それでは、拙い本文をどうぞ
先の戦いによって、異常性が暴露された球磨川とエレンはミカサ、アルミンと共に駐屯兵団によって壁の柱の角へと追い込まれていた。
「殺シテヤル…」
「エレン…?」
先程まで意識がなかったエレンが意識を取り戻すと、何故かミカサとアルミン、球磨川に自分が駐屯兵団に武器を向けられていることを確認する。
「……!?」
『エレンちゃんおはよう。でもこの状況においては、最悪な寝言だったぜ』
「エレン!体は動くか?意識は正常か?知ってることを全部話すんだ、きっと分かってもらえる!」
「アルミン…!?…待って…」
エレンが、錯乱していると駐屯兵団の指揮を執っていると思われる男が話しかけてきた。
「イェーガー訓練兵!意識が戻ったようだな!今貴様らがやっている行為は人類に対する反逆行為だ!!貴様らの命の処遇を問わせてもらう!!下手に誤魔化したり、そこから動こうとした場合はそこに榴弾をブチ込む!躊躇うつもりも無い!!」
「…は?」
「率直に問う、貴様の正体は何だ?人か?巨人か?」
「し、質問の意味が分かりません!」
「シラを切る気か!?化け物め!!もう一度やってみろ!!貴様を粉々にしてやる!!一瞬だ!!正体を現すヒマなど与えん!大勢の者が見たんだ!!貴様もだ!クマガワ訓練兵!!」
『…』
(「クマガワも…オレみたいな事があったのか…?」)
「巨人に潰されようが、喰われようが蘇ってくる貴様は何者だ!!我々人類はお前らのような得体の知れない者をウォール・ローゼ内に侵入させてしまっているのだ!!たとえ貴様らが王より授けられし訓練兵の一人であっても、リスクの早期排除は妥当だ!!私は間違ってない!!」
「今にもウォール・マリアを破壊したあの「鎧の巨人」が姿を現すかもしれない!!今、我々は人類滅亡の危機の現場にいるのだ!!もう5年前の失態は許されない!!分かったか!?これ以上貴様ら相手に兵力も時間も割くわけにいかん!!私は貴様らに躊躇なく榴弾をブチ込めるのだ!!」
「彼らの反抗的な態度は明らかです。有益な情報も引き出せそうにない…。おっしゃる通り、兵と時間の無駄です」
「今なら簡単です!奴らが人に化けてる内にバラしちまえば!!」
駐屯兵達がざわめく中、ブレードを装着したミカサと螺子を持った球磨川が1歩、前に出る。
「私の特技は、肉を…削ぎ落とすことです。必要に迫られればいつでも披露します。私の特技を体験したい方がいれば…どうぞ1番先に近づいて来てください」
『そこから1歩でも動き出してみな。君達の体にもあの巨人みたいに、螺子が螺子込まれることになるぜ?』
兵士達はミカサの気迫と、球磨川の
そこから動くことができなくなっていた。
「2人とも…人と戦ってどうするんだ?この狭い壁の中のどこに逃げようっていうんだ…」
「どこの誰が相手であろうと、エレンが殺されるのは阻止する。これ以上に理由は必要ない」
「話し合うんだよ!誰にも…なんにも状況が分からないから恐怖だけが伝染してるんだ…」
エレンが現状を呑み込むことができず、ミカサと球磨川が駐屯兵を威嚇し、アルミンがその2人を説得している中、駐屯兵を指揮する男が再び問いかけてくる。
「もう一度問う!貴様らの正体は何だ!!?」
「…じ…、自分は…!!」
『うーんと、僕は…』
「『人間です(かな)』」
その回答に一瞬の静寂が訪れるが、それはすぐに消えてしまう。
「…そうか…、悪く…思うな…。仕方無いことだ…、誰も自分が悪魔じゃないことを証明できないのだから…」
そう言い、男は腕を上げる。それを合図に壁上で榴弾発射の準備がなされる。
「エレン!アルミン!クマガワ!上に逃げる!!」
「よせ!オレ達に構うな!お前ら!!オレ達から離れろ!!」
「…!?上にも…!?」
「き、聞いてください!!巨人に関して知っていることを話します。」
(「ウソだろ…こんなことが…」)
もはや絶望しかけたエレンは、自身の首に父親の持っていた地下室の鍵が掛けられていることに気づき、失われていた記憶をほんの少し、思い出した。思い出すやいなや、エレンは周りの3人を自身の近くに寄せ集める。
そして発射された榴弾を見据え、自らの親指の根元を噛み切る。その瞬間、濃い黄緑色の電光が走り、爆発したかのような熱風が放出される。形成されゆく巨人の身体が、榴弾を防いだ。
その頃、ジャン達はウォール・ローゼのトロスト区付近の街で待機をしていた。
「そんで何とかガスが手に入ったんだ…」
「…そんなことが…」
現在コニーが話しているのは、同期から女神と称されているクリスタ・レンズと常にそのクリスタの近くにいるユミルだ。
「じゃ…じゃあ、今ここにいない人達は全員…」
「…ああ」
「本当か?あのミカサもか?」
「ん?イヤ…ミカサはジャン達と一緒に遅れて来たと思ったんだが…。ジャン…まさかミカサは負傷したのか?」
コニーは隣にいたジャンに話しかける。ジャンは水を一口飲んでから質問に答えた。
「オレ達には守秘義務が課せられた…、言えない。もっとも…、どれ程の効果があるのかわからんが…」
「守備命令?」
「なんだそりゃ?」
「隠し通せるような話じゃねぇ…。すぐに人類に知れ渡るだろう。…それまでに人類があればな…」
そう言ったその時、唐突に砲声が鳴り響き、新兵達はパニックに陥る。
「砲声!?」 「なぜ1発だけ?」 「オイ!?」 「壁の中だ!!」 「水門が突破されたのか!?」 「1番頑丈な箇所だ、ありえない…。榴弾を落としただけだろう」 「にしても…あの煙の量はなんだ!?」 「まさか!?巨人の蒸気!?」
いても立ってもいられなくなったのか、ライナーは立体機動装置を使い、蒸気の発生源が見える場所まで移動をする。
「ライナー!?」
それに続き、アニ、ジャン、ベルトルトも蒸気の発生源を確認しにゆく。
「……どうなってんだ…、これは!?」
そこには中途半端な肉付きで上半身しかなく、骨も見えている巨人の姿があった。
場面は戻り、エレンは困惑していた。
「あ、熱い…。なんだこりゃ……」
「砲声が聞こえたところまで覚えてる…。その後は凄まじい音と衝撃と…」
『熱!、今…僕達は巨大な骨格の内側にいるみたいだね…』
「エレンが…私達を守った…。今はそれだけ理解できればいい」
「オイ!?大丈夫か!?お前ら…」
「エレン!?これは一体!?」
「わからん!!…ただこいつはもう蒸発する!!巨人の死体と同じだ、すぐ離れるぞ!!」
『そうだね。それに、今のところ駐屯兵団に動きは見えないけど…、そのうち攻撃を続行するだろう。』
「ああ…それにこんなもん見せた後で会話できる自信はオレには無い。ただ…一つだけ思い出した…。地下室だ。オレん家の地下室!!そこに行けばすべてわかるって親父が言ってたんだ……、オレが「こう」なっちまった原因も親父だ…。クソッ!」
「エレン!?」
「だとしたら何で隠した…?その情報は…何千人もの調査兵団が命を落としても求め続けた人類の希望ってやつなんじゃないのか…?それをオレん家の地下室に大事にしまってたっていうのか!?…何考えてんだ…!!そもそもオレ達を5年もほっといてどこで何やってんだよ…」
「エレン!今は他にすべきことがある」
「!…あぁ」
ここで、作り出た巨人が形を崩した。
「オレは…ここを離れる」
「どこに?どうやって?」
「とりあえず、どこでもいい。そこから壁を超えて地下室を目指す…。もう一度巨人になってからな…」
『…そんなことが、できるのかい?』
「自分でもどうやってやってるのか分からん…。でもできるって思うんだ。どうやって自分の腕を動かしているか説明できないようにな…。さっきは無意識にオレ達を砲弾から防ぐことだけを考えた。だからそれ以上の機能も持続力も無く、朽ちたんだ」
「今度はもっと強力なヤツを…さっき巨人共を蹴散らしたような15m級になってやる!」
「エレン!鼻血が…」
「顔色もひどい、呼吸も荒い…。明らかに体に異常を来たしている…!」
「今は…体調不良なんかどうでもいい…、とにかくオレに考えが2つある。オレ達を庇ったりなんかしなければ…お前らは命まで奪われない。もう既に迷惑かけちまったがオレはここからは同じく狙われているクマガワと動こうと思う」
『え!?僕!?』
「そんな…!!」
「……エレン…、私も行く」
「ダメだ置いていく」
「私が追いつけなければ私に構う必要は無い。ただし私が従う必要も無い」
「いい加減にしろって言ってんだろうが…オレはお前の弟でも子供でもねぇぞ…」
「エレン!私は!」
「待てよミカサ、考えは2つあるって言っただろ…。これはオレ程度が思いついた最終手段を判断材料として話したまでだ。あとはアルミンの判断に任せる」
唐突に任されたアルミンは軽いパニックになる。
「え……?」
「オレだって今の話が現実性を欠いていることはわかってる。この巨人の力は兵団の元で計画的に機能させるのが1番有効なはずなんだ。無茶を言うが…、アルミンがもしここでオレ達は脅威じゃないって駐屯兵団に説得できると言うなら、オレはそれを信じてそれに従う。それができないと言えばさっきの最終手段を取る。」
「あと15秒以内に決めてくれ、できるか、できないか、オレはどっちでもお前の意見を尊重する」
「…エレン、どうして僕にそんな決断を託すの?」
「お前ってやばい時ほどどの行動が正解か当てることができるだろ?それに頼りたいと思ったからだ」
「いつそんなことが?」
「色々あっただろ?5年前なんか、お前がハンネスさんを呼んでくれなかったらオレもミカサも喰われて死んでた」
「アルミン…考えがあるなら…私もそれを信じる」
『じゃ、僕もアルミンちゃんを信じとくよ』
アルミンは3人に意思を託され、決断をする。
「必ず説得してみせる!!3人は極力、抵抗の意思がないことを示してくれ!」
アルミンは自身の装備を外しながら駐屯兵団へと歩み寄っていく。
「貴様!!そこで止まれ!!」
「彼らは人類の敵ではありません!私は知り得た情報をすべて開示する意思があります!!」
「命乞いに貸す耳は無い!目の前で正体を現しておいて今さら何を言う!」
「ヤツらが化け物でないと言うのなら証拠を出せ!!それができなければ危険を排除するまでだ!!」
「証拠は必要ありません!そもそも我々が彼らをどう認識するかは問題ではないのです!」
「何だと!?」
「大勢の者が見たと聞きました!ならば彼らと巨人が戦う姿も見たハズです!!周囲の巨人が彼らに群がって行く姿も!」
「!!」
「つまり巨人は彼らのことを我々人類と同じ捕食対象として認識しました!!我々がいくら知恵を絞ろうともこの事実だけは動きません!
!」
「確かにそうだ…」 「ヤツらは味方かもしれんぞ…」
このまま行けば、駐屯兵団を丸め込める。そう思った次の瞬間だった。
「迎撃態勢をとれ!!ヤツらの巧妙な罠に惑わされるな!!ヤツらの行動は常に我々の理解を超える!!」
「な!!」
「人間に化けることも可能というわけだ!!これ以上ヤツらの好きにさせてはならん!!」
しかし、アルミンは屈しなかった。
「私はとうに人類復興の為なら心臓を捧げると誓った兵士!その信念に従った末に命が果てるのなら本望!!彼の持つ「巨人の力」ともう1人のもつ不思議な力に残存する兵力が合わされば!!この街の奪還も不可能ではありません!!」
「人類の栄光を願い!!これから死に行くせめてもの間に!!彼の戦術価値を説きます!!」
そんなアルミンの説得虚しく、男の腕が下ろされようとした時、男の背後から腕をつかむ者が現れた。
「相変わらず図体の割には小鹿のように繊細な男じゃ。お前にはあの者の見事な敬礼が見えんのか」
「ピクシス司令…!!」
男が振り向くと、そこには駐屯兵団団長ドット・ピクシスの姿があった。
「今着いたところだが状況は早馬で伝わっておる。お前は増援の指揮に就け。ワシは…あの者らの話を聞いた方がええ気がするのぅ」
次回、次回こそ本当に遅れます。