」

 

いつの間にか俺は、神社まで走ってきていた。

この際仕方ない、雨が止むまで神社に入れてもらおう。

 

こんな目に遭ったんだ、今更妖怪や神の祟りなんて……

 

「……ん?」

 

神社の中に、今まで感じたことのない強い気配があった。

それにつられて目を向けると、真っ白な光に包まれた()()がいた。

 

ぼんやりと、それでいて輪郭が明確に見えるようなそれは、とても美しかった。

 

「アレって……キツネ……?」

 

無意識のうちに、吸い寄せられるように歩き出していた。

”きっと俺は、救いを求めていたんだ”

 

そして北城のように、それに向かって手を伸ばした。

”俺が掴めなかった手を、掴んでもらおうとしたんだ”

 

「俺を……」

 

俺が発した言葉は、あの二人とは似ても似つかなかったけど。

 

「俺を――助けてくれ」

 

強い光が俺の体を包み込み、意識と共に、()()()()()()()()ような気がした。

 

 

 

 

 

「ん、んん……?」

 

家の、俺のベッドだ。

昨日は何かあったのか?

なんだかとても疲れている気がする。

 

ともあれ、今日から夏休みだ。

 

「おはよう、母さん」

「おはよう、神依」

 

母さんはキッチンで朝ご飯を作っている。

今日は土曜日、しかし毎週末は家にいる父さんが今日は見当たらない。

 

「神依、その、大丈夫なのかい、神社で倒れてたってお爺さんが連れてきてくれたけど」

「ああ、爺ちゃんが……? でも、何もないよ?」

 

神社になんて行った覚えはないし、爺ちゃんとの約束を俺が破るはずもない。

 

「あれ、今日土曜日だよね、父さんは?」

「ああ、さっきのことで爺さんから話があるみたいだよ、なんだか険しい顔をしてたけど……」

「……そっか」

 

 

今日の気温はどうなるかな、と何気なしにテレビの電源を付けた。

 

『続いてのニュースです、昨日、○○高校にて二人の女子生徒がなくなる凄惨な殺人事件が発生しました』

 

「か、神依!」

「あれ、俺の高校じゃん、何かあったのか?」

 

『事件が発覚したのは昨日の午後五時ごろ、教室で倒れている二人の女子生徒が発見されました』

『被害者はこの学校に通っている”北城雪那”さん(15)と、同じく”神無岐真夜”さん(16)……被害者は現場に落ちていた同じナイフで殺害されており、凶器からは被害者二人の指紋のみが検出されました』

『警察はいくつかの証拠から、被害者同士で争った結果の事件という見方を示しており、現在事件の動機を調べています』

 

ニュースを見て母さんはわなわなと震えながら涙を流している。

 

「神依……真夜ちゃんに雪那ちゃんが、なんで、こんな……」

 

恐ろしい事件だなとは思ったが、予想以上に狼狽する母さんの様子にぎょっとした。

そして、さも当然かのように母さんが呼ぶ名前に違和感を覚えた。

 

「なあ、母さん」

「何だい、神依……?」

 

「その”まや”と”せつな”……って、誰だ?」

 

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