進撃の過負荷   作:起式

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やはり球磨川禊というキャラクターを存分に扱いきれていない感じがします。まさかここまで「らしさ」を出すのが難しいとは…
それでは拙い本文を、どうぞ


第-3箱「これがオレの武器だ!」

球磨川禊の異世界生活2日目が始まった。今日は朝から教官の声が響き渡る。

 

「まずは貴様らの適性を見る!両側の腰にロープを繋いでぶら下がるだけだ!!全身のベルトで体のバランスを取れ!これができない奴は囮にも使えん!開拓地に移ってもらう」

 

そうしてさっそく適性検査が開始される。それと同時に昨日の通過儀礼の際にもいた2人組の男が現れた。

 

「これはまだ初歩の初歩だが、この段階から立体機動装置の素質は見てとれる」

 

そういって見渡すと特に優秀な訓練兵、ミカサを発見した。

 

「ん···見ろ···あの子だ。まったくブレが無い···何をどうすればいいのかすべてわかるのだろう···素質とはそういうものだ」

 

そしてコニー、サシャ、ジャンと次々姿勢制御訓練をクリアしていく。

 

「んん···今期はできるものが多いようだ」

 

しかし、当然ながらこの世には成功者(プラス)もあれば必ず失敗者(マイナス)も存在するのだ。

 

「あの···彼らは···」

 

「···素質というものだろう人並み以上にできることがあれば···」

 

「『』」プラーン

 

「人並み以上に出来ないこともある」

 

「何をやっているエレン・イェーガー!!ミソギ・クマガワ!!上体を起こせ!!」

 

(「え···?何だこれ···こんなの···どうやって···」)

 

無様に反転したエレンの瞳に映るものは、こちらを指差し笑う者、バカにしたようにこちらを見つめる者、そして、驚いてこちらを見る幼馴染。瞳に映るその全てが屈辱的だった。しかし、今の反転した彼には、足掻くことも、何をすることもできない。

 

(「ウソ···だろ?こんなはずじゃ·······」)

 

その隣で球磨川禊も同じく無様に反転していた。

 

(『うわあ···なにこれ···?みんな簡単そうにやるから僕でもできるかもとか思ってたけど、全然そんなことないや···。まずいなあこのままだと別に僕はいいんだけど、開拓地になんかいったら安心院さんが何かをしに来るだろうしなあ···』)

 

適性検査終了後、球磨川とエレンはその場でうなだれていた。

 

「このままじゃあ開拓地行きになっちまう···!」

 

『このままだと安心院さんに何をされるかわからない···』

 

まるでこの世の終わりのような雰囲気が醸し出されていた空間に声がかかる。

 

「おーい!エレーン!」

 

「お前は···アルミン!?どうしたんだ?」

 

「いやあ、ミカサと話し合ってエレンに姿勢制御訓練の練習をしてもらおうと思って···」

 

「本当か!?よし!今すぐ始めようぜ!」

 

『ちょっといいかな?その練習、僕も混ぜてほしいんだ』

 

「お前は···えーっと···」

 

『ミソギ・クマガワだよ。僕も開拓地になんかいったら非常にまずいことになりかねないんだ。だから、僕も練習に混ぜて欲しい』

 

「ああ、いいぜ。よろしくなクマガワ!俺はエレン・イェーガーだ!」

 

『うん。よろしくね、エレンちゃん』

 

ミカサの到着後すぐに2人は練習を開始する準備を始めた。

 

「基本通りにやればできるはず。上手くやろうとは考えなくていい。上半身は固く、下半身は柔らかく、前後のバランスにだけ気を付けて腰巻きと足裏のベルトにゆっくり体重を乗せる。」

 

「落ち着いてやればできるよ。運動苦手な僕だってできたんだから」

 

『あははっ!イメージはできたよ、これでできるはずさ!さあアルミンちゃん、上げてくれ』

 

「確かに、今度こそできる気がする。上げてくれミカサ!」

 

「いくよ」キリキリ

 

「エレン、上げる」キリキリ

 

2人の足は徐々に地面から離れてゆく、そしてついに!バランスをとることが!

 

「『』」グルン!

 

「あ!?」

 

「え!?」

 

「『』」ゴッ!

 

やはりできずに、そのまま地面に向かって思いっきり頭をぶつけるのだった。

 

「やあ球磨川君。異世界に旅立って2日も経たずにこの教室に帰ってくるだなんて…そんなに僕に会いたかったのかい?」

 

『僕はできたら君とは会いたくなかったよ、安心院さん』

 

「おいおい、冷たいことを言うなよ球磨川君。あ、そうだ君の新しいお友達のエレン君は君とは違ってちゃーんと生きてるから安心するんだぜ?(安心院さんだけに)」

 

『…ところで、安心院さんに聞きたいことがあるんだ』

 

「ん?なんだい?」

 

『もし僕が姿勢制御訓練ができずに、開拓地にでも送られたら僕をどうするつもりなんだい?』

 

「わっはっは、別にそんな酷いことはしないよ、強いて言うなら君を無限の苦しみが味わえる地獄にたたき落とすくらいさ。だから、別に無理して合格しなくてもいいんだぜ?」

 

『···わかったよ、僕は絶対合格してやるぜ。じゃあね、安心院さん』

 

「あ、まちな球磨川君、ひとつ言っておきたいことがある」

 

『···なんだい?安心院さん』

 

「あの世界ではやたらめったら大嘘憑き(オールフィクション)とかのスキルをあんまり使わないでくれないかな?」

 

『安心院さんがそういうなら別にいいよ。僕もそんなにあの面白手品に頼る気はないしね。でもどうしてだい?』

 

「そんな深い理由じゃないよ。単純にあの世界にはキミや僕が持つようなスキルはないからね、怪しまれて牢屋にでも入れられたら面白くなくなるからさ。ま、絶対使うなって訳ではないよ。じゃ、もう行っていいよ球磨川君」

 

『わかったよ、じゃあね、安心院さん』

 

そういって球磨川は扉を開け、去っていた。

 

「さあて期待してるぜ球磨川君」

 

球磨川が気づけば既に夕食の時間であった。自分のベッドから起き上がった球磨川は取り敢えず自分の頭に包帯を巻き、傷があるように見せかけてから急いで食堂へ向かい、自分の夕食を取るとエレンの隣の席に腰を下ろした。

 

『···頭の怪我は大丈夫かい?エレンちゃん···エレンちゃん?』

 

しかし球磨川が呼びかけてもまったくもって反応がなかった。

 

「オイ···あいつ確か昨日の晩に···巨人を皆殺しにしてやるなんて言ってた奴だよな?」

 

「それがあの初歩の姿勢制御訓練で既に死にかけたんだと」

 

「本当かよ···あんなこともできねぇ奴がいるのか···」

 

「あいつ···どうやって巨人を皆殺しにするつもりなんだ?」

 

「さあな···しかしこのままじゃいずれ、ここを追い出される。役立たずに食わせるメシなんかねぇからよ」

 

こんなまる聞こえの陰口を聞いてもエレンは反応しない。

 

「エレン、エレン」ユサユサ

「エレン!」ミシィ!

 

「いでッ」

 

ようやくエレンの意識がこちらに帰ってきたようだ。

 

「気にしても仕方ないよ。明日できるようになればいいんだから。それより、ちゃんと食べて今日失った血を取り戻そう」

 

『そうだよ、エレンちゃん、今日できなかったからって悔やむことは無い。明日できればいいんだから』

 

「···明日···、明日できなかったら···オレ·······どうすりゃいいんだ···」

 

「だから今は悩んでも仕方ないって···」

 

「情けねぇ···こんなんじゃ奴らを···根絶やしにすることなんか···」

 

「もう、そんなこと目指すべきじゃない」

 

「···は!?」

 

「え?」

 

『へぇ、ミカサちゃんがそんなこと言うの、意外だね』

 

「向いてないのなら仕方ない。ようやくできる程度では無駄に死ぬだけ。きっと夢も努力も徒労に終わる」

 

「何だって···?」

 

「兵士を目指すべきじゃないと言っている。生産者として人類を支える選択もある」

「何も命をなげうつことだけが戦うことじゃない」

 

『うーん、確かミカサちゃんの言うことにも一理あるね。もう生産者やってたほうがいいんじゃない?』

 

「お···お前らなあ···オレは···あの日あの光景を見ちまったんだぞ···?そんな理屈で納得できると思うのか?」

 

(『あの日ってなんのことだろ?』)

 

「···でも、その覚悟の程は関係ない」

 

「は?なんでだよ、言ってみろ」

 

「兵士になれるかどうか判断するのはエレンじゃないから···」

 

「う···」

(「このヤロー、そんなことは分かってんだよ···まずアレができなきゃお話にならねぇのは事実だ···正論だ···オレは今、何も言う資格がねぇ···、バカ言ってんじゃねぇよって感じなんだろうな···何でも簡単にこなしちまうお前にとっちゃよ!」)

 

エレンがそう思うと夕食終了の鐘が鳴り、皆が片付けを始める。

 

「私は···エレンだけ開拓地に 「行こうぜアルミン、クマガワ」

戻れといってるんじゃない···」 「う、うん」 『はーい』

「その時は私も一緒に行くので···だから···そんなことは心配しなくてもいい」

 

ミカサがそう言いながらエレンがいた隣を見るとそこに既にエレンの姿はなく、なぜか代わりにサシャが座っていた。

 

「ん?えーと?つまり?それ(パン)貰ってもいいってことですか?」

 

そう言うサシャを無視し、ミカサはパンを口に入れた。

 

「コツだって?悪ぃけど、俺···天才だから"感じろ"としか言えん」

 

「オレは逆に教えてほしい、あんな無様な姿晒しておいて正気を保っていられる秘訣とかをよぉ···」

 

「お···お前ら、クマガワが頭下げて頼んでるってのに···」

 

『そうだぞ!せっかく僕が土下座してまで頼んでるっていうのに君たち、その態度はなにさ!』

 

「まぁまぁ」

 

現在球磨川たちは男子寮にて、今回の姿勢制御訓練がうまかった者達にコツを聞いていた。

 

「コニーとジャンの他にも上手いって言われてたのはあっちにいる2人だよ。名前は確か···」

 

「う~ん···姿勢制御のコツか···」

 

「頼む!2人もすっごく上手いって聞いたぞ、ベルトルト···、ライナー··」

 

現在球磨川達はマルコの勧めで、背が高いが、大人しいベルトルトとガタイのいい兄貴分のライナーに話を聞いていた。

 

「すまんが···ぶら下がるのにコツがいるとは思えん。期待するような助言はできそうにないな···

 

「そうか···」

 

「明日に懸けるしかない···」

 

「クマガワ君以外の2人は···あのシガンシナ区出身だよね?」

 

「うん···そうだけど···」

 

「じゃあ···巨人の恐ろしさも知っているはずだ。なのに···どうして兵士を目指すの?」

 

「えーと、僕は···直接巨人の脅威を目の当たりにしたわけじゃないんだ。開拓地に残らなかったのも···あんなめちゃくちゃな奪還作戦を強行した王政があることを考えるとじっとしてられなかっただけで···」

「体力に自信はないし自分に何かできることがあるか···わからないけど···この状況を黙って見てることなんて···できないよ」

 

「そ、そっか···」

 

「オレも似たようなもんだ···」

 

『じゃあさ、君たちの出身はどこなの?』

 

「···僕とライナーはウォール・マリア南東の山奥の村出身なんだ···」

 

「···!!」

 

「えっ!?そこは···」

 

「あぁ···川沿いの栄えた街とは違って壁が壊されてすぐには連絡がこなかった。なにせ、連絡より先に巨人が来たからね」

「明け方だった···やけに家畜が騒がしくて、耳慣れない地響きが次第に大きくなり···それが足音だと気付いて急いで窓をあけたら━━」

「その後は···えっとあまりよく覚えてない···皆ひどく混乱したんだ。僕らは馬に乗ってウォール・シーナまで逃げた。後は君たちも同じだろ?」

 

「2年間開拓地に務めて今に至る···」

 

「まったく···お前は何だって突然そんな話すんだよ」

 

「ご···ごめん···えっと···つまり僕が言いたかったことは…君たちは彼らとは違うだろ?」

 

「彼ら?」

 

「巨人の恐怖を知らずにここにいる人達だ。彼らがここにいる大半の理由は世間的な体裁を守るため…12歳を迎えて生産者に回る奴は臆した腰抜けだって…ウォール・マリア陥落以降、反転した世論に流されて訓練兵になった。かといって調査兵団になるつもりもなく、憲兵団を目指しつつ駄目だったら駐屯兵を選んで憲兵団への異動を窺う…臆病なところは僕も彼らと同じだ」

 

「えっ?」

 

「体動かすの得意だから…憲兵団の特権階級狙いで兵士を選んだ。それが駄目だったら全部放棄するかもしれない…僕には…自分の意思がない。羨ましいよ…自分の命より大事なものがあって…」

 

『ま、そりゃそんな目にあったなら、自分の命を大事にすることだって立派なことじゃないかな』

 

「そうだぜ、オレなんか壁が壊される前から調査兵団になりたいとか言って、頭がおかしい奴としか思われなかったからな…おかしいのはこっちだ…」

 

「ん…?てことは…巨人と遭遇した後もその考えは変わらなかったつってことか?」

 

「ま…まぁ今となっては兵士になれるかどうかってとこだけどな…恐怖もたっぷり教わったがそれ以上に…殺さなきゃならねぇと思ったよ…奴らを…一匹残らず」

 

「…俺にも…俺にもあるぜ、絶対曲がらないものが…帰れなくなった故郷に帰る。俺の中にあるのはこれだけだ…絶対に…何としてもだ…」

 

「あぁ…」

 

「ベルトの調整から見直してみろ、明日は上手くいく…」

「お前らならやれるはずだ、エレン・イェーガーとミソギ・クマガワだったっけ?」

 

「あぁありがとよ…ライナー・ブラウンだよな?」

 

『zzz…』

 

次の日球磨川とエレンは姿勢制御の再訓練を受けていた。

 

「エレン・イェーガーにミソギ・クマガワ、覚悟はいいか?立体機動装置を操ることは兵士の最低条件だ。できなければ開拓地に戻ってもらう…いいな?」

 

「はい!」

 

『はーい』

 

(「やる!オレは絶対やる!!オレには素質がねぇかもしれねぇけど…根性だけは誰にも負けねぇ!」)

 

(『やらなきゃ安心院さんにお仕置きされる!それだけは嫌だ!エレンちゃんは真面目に攻略するだろうけど、僕はそんなこと知ったことじゃない!なりふり構わず攻略する!』)

 

「始めろ」

 

(「理屈なんか知らん!根拠も無い!でもオレにはこれしかねぇ!これがオレの武器だ!」)

 

「おお!!」

 

(「『やった…できた!!』」)

 

「ああ!!」グルン ゴン

 

『あ』

 

「!」

 

「ま…まだ…!」

 

「降ろせ」

 

「ま、まだ!!オレは!!」

 

「早く降ろせ」

 

「オレは…」

 

『エレンちゃん…』

 

「ワグナー」

 

「ハッ」

 

「イェーガーとベルトの装備を交換しろ」

 

(「な…何で!?できたぞ…急に…」)

「これは…一体…」

 

「装備の欠陥だ。貴様が使用していたベルトの金具が、破損していた。正常なら腰まで浮いた状態から反転しても地面に頭をぶつけられる訳がない」

 

「え?」

 

「ここが破損するなど聞いたことはないが、新たに整備項目に加える必要がある」

 

「な…!で、では…適性判断は…」

 

「……問題ない…修練に励め」

 

(「やった!やったぞ!どうだミカサ!オレはやれる!巨人とも戦える!!もうお前に世話焼かれることもねぇな!!」)

 

「何とかなったようだな…」

 

「目で「どうだ!」っていってるよ」

 

「いや違う、これで私と離れずにすんだと思って安心してる…」

 

(「特別優れているわけでもなさそうだが…だが…しかし…この破損した装備で一時姿勢を保った、そんなことがあの胡散臭い少年(・・・・・・・・)以外にできる者が他にいるだろうか…グリシャ…今日、お前の息子が…兵士になったぞ」)

(「しかし、そうなるとやはり問題なのはあの少年(・・・・)だ。通過儀礼の時に感じた巨人とも違うあの嫌な感じ…グリシャの息子と共に開拓地に行かせようと思い、装備を破損させたが…なぜあの状態で体が固定できるんだ?」)

 

「やったなクマガワ!これでお前も開拓地に行かなくてすむな!に、してもどうやってそんな上手く体を固定してるんだ?」

 

『ん?ああ、これはね、このロープと僕の腰を螺子を螺子込んで無理矢理固定してるんだよ。これなら絶対反転しないでしょ?』

 

「お、お前そんなことやって大丈夫なのか?その…傷とか」

 

『その点は大丈夫気にしないでいいよ。そんなことより今は姿勢制御訓練を突破したことを喜ぼうじゃないか!』

 

「そ、そっか…そうだな!」

 

こうして球磨川禊は異世界生活における最初の試練を螺子伏せることに成功、しかしこれはまだ、ほんの序章に過ぎない。超えるべき試練はまだまだ沢山あるのだから…




お気に入り登録ありがとうございます。このことに舞い上がりながら続きを黙々と制作していきます。
最初に、文章を多く書きたいとか言いましたが、この調子で書くことがどんどん増えるとそのうちとんでもない文章量になるかもしれませんね。
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