もしマーリンが6章でやる気をそれなりに出したら 作:カキツバタ
なんかこう、ギル位はっちゃけてくれると書きやすいのだけれど。
「─────ほぅ。貴様がニトクリスを助けたという者か」
神殿の玉座に佇むのは、一人の男性。
褐色の肌。
白を基調としながらも輝かしい装飾を身にまとうその姿。
瞳は太陽の如き色を持ち、その双眸で俺を品定めするかのように見つめる。
その風格から偉大な王であることが伺い知れる。
俺がそのまま立ち尽くしていると、褐色肌の少女───ニトクリスが我慢ならないとばかりに口を開く。
「ファラオの御前ですよ!頭を垂れなさい!」
「いや良い、ニトクリス」
ニトクリスを諫めたのはファラオ。しかし、ニトクリスは俺の態度に不満があるようで
「……ですが、貴方様は偉大なるファラオ、その御前で不敬など…」
「良い、とそう言ったであろう。
それともニトクリス、貴様は余の命に逆らうと?」
「……っ!申し訳ございません、ファラオ。深く反省致しました。このニトクリス、如何なる罰も甘んじてお受け致します」
それを見たファラオは暫く考えた後、
「………今のそなたを罰したところで面白味がない。愚かな賊軍を我が力を借りずして打ち払ったことを評価し、特別に不問とする」
「はっ。温情、ありがたく」
このやりとりに俺もつい、安堵の息をもらす。二日も俺のことを診てくれていたのだ。彼女が罰せられるとなればファラオが相手であろうと流石に黙ってはいられない。それに大方の責任は俺にあるのだから、罰せられるとすれば、彼女ではなく俺でなくてはいけない。
ファラオは再び視線を俺に向け、なにやら呟く。
「…しかし、カルデアの者ではない、か。であれば迷い込んだか」
するとファラオはおもむろに立ちあがり、声を大にしてその名を語る。
「我が名はオジマンディアス。
ファラオは余であり、余こそまさにファラオの中のファラオ、太陽の王である!」
オジマンディアス───広大な帝国を統治した古代エジプトのファラオ。
外交や建築、武勇など様々な功績を残し繁栄をもたらし、民を愛し愛された王。
このファラオがエジプトに残したものは大きく、今もなおエジプト人に尊敬され続ける存在。
その威光は本物であり、その威圧感にやや気圧される。
……一言の中にファラオが入りすぎている気がするが、何も言わないでおこう。
そろそろ頃合いだろうかと、俺はオジマンディアスに対して口を開く。
「……その、ファラオ・オジマンディアス。聞きたいことがある」
「許す。申すが良い」
「あんた、サーヴァントなんだろ?マスターは何処にいるんだ?」
この神殿を少し見て回った限りマスターの気配などなく、すれ違ったのは使用人と思われる人々のみだった。
サーヴァントが此処に居を構える以上、マスターもこの神殿にいると思っていたのだが…
「ほぅ、妙なことを尋ねるものだ。
余にマスターなどおらぬ。余を呼び出した者ならば、殺した」
「なっ……!?殺したのか!?マスターを!?」
予想外の言葉に、つい声を荒らげてしまう。
「あのような下賎な輩、マスターではないと申しているだろう。
……我が敬愛なる妻の遺物を用いるなど、万死に値する」
敬愛なる妻───ネフェルタリのことだろうか。至上の美をもつとされ、オジマンディアスが心から愛したただ一人の女性。
そんな妻の遺物を触媒に、オジマンディアスはこの地に召喚されたという。先の言葉から、それがどれ程彼の怒りを買ったのか伺い知れる。
「……しかし、解せんな。貴様、どうやら現状の把握もままならぬようだが、何故ニトクリスを助けた?」
その疑問に、俺は当たり前のように答える。
「?そんなの、当然のことだろ?」
「────」
その言葉を聞いた途端、場の空気が一変し、重い沈黙に包まれる。
ニトクリスはいつにも増しておろおろとし始めた。
そして俺の方を見て、目で『何をしたのですか!?』と訴えてくる。
正直、俺も困惑しているのだ。
一体何が起こったのかわからぬまま、眼前のファラオを見据える。
すると暫くの後、オジマンディアスが口を開いた。
「────去れ。今すぐ、此処を去れ。死にたくなければな」
「なっ!ファラオ!?それは一体……」
突然の言葉に、俺もニトクリスも困惑を隠せない。一体何があのファラオを怒らせたというのだろうか。
「……貴様のその在りかたは人として間違っている。失せるがよい。貴様にする話などない」
────人として、間違っている、だって…?
その言葉に、俺が呆然と立ち尽くしていると、
ぺしぺし
「…ん?……お前こんなところまで着いて来てたのか」
そこにはいつのまにか、件の謎の生物Xが。……相変わらず脚を叩いてくる。自分の力がどれ程強いのか自覚してほしいものだ。
謎の生物Xは、その驚異の脚力で俺の胸に飛び込んできた────但し、その衝撃も物凄いものであったが。
「うぉっ!?」
俺は思わず体勢を崩しかけるが、どうにか倒れずに踏みとどまった
「…全く、どんな馬鹿力してるんだ……」
溜息をつきながらこいつの頭を撫でる。力は強いが、挙動は小動物のようで意外と愛らしい。
ふと、横を見るとニトクリスが俺たちの方を見てなにやら口をあんぐりと開け、とても驚いていた。
何だろう、と不思議に思っていると、突然オジマンディアスが腹を抱えて笑いだした。
「フッ…フハハハハハハハハハハハ!!!!!!あのスフィンクス・アウラードがなつくとは!
ようやく得心がいったぞ。よもや、それほどに
────────それとも、中身など無いのか?」
────その言葉は、脳に直接届いてきたかのように、俺の心を揺さぶる。
「…………………」
「まぁ良い。赦す。
そして光栄に思え、そなたがこのエジプト領に滞在することを許可しよう!」
先程といい、掴みどころのないオジマンディアスの機嫌に俺が戸惑っているなか、オジマンディアスは続ける。
「しかし、そなたを客人として迎える気はない。
────働け。日々の労働こそ人間のすべてである。
余の満足のいく働きを見せる限り、そなたはこの神殿に居座ることができる。
それが出来なければ、貴様に明日は無いと思え」
#
二人だけとなった玉座の間で、ニトクリスは恐る恐る口を開く。
「……ファラオよ、本当によろしかったのですか?」
「ほぅ。何か思うところでもあるのか?」
「いえその……
「此処を何処だと思っている?此処は余の神殿。そこに足を踏み入れた時点でそなたが何者かを連れて来たことなどわかっていた。しかし…ただの人間、か。それは違うぞニトクリス」
「?」
「…あやつは異常な程
……その顔では、まだ理解していないか。まぁ良い、いずれわかるだろう」
オジマンディアスの言葉に虚偽などない。ニトクリスはそう信じているが故に、その言葉に戸惑う。
「…その。では尚更、何故あの者を?」
「…アウラードは余の魔力を与えた分身でもある。そのアウラードが、あやつを選んだのだ。あの者には
「い、いえ!私はあのような者など……」
「フッ、隠さずとも良い。ファラオたる余がわからぬ筈がなかろう」
「そっそれは……」
ニトクリスが顔を赤らめたまま押し黙っていると
「……しかし、妙だ」
「一体どうされたのです?」
「十字軍は余が聖杯を奪い、弱体化した。このままでは奴らは聖地を奪うことなど到底叶うまい」
「それは良いことなのでは?聖杯がファラオの手に有る限り、この地は平穏であり続けるのですから」
「甘いな、ニトクリス」
「?」
「魔術王を騙る者が絡んでいるのだ。
#
────進め。
────我が手に聖地を。
我等に祝福を。
────我が道を阻む者は凡て殺し尽くしてみせよう。
────斯くして■■■■は咆哮をあげる。
その身を虚構に包み、
遥か彼方の
エジプト領には普通にエジプト人がいる設定です。エジプトをそのまま転移させたならいても可笑しくないかなと。
あと、感想にあった士郎ならニトちゃん知ってるのではという話ですが、『見たり聞いたりしたことはある気がするが思い出せない』という感じです。流石に士郎でもfateに出てくる全ての英雄を完全に把握するのは難しいかと
補足
スフィンクス・アウラード
FGOバレンタインイベでオジマンがくれる礼装。EX攻撃で出てくるコスモスフィンクスの幼体。かわいい。