QUICKSILVER IS FASTEST MAN ALIVE   作:ピエトロ

2 / 2
だいぶ時間が経ってしまいすみません。
更新頻度はかなり遅いですが気長にお待ちいただけると幸いです。


PHASE-2 ENTRANCE EXAMINATION

現時刻は2月26日午前7時を過ぎたところ。出久を連れて家に戻りシャワーを浴び朝ごはんを食べ今日の戦場へと俺たちは向かった。

 

今日、俺たちは雄英高校一般入試実技試験に挑む。この日のために俺たちは特訓してきたんだ。ほらあれだよ人事を尽くして天命を待つ

「間にあった!」

 

「ギリギリセーフ、ってあと15分も余裕があるじゃん」

 

結構遅めかと思ったけどそうでもなかったな。俺と出久が雄英に到着した時には既に受験生たちが何人も試験会場に入っていた。

 

雄英の校舎はHEROの頭文字のHの形をしていた。理に適ってはいると思うけどやっぱり最高峰ってだけに校舎のデザインもすげえな。

 

「どけてめえら……!」

 

聞き慣れたドスの利いた声の方を見ると俺たちの予想通りバカツキがいた。

 

「俺の前に立つな、殺すぞ」

 

「はいはい分かりましたよ国王殿」

 

こいつはどこに来てもブレないな。高校でもこんな感じ貫き通すつもりか?

 

ガチガチガチ!

 

隣を見ると出久がさらに萎縮しており体が目覚まし時計のように震えていた。

 

今までのどんな場面よりも緊張してるな。まあ無理もない、何せ俺と違い出久は個性を使うのが今日が初めてだ。かなり不安なんだろう。

 

でも、この世界のマンオブスティールであるオールマイトから力を授かったんだ。それにここ十ヶ月間出久はかなり追い込んでた。今では以前のもやし野郎の出久ハマる影もないほどに変わっている。

 

腹筋も割れガタイも良くなり体力も上がった。オールマイトも言ってた通り器はなしてる。問題はオールマイトの髪の毛がお腹に馴染むかどうかだな。俺はガチガチに固まった出久の肩に手を乗せ揉みほぐした。

 

「よーし良いかチャンピオン、リラックスだ!力の試運転は出来てないが大丈夫!前とは違うんだ!この地獄の10ヶ月を思い出せ!覚悟はいいか?俺はできてる!」

 

「速人……う、うん!以前の僕とはもう違うんだ!」

 

決意を新たにした出久はその第一歩を踏み、

 

「「あ」」

 

外してしまった。出久の足は段差に引っかかりそのまま前へと倒れ込んだ。

 

「あちゃー……」

 

しかし出久の体が地面とぶつかる事はなかった。

 

地面に倒れるはずの出久は宙に浮いていたのだ。その後ろには自身の両指同士を当てている女子の受験生が安堵の表情を浮かべていた。

 

「大丈夫?」

 

「わっ えっ!?」

 

女子の受験生は出久が大勢を整えたのと同時に個性を解除した。どうやら浮遊させる個性らしい。

 

「ごめんね勝手に。でも転んじゃったら縁起悪いもんね」

 

「へ……あ……えと………」

 

「緊張するよねえ……まあお互い頑張ろう!」

 

そう言い残し女子の受験生はは試験会場へと入っていった。かくいう出久は目を輝かせ女子とのコンタクトに嬉しさを隠せないでいた。

 

クラスの女子と会話もせず話しかけられない出久にとってこのことは大きな一歩となっただろう。しかし、

 

「速人、じょ、女子と喋っちゃったよ!」

 

「いや喋ってない」

 

女子と会話した(思い込み)余韻にふけっている出久を連れ、俺は実技試験の説明を受けるため会場である大ホールへと向かった。

 

 

 

⚡︎⚡︎大ホール⚡︎⚡︎

 

大ホールは並のライブ会場と同等の広さがあった。数百人以上いる受験生がさっぱりと入るくらいだ。とにかく何もかもがでかいなこの学校は。

 

『今日は俺のライヴにようこそ!!!エビバディセイヘイ!!?』

 

当然、この緊迫した雰囲気司会進行役のヴォイスヒーロー・プレゼントマイクにのる受験生はいなかった。出久が毎週ラジオを聞いてるから俺も一緒に聞いてるけど、常時あんな感じなのね。

 

『こいつあシヴィーーーー!!!受験生のリスナー!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!!アーユーレディ!?YEAAHH!!!』

 

「ボイスヒーロープレゼントマイクだ、すごい……!!ラジオ毎週聞いてるよ。感激だなあ、雄英の講師はみんなプロのヒーローなんだ」

 

生でヒーローを見た出久はかなり興奮していた。目を輝かせながらぶつぶつ言うのは相変わらずだけど。

 

「入試要項通り、リスナーにはこの後!10分間の模擬市街地演習を行ってもらうぜ!!持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれよな!!』

 

「同校同士で協力させないってことね」

 

「てめェらを潰せねえじゃねえか」

 

「…………」

 

潰すつもりやったんかい。てかそれ趣旨違うかねえか?

 

『演習場には仮装敵三種・多数配置してあり!それぞれの攻略難易度に応じてポイントを設けてある!!各々なりの個性で仮装敵を行動不能にしポイントを稼ぐのがリスナーの目的だ!!もちろん他人への攻撃等アンチヒーローな行為はご法度だぜ!?』

 

「質問よろしいでしょうか!?」

 

俺たちの前に座っている受験生が手を挙げた。生徒はメガネをクイっと上げプレゼントマイクに聞いた。

 

「プリントには四種の敵が記載されております!誤載であれば日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです!!」

 

プリントに目をやると確かに四種類の仮想敵の絵が書いてあった。流石に誤載ってのはないんじゃないかな。

 

「ついでにそこの縮毛の君!!」

 

受験生は出久に向かって指を指した。突然指名された出久は慌てふためいていた。

 

「先程からボソボソと………気が散る!物見遊山のつもりなら即刻雄英から去りたまえ!」

 

あの感じからしてかなりの優等生で真面目くんだな。

 

「す、すみません…………」

 

「興奮するのはわかるけどそういうのは心に閉まっとこうな。ところで………それと、あとで物見遊山って意味教えて」

 

『オーケーオーケー!受験番号7111くん、ナイスなお便りサンキューな!四種目の敵は0ポイント!そいつはいわばお邪魔虫!マリオやったことあるか!?あれのドッスンみたいなもんさ!』

 

プレイヤーである受験生への障害か。マジでゲームみたいただな。でも実際やってみるとしてこの試験結構危なくないか?流石に死ぬまでは無いだろうけど、下手すりゃ大怪我だ。恐らく先生の中に治癒能力の個性を持った人でもいるんだろう。

 

「有難う御座います!失礼致しました!」

 

『俺からは以上だ!最後にリスナーへ我が校訓をプレゼントしよう。かの英雄ナポレオン・ボナパルトは言った!「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」更に向こうへ!PLUS ULTRA!!』

 

 

⚡︎⚡︎⚡︎⚡︎

 

試験の詳しい説明を受けてから数十分後、俺はいつも走るときに着ている身体にフィットしたスポーツウェアとスニーカーを身につけ演習場にいた。

 

周りの受験生もゾロゾロと動きやすい服装に着替え演習場に集まってきていた。みんなそれぞれ自分の個性に合った服やサポートアイテムを付けている。

 

俺は両腕を伸ばし軽いストレッチを始める。さてさて出久の心配をしたいところだけどこっちも受かりたいんでね。

 

 

俺も個性が出てからただボーッとしてたって訳じゃない。個性を使用できる運動場を借りてスピードを上げる為に走りこんだり竜巻を発生させたりなど能力の強化に勤しむ訓練をしていた。

 

その甲斐もあってか今では水の上でも走れるほどスピードが上がり色々な事ができるようになった。まだ稲妻とかは撃てないけど、我ながら個性発現から約半年でここまで来れたと思うよ。フラッシュのトレーニング方法大成功だ。

 

『はいスタート!』

 

唐突にプレゼントマイクが開始の合図を出した。俺はゴーグルをかけ走り出した。

 

この瞬間俺の周りの世界は制止した。しかしこれはDIOのように時を止めたからではない。俺が速すぎるため周りが止まって見えているだけなのだ。

 

唐突にプレゼントマイクが開始の合図を告げたためか俺以外の受験生はまだ市街地に入っていなかった。

 

俺はこのブロックにいる誰よりも速く走りだし一台、また一台と仮想ヴィランをスピードパンチで破壊していった。このスピードで壊れるなら強度は大したことなさそうだ。

 

『どうしたあ!?実践じゃカウントなんざねえんだよ!!走れ走れぇ!!債はなげられてんぞ!!?』

 

ハッとした受験生達が次々と遅れて入ってきている。まあ今は他人よりも自分のことに集中しよう。

 

「オラっ!」

 

スピードパンチを繰り出しロボット達を破壊する。俺の能力は超高速で動くこと、オールマイト並みのパワーを出せるわけでもない。

 

でも攻撃のスピードを上げることは出来る。例えばパンチのスピードを上げることで通常時の力よりもパワーを出すことはできる。また手を超高速で振動させて強力な打撃を与えることも可能だ。

 

「よっ!はっ!」

 

『目標補足ぶっ殺』

 

一体、また一体と仮想ヴィラン達を破壊していく。

 

「寝てろ遅すぎる」

 

その後、驚くほど順調にポイントを獲得していった。大体ポイントはそれなりに取れたって感じかな。

でもまだまだ油断はしてらんない。取れるところまで取っていこう。

 

『目標!目標補足!』

 

俺が次の標的に狙いを定めたその時、突如試験会場に大きな地響きが鳴り響いた。

 

「な、なんだ!?」

 

地響きはどんどんデカくなっていった。俺が振り向くと背後には他のロボットよりも遥かに大きいロボットが、ビルの影からこちらを覗き込んでいた。20メートルはあるな。

 

「うわでっか!あれがお邪魔ロボットって奴か」

 

大型仮想ヴィラン・インフェルノの出現により付近にいた受験生達が一斉に逃げ出してきた。絶対にドッスンより質が悪そうだ。ポイントは十分とったしアレは無視、

 

「ってアレやばくね?」

 

大型仮想ヴィランの方に目をやると、足元には受験生が2人いた。1人は金髪の髪の毛に黒いメッシュが入った男子ともう1人は耳からイヤホンが伸びている女子だった。あのままじゃ踏まれるぞ…………んんん、しょうがない!

 

「ヤッベェ!!」

 

「ちょっと嘘でしょ!?」

 

大型仮想ヴィランに踏まれそうになっていた二人を俺は間一髪で抱き抱え、大急ぎで仮想ヴィランから離れた。そして数十メートル先の位置に二人を下ろした。

 

「お二人さん大丈夫かい?」

 

「速っ!?アンタメチャクチャ速ぇな!!」

 

「う、うん。ありが「それじゃあお互い頑張ろうぜ!」あちょっと!」

 

さてとあのでかい仮想ヴィラン、倒せるだけの腕力俺にはねえしここは無視するのが得策か。

 

「うわああああ!!」

 

「ん?だあっ!?」

 

空から黄色いパーカー着た受験生が吹っ飛んできた。受験生は俺の真上に勢いよく落ちてきた。受験生は打ち付けた箇所を押さえながら立ち上がった。

 

「イテテテ、やっぱ無理かー」

 

「いってえ、何なんだよ一体!」

 

「あー、悪いな!いや実はなあの巨大ロボぶっ壊そうと思ってさ。いやー、流石にあれは一人じゃきついな。俺は濱雲修二!個性は振動波だ!」

 

「マキシモフ速人、ってそんな悠長に自己紹介してる場合じゃねえ!」

 

「あーナイスツッコミ!」

 

全然つかみどころのねぇ野郎だな。

 

「でも濱雲よー、あんなのどうやってぶっ壊しゃいいんだ?」

 

「所詮ロボットだ。"脳みそ"破壊すりゃ止まるだろ?」

 

そういうと濱雲はインフェルノの頭部を指差した。確かに濱雲の言う通りだ。所詮こいつらはロボット、中身の機械を破壊さえ出来れば動きは止められる。

 

「でも問題は」

 

「どうやってそこまで行くか、だよな」

 

アイツは俺たち受験生の動きに反応する。俺の最高速度を出せば余裕だが、アイツは賢い。でも誰かに引き付けられていたらどうだろうか。

 

「閃いた!俺にいい考えがある!」

 

「ほうほう。して、その方法は?」

 

「アイツのブラックボックスの場所はわかるか?」

 

「頭と胴体の付け根だと思う」

 

「よし、振動波でヤツの動きを止められるか?」

 

「大丈夫だけど長くは持たないぞ。持って1分だ」

 

「上等だ」

 

 

『ブッコロォォス!!』

 

「レディ!」

 

「ステディ!」

 

「「ゴー!!」」

 

俺たちはお互いの合図に行動を開始した。濱雲は両手のガントレットを構えインフェルノの前に立ちはだかった。

 

「SHOCK'N 'ROLLといこうぜ!」

 

濱雲のガントレットから衝撃波が勢いよく放たれた。衝撃波はあたりの瓦礫を吹き飛ばしインフェルノに直撃した。衝撃波の威力は凄まじくインフェルノを押し返すほどに強力だった。

 

「今だ!行け!」

 

「あいよ!」

 

俺はゴーグルを目に当てインフェルノに向かって走り出した。空中に浮いている瓦礫を伝い俺はインフェルノのブラックボックスを目指した。

 

「ぐぬぬぬぬぬ!ここから先は通さぬ!!」

 

『ブッコロォス!ブッコロォス!』

 

インフェルノも衝撃波に負けじとじわりじわり濱雲に迫っていた。

 

俺はインフェルノの機体に飛び移りブラックバックの目の前へと移った。ブラックボックスの盤を外すと中には制御盤らしき精密機器が所狭しと並んでいた。

 

「そんじゃあいっちょ!!」

 

俺は制御盤に向けて拳を振り下ろした。速度を上げた俺のパンチが制御盤を貫いた。制御盤から火花が散りインフェルノの動きがだんだんと遅くなっていく。そしてインフェルノは完全に停止した。

 

『ブ……コロォォ…………』

 

「やったぜ!」

 

「やったな速人!ほらハイタッチだ!」

 

「「イェーイ!」」

 

『終ーーーー了ーーーーーーーッ!!!』

 

プレゼントマイクの終了宣言が試験会場に響き渡った。この後俺は濱雲と意気投合し連絡先を互いに交換した。こうして俺たちは実技試験を無事終えた。

 

 

 

 

 

⚡︎⚡︎一週間後⚡︎⚡︎

筆記の方は自己採点ではギリギリとれていた。この半年死ぬほど勉強した甲斐あったよ。

 

問題は実技だ。実際のところどんだけロボットが出てたのか知らないし、それに周りが俺よりポイント獲ってたかも知れないし……でも今一番心配なのは、

 

「……………………」

 

「出久…おい出久ってば!!」

 

「ちょっと大丈夫!?何魚と微笑み合ってんの!?」

 

「え?ああごめん……大丈夫!」

 

入試が終わってからずっとこの調子だ。筆記の方は俺と同じで自己採点でギリギリ合格ラインを超えていたみたいだけど、実技が0ptじゃあきついよ。

 

しかし理不尽な話だよ、危険な状態の他の受験生を巨大なロボットぶっ倒してまで助けたのにポイントなしとは。オマケポイントみたいもんはないのかね。

 

「終わったものはしょうがないんだし腹くくるしかないよ。俺だってまだわからないし」

 

「ま、まあそんな落ちた時の話ばかりしてないで!でも私受けるだけでもすごいと思うよ!」

 

「おばさんの言う通り!全力出したんだ。雄英がダメでも他所のヒーロー科のある学校に行けばいい」

 

俺は食べ終わった食器を回収し皿を洗った。高速移動の良いところの一つは家事が一瞬で終わる事だ。

 

「ふ、ふ、ふ、二人とも!!」

 

慌てふためいたおばさんが手にしていたのは雄英高校から届いた合格通知だった。

 

 

俺達はそれぞれ自分の部屋に入り封筒を机の上に置いた。まずは深呼吸だ………

 

「すぅ………ハァ……開けるか」

 

俺は封筒の封を破った。中には円盤の形をしたディスクのようなものが入っていた。

 

「これ一体なんだ?」

 

『やあマキシモフ少年しばらくぶりだね!!』

 

ディスクをいじくり回していると、ディスクからオールマイトが投影された。急に飛び出してきたオールマイトに驚き俺は椅子から転げ落ちた。

 

「どわあっ!?」

 

『実は私!この春から雄英高校で教師をやることになってね!!それで、え?もっと短く?これ以上いったいどうしろと、分かったよ。それじゃあ要点だけ言おうマキシモフ少年!先ず試験の評価だが!筆記はきちんと合格ラインに到達している!そして、実技の点数だが君はなんと実技成績1位だ!君があの巨大仮想ヴィランを他の受験生と協力し破壊したことによって、君たちにはレスキューポイントが付与された!』

 

『そう!我々が見ていたのは倒したポイントのみならず!まあ、人助けした人間を排斥しようとするヒーロー科などあってたまるかってはなしだよ!』

 

「………おっとこれは」

 

『すなわち、見事君は合格したといううわけだ!!おめでとうマキシモフ少年!!』

 

「よっしゃあー!!!」

 

『さて!君がこれを見ていると言うことは緑谷少年も見ている頃だろうれさっそく報告に行ってきたまえ!』

 

俺は自分の部屋を飛び出し出久の部屋の前に向かった。

 

「出久出久出久出久!!!」

 

俺は興奮のあまり出久の部屋の戸を何度もたたきつけた。すると出久がフラフラとした足取りで部屋から出てきた。

 

「ど、どうだった?」

 

「………合格、してた!」

 

「ヤッタア!!!」

 

近所迷惑かってほどに叫んでしまったがどうでもいいや。雄英に、しかも兄弟と一緒に受かるなんて最高だ。

 

 

 

 

⚡︎⚡︎⚡︎合格通知開封の翌日 午後3:30⚡︎⚡︎⚡︎

 

俺は家から電車で20分のとある場所へ向かった。安らぎ霊園、俺の母さんが眠る場所だ。受験が終わったら一度来ようと思っていたんだ。

 

俺の母さんはシングルマザー、たった一人で俺を育ててくれた。

 

俺は母さんの墓石の前に立ち手入れを始めた。墓を拭き枯れた花を新しいものに取り換える。

 

母さんは俺がまだ8歳の時に事故死した。車がスリップし壁に激突、母さんは即死だったそうだ。その時俺は後部座席に乗っていて助かったらしい。

 

その事故から数週間後、俺の断片的な記憶が思い出せなくなった。医者は事故のショックだろうと思ってるみたいだけど、俺が思うにそれと同時期に前世の記憶が蘇ったせいだろうとも思う。現世の記憶と前世の記憶が混同しちまったのかもしれない。まあ母さんの最期を見てるかもしれないからあんまり思い出したあとは思わないけどね。

 

俺の目標はフラッシュやオールマイトのように人々を助けられるヒーローになりたいこと。それと俺のように親を事故や事件で失う子を少しでも減らしたいんだ。俺が最速でみんなを助けられるようなヒーローに。

 

「よっしゃこれでオッケーと………母さん、俺ヒーローに絶対になるよ。みんなを救えるヒーローにね」

 

 

俺は母さんの墓石に手を当て墓地を後にした。

 

 

 

⚡︎⚡︎⚡︎⚡︎⚡︎

 

そして月日はあっという間に流れ数週間後、ついにこの日がやってきた。今日は待ちに待った雄英高校の入学式だ。俺と出久は新たな制服に身を包み心機一転機を引き締めていた。今日から俺達はヒーローの卵、ヒーローになるための大きな第一歩を踏み出すんだ。

 

朝から緑谷家はバタバタしている。お隣さんに写真を撮ってもらったり学校に持っていくものの確認など大忙しだ。

 

「出久ティッシュ持った!?」

 

「うん」

 

「速人襟立ってるわよ!」

 

「あ、いけね」

 

「二人とも」

 

「「なァにィ!!?」」

 

「……超カッコいいよ!」

 

「へへっ」

 

「………行ってきます!!」

 

俺たちはおばさんに見送られ雄英高校に向かった。

 

⚡︎⚡︎⚡︎⚡︎⚡︎

 

同時刻、東京のとある街の路地に渦が出現した。出現してから数秒後、渦の中から一筋の閃光が勢いよく飛び出して来た。閃光は街中を駆け回ったあと路地へと入り込んだ。閃光は立ち止まりマスクを外した。マスクの下の顔は白人の男だった。

 

「はぁ、はぁ、どうやら成功したみたいだ。この世界ならアベンジャーズもスパイダーマン も来ることはなさそうだな」

 

「おい、そこの君!」

 

するとパトロール中のヒーローとサイドキックが路地裏にいる男に声をかけた。

 

「君、その格好は」

 

「君もヒーローか?」

 

「この世界にスピードスターはいるか?」

 

「スピードスター?なんだそれは?」

 

「そうか。知らないんなら良いや。じゃあ死ね」

 

「死ねって何言っ」

 

ヒーローが言葉を言いかけた次の瞬間、ヒーローは首を折られ地面へと横たわっていた。

 

バキッ!

 

「お前何を」

 

サイドキックが身構えるもまた次の瞬間には首を折られ地面に横たわっていた。そんなヒーロー達を眺め男は嘲笑った。

 

「フン、他愛もないね。さてと、待ってろよこの世界のスピードスター。"スピードの悪魔"が今行くぞ!』

 

男は再びマスクを被り、再び街中へと駆け出していった。




今回はここまでになります。
次回も頑張って投稿しますのでよろしくお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。