クズでもヒーローになれますかねェ?【諸事情により題名変更しました】 作:虚ろな勇者の影
「へーい!爆豪勝己君!私に勉強を教えてくれぇ!!友達だろぉー」
「断る」
はい、皆様お昨日ぶりです。今日もいい天気ですね。
今の状況は簡単、私が爆豪勝己から勉学の教えを請おうと頭を下げているのですが、すげなく断られています。
「そこを何とか、ね!自慢じゃないけど私模試成績雄英判定Dだからね!このままだと落ちるからね!」
「てめぇ、頭悪かったのか?!」
うん、私もあまりの低さにびっくりしたわ。
でも、よく考えてみれば、情報収集で授業受けてないから、わかんないのも当たり前なんだけどね。
「君は!いつ!私の!成績が!いいと!判断したんだ!!」
「雄英志望だと聞いた時だろ」
勉強はなぁ、やらなきゃよくなんねぇんだよォォォオ!!
よーし、勉強やるかって思って雄英高校の過去問を開いたら、あらびっくりなーんにもわかんなかったんだよ!
前世の記憶あるから余裕だと思ってた私をぶん殴りたい。前世も前世でなんの勉強もせず、情報収集しまくってたんだよ!!
「まぁ、兎に角この問題の解き方教えてくれぇ」
「なんで俺が敵のてめぇに教えなきゃなんねぇんだ?」
「そりゃ、…殴りごたえのある敵の方が面白いだろぉ?」
ニヤリと顔を歪めつつ、挑発的に言うのがポイントだ。
「…………X式にβとαを連立して代入」
「おぉ!ありがとう!!お礼にハリボーをあげよよう!」
「いらねぇー。さっさと終わらせっぞ」
うんうん。素直でよろしい。
あんまり頑なに断るようだったら、個性使ってクラス皆の前で「3回廻ってワン!」をやらせる所だったよ。
私は
舌打ちをしたりと態度が悪いものの、めっちゃ丁寧に教えてくれる。恐らく、やるからには1番、完璧にやりたいのだろう。
そんなことに軽く驚きつつも、勉強を進めていった。
「…かっちゃんが勉強を教えて上げているなんて!信じられない光景だ、流石報情さん…!」
と言ってる声が聞こえたとか聞こえなかったとか。
☆☆☆☆☆
「とっ、この辺まででいいよォ。ありがとォ」
「いや、お前のクソ頭ならこれもやっとかないと駄目だ」
「いや、君の個性練習の時間まで削る訳には行かないんだよォ」
「!?なんで知ってんだゴラ!!?」
めちゃくちゃ凄んでくるなぁ。
まったく、そんな睨むなよォ。三白眼なんだからよけー恐ろしいわ。
「まぁ、そこは企業秘密で。
……でも、あの公園ではやめた方がいいと思うよ。爆音がうるさいって苦情来てるから。
多分、同中の生徒に努力してる姿を見られたくなくてあんなに遠くまで行って、個性練習してたんだろうけど」
「どこまで知ってやがる、殺すぞ」
何処までも、かなぁ。この辺の情報は大体私のとこに集まってくるからね。
「いや、殺すなよォ、ほらさっさと行こうじゃないか」
「てめぇはついてくんなクソが!」
「クソじゃないよぉ、クズだよォ。
まぁ、ちょっとしたお礼さ。邪魔はしないよ」
☆☆☆☆☆
所変わって、学校近くの河川敷。もちろん、人っ子一人居ない。
そこに鳴り響く爆発音、言うまでもなく爆豪勝己の個性だ。私はそれをただ見てるだけ。
「ん?オールマイト、海浜公園での目撃者多数?」
それも、タブレットPCでニュースをチェックしながらである。
ついでに、仕事の電話したり、溜まっていたLINEの消化、Twitterのコメ返しなど色々やってた。
それから1時間経った、爆豪勝己の爆発威力がそろそろやばくなってきたころ。
「ふむふむ、なるへそなるへそ。大体わかった────お疲れ様、爆豪勝己君。喉乾いただろぉ?はい、これお汁粉」
爆豪勝己君は爆発をやめ、そのまま自動販売機に向かい、ミネラルウォーターを購入。……お汁粉には全くの無反応だった。
全力でボケたのに!無視されんのが1番心に来るわぁ。
いいもんね。自分で飲んでやる!あー、美味しいなぁーこの温かさが心に染みるなぁー!
……ってこんなやさぐれてる場合じゃなかった。
「えっと、君の現時点での最大威力はオールマイトの『TEXAS SMASH』の威力の約6分の1。
爆炎威力だけだけで言えば 轟炎司……じゃない、エンデヴァーの個性、ヘルフレイムの小さい火の玉と同じぐらいの攻撃力が有るねぇ。
うん。控えめに言って、君本当に中学生?そこらのヒーローよりずっと強いよ?」
あら?爆豪勝己君固まってるし。どうしたんだろ?目がなんか凄い開いてるよ?……まぁ、続けよう。
「あえて、弱点というか、足りない部分を上げるとすれば、それ以上の火力出すと手がぶっ壊れることだね。もっと手の皮、骨を鍛えないと。
あと最大火力になるまでの時間がかかりすぎかな。オールマイトだったらその間に君を50回ぐらい殺せるね。夏はもっと早いのかも知んないけど、それを加味しても遅いと思う。
それと、打つ時の振動が結構体の負担になってるねぇ。柔軟する事をオススメするよォ……ってなんか反応してよ!」
一人でべらべら喋ってたら、ただの変人じゃないか!
折角人が勉強教えてくれたお礼に個性分析と、これからの戦闘時の為の改善点を3つも言ってあげたんだから。しかも、無料で!無料で!!
「───ヨムキ、これからも勉強見てやるクズが!」
おぉ?!!?!
なんか半ギレ気味に言われたァー!!
そして、名前呼ばれたァー!これはコレはもしかして認められた奴?!来たァー!!くっそ嬉しいよォー!!
で、これからも勉強見てくれるってことは、「これからも個性の分析よろしくお願いします、報情様」って言ってるのと同じだね!……個性使わなくても分かるね。
だから、私が言うべき返答は、
「もちろんだともォ!」
しかないね。
こうやって、私と爆豪勝己の雄英高校受験に向けての準備がはじまった。
☆☆☆☆☆
なんだかんだあったけど、受験まであと3ヶ月になった。
あれからほぼ毎日、私は勉強を教えて貰い、そのお礼に爆豪勝己の個性分析をするということを続けていた。
お陰で、先週受けた模試の判定がAになった。私頑張った。凄く。
彼、教師に向いてないね。暴力あり、爆破ありの超スパルタ教育だもの。
「てめぇ、それ四日前も間違ってたぞ。この学習しない脳味噌クソが!」
地味に自分の記憶能力自慢しつつ、爆発とともに怒られるし。あと関係ないけど罵倒のボキャブラリー本当増やした方がいいと思う。
日も短くなり、息の白が目立つ、暗がりの中。
現在、午後7時。個性練習(爆豪勝己だけ)が終わっての帰り道。
「なんか、今中学生の拉致が増えてるらしいよ?しかもこの辺じゃん。私達も気を付けないとね
……いや、君は大丈夫そうだな」
「ア"?」
「いやぁ、鏡見てみなよ。見事なヴィラン顔だろぉ?むしろ、仲間だと思われて、犯行に協力要請されそう!アハッ!!」
「てめぇ、もういっぺん言ってみろ、殺すぞ!!」
「言ったら殺されるじゃん!?」
「言わなくても殺す、今度こそ殺す」
いやぁー。ヒーロー志望の友人にこーろーさーれーるぅー。洒落にならんわ。
────だから、私は気がつかなかったんだ。今、この瞬間、盛大なフラグが立っていたという事に。
☆☆☆☆☆
「はぁ、はァ、ハァハァ!」
「ほぉらぁー逃げないでぇねぇ!!」
私、報情読気。目下フラグ回収中。
中学生誘拐犯と思しきヴィランから全力で逃走しております。
「やばいやばいやばい」
男は楽しげに、私を逃がしている。
足が痛い。もう15分は走ってるのではないだろうか?喉から血の味がする……息も限界だ。もう止まってしまいたい。自慢じゃないけど本当運動は無理なんだ!
「ほらぁ、もう限界だろぉ?大人しく捕まりなぁ!!
大丈夫、痛いのは一瞬だけさ!優しく殺して上げるからねぇえ!!
いや、そのすばしっこい足を切り落としてから殺す方がいいかもねぇえ!!」
男は狂いながら私を追い詰める。
優しく殺すってなんだよォ。もう殺されるのは充分だよォ!
「やばいやばいって、本当に殺される──まだか?!」
「ほらほらぁー早く諦めなぁあ!!」
男はだんだん距離を詰めてくる。
こっちはもう走れないってのに、あっちは余裕だ。
逃げろ、足よ動け、大丈夫、そろそろ、もうすぐ、おそらく、きっと、
「痛っ!!」
痛い痛い。転んだ?!なんで?!歩けない歩けない?!!足挫いたんだ。どうするどうする?!!
男は徐々に近づいてくる。
ズルズルと足を引きずり、出来るだけ男から逃げる。でも、そんなのは全く意味をなさなくて、
「おわりかぁーいぃい!?」
男は私を捕まえた。
遂に、追いつかれてしまった。
手に持ったナタを月明かりに煌めかせながら迫ってくる。狂気に染まった瞳で、笑顔で。微笑みながら。
嫌だ嫌だ嫌だイヤだイヤだイヤだ近づくな離れろ私に触るな!!
その男の顔が前世最後の記憶を甦らせる──恐怖────落ち着け!──怯え───冷静になれ私!!───死────大丈夫、ちゃんと計画的に逃げたじゃないか!
パニクる感情を必死に抑える。
「大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫、ちゃんと情報どおりならここを走ったから来るはずなんだ────────
────一陣の風。
瞬き1つぐらいの時間。気が付いたら私に迫ってきた男は白い紐でぐるぐる巻きにされていた。
「はい、捕縛。
獲物に集中し過ぎ、相変わらずヴィランは不合理の塊だね」
────ヒーローが、ね」
ほら、ちゃんと来ただろォ。
さすが私、情報網に抜かりはなかったね。
☆☆☆☆☆
「この時間帯、この道がヒーローの巡回経路になっている事は知っていたけれど、まさか貴方だったとは……相澤先───じゃなくて、イレイザー・ヘッド」
「俺を知っているのか?」
意外だと言わんばかりの声。まぁ、貴方、メディアに出ることほとんどないですもんね。そりゃ、情報流れないわけですわ。
だが!!私を舐めてもらっては困る!!
「えぇ、もちろんですともォ!
ヒーロー名、イレイザー・ヘッド 。本名は 相澤消太。個性は『個性抹消』相手を凝視する事で発動、瞬きをすると解除される。
11月8日生まれの身長183cm、30歳。血液型はB型。雄英高校の男性講師……ですよね?」
「……よく知っているな」
ちょっと引いてる。あれだ、ファンが熱烈過ぎてどう対応していいか分からないアイドルっぽくなってる。
今はこれぐらいでやめたけど、まだあるよォ。
未来の話だけど1-Aクラスの担任。通常時の外見は長髪に無精ヒゲのくたびれた男性。合理的であることを尊び、時間の無駄を嫌う。あと、プレゼント・マイクと同期でもあるね。
まぁ、この辺言っちゃったら、流石にアカンから心の中だけで呟いとく。
原作情報含め、この世に生まれ落ちてからも必死に情報収集したからね!……猫好きってわかった時はその意外性に噴き出したよ。
「怪我は?」
「あります、足捻りました。めちゃくちゃ痛いです。立てません!」
「軽傷だな」
めっちゃ痛いけど、意識不明の重体にならない限り、骨折れても、手足もげても、軽傷なんだよなぁ。
イレイザー・ヘッドはどこからも無く取り出した包帯をこちらに渡してくる。……自分で巻けと?
「警察には既に通報してある、辛いだろうが犯人特定の為の事情聴取に同行をお願いする」
「そう来ると思いましたよ。めんどくさいんで、情報あげます。だから帰りますよォ。
えーと、犯人の名前は『追込強太』。個性は『追い込み』人を追い込む時のみ運動能力が通常の10倍となる……よく逃げれたなぁ、私!
あと犯歴か。……ふーん。へぇ。コイツ誘拐を初めて3年目らしいですねぇ。それまでに男女含め14人(全て中学生)を誘拐し……それぞれの方法で殺しています。
────とっ、これぐらいわかればいいでしょう?正直、これ以上コイツの頭見ていたくないんですけど……」
「情報分析の個性持ちは一定多数居るが…お前は凄まじいな」
私は犯人から手を離し、手袋を嵌める。
私の個性は触れているものから無条件に情報を読み取ってしまう。サイコメトリーの感覚共有が無い劣化バージョンみたいなものだ。
だから常に手袋を嵌める。手袋の情報は常に入ってきてしまうが、しないより入ってくる情報量はずっと少ない。
手袋なしで、お金でも触ってみろ!誰が触って何をしてるかまで情報を読み取ってしまってみろ!手袋なしではお金使えなくなるぞ!!
「あと、これからある人と約束があるんで帰りたいんですけど」
「それは駄目だ」
「猫好きという情報をヒーロー交流サイトに流してもいいですか?猫を撫でている写真付きで」
「わかった、気をつけて帰れよ」
凄まじい手の平返しだなぁ。そんなに猫好き知られたくないのか?……これは弱味と言っても差し支えないよねぇ?アハッ。いい情報ゲットだぜ!
「はい、助けて頂きありがとうございます。この恩はそのうち仇で──間違えた。普通に返します」
「……返さなくていい。ヒーローが人を助けるのは仕事だ。金は国から貰っている。それに助けたやつから一々恩を返してもらっていては時間がかかり過ぎる、非合理的だ」
「それもそうですが……ふむ。まぁ、いっか。
これ以上会話で得れる情報無し、かなぁ。
そろそろ予定も押してるし、イレイザーヘッドさん、さようならぁ」
「ああ」
足を捻ってしまったため、ひょこひょこと何とも間抜け感じでその場を離れた。
その後、イレイザー・ヘッドが猫好きな噂がネット上で静かに囁かれたとか囁かれてないとか……
私、報情読気。運動苦手系女子。ヴィランに追いかけられ、ヒーローに恩を作りつつ元気に生きてます。
最後まで読んで下さり、本当にありがとうございます。
今回めちゃくちゃ長くなりました。はい。
【次回予告】
「情報を制すもの全てを制すぅ!!この会場は全て私の盤石うえなりぃー!」というわけでやっと入試試験だぞ!!!
良かったら感想ください、待ってます。