色とりどりの花に囲まれた自然豊かな大きなお庭。
耳を澄ませば可愛らしい小鳥のさえずりが聞こえてきます。
ココロヤミちゃんは、そのお庭の中にある、小さなアカリハウスの住人の一人です。
今は、エイレーンさんや、ミライアカリさんと、ひっそりと暮らしています。
外の世界が少し怖くて、あまりお外には行きたがらないココロヤミちゃんですが、今日は少し事情が違います。
エイレーン「身体が……動きません……」
どうやら、同居人のエイレーンさんが夏風邪を引いてしまって寝込んでしまったようです。
エイレーンさん、とっても苦しそう…。
心優しいヤミちゃんは、そんなお友達を助けてあげたいと思いました。
ヤミ「風邪薬と、ネギと、あとは体を冷やしてくれるものが欲しい…」
普段のヤミちゃんなら、全部ア〇ゾンで買ってしまいますが、でも、今は緊急事態。
アカリハウスから1.5km離れた町まで、おつかいに行くことにしました。
エイレーン「ヤミさん…こちらでお願いします…」
エイレーンさんが取り出したのは2000円札。
つまり、今回のおつかいの予算は2000円です。
エイレーンさんのなけなしのお金です。
2000円札を握りしめたヤミちゃんは、自信たっぷりに頷きます。
ヤミ「じゃあ…行ってくるね…」
ばいばい、と手を振って外にでるヤミちゃん。
その後ろ姿をエイレーンさんは不安げに見つめます。
もし、ヤミちゃんの身に何かあったら…と思うその親心。
ついていって見守りたい気持ちも痛いほどに分かります。
しかし、病人は病人らしく安静にすべきです。
ヤミちゃんなら無事にお使いを済ませてくれることを信じ、大人しく待ちましょう。
~~~
大きなお庭を抜け、ようやく街に到着です。
さっきまで聞こえていた小鳥のさえずりも消え、車の走る音で辺りはいっぱい。
ヤミ「う、人が多い…」
街に慣れていないヤミちゃんは不安そうに辺りを見回します。
ヤミちゃん、人が多い所は苦手だもんね。
でも、大好きなエイレーンの為にも頑張らなくっちゃ。
ヤミ「えっと…最初に買うものは…」
先ずは風邪薬です。
風邪薬と言えば、お薬屋さんですが…
ヤミ「………どこかな…」
町をあまり知らないヤミちゃんは、どこにお薬屋さんがあるのか分かりません。
こんな時、コミュ力が高ければ街の人に聞けるのですが、ヤミちゃんはシャイな女の子。
道行く人に声をかけることも、目を合わせることも出来ません。
困りました。
早速ピンチです。
そんな時でした。
「Hey!カノジョ!あちしと一緒にお茶でもどうだい!」
銀色のショートヘアの女の子がやってきました。
お腹丸出しの、鼠径部丸見え。
目にはさかさま三角のサングラス。
ヤミちゃんのお友達、ヨメミちゃんです。
少し息が荒いのは、きっとヤミちゃんを見つけて走ってきたからなんだね。
頬っぺたが少し赤くなっています。
ヤミ「あ、ヨメミちゃん…」
ヤミちゃんもヨメミちゃんを見て少し安心したみたいです。
さっきまでの不安そうなお顔が、お花が咲いたみたいにパァっと明るくなりました。
そんなヤミちゃんに、ヨメミちゃんは……
ヨメミ「………」
ヨメミちゃん黙っちゃいました。
一体どうしたのでしょうか?
ヨメミ「あ、あたしはヨメミじゃなくって、わ、悪ヨメミだぜ!?」
ん?
何だか様子がおかしいですね
ヨメミ「ヤm…キミの事知らないけど、可愛いからあちしったら声かけちまったぜぃ!」
ヨメミちゃんはそう言うと、げんこつで自分の頭をコツンとこづきました。
要約すると、ヤミちゃんとは赤の他人だ、と言いたいらしいですね。
何故そんなにもまどろっこしい事をしているのでしょう?
ヤミちゃんも思わずポカンと口を開けてしまっています。
でも、ヨメミちゃんはそんな事お構いなしに喋ります。
ヨメミ「この町の事ならあちしに任せな!この町はね、もはやね!あたしの庭だから!」
ヨメミ「マイ、タウン、イズ、庭」
………
…それにしても、こんなところで会うなんて偶然ですね。
ヨメミ「ふっふー!聞いたぜヤミちゃん!どうやらエイレーンが風邪をひいちゃって動けないらしいじゃねーか」
ヨメミ「ヤミちゃんが心配だからって、エイレーンったらあちしに連絡し……あ…」
慌てて口をふさいだヨメミちゃん。
どうやらうっかり三秒前に他人のふりをしていたことを忘れてしまっていたみたいですね。
お茶目さん
そして、これは〇めてのおつかい的にはアウトな展開ですね。
ヤラセがバレますから。
ヨメミ「あ……あの、あの、あのぉ…」
嘘がばれた(自分でばらした)ヨメミちゃん。
ボキャブラリーの貧弱さがたたり、しどろもどろです。
ヨメミ「え、エイレーンから黙っておくように言われたけど、あたしは悪ヨメミだからね!約束破った…やったんだぜ!」
どうやら強引に悪路線を突き進むみたいですね。
そういうの嫌いじゃないです。
が、アウトでした。
~~~
強力な助っ人との別れを惜しみながら、ヤミちゃんは道を進んでいきます。
ヨメミちゃんも、突然の急用じゃあ仕方が無いよね。
でも、お友達を助けてあげようとした優しさは、ヤミちゃんにはしっかり伝わってるよ!
ヨメミちゃんから貰ったやさしさに答えるために、ヤミちゃんはお薬屋さんの場所を地図で調べながら歩きます。
ヤミ「あった……マ〇モトキヨシ…」
早速見つけたみたいです。
やったねヤミちゃん!後は正しいお薬を買って
「お、アカリ…じゃなくてその表情はヤミか」
おやおや?店内から少し怖そうな黒髪のお姉さんが出てきました。
ちょっとつり上がった目に半分隠れた髪。
そして社畜を連想させる目元のクマ。
そう!エイレーンさんのお姉さんのベイレーンさんです。
こんなところで出会うなんて本当に世間って狭いですね。
そんなベイレーンさんに、ヤミちゃんはメモ用紙を渡します。
そう!
実はヤミちゃん、家を出る前に買うものをメモ用紙にリストアップしていたのです!
流石ですね!
ベイレーン「…これならうちに全部あるお、ちょっと待ってろ」
とっても優秀なベイレーンさん。
メモを見るなり全部揃うと……
って…え?
長ネギもあるんですか?
…え?
そんな薬局あります?
普通はありませんよね?
えっ…?
っていうか全部揃っちゃうんですか?
え?
尺大丈b……
あ、ああ~…
そうですよね
おつかいは、買ってくるだけがおつかいじゃありませんからね。
エイレーンさんを看病してあげるまでが、本当のおつかいです。
あ、そうこうしているうちにベイレーンさんが戻ってきましたよ。
ベイレーン「ほら、全部メモにあったやつだお、予算もなるべくかからないようにしたお」
差し出された買い物かごには体に良さそうな……え…ええ~…
ベイレーン「ネギ、身体を冷やすもの、風邪薬」
ヤミ「うん…これで大丈夫」
玉ねぎにシーブ〇ーズ、そして風邪薬(座薬タイプ)。
いや…ちょっと…確かにあってますけど…。
エイレーンさんに対して座薬は負担が大きそう…。
でも、ヤミちゃんはこれでいいと言います。
何か考えがあるのでしょうか。
ともあれ、おつかいは無事(?)終わりました。
お釣りもレシートも受け取ったヤミちゃんは意気揚々と帰ります。
お疲れ様、ヤミちゃん。
そしてここからが本番だよ。
~~~
ヤミ「ただいま…」
エイレーン「お帰りなさいヤミ」
沢山の冒険を乗り越えて帰ってきたヤミちゃんを、エイレーンさんは嬉しそうに出迎えます。
凄く心配だったんですね。
でも、そんな心配なんて要らないくらい、ヤミちゃんはしっかり者でしたよ。
ヤミ「もう体は大丈夫なの…?」
エイレーン「そうですね、完全にとは言いませんが、お陰様で少しずつ動けるようになりました」
ヤミ「…じゃあ、今からヤミが看病してあげる…から」
そういうと、ヤミちゃんはゴソゴソと準備を始めました。
~10分後~
ヤミ「看病、開始するね…」
ゴーグルをつけたヤミちゃんは、右手に包丁、左手にシーブリーズを持ってまな板の前に立ちました。
ヤミちゃんの左側にはベットに横たわったエイレーンさん。
ヤミちゃんただならぬ雰囲気に奥歯をガタガタ震わせています。
尚、両腕は縛られてベッドに括り付けられています。
エイレーン「ヤミさん!?ヤミさんは今から何をするのですか!?」
ヤミ「看病…」
エイレーン「それにしては恰好がおかし…というかなんでこの服こんなにも脇が開いてるんです!!??」
ヤミ「看病のためにわざわざ開けた…」
そう言うと、ヤミちゃんはエイレーンさんの脇にシーブリー〇を垂らします。
乳白色の液は、螺旋を描きエイレーンさんの脇へ…
ピチャッ…
エイレーン「あ、あぁぁぁああああああああ!!!!!!」
痛々しい絶叫が辺り一面を震わせます。
ショックのあまり、裏返った声で叫び、焦点がブレた目で辺りを見回しながら、必死に逃げようともがくエイレーンさん。
ベッドがギシギシと悲鳴をあげます。
でも逃げれません。
部屋はいつの間にか薄暗くなっています。
もう、小鳥のさえずりは聞こえません、聞こえるのは、ベッドの軋む音と、エイレーンさんの荒い呼吸音。
トンッ!
それと包丁で玉ねぎを切る音。
エイレーン「目がぁあああ!!目がぁああああ!!!」
辺りに玉ねぎのツンとした匂いが充満し、目が痛みを訴え始めます。
エイレーン「何で…何でこんなこと!」
ヤミ「ゴメンね…ネギを首に巻くといいからって……でも…丸いまんまだと巻けないから細く切ろうと思って…」
エイレーン「切らなくていいから!丸いまんま巻いてくれればいいでs…」
トン、トン、トン、
エイレーン「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!」
立ち込める匂い。
一定のリズムで降ろされる包丁。
泣きながら叫ぶエイレーンさん。
まさに阿鼻叫喚の部屋と言ったところでしょうか。
地獄絵図です。
やがて包丁音は途絶えます。
終わった…?のでしょうか…
叫びすぎたエイレーンさんは、束の間の休息にぐったりとしています。
そんなエイレーンさんの首筋に、ヤミちゃんは輪切りの玉ねぎを貼っていきます。
ぺチ、ぺチ
エイレーン「ちべた!ちべたふぁあぁ…やめへてくださひぃ」
あまりの冷たさに、エイレーンさんはふにゃふにゃ声で抵抗を試みます。
首筋に玉ねぎはキツイですよね…。
ヤミ「ゴメンね…すぐ貼り終えるから…」
ヤミちゃんも申し訳なさそうに謝ります。
そうだよね…。
これは看病だからね、仕方ないよね…。
やがて、あらかた玉ねぎを貼り終えたヤミちゃんはゴソゴソと何かを取り出しました。
貼られたエイレーンは生気を失っています、がどうやら野生の勘が働いたようです。
慌ててうつぶせになると起き上がろうと…
ヤミ「お尻出して」
なんという事でしょう。
逃げ出そうと、うつぶせになったことで、獲物に自らの弱点を晒す手助けをしてしまうとは。
本当に滑稽です。
エイレーン「え…あの…」
膝立ちになったエイレーンさんのパンツがずり降ろされます。
露わになった弱点。
ヤミちゃんの手には座薬。
座薬、イン、トゥー、ザ、ホール。
ズブゥ…!
エイレーン「あ゙ぃっ…」
悲鳴が途中で消えたのは、気を失ったからでしょう。
白目を向き、気を失ったエイレーンさんは、穏やかな寝息を立てています。
これで看病は一旦終わりです。
ずり落ちたパンツを上げてきちんと毛布を掛けてあげましょう。
そうすればきっと、明日には治っています。
お疲れ様、ヤミちゃん。
初めてのおつかいだけでなく、初めての看病までやってあげて偉かったね。
きっとエイレーンさんも夢の中で嬉しがっている筈だよ。
良かった良かった。
ー完ー