それでは拙い本文を、どうぞ
球磨川達は任務を遂行する為壁上を走り、作戦開始地点まで急行していた。
「エレン…体は大丈夫…!?」
『心配性だねミカサちゃん。でも安心してよ。エレンちゃんの体調不良は僕がなかったことにしてあげたから』
「極秘人間兵器とか言ってたが…穴を塞げるのなら何でもいい…。お前を最優先で守る、頼んだぞ!」
「は…はい!」
「もうすぐ岩までの最短ルート地点だ。今見える限りでは巨人はいない。皆が上手く囮をやっているんだろう」
夕暮れの下を走り続け最短ルート地点に到着する。
「ここだ!行くぞ!!」
立体機動装置を使い大岩のある地点まで移動する。大岩がある事を確認したエレンは自らの手を噛み、巨人となった。
無事に巨人化を成功させたエレンは大岩のもとに歩いていき、作戦は順調に思われた、が。
「エレン?」
屋根に乗っていたミカサを一瞥すると、突然ミカサに向かってエレンは拳を振り抜いた。それは本当に唐突で、ミカサ以外の誰もが咄嗟に動くことができなかった。
『ミカサちゃん!!』
球磨川が叫ぶも状況は好転などせず、エレンは2発目の拳を振り下ろす。
それを躱したミカサはエレンの顔へと飛び移った。
「オイ!?ミカサ止せ!!そいつから離れろ!!」
駐屯兵団の精鋭、イアンが叫ぶもミカサはそれを無視しエレンの説得を試みる。
「エレン!!私がわからないの!?私はミカサ!!あなたの…家族!!あなたはこの岩で穴を塞がなくてはならない!!」
「作戦…失敗だ!」
そう言うとこちらも駐屯兵団の精鋭、リコが作戦失敗を告げる赤の信煙弾を発射した。
「分かってたよ…、秘密兵器なんか存在しないって…」
「エレン!!あなたは人間!!あなたは「避けろ、ミカサ!!」
なおも説得を続けるミカサに3発目の拳が振り抜かれようとした、その時であった。巨人化したエレンの黒髪が白髪へと変化を遂げ、エレンは側の大岩にもたれるようにして力なく座り込む、その胸にはヘッドが
『「
「クマガワ…?エレンに何をしたの!?」
ミカサが問い詰めるも球磨川は、いつものようにヘラヘラと笑い飄々と答える。
「そう騒ぐなよ、ミカサちゃん。「
「なっ…!」
『ああ、でも安心して?「
「そんな事じゃない!なんでエレンにそんな物を使ったの!?」
『おいおい、さっきのエレンちゃんは暴れるばかりで作戦の遂行なんてできそうもなかったじゃないか。だから仕方なく僕が「
「くっ…!」
「イアン班長!前扉から2体接近!10m級と6m級です!」
「後方からも一体!12m級、こちらに向かってきます!!」
球磨川とミカサが言い合っているとイアンの部下が巨人の襲来を告げた。
「イアン!撤退するぞ!!あのガキ、扉塞ぐどころじゃねーよ!」
「あぁ…仕方ないが、ここに置いていこう…」
しかし、イアンは答えない。
「オイ!?何迷ってんだ!?指揮してくれよ!イアン!?お前のせいじゃない!ハナっから根拠の希薄な作戦だった、みんな分かってる。試す価値は確かにあったし、もう十分試し終えた!!いいか?俺達の班は壁を登るぞ!!」
これまた駐屯兵団の精鋭ミタビがイアンに向かってそう言い放つ。するとミカサがブレードを持ちミタビに駆け寄ろうとするも、イアンがそれを止めた。
「待て!!」
「……」
「待て…落ち着け…ミカサ…。」
ようやくイアンが命令を下す。
「リコ班!後方の12m級をやれ!ミタビ班と俺の班で前の2体をやる!」
「何だって!?」
「指揮権を託されたのは俺だ!黙って命令に従え!エレンを無防備な状態のまま置いては行けない!」
「作戦を変える、エレンを回収するまで彼を巨人から守る。下手にうなじを切ればどうなるか分からない以上、エレンが自力で出てくるのを待つしかないが…、彼は人類にとって貴重な可能性だ。簡単に放棄できるものでは無い。俺らと違って彼の代役は存在しないからな」
「……!この出来損ないの人間兵器様のために…今回だけで数百人は死んだだろうに…。こいつを回収してまた同じようなことを繰り返すっての?」
「そうだ…何人死のうと何度だって挑戦すべきだ!」
「イアン!?正気なの!?」
「では!どうやって!!人類は巨人に勝つというのだ!!リコ教えてくれ!他にどうやったらこの状況を打開できるのか!!人間性を保ったまま!人を死なせずに!巨人の圧倒的な力に打ち勝つにはどうすればいいのか!!」
「巨人に勝つ方法なんて私が知ってるわけない…」
「ああ…そんな方法知ってたら、こんなことになってない。だから…俺達が今やるべきことはこれしかないんだ。あのよく分からない人間兵器とやらのために、命を投げ打って健気に尽くすことだ」
「悲惨だろ…?俺達人間に唯一できることなんてそんなもんだ…報われる保証の無い物のために…虫ケラのように死んでいくだろう。さぁ…どうする?これが俺達にできる戦いだ…俺たちに許された足掻きだ」
「そんなの…納得できない」
リコはイアンに背を向けた。
「リコ!」
「作戦には従うよ…あなたの言ってることは正しいと思う。必死に足掻いて人間様の恐ろしさを思い知らせてやる。犬死になんて納得できないからね…後ろの12m級は私の班に任せて」
「立ち話が過ぎたなイアン…行くぞ!俺達は前方の2体だ!」
「……あぁ!」
「礼には及ばない。お前が何をやりだすか分かったもんじゃないから肝を冷やしたが…当初の作戦通りに自由に動くんだ。その方がお前の力が発揮されるだろう」
「はい!」
「恋人を守るためだからな」
「…家族です」
冗談を言いつつイアンもミタビの後を追う。残された球磨川とミカサはふと、エレンの方を見るとエレンに起こった変化に気づく。
「刺さっていた螺子が…ない?」
『「
球磨川達はエレンを守りながら、巨人との戦闘を開始した。
「マズイぞ…後ろだ!13m級1体!!建物を横断してエレンに向かって接近しています!!」
「ッ!!」
「扉から新たに巨人が入ってきます!!およそ10m級4体出現!!」
「ミカサ後ろを頼む、エレンの所に向かわせるな!!ここで食い止めるぞ!」
「了解!!」
ミカサは立体機動装置を巧みに操りエレンに迫っていた巨人のうなじを削ぎ落とす。するとエレンの肩に壁にいるはずのアルミンの姿があった。
「ミカサ!!作戦はどうなった!?」
「アルミン!?」
「エレンはどうなっているんだ!?」
どうやらアルミンは、リコの放った作戦失敗を告げる信煙弾を見てこちらに来たらしい。依然動かぬエレンの肩にいるアルミンにミカサは呼びかける。
「危険だから離れて!!その巨人にはエレンの意思が反映されていない!私が話しかけても反応が無かった!!もう誰がやっても意味が無い!!」
「!!…作戦は!?」
「失敗した!!エレンを置いていけないから皆、戦っている…!!そして…このままじゃ!!巨人が多くて全滅してしまう!!」
エレンを何とかして動かさなくてはならない、そんな中アルミンは1つの策を思いついた。
「後頭部からうなじにかけて縦1m…横10cm」
呟きながらアルミンはブレードを取り出す。
「…!?アルミン!?」
「僕がエレンをここから出す!!ミカサはここを巨人から守ってくれ!!」
「え…?何を…?」
「巨人の弱点部分からエレンは出てきた…これは…巨人の本質的な謎と恐らく無関係じゃない」
「…」
「大丈夫…真ん中さえ避ければ!」
「な…!?」
震えながらも、ブレードを構える。
「痛いだけだ!!」
「アルミン!!」
ミカサが止めに入るよりも早く、アルミンがブレード突き刺す。エレンは叫び声を上げるも暴れはしない。
「アルミン!!無茶は止めて!!」
「ミカサ!!今自分にできることをやるんだ!!ミカサが行けばたすかる命があるだろ!!エレンは僕に任せろ!!行くんだ!!」
ミカサが走り出し、アルミンもエレンに話しかける。ブレード越しに中のエレンにも声が響く。
「エレン!!聞こえるか!?しっかりしろ!!ここから出ないと僕ら皆死ぬぞ!!巨人の体なんかに負けるな!!とにかく早く!!この肉の塊から出てくるんだ!!」
(「ここから出るだって?何で……?オレ今…眠いんだ…」)
「お母さんの仇はどうした!!巨人を駆逐してやるんだろ!?お母さんを殺した奴が憎いんだろ!!」
しかし、エレンに反応はない。
「エレン!エレン!起きてくれよエレン!?ここにいるんだろう!?エレン!?このままここにいたら巨人に殺される!!ここで終わってしまう!!」
(「だから…何言ってるかわかんねぇよ、アルミン…何で外に出なきゃいけないんだ…そうだよ、どうして外なんかに…調査兵団なんかに…」)
「エレン…僕達はいつか…外の世界を探検するんだろ?この壁の外のずっと遠くには…炎の水や氷の大地、砂の雪原が広がっている。忘れたのかと思ってたけど、この話をしなくなったのは…僕を調査兵団に行かせたくなかったからだろ?」
(「…外の…世界…?」)
「エレン…答えてくれ、壁から一歩外に出ればそこは地獄の世界なのに、どうしてエレンは外の世界に行きたいと思ったの?」
(「……どうしてだって…?そんなの…決まってんだろ…-オレが!!この世に生まれたからだ!!」)
その頃、リコ班とイアン班は。
「班長…ここまでですもう私達しか残ってない!!」
「…!!一旦岩まで退く!」
「巨人が5体…扉から来ます!」
「一旦下がるぞ!!エレンの状況に応じて判断する!!」
2つの班が岩の方を見た時、それはあった。エレンがついに岩を持ち上げ、運んでいるのだ。
「エレン…」
「後方から巨人多数接近!!」
『アルミンちゃん!!』
「エレンが勝ったんだ!!今…自分の責任を果たそうとして…!!エレンを扉まで援護すれば!!僕らの勝ちだ!!」
「……!!死守せよ!!我々の命と引き換えにしてでもエレンを扉まで守れ!!お前達三人はエレンの元へ向かえ!」
「!?」
「え!?」
『…』
「これは命令だ!わかったか!?」
「「『了解!!』」」
イアンが地上を見るとミタビ班が地面に降りているのを発見した。
「ミタビ班…!?何を!?」
「巨人共が俺らに食いつかないんだ!!食いつかれるまで接近するしかない!!」
「こっち向けコラッ!」
「こっち向かねぇとそのケツに刃ぶち込んで殺すぞ!!」
挑発が効いたのか、巨人が1体ミタビ班に食いつく。
「来た!!1体かかった!!走れ!建物まで走れ!!」
「そんな…!!地上に降りるなんて自殺行為だ!!馬も建物もないんじゃ戦えない!!」
「イヤ…もう…あれしかない。ミタビ班に続け!!無理矢理接近してでも目標を俺達に引きつけろ!!」
エレンの周りにいる全兵が地上に降り、命懸けの護衛を開始する。
(「…!?ミカサ…アルミン…クマガワ…、何してる…そんな所歩いてたら巨人の餌食に…」)
そんな様子をエレンも発見したようだ。皆いつ巨人に捕まるか分からぬ恐怖で顔を歪めながら、巨人を誘導していた。そして1人、また1人と巨人に捕まり、喰われてゆく。そしてついに死が、犠牲が報われる瞬間がくる。
「い……いけええぇエレン!!」
エレンにより扉が封鎖される。その瞬間は、人類が巨人の進行を阻んだ初めての
「残った巨人が来る!壁を登るぞ!!」
「エレンを回収した後離脱します!」
球磨川は巨人のうなじから上半身だけでたエレンを引っこ抜こうとしていた。
『熱い!これすごい熱いよ!!もうここに置いといてもいいんじゃないかな!?』
「クマガワ!エレンは!?」
『引っ張っても取れないし、すごく熱いよ!』
「体の一部が一体化しかけてる…!」
「切るしかない!」
「ま、待ってください!!」
ミカサの言葉を聞かずリコはエレンの一体化した部分を切断した。
『うお!』
ずっとエレンを引っ張っていた球磨川は急にエレンを切断されたため、下に落ちていく。そしてふと後ろを見ると巨人が2体、すく側まで来ていた。エレンの巨人が消える際の蒸気で誰も接近に気づかなかったのだ。
「エレン!!クマガワ!!」
(『これは死んだかな…?』)
1回死ぬことを覚悟した球磨川だが、誰かが巨人を2体も討伐してしまう。その人物は球磨川の目の前に着地した。
『ミカサちゃん…じゃあなさそうだね』
「あれは…自由の…翼…」
「オイ…ガキ共…、これは…どういう状況だ?」