狼娘のヒーローアカデミア   作:三元新

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皆様お久しぶりです(*^^*)
最近、見たい深夜アニメが多すぎてなかなか寝付けず寝不足気味です(;・ω・) 皆さんはちゃんと寝ましょうね。なかなか起きれませんし生活習慣がおかしくなるので(;・ω・)


ではまずは本日1話目です!どうぞ


10話

ヴィランが現れ黒いモヤの中からゾロゾロと出てくる。前方にある広場に突如として黒い靄が湧き出し、そして埋め尽くしていく。

 

 

 

 そこから間を置かず、一人二人と……剣呑な、荒々しい雰囲気を纏う者達が続々と靄の中から姿を現した。

 

 

 

 

 

 一桁はあっという間に二桁へ、そして、A組の人数も軽く超えて……瞬く間に、誰もいなかったはずの広場は埋め尽くされてしまった。

 

 

 

 やがて、50を軽く超えた人数を吐き出した黒い靄は範囲を狭めていき──最後に二人、一団の中央最後尾に現して、完全に消えた。

 

 

 

「13号にイレイザーヘッドですか。先日いただいた教師側のカリキュラムにはオールマイトがいるはずですが」

 

 

 

黒いモヤからそんな声が聞こえてくる。先日?やはりあの時の……

 

 

私は影狼に目線を移し影狼も理解したのかひとつ頷き影へと潜む。

 

 

 

「相澤先生、恐らく奴ら……特に真ん中の手の奴とその後ろにいるモヤが先日の敵かと」

 

 

 

私は近くにいた相澤先生にそう伝える。すると相澤先生はひとつ頷き

 

 

 

「やはり先日のはクソどもの仕業だったか。椛、手筈は整ってるか?」

 

 

「何時でも。既に影狼には私の影に潜んであります」

 

 

 

相澤先生は良しと言って、忌々しそうにゴーグルの下で相手を睨む。私も戦闘態勢をし構える…

 

 

 

「どこだよ…せっかくこんなに大衆引き連れてきたのにさ…オールマイト、平和の象徴…いないなんて……子どもを殺せば来るのかな?」

 

 

 

しかし、手が沢山付いてる男の発言と同時に体中に鳥肌が立つ程の悪寒が走る。凄まじい悪意だ、他のクラスメイトたちも否が応でも気付かされたみたいでみんな顔が強ばっている。ヴィランの襲撃。その事実に生徒の多くが目を見開き、顔を引き攣らせてしまう。

 

 私は影に潜む影狼に今すぐこの建物から出てオールマイトに知らせるよう合図する。襲撃の可能性はあったので事前からもしもの時の合図は伝えあっていた。相澤先生にも話していたのですぐさま動く。影狼にはオールマイトだけではなく全先生達にも動いてもらえるように校長室にまずは行き根津校長に知らせるべく動いてもらう。

 

 

「ヴィラン!?バカだろ!?ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ!」

 

 

 切島くんが、悲鳴を上げるように叫ぶ。

 

 

「13号先生、侵入者用のセンサーは!?」

 

 

「もちろんありますが……!」 

 

 

 

 八百万さんが発言し、13号先生は焦りを滲ませながら返答する。

 

 

「……いえ、13号先生。奴ら…特に真ん中の手の男とあのモヤの様な男は先日セキュリティを突破し職員室に侵入した者達です。私が個性で、そしてうちの影狼が二人を目撃しているのでその人物たちと特徴は一致しています。恐らくここのセキュリティはあの複数の敵の中に電波系の個性持ちがいて何らかの電波障害を発生していると思われます。」

 

「そ、そんな!?」

 

 

私がそう13号先生に言うとモモちゃんがショックを受ける。私の話を聞いた13号先生は雰囲気が代わりさらに警戒度が上がったように感じた。恐らく急な敵なので最大限の警戒はしていたが、先日の件と関わりがあるとわかったので生徒を1人残らず助ける為に何時でも動けるよう戦闘態勢に入ったのだろう。13号先生は個性の関係上あまり戦闘は苦手だ。できない訳では無いが、下手をすれば簡単に殺せる為に普段は救助活動にのみ個性を使っている。でも戦えない訳ではないので今回は危険度を最大限にまで上げていざと言う時に戦えるように心構えを変えたのだろう。

 

 

 

「何にせよセンサーが反応してねぇのなら、向こうにそういう事が出来る個性ヤツがいるって事だな。バカだがアホじゃねぇ。これは何らかの目的があって用意周到に画策された奇襲だ」

 

 

 

 轟くんは冷静に状況を判断して言い放つと、場の緊張度が更に増す。相澤先生も轟くんと同様の判断を下し、すぐに的確な指示を飛ばし始めた。

 

 

 

「13号避難開始!学校に連絡試せ!センサー対策も頭にあるヴィランだ。電波系の個性が妨害している可能性もある。上鳴、お前も個性で連絡試せ」

 

 

 

「っス!」

 

 

 

 上鳴くんは慌てながらも『放電』を利用した連絡を試す。失敗しても諦めず、あの手この手で試すが結果は振るわない。やはり妨害されているのは間違いないようだ。13号先生も連絡はしてみたがやはり繋がらない。相澤先生に首を横に振り、相澤先生も予想はしていたので表情は変わらずひとつ頷きまた警戒するため敵の方へと視線を向けた。

 

 電波系の個性とは……上鳴くんもだが、本来その系統の個性持ちは、基本的に引く手数多だ。いまの社会的に電波系の個性持ちは主に今回の様な緊急事態に陥った際の連絡網や電波探知機のように瓦礫や土砂等の場で何かを探すのに便利な個性だ。それ以外にも使い方は様々でとても便利な個性である。そんな個性だが、やはり同じ個性もちがいると簡単に電波障害をくらう。雄英高校の室内セキュリティや今回のこの建物のセキュリティすらも無効化し突破してきているのを見るに、いざ敵側に居ることに本当に厄介に感じる。あの先日の時外のセキュリティは反応していたのに室内のセキュリティは反応していなかったのでおかしいとは思っていたが、やはりワープだけではなかったようですね。

 

 

 

 

 

「先生は? 1人で戦うんですか?」

 

 

 

 

 

私がそんな考え事をしていると近くで不安そうな顔をした緑谷くんが相澤先生に訊いた。相澤先生──いや、プロヒーロー『イレイザーヘッド』の個性は【抹消】。対象を見ている間、そいつの個性を消す能力。緑谷くんはヒーロー大好きな所謂オタクと呼ばれる人種で、その知識量は素晴らしくとても膨大だ。ただ好きって訳でなくその個性や戦闘の仕方など様々な点からヒーローを見ている、オタクと言うよりも研究者のような子だ。だからこそか、アングラ系ヒーローでメディアへの露出の少ない相澤先生の戦闘スタイルも網羅しているらしく、多人数に正面戦闘を挑む状況は分が悪いと思ったのだろう。

 

 確かに、ごく僅かに公表されている彼の情報では、緑谷くんがそう判断するのもおかしくない……でも!

 

 

 

 

 

「一芸だけじゃヒーローは務まらん」

 

 

 

 

 

 緑谷くんの不安を払拭するようにそう言った相澤先生は、首元に巻いた捕縛布を広げて勢いよく階段下の敵(ヴィラン)のもとへ飛び出して行った。

 

 

 

そう。相澤先生ことイレイザーヘッドはその抹消個性では確かにあらゆる個性を無効化する強力な個性だが、相澤先生はドライアイなので長くは無効化できないし、何より私や影狼のような異形型……つまり常時発動型は無効化できない特徴を持つ。それに個性の中には煙幕の様なものを出せるやつもあるし、何より個性が無くとも道具を使えば煙幕は張れるし、個性なしに強い敵(ヴィラン)だっている。故に相澤先生は常に肉体を鍛えており肉弾戦をメインとした戦いをしているのだ。

 

 

 

「さあ、皆さん! 僕たちは急いで避難しますよ!」

 

 

 

 

 相澤先生から私たちを任された13号先生は、1人挑んで行った相澤先生に目もくれずに避難誘導を開始した。それだけ、彼の実力を信頼しているということだろう。

 

 緑谷くんは心配していたが、先も説明したが相澤先生はかなりの武闘派なのだ。だから心配はいらない。

 

 

 

「すごい…多対一こそ先生の得意分野だったんだ…」

 

 

「感心している暇はないです!さっさと逃げますよ!皆さんも突っ立ってないで動いて!早く!!」

 

 

 

私はボヤっとしているクラスメイト達に叫ぶ。私の大声に気がついたのかみんながやっと動き出した。しかしそんな中で少しおかしな顔をしている3名がいた。轟くん、爆豪くん、切島くんだ。まるで彼らの顔はやる気に満ちた顔だ。まるでいまから飛び出してしまいそうな……

 

 

私は一旦思考を切り替え、まだ呑気に広場の方を眺めてぶつぶつと独り言を言っている緑谷くんの腕を引いた。私の言葉で入口の方に駆けだしていたクラスメイトの中心にいた飯田くんも私たちに早く来るよう呼び掛けている。

 

 

 緑谷くんが後ろ髪引かれながらも自分で走り出したのを確認次第、私は掴んでいた腕を離しみんなと共に走った。

 

 

本当は相澤先生からは戦闘許可は降りているし、両親からも無理と無茶をしなければ緊急事態ならば全力で敵を倒せと事前に言われているので相澤先生の手伝いをした方がいいのだが、それだとクラスメイトのみんなも一緒になって戦う可能性がある。特に血気盛んな一部の男子達は今にも飛びかからん勢いなのでそれらの監視もあるためこっちにいた方がいいだろう。

 

 

そう言えば影狼は無事だろうか?バレない為に外には敵はいないと思うが絶対とは言いきれない。それにここに襲撃しているのなら学校にも足止めに襲撃を起こしている可能性も無くはない。このクラスでいちばん早いのは実は影狼だ。飯田くんも確かに早いが影狼なら影さえあればどんな障害物もすり抜けられる。それに100m以内なら生き物限定だが影さえあれば『影移動』という短距離ワープも可能だ。だから咄嗟の時はワープすればいい。どうか無事でいて……

 

 

 そんな考え事をしながらクラスメイト追いついたところで、突如、集団の前方が黒い靄によって塞がれてしまった。

 

 

 

「させませんよ」

 

 

 

 靄の中には、怪しく光る一対の目があった。さっきまで広場の中央にいたはずなのに既に目の前に転移している。

 

 

――――ちっ!やはりこの男、見た目通りの異形型個性か!? 発動型と違って常時発動している故に一切のラグがない!なんて厄介な!!

 

 

 

「初めまして、我々は敵ヴィラン連合。僭越ながら、この度ヒーローの巣窟である雄英高校に入らせて頂いたのは……〝平和の象徴〟オールマイトに、息絶えていただきたいと思ってのことでして」

 

 

 

 敵の発言を受けて、みんなに動揺が走る。

 

 オールマイトに息絶えてもらう……つまりあのオールマイトを、殺す?

 

 

 

――そんなことができるほどの戦力が、あるというの?

 

 

 

「しかしどうも、オールマイトの姿が見えない……まぁ、それとは関係なく――今の私の役目はこれ」

 

 

 

 ぶわっ、と矢庭に黒い靄が広がりかけ、全員が身構えた。

 

 

――と同時に13号先生が個性で吸いこもうと構える。彼女の個性ならモヤのような異形型なら捉えられるだろう。そう安心したのもつかの間……それよりもさらに早く、敵(ヴィラン)に向かって飛び出していった二つの影があった。

 

 

――ってあのバカ!?

 

 

「やめなさい!?あなた達!!」

 

 

私はそう叫んだが時すでに遅く、彼らは突っ込んで行ってしまった。私とした事が…何の為の監視だとっ…!

 

 

「その前に俺たちにやられることは、考えてなかったか!?」

 

 

 

時すでに遅し…そう叫んだ切島くんと続くように後ろにいた爆豪くんが黒いモヤの敵に対してそれぞれ一撃を叩き込んだ。

 

切島くんの個性は『硬化』。爆豪くんの個性は『爆破』。硬化による痛烈な強打と爆破による鮮烈な爆撃を一身に受ければ大概の敵(ヴィラン)なら倒せるだろう。当たればどんな敵(ヴィラン)だって大ダメージは必須だ……そう、“当たれば”ね?

 

 

――爆発による煙が晴れた先には、黒い靄を薄れさせつつ現れた先にいたのは

 

 

 

……無傷の敵が立っていた。

 

 

 

……やはりダメージは無しですか。あのモヤの様な身体、それにほぼラグなしのワープ個性。その異形型の特徴とも言うべき人ならざる姿にはそれぞれの見た目に見合った特性がある。例えば岩の様な身体なら岩の如く固く重く、水の様な身体なら水の如く流れる様に滑らかでさらに打撃や斬撃が効かない。恐らくあのモヤもただの見た目だけでなく、その姿通りにあらゆる攻撃を素通りさせるのだろう。やはりこの敵はかなり厄介だ。特に私のような近接特化の者にはこれ程までに相性の悪い者は居ないでしょうね。

 

 

 そしてむしろ、二人が突出し、13号先生と黒い靄の敵の間に入ってしまったことは、状況を更に最悪にする。

 

 

 

「ダメだ!どきなさい二人とも!!!」

 

 

 

 13号先生が叫んだけれど、遅かった。私は咄嗟に飛び出したが一番後方にいて、2人は最前列、さらに目の前にはクラスメイト達の束ができていたため思うように力を入れられなかった為に間に合うはずがなく

 

 

 

「生徒と言えど優秀な金の卵……散らして、嬲り殺す……!」

 

 

 

 次の瞬間、私たちの視界は真っ黒な靄に覆われた。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

黒い霧……恐らくワープで飛ばされたであろう私は咄嗟に姿勢を整え衝撃に備える。瞬間、空に飛ばされたのか足元が無くなったと同時に落ちる感覚があったので私は着地体制を整え――――地面に着地すると同時に膝をクッションのように曲げ前方に前転し何度か転がり勢いを殺して瞬時に体を起こして両足でブレーキをかける。ギャリギャリと下駄から嫌な音と焼けこげる匂いを感じながら、ある程度スピードが落ちた瞬間を見計らって私は力いっぱい踏み込む。

 

 

ドゴンッと重い音と共に風が吹き砂煙がまい周りを汚した。

 

 

「―――っ!!ゲホッゴホッゴホッ!――あっつい!!」

 

 

私は落ちる時と前転をした際に途中で燃えていた建造物に突っ込んだため親友が所属している場所で作ったニトリ製品のヒーロースーツには傷一つないが代わりに尻尾に火が引火したため叩きながら私は焦げた毛先を見て浮かない顔をする。自慢の尻尾が少しとはいえ焦げてしまった。

 

 

私の気分は少し落ち込みつつもヒーローたる物この程度のことは気にしてはいけないと思い気持ちを切り替え周りを警戒する。鼻と耳を使い探索するが、周りを見る限り私が飛ばされたのは火災ゾーン。場所が場所のためやはり獣鼻は使い物にならないが、獣耳はまだ大丈夫だ。火が燃える音の方が大きいが他の音が聞こえない訳では無い。これでも実家の庭で森で火災が起きた時の訓練をしていたのだ。森の中と比べたら森よりも開けた場所であるここなどどおってことはない。

 

それに、空から落ちていく際に見えたのはここかは右手は水難エリア、左手は山岳エリアだった。入り口から一番奥に飛ばされたようだ。だとすると中央への最短距離はこの後ろだろう。相澤先生の事を思うのならこのまま最短ルートを突っ切り中央へいくのが最善なのですが……

 

 

 

「――いえ、やはりここは他の飛ばされたクラスメイトを探すのが先ですね。幻獣家 家訓『ヒーローたる物助けるべき人を間違えてはならぬ』。かりにも相澤先生はイレイザーヘッド…つまりれっきとしたプロヒーローです。多勢に無勢とは言え過去一度も複数人相手に戦った事は無いっ!……なぁんてそんな事あるわけがありませんものね。それにあの時見た敵の多くはチンピラ風情。本物の敵とは違い恐らく寄せ集めの集団。相澤先生との戦闘中に味方を巻き添えにしていたりして仲違いを起こしていたのを見るに連携などとったことの無い急募で集めた連中なのでしょう。故にこそそんな輩に相澤先生が遅れをとるとは思えません」

 

 

 

――しかしだからこそ不安です。あの多手の男の自信満々の発言とモヤ男の発言。二人の発言からしてオールマイトを倒せる程の切り札があると見えます。本当にそんな者や又は物があるとでも言うのでしょうか?

 

 

 

「………………いえ。わからないことを考えても仕方がありません。寄せ集めとはいえ多勢に無勢。いくら雄英高校を合格したクラスメイト達とはいえやはり数が多いのは強いものです。

それに本当に急募で集めた輩なのだとしたら確実に中央だけでは留まらず各エリアにも大勢いると見ていいでしょう。でなければ私達をこんな場所にただ飛ばした訳ではないでしょうし」

 

 

 

それにあの発言から察するに彼らは私達を確実に殺しにかかって来ています。それに気がかりなのはそれだけでなく、中央グループには“この館内のセキュリティを電波妨害”している敵がいなかったのも事実。恐らく各エリアの何処かに隠れていると見てもいい。それにチンピラ風情とはいえ敵(ヴィラン)は敵(ヴィラン)。厄介なのは変わりなし……ですね。

 

 

 

「出し惜しみなんぞしていられません!ちょっと体力を多く削っちゃいますが――『千里眼』っ!!」

 

 

私は目に個性を集中させて当たりを見渡す。周りを見ていくと水難エリアには緑谷くん、梅雨ちゃん、峰田くんの3人が…ここ火災エリアには尾白くんが…山岳エリアにはモモちゃん、耳郎さん、上鳴くんがいた。みんな敵に囲まれておりいつ戦闘が起こってもおかしくはない状況下だった。私は個性を発動させたまま、同じエリアでひとりぼっちの尾白くんの所へ直行していく。理由はここから一番近くて且つ彼が1人だけ故に一番危険と判断したからだ。

 

 

森の中をトップスピードを落とさずに走れるよう幼い頃から訓練してきた私にとってこの程度の壊れた建物など平地と同じっ!!

 

 

「――見えたっ!!」

 

 

―――私は個性を発動した状態で走りながら尾白くんが見えたタイミングでスピードをさらに加速し斜めに倒れたビルを駆け上って飛び上がる。

 

 

 

「―――尾白くん!!横斜め上にジャンプ!!!」

 

 

 

私は尾白くんへ声いっぱいに叫びながら呼ぶと距離はあれど聞こえたのかこちらに向いたあとそのまま左へ飛び上がる。

 

 

私はニヤリと笑い敵が集まっている中心へ、右足を伸ばし左足を曲げる――所謂ライダーキックのように相手に蹴りをぶちかます。

 

 

 

「幻獣流柔術 突翔(とつか)崩し!!」

 

 

 

着弾と同時に小規模のクレーターができ、衝撃と風圧で大勢の敵(ヴィラン)がぶっ飛んでいく。

 

 

 

私達の家…幻獣一家には先祖代々受け継がれている武術が存在している。私達と他三家を含め四家の獣神一家には総合武術がありそれぞれが最も得意とする武術が各家の武術として総合武術とは別で受け継がれていて、私たち幻獣一家の幻獣流は獣の筋力を余すこと無く発揮できる身体能力のみの柔術が受け継がれている。そのため、素手や足技が多くありこの技もそのひとつだ。

 

 

周りを見渡すが敵はあと数人、それも片手で数えれる程度だ。体よく塊になって集まっていたのが幸をなした為、想定よりも多くの敵を打ち取れたようだ。それに私がここに来るまで尾白くんも奮闘していたのもあるだろう。そのおかげで敵も残り少なくできた。

 

 

 

「尾白くん。急に来てアレですが、尾白くんの奮闘のかいもありまして敵の残りはもう数人。なのでここを任せても大丈夫でしょうか?」

 

 

私は尾白くんにそう言うと尾白くんは強く頷く。

 

 

「ああ大丈夫だ。流石に多くて助かった。ありがとう犬走さん」

 

 

「椛…でいいですよ尾白くん。犬走だと影狼と被りますからね」

 

 

私はそう言うと『わかった』と尾白くんが答える。

 

 

「では私は他の所へ向かうのでここは任せます!」

 

 

「うん、任された!」

 

 

私は尾白くんへそう言い別れると、すぐさま足に力を入れてトップスピードをだし――――『山岳エリア』へと急いだ…

 

 

 

――モモちゃんが危ない!!

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

―八百万百 side―

 

 

「くっ……上鳴さん!」

 

 

「やられたっ……完全に油断してたっ」

 

 

 

私は響香さんと上鳴さんとで一緒に飛ばされ敵(ヴィラン)と遭遇し戦闘していましたが、上鳴さんの個性の特性を活かし私が個性『創造』を使って帯電シートを作りその中に響香さんと隠れて敵を一掃しました。そこまでは順調良かったのですが、私達が油断してしまったせいで地面に隠れていた敵に気付かず、個性の影響で少しおバカになってしまった上鳴さんが捕まってしまいました。

 

 

 

「個性…使うなよ。使えば…こいつを殺す」

 

 

 

敵はそう言い上鳴さんを持ち上げる。私達は手を挙げながら何とかしようと打開策を考える。

 

 

 

「(考えなさい!私達の油断でこうなってしまった。椛ちゃんも常に言っていたではありませんか!戦闘後の油断が一番の命取りだと……)」

 

 

「全滅させたと思わせてからの伏兵。こんな事も想定できていなかったなんて」

 

 

 

私は椛ちゃんとの会話を思い出しながら何とかしないとと思い考える。しかし焦っているのかいい考えが思いつかない。

 

 

 

「(……っく、どうすれば)」

 

 

すると敵は私達の考えを読んでいるのか左手に持った上鳴さんを持ち上げながら右手で電気を出す

 

 

 

「同じ電気系個性としては殺したくないがァ……まぁ、しょうがないよなぁ?」

 

 

ニヤリと笑った男は私達を挑発するような声色でこちらを愉快そうに見やる。

 

 

 

 

「電気系……恐らく椛さんと轟さんが言っていた通信妨害しているやつね」

 

 

 

――くっ…こんな所にいたなんて。

 

 

私達が動けないとわかったのかいっそう笑みを深めながらこちらへ歩いてくる。

 

 

 

「そっちへ行く……決して動くなよ?」

 

 

 

手から電気を発生させながら近ずいてくる敵。私はどうすればいいのか悩んでいると―――

 

 

『わおぉぉぉぉおおんっ!!』

 

 

何処からともなく犬のような狼の様な鳴き声が響き渡った。

 

 

―――これはっ!!

 

 

 

「……なんだぁ?犬の叫び声か?どっかのアホが鳴いてんのか?」

 

 

 

敵が何処か違う所を一瞬見たので私は響香さんに目線を向けると彼女も聞こえ、そして理解したのか相手に話しかける。

 

 

 

「上鳴もそうだけどさ…電気系って勝ち組じゃん?」

 

 

 

「あぁん?」

 

 

響香さんの急な話に敵は私達を睨みつける。

 

 

 

「だってヒーローでなくても色んな仕事あるし、引くて数多じゃん。いや、純粋な疑問ね?なんで敵(ヴィラン)なんかやってんのかなぁって」

 

 

 

そう言いながら響香さんは右耳のプラグを足元の装置へ後ろ側から伸ばしていく

 

 

 

「答えたくないならそれでもいいんだけど」

 

 

 

そしてプラグが差し口へ届きそうな時

 

 

 

「やめろ。気付かないとでも思ったか?」

 

 

 

 

脅すような声色で私達に電気を発する手を上鳴さんに向けながら警告する男。

 

 

 

「子供の浅知恵など馬鹿な大人にしか通じないさ」

 

 

 

そう言いながら1歩ずつ近づいできている敵。

 

 

 

 

「ヒーローの卵が人質を軽視するなよ」

 

 

 

彼がそう言うと、効果が切れたのか気絶していた敵達が起き上がってきていた。それに気がついた敵はより残虐的な笑みを浮かべながら近づいてくる。

 

 

そんな笑みを浮かべる男に恐怖を感じながらも私は“彼女”が来るのを信じて待っている

 

 

 

だって―――

 

 

 

「お前達が抵抗しなければこのアホは見逃してやるぜ?」

 

 

 

 

 

 

“彼女”は、私の大切な幼馴染で―――

 

 

 

 

 

 

 

「他人の命か…自らの命か――」

 

 

 

 

 

 

 

“彼女”は、私の大好きな親友で―――

 

 

 

 

 

 

「へへへへ――さぁ、動くなよ?」

 

 

 

 

 

“彼女”は、私の一番で最高の――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――幻獣流 奥義!! 月華蹴嵐(ゲッカシュウラン)っ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズドォォドォォォォォオオオオオトン

 

 

 

 

 

『ぎゃぁあああああああ!!!?』

 

 

 

 

 

「モモちゃんっ!! みんなっ!! 大丈夫っ!?」

 

 

 

 

 

――――ヒーローだから

 




……最後の方は予定と違ってほぼノリと勢いのまま書いてて思った事。




なんか気がついたら八百万百がヒロインみたいになってた……あれぇ?
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