進撃の過負荷   作:起式

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既にあるストーリーに異物を螺子込むのはかなり難しいですね。
それでは第2話、拙い文ですがお読みください。


第-2箱 『初めまして』

「貴様は何者だ!?」

 

「シガンシナ区出身!アルミン・アルレルトです!!」

 

闇も光もなくなり景色が見えるようになって球磨川禊が最初に聞いた言葉がそれだった。

 

『うーんと、ここはどういう所なのかな?』

 

さすがの球磨川禊も、この唐突な場面転換には対応できず、今自分はどこにいて、今何が行われているのか、そして自分の体に何がおこったのか(・・・・・・・・・・・・・)を把握しきれていなかった。

 

(『もしかして、これが安心院さんの言っていた「辻褄合わせ」ってやつなのかな?僕の体が12歳のときに戻っているぜ。服も、周りの子達と同じのになってるし、安心院さんはサービス精神旺盛だなあ』)

 

そういえば肉体を若返らせる童謡使いとも出会ったな、などと考えていると整列した人々の後ろから2人の男が歩いてくるのを発見する。

 

「やってるな···」

 

「お前も訓練兵の時は初っ端からあれだったろ?」

 

「懐かしいです。でも···あの恫喝にはなんの意味が···?」

 

「通過儀礼だ。それまでの自分を否定して真っさらな状態から兵士に適した人材を育てるには必要な過程だ」

 

(『なるほどね、今やってるのはそういうことか。だったら張り切って自己紹介しなきゃ、なんたって僕は自己紹介のプロだからね』)

 

男達の話し声を盗み聞きし、そう意気込むも先程から恫喝をおこなっている男は彼の前を見事に通過し、彼を無視した。

 

(『あれ?おかしいな、なんで僕は無視されちゃったんだろ?他の子には話しかけてるのに、いくら僕が気持ち悪くても差別はよくないなあ』)

 

自分を無視した恫喝をおこなっている男を螺子伏せようかと思っていると、また2人の会話が聞こえてきた。

 

「?···何も言われてない子がいるようですが」

 

「ああ···、すでに通過儀礼を終えたものには必要ない。おそらく2年前の地獄を見てきた者達だ。面構えが違う」

 

(『なんだ、そんなことか。確かに何人かは僕みたいに何にも言われてないや。でもなんだか僕が優等生(エリート)みたいだなあ。それだけ、僕がぬるくなったってことなのかな』)

 

彼はそんなことを思っているが実際は、恫喝をおこなっている男、キース・シャーディスがかつて「負完全」とも言われた球磨川禊の過負荷(マイナス)を感じ無意識のうちに彼を躱してしまっただけである。

 

(『立ってるだけってのも退屈だから、せっかく新しい世界の、素晴らしい仲間たちが名を名乗っているんだから、みんなの名前でも覚えとこーっと』)

 

彼がそう思い、必死に名前を覚えていると、キースが信じられないものを見た顔で声をあげた。

 

「オ···イ····貴様は何をやってる?」

 

「!?」 「?」ムシャモグ

 

なんと訓練兵の1人が場の空気も読まず、芋を食っていたのだ。これには球磨川禊もただ、苦笑するしかなかった。

 

「貴様だ!貴様に言っている!!貴様···何者なんだ!?

 

「ウォールローゼ南区ダウパー村出身!サシャ・ブラウスです!」

 

「サシャ・ブラウス···貴様が右手に持っている物は何だ?」

 

「「蒸した芋」です!調理場に丁度頃合いのものがあったので!つい!」

 

「貴様···盗んだのか···なぜだ···なぜ今···芋を食べだした?」

 

「···冷めてしまって元も子もないので···今食べるべきだと判断しました」

 

「···!?イヤ···わからないな、なぜ貴様は芋を食べた?」

 

「···?それは···「何故人は芋を食べるのか?」という話でしょうか?」

 

「···?あ!」

 

「!」

 

「半分···どうぞ···」

 

「は···半···分···?」

 

「フーッ」

 

こうして通過儀礼は終わり、球磨川達は木造の寮へ移動しその寮の前で球磨川と、丸刈りに似た髪型の少年コニーと、顔にソバカスがある少年マルコと会話をしていた。

 

『やあ、初めまして僕は球磨川禊、いや、君たち風に言うとミソギ・クマガワかな?僕って寂しがり屋だからさ、一刻も早く誰かと友達になりたいんだ!』

 

コニーとマルコは突然話しかけてきたあまりにも気持ちの悪い少年に驚きを隠せなかった。話すだけで気分が悪くなるやつがこの世にいるなどと思いもしなかったが、それでも向こうから友好的に話しかけてきたのだから仲良くはしようと考えた。

 

「やあ、初めましてさっき聞いてたかもしれないけど僕はマルコ・ボットだよ。よろしく」

 

「俺はコニー・スプリンガーってんだ!よろしくな!」

 

お互いに自己紹介を終え、しばらく話していると未だに走り続けるサシャの姿が見えた。

 

『あ!ねえ見てよ、あのお芋食べてた子まだ走ってるよ』

 

球磨川がそんなことを言うと黒髪で目つきの悪い少年、エレンが会話に入ってきた。

 

「すごいな、5時間ぶっ通しか」

 

『でも死ぬ寸前まで走れって言われた時より今日はメシ抜きだって言われた瞬間の方が悲壮な顔してたよね』

 

「ダウパー村ってのは確か、人里外れた山奥にある少人数の狩猟の村だ」

 

「まだそんな村があったなんてな····、そういえばキミ達2人は出身とか聞かれなかったけど···どこに住んでいたんだい?」

 

球磨川は今日この世界に来たばかりなので当然のように嘘を吐くことにした。

 

『僕はなんかすごい山奥の村から来たよ』

 

「俺はこいつと同じシガンシナ区だ。そこから開拓地に移って···12歳になるまでそこにいた」

 

エレンは隣にいる金髪の気弱そうな少年、アルミンの肩を掴みそう言った。

 

「···そうだったか···それは···」

 

「ってことはよ、「その日」もいたよなシガンシナに!」

 

エレンの出身を聞き気まずそうにするマルコとは裏腹に、コニーはかなりの食い付きをみせる。

 

「オ、オイ!」

 

「見たことあるのか?超大型巨人!」

 

「ああ···」

 

夕食の時間になってもエレンに対する質問は止まらないばかりか、どんどん人集りが出来ていく。球磨川禊も当然そのうちの1人だ。

 

「···だから···見たことあるって···」

 

「本当か!?」 「どのくらい大きいんだ!?」

 

「壁から首を出すくらいだ···」

 

「何!?俺は壁を跨いだときいたぞ!」 『僕も!』 「俺の村でもそう言ってた!」

 

「イイヤ···そこまででかくはなかった」

 

「どんな顔だったの?」

 

「皮膚が殆ど無くて口がでかかったな」

 

「ウォール・マリアを破った「鎧の巨人」は!?」

 

「それも見た、そう呼ばれているけど俺の目には普通の巨人に見えたな」

 

『じゃあ、普通の巨人はどんなのなんだい?超美人な巨人とかっていなかった?』

 

その時、「普通の巨人」というワードと球磨川の放つ過負荷(マイナス)によって、過去のトラウマ、母親が巨人に食われる瞬間がフラッシュバックする。

 

「ウッ···」

 

エレンは思わずえずき、スープを飲むのに使っていたスプーンをテーブルに落としてしまう。その光景を目にし、ついさっきまでざわめいて質問をしていた同期たちが黙る。

 

『ねえねえ、美人でセクシーな巨人はいたのか聞いてるんだけど?』

 

球磨川以外は、だが。

 

「···クマガワ君···、みんなも、もう質問はよそう。思い出したくないこともあるだろう」

 

「す、すまん!色々と思い出させちまって···!」

 

マルコがみんなに質問をしないように言い、コニーが謝るなか、エレンは冷静さを取り戻し、否定をした。

 

「違うぞ···」

 

「え?」

 

「巨人なんてな···実際、大したことねぇな。オレ達が立体機動装置を使いこなせるようになればあんなの敵じゃない!」

「石拾いや草むしりじゃなくてやっと兵士として訓練できるんだ!さっきは思わず感極まっただけだ!」

 

「そ、そうか···」

 

エレンはトラウマを払拭するかのように自身の目的を、夢を語り始めた。

 

「そんで調査兵団に入って···この世から巨人共を駆逐してやる!そして···」

 

「オイオイ正気か?」

 

エレンが夢を語っていると横から入ってくるものがいた。茶色い髪の馬面の少年、ジャンである。

 

「今お前、調査兵団に入るって行ったのか?」

 

「! あぁ···そうだが···」

「! お前は確か···憲兵団に楽したいんだったっけ?」

 

「オレは正直者なんでね···心底怯えながらも勇敢気取ってやがる奴より、よっぽどさわやかだと思うがな」

 

「そ、そりゃオレの『ちょっと聞き捨てならないかな』

 

エレンがジャンに何かを言い返そうとした時、なぜか球磨川禊が2人の間に芝居がかった口調で割って入っていった。

 

『心底怯えながらでも、心を折らずに立ち向かうことは素晴らしいことじゃないか!君はそんなこともわからないのかい!?』

 

ジャンは急に入ってきた球磨川に嫌悪感を抱いたがあくまでも冷静に、大人に振る舞うことにした。

 

「あー、すまない。正直なのはオレの悪いクセだ。気ぃ悪くさせるつもりもないんだ」

 

その時、カンカンと夕食の終わりを告げる鐘が鳴った。

 

「晩飯は終わりだ。片付けるぞ」

 

「あんたらの考えを否定したいんじゃない。どう生きようと人の勝手だと思うからな」

 

「もうわかったよ、オレも喧嘩腰だったな」

 

『僕も急に割って入って熱くなっちゃってごめんね、そうだ!せっかくだから仲直りの証に握手をしようよ!』

 

「ああ、それで手打ちだ」

 

「ああ」

 

そう言って右手でエレンと握手し、球磨川とも握手しようとしたが球磨川に手を指し伸ばされた瞬間、とてつもない嫌悪感を抱き思わず手を引っ込めてしまった。

 

『? どうしたんだい?』

 

「い、いや何でもねぇよ。ほ、ほら早く行け」

 

『···そうだね、じゃあまた明日とか』

 

こうして球磨川禊の異世界生活、第一日目は終わりを迎えた。




今更ですが虚数大嘘憑きはその形を保てなくなって、大嘘憑き及び安心大嘘憑きになりました。
あと、球磨川先輩が普通に他キャラと話しているのは球磨川の過負荷が減っているからとお考えください。
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