とある究極のゼロ   作:メソウサ

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第3話 とある研究所の秘密 ①

「…以上が、あなたたちに今からやって貰うミッションよ」

 

中型のワゴンカーの車内、女性らしき声の『電話相手』がそう告げる。

どうやらミッションとやらの概要を説明しているようで、それを聞いていたのは四人の少女たちであった。

 

「…で、今回のミッションって、結局そんだけな訳?」

 

金髪の少女が『電話相手』に尋ねる。

青い瞳をしており、日本語こそ話してはいるものの日本人では無いようだ。

 

「超余裕ですね」

 

四人の中で、一番幼い顔つきの少女が呟く。

 

「それで、こんだけの報酬とか超儲けものじゃないですか」

「同感」

 

肩の辺りで切り揃えられた黒い髪の少女が続く。

ぼーっとしたような顔をしてはいるが、抜けているといった感じではない。

 

「それじゃあ、とっとと終わらせちゃいましょうか」

 

最後の一人が口を開いた。

その態度や物言いから、彼女が四人の中でリーダー格に位置するものと思われる。

 

まるで今からピクニックにでも行くかのように和気藹々であるが、これから彼女たちが向かう先はそんな行楽めいた場所ではない。

今から行おうとしていることを端的に言うのならば、“破壊活動、及び抹殺”である。

何故、多感な年頃の彼女たちがそんなことをしに行くのか。

それは、彼女たちが学園都市の裏に潜む闇の組織に所属しているからである。

彼女たちは直属の上司…つまり先程の『電話相手』の指示に従い、様々なミッションを行うのだ。

その内容には、どれ一つとして平穏なものは無い。

 

金髪碧眼の少女、フレンダ・セイヴェルン。

幼い顔つきの少女、絹旗最愛。

肩の辺りで切り揃えられた黒い髪の少女、滝壺理后。

そして、最後のリーダー格の少女、麦野沈利。

 

上記が、学園都市の闇の一つ『アイテム』のメンバーである。

そんな彼女たちを乗せたワゴンが目的地へ向け出発し始めた。

 

「結局、このミッションが終わったら、麦野のプライベートプールで汗を流すってことでOK?」

「超賛成です。まあ、汗かかないかも知れませんけど」

「右に同じく」

「…そう言えば、まだ借りていたわね。プール。まあ、いいんじゃないかしら?」

 

四人は既にミッションを終えたような雰囲気で談笑する。

この時、彼女たちは誰一人として想像してはいなかった。

このミッションが生み出すその結末について…。

 

 

 

 

「うわあああ!!」

 

悲痛な声を上げ、警備員がバタンと倒れる。

そこそこ屈強な体格をしていたが、あっさりと気を失い、だらしなく舌を出している。

それを見たフレンダ・セイヴェルンは如何にもつまらなさそうな表情をしていた。

 

「ふぁ~あ。結局、ここまで特に問題なーし。…イージー過ぎて、欠伸だって出ちゃう訳よ」

「警備の人数も超少ないですし、能力者らしき人も超出て来てないですからね」

「これなら滝壺は車の中で待ってても良かったわね」

「確かにそうすれば良かったかも」

 

四人はまるでウィンドウショッピングでもしているかのようにお喋りをしながら施設内部を進んで行く。

彼女たちに与えられた仕事の内容は、この施設で行われている研究内容の奪取と施設の破壊、その為の犠牲は一切厭わない…というものであった。

実にシンプルな内容である。

そして、現地へ行ってみると、それは拍子抜けするくらいに快調なペースでことが進むのであった。

既に、施設の最奥部にまで到達しようとしており、そこに到るまでの障害も先程のような警備員が数名いるだけ。

彼らは能力者ですら無く、まるで歯応えのない案山子のようで四人の敵ではなかった。

あまりに不甲斐無さ過ぎて、命を取るまではいかないくらいである。

 

「報酬がいいから、少しは手強い相手でもいるのかなーって思ってたら、結局いないって訳?ちょっと舐め過ぎじゃない?」

 

フレンダ・セイヴェルンがそう言ってせせら笑った。

 

「まあ、楽に越したことはないでしょ。歯応えが無くてつまらないってのは同意するけどね」

 

麦野沈利もフレンダ・セイヴェルンにそう同調する。

と、その時、曲がり角の先にあると思われる最奥部の部屋の方から、彼女たちの元に近付いてくる靴の音が聞こえ始めた。

ゆっくり、コツコツとまるで追い詰めるかのようである。

 

「誰か近付いて来る」

 

滝壺理后がいち早く反応する。

 

「結局、また雑魚警備員か何かじゃない?」

「だとしたら、ただただ超面倒臭いですね」

 

フレンダ・セイヴェルンと絹旗最愛が少しうんざりした感じで言う。

靴音は更に近付いて来て、曲がり角を曲がって来た。

そうして彼女たちの前に現れたのは。一人の白衣を着た壮年の男であった。

白髪混じりの頭は年相応に禿げ上がり、小皺の目立つ顔立ち。

ここの責任者か、それに該当する立ち位置の人間だろう。

 

「やれやれ…。騒がしいな、全く。…おや?」

 

男の視界に四人の姿が入ったようだ。

 

「君たちは、ここの所員やその関係者…というわけでは無さそうだな。駄目じゃないか。ここは君たちのような子供が入るような場所では無いよ」

「キャハッ!アンタ、今の自分の立場分かってる訳?」

 

フレンダ・セイヴェルンが男を小馬鹿にしたように言った。

男は「やれやれ」とでも言いたげに肩をすくめてみせる。

 

「…悪いが、君たちの遊びに付き合っている時間は無いんだ。早くここから立ち去ってくれ給え」

「確かに遊びね。こんなレベルじゃ」

 

麦野沈利は余裕綽々といった表情で言ってのけた。

目の前の男など歯牙にもかけないといった様子である。

 

「ねえ麦野。とっととこいつも伸して目的のブツ回収しちゃおうよ~」

 

フレンダ・セイヴェルンが提案する。

それを聞いた男は思わず眉を顰めた。

 

「…なるほど。君たちは私の研究を狙う連中の刺客か何かという訳か。いやはや、こんな子供が差し向けられるとは世も末だな」

「それが最後の言葉ですか?超ダサいですね」

 

絹旗最愛は半ば哀れみを込めて男へ言った。

他の三人も同じような憐憫と嘲笑の合わさった視線を男に向けている。

 

「やれやれ…。まさか、君たちはこのまま無事に帰れるとか思ってはいやしないかね?」

 

一方、男もまた似たような視線を四人へ向けていた。

何時の間にか腕を背中で組んでおり、胸を偉そうに張っている。

精一杯の虚勢。

そう捉えたフレンダ・セイヴェルンは大きな声を上げて笑い始めた。

 

「アハハハハハハ!“このまま無事に帰れるとか思ってはいやしないかね?”だって!馬鹿じゃないの?もうこの場にはアンタ以外誰もいない訳なんだけど?」

「そうか。それならば都合がいい」

 

そう言って男はニヤリと笑った。

実に不敵な態度である。

何か隠し玉でもあるというのだろうか。

 

「滝壺。念の為」

「分かった」

 

麦野沈利がそう指示すると、滝壺理后はポケットの中から何かを取り出す。

それは、体晶という意図的に拒絶反応を起こさせ能力を暴走状態にする薬品であった。

滝壺理后はこれを服用することで、自身の能力を使用することが出来る。

滝壺理后の能力は能力追跡(AIMストーカー)。

一度記録した能力者を何処までも捜索、追跡する能力である。

能力者の放つAIM拡散力場に干渉する為、その気になれば相手の能力に干渉することも可能となる。

単体でも脅威的な能力であるが、この能力は他に強力な能力の持ち主と組むことでその真価を発揮する。

ただし、体晶を服用する関係上、使用者である滝壺理后の体に多大な負荷を与える為、そう易々と使用することは出来ない。

なので、今はまだ何時でも能力を使用出来るように準備をさせたという段階である。

 

「…で、何かある訳?」

 

フレンダ・セイヴェルンが男へ尋ねた。

男の生殺与奪を握っているという自覚が彼女の態度を大きくさせている。

男はフレンダ・セイヴェルンの問いには答えず、ただニヤニヤと不快な笑みを浮かべるだけであった。

流石にこれには四人も苛立ちを隠せない。

 

「…おい、テメエ。何、さっきからニヤニヤしてやがんだ?どうしようもなくて笑うしか無いってか?」

 

麦野沈利の言葉遣いが途端に悪くなった。

彼女は不快を感じたりすると、こうして口調が変わるのである。

男は遂には声を上げて笑い始めた。

 

「ハハハハ、何時見ても滑稽だね。自分が何者と対峙しているか分からず、そうやって上から目線で食って掛かろうとする姿を見るというのは!」

「ああん?…流石にムカつき過ぎて、段々笑えなくなってきたな」

「そう、それそれ。その表情だよ」

「ほざいてんじゃねえぞ!」

 

麦野沈利が声を荒げると同時に男へ向けて何かを放った。

それは、白色の光であった。

白色の光は素早く一直線に伸びてゆき、男の顔の僅か横を通過していった。

 

「あまりふざけたこと抜かしてると、次はその顔面ぶち抜くぞ?」

 

原子崩し(メルトダウナー)。

学園都市に七人しかいない超能力者(レベル5)である麦野沈利の能力である。

電子を粒子でも波形でもない曖昧なままの状態で固定し、操ることが出来る。

今のは、それを白く輝く光線として放出したものであった。

破壊力は絶大で、男の背後の壁を簡単に砕き、破壊していた。

 

「まさか、いくら何でも本当に殺されることは無いだろう…とか、甘っちょろいこと考えてねえだろうな?」

 

そう言って、麦野沈利は本気の殺意を持って凄んで見せた。

自身の側でそんな破壊が行われ、そんな風に言われたら、普通の人間ならば恐怖の一つでも感じるだろう。

しかし、男は表情を一切変えず、寧ろ馬鹿にしたかのようにパチパチと拍手をして見せた。

 

「随分と勇ましいお嬢さんだ。だが、この程度では私に触れることすら出来ないだろう。嘘だと思うならば、是非ともやってみなさい」

「っざけんなゴラァ!!」

 

男の挑発に対し、反射的に麦野沈利は原子崩し(メルトダウナー)を男に向かって撃ち放った。

白色の光が今度は真っ直ぐ男の顔へと向かっていく。

原子崩し(メルトダウナー)は、間違い無く男の顔を貫く。

 

「ワーオ」

 

フレンダ・セイヴェルンはそう声を上げると、手で顔を覆うフリをした。

麦野沈利の原子崩し(メルトダウナー)ならば、次の瞬間には男の頭部がトマトを潰したかの如く砕け散るだろう。

見ないようなフリをしつつ、手の隙間からその瞬間を見ようとした。

 

 

…ところが。

 

 

「えっ!?」

「ああぁ!?」

「……………………」

 

四人は信じられないものを見る。

白色の光が、男をすり抜けていったのだ。

当然、男は無事である。

 

「ほら、言った通りになったろう?」

 

男はニヤニヤと笑いながら言った。

 

「何だコレ?ホログラフか何かか、おい?」

「でも、超影ありますけど…?」

「あぁ!?一体、どういうことだぁ?」

 

戸惑う四人を見て男は再び声を上げて笑った。

 

「ハハハハハハ。君たち野蛮な猿には到底理解出来まい。…さて、先程のお返しをしてあげよう」

 

男はそう言うと、後ろに組んでいた手の右手の方を前へ突き出し、ピースサインのような形にした。

と、次の瞬間、右手の人差し指と中指の間に電磁波のようなものが発生し、それが空中で交差するとそこから麦野沈利へ向かって一直線に飛んでいった。

 

「なっ!?」

 

突然のこととその速度から、麦野沈利はそれを避けることが出来ずにその身に受けてしまう。

すると、麦野沈利はその時の姿勢を保ったまま、ピクリとも動かなくなってしまった。

 

「麦野!」

 

三人が思わず、麦野沈利の名を呼ぶ。

男はピースサインをしたまま、体の向きをフレンダ・セイヴェルンの方へ傾けた。

 

「危ない!」

 

そう言って、絹旗最愛がフレンダ・セイヴェルンを庇うように前へ出る。

男から発せられた光線は彼女の前で何かに遮られた。

 

「ほう…?」

 

それを見た男はまたも感嘆の声を上げる。

よく見ると、絹旗最愛の周囲には何かが渦巻いていた。

それが彼女のことを守っているようだ。

これが、絹旗最愛の能力、窒素装甲(オフェンスアーマー)である。

絹旗最愛は空気中の窒素を操ることが出来る。

それをこうして壁にすることで、光線の直撃を避けたのであった。

 

「先程の光といい、君のその力といい、この星の人間の使う能力というものは映像などでは見たことはあるが、こうして直にこの目で見るのは初めてだから、実に興味深いね」

「…アンタ、何者ですか?麦野に何をしたんですか?」

「安心したまえ。麦野とかいう君たちの仲間は死んではいない。ただ、動きを止めて貰っただけだ」

「金縛りって訳?それがアンタの能力…ってこと?」

「!!」

 

と、滝壺理后が体昌を口に放り入れ、思い切り噛み砕いた。

自身の能力、能力追跡(AIMストーカー)を使用する為である。

 

「…………え?」

 

しかし、次の瞬間、滝壺理后はそう言って動きを止めた。

不可解であるといった表情で男を見つめている。

 

「ど、どうしたの?」

「…この人、違う」

「違うって、結局何が?」

「AIM拡散力場を発生していない」

「ええ!?」

 

学園都市の能力者たちは多かれ少なかれAIM拡散力場を発するのが普通である。

逆に言えば、AIM拡散力場を発しない能力者は皆無と言っても過言ではない。

だが、目の前の男はそれを一切発していないのだ。

次々と起きる不可解な事象に、三人は当初の余裕などもう持ってはいなかった。

それを見て男は三度声を上げて笑った。

 

「ハハハハハ。この程度で驚かれては困るな。私はこんなことも出来るのだよ?」

 

男がそう言うと同時に絹旗最愛が軽い悲鳴を上げた。

フレンダ・セイヴェルンと滝壺理后が同時に振り返る。

 

「な、何よ?何か起きたワ…」

「どうし…」

 

二人は絶句する。

そこには先程まで自分たちの前にいた筈の男が、ニヤニヤと笑いながら立っていたからだ。

すぐに彼女たちは元々男が立っていた方へ顔を向ける。

すると、そこにはやはりあの男が立っていた。

そして、背後にも男が立っている。

背後の男が口を開いた。

 

「どうかね?」

「えっ…?えっ!?ちょ、ちょっと。これって結局どういう訳?」

「超理解不能です」

「トリック?」

 

三人はあまりに異常な事態に軽いパニックを起こしつつあった。

 

「トリックでは無いよ。私の力ならば、このくらいのことは可能ということだ」

「無論、これは私の力の一端でしか無いがね」

 

二人の男が同時に話す。

それを見て、三人は再び絶句した。

今まで見た限りで、男は麦野沈利の原子崩し(メルトダウナー)を肉体を透化させて避けた。

そして、金縛りを引き起こす光線をその指から発した。

更に今度は二人に分裂した。

複数の能力を有し、そのどれもがまるで異なる系統の力。

学園都市の能力者で、こんな芸当の出来る人間など超能力者(レベル5)ですら見たことがない。

かつて、木山春生という女性が幻想御手(レベルアッパー)を使用することで、無理矢理複数の能力を使用したということがあり、彼女たちもそれについて多少は聞かされたことがあったが、目の前の男の能力はそれとも明らかに違う。

何よりも滝壺理后の能力で男の力がAIM拡散力場を利用したものでは無いことも分かっていたので状況は更に不可解である。

 

「…おや?黙り込んでしまって、先程までの威勢はどうしたのかね?」

「まさか、こうなることを想定すらしていなかったのかね?」

 

二人の男は同時にニヤニヤと笑った。

 

「まさか、ここまで踏み込んできておいて、これしきのことで驚いて声も出ない…なんてことは無いだろうね?」

「そう、君たちは更に驚くことになるのだからね」

 

二人の男がそう言った直後、三人の背後にいた方の男が消える。

そして残った方の男は一瞬でその姿をまるで別のものに変えてみせた。

白髪混じりの禿げ上がった壮年の男はその場にいなくなり、代わりに立っていたのは異形の存在であった。

 

「…ッ!?」

 

三人は目を見開き、完全に固まってしまう。

今までにも、危険なミッションをかいくぐって来た彼女たちであったが、それは相手が同じ人間、能力者たちであったからだった。

同じ人間であれば、そこには平等な優劣が生まれる。

だからこそ、優れた力を持つ自分たちが戦いに勝ち残れて来たのは当然のことであった。

だが、目の前の存在はそんな次元を遥かに超えたものである。

まるで、目玉焼きの黄身のような不気味に黄色く光る目。

質感が想像出来ない、黒ずんだ皮膚。

頭部にはプラスチックで出来た鰭のようなものが付いている。

間違いなく人間の造形では無い。

 

「□□□□□□□□!」

 

目の前の異形の存在は何か言葉らしきものを発した。

しかし、それは世界中のあらゆる言語と合致しないものであった。

更に、頭が痛くなりそうなくらい脳に響く異常に甲高い声だった為、三人は思わず頭を抱える。

明らかに生物が出すような声ではない。

 

「あ、アレは結局、何な訳?」

「ちょ、超不気味です…」

「まるで、宇宙人みたい」

 

滝壺理后のその言葉に目の前の存在は何やら反応を見せた。

体を反らし、小刻みに震えている。

どうやら笑っているようであった。

 

「…ハハハハハ。その通り、私はこの星の者ではない!私の生まれ故郷はシリウス系第7惑星のプロテ星という所だ」

 

先程の男の声で、その異形の存在はそう言葉を発した。

その言葉だけ聞いたら、とても信じられないようなことだが、実際に目の前でこういった異常な光景を見せられた三人にとっては、真実以外の何物でもない返答であった。

 

「う、宇宙人がいるだなんて聞いてない!」

 

フレンダ・セイヴェルンはそう抗議する。

最初にミッションの内容を聞いた時には、いつもの退屈で簡単な任務の一つだと高を括っていた。

だが、それがまさかこうして宇宙人と対峙することになるとは。

数時間前には想像だにしないことであった。

 

「う、宇宙人なんて、そもそも超非科学的です!」

「ハハハハハ、この状況でまだ目の前の現実を受け入れないか。まあ、無理もない。この星の人間は、どうやら過去から今に至るまで異星からのコンタクトを受けたという公的な発表は無いみたいだからね。そして、明らかに表側の人間ではない君たちの様子から推測するに、君たちにもそういった情報の共有が行き渡ってはいないようだ。君たちが捨て駒だからか、そもそもそんな情報など無いのかはまだ判断するには早いが、少なくとも我々のような存在が珍しいというのは確かだろう」

 

三人は麦野沈利と同じ金縛りを受けたかのように固まったまま動かない。

ただでさえ格上の存在が人間ですら無く、異星人だったという衝撃は大き過ぎた。

脳がその衝撃を処理し切れていない。

宇宙人はそんな彼女たちをその空虚な黄色い目で見つめる。

 

「…なあに、そんなに脅えなくていい。野蛮な君たち地球人とは違い、私は正体を知られたからといって始末したりなどはしないよ。無論、このまますんなり帰すわけにも行かないがね。そうだな。さし当たっては私の計画に協力して貰うとでもしようか」

 

そう言うと、宇宙人は再び壮年の男の姿に戻った。

そして、四人の少女の顔を見回すと、その口元を大きく歪ませるのであった。

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