エロい葉隠れちゃん    作:kurutoSP

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ミッションスタート ポンコツパート2

 今日は私は悲しかった。それはそれは悲しかった。だが、私の明るい未来の為、私は涙を呑み、目の前の愛しい人の誘いを断るのである。

 

「え!今日一緒に食堂に行かないの?」

 

 その顔が曇るのが辛い。

 

「うん。ごめんね」

 

「いや、別にいいんだけど。でも、何かあったの」

 

 その言葉を聞き、私の表情も曇る。

 

「えっとね。先生に呼び出されてて」

 

「ああ、相澤先生の授業寝てたものね。仕方ないか」

 

「てへ。ごめん響香ちゃん」

 

 そうして、私は響香ちゃんと別れて職員トイレ前に向かう。

 

 女子トイレに迷うことなく入ると私はカメラを握り、笑みを浮かべる。

 

「ミッションスタートだ」

 

 そうして私は湧き上がる衝動を抑え、女子トイレにそのカメラを設置………………すうるようなことはせず、泣く泣く、その口に隠し、服を全て脱ぎ、コソコソとトイレの個室にカギを閉めたまま、扉の上の隙間から外に出る。

 

 そう、この日、私は遂にヴィラン側としての最初のミッション、ヒーロー側の情報の抜出を行うのである。

 

 さあ、仕事だ!

 

 私は心の中で自身に活を入れると、トイレの出口で一度止まり、人通りの少ない通路の足音を確認してから、ゆっくりと顔を出口から出し、近くに誰もいないことをホッと一息つくと、ようやく廊下に堂々とその身を晒すのである。

 

 何故だろう。これから行う自分の悪事と、そのミッションの重要さにドキドキする以外に私の心に生まれるこの気持ちは何であろうか。

 

 高まる緊張に勝手に歩幅が小さくなる。

 

『大丈夫。落ち着け私。ここは今やオールマイトがいる、世界で最も悪と遠い場所。外部からの侵入は難しくとも、その大きな力ゆえに内部からには大きな油断が生じるはず!だからこの作戦は成功する!ビリーブ!トラストミーです。………なんかこの言葉を使うと自分が信じられなくなってきたけど大丈夫。私は未来を知っている。確定された未来を知っている。だから大丈夫。落ち着け落ち着け』

 

 私は自分を信じろと日本語で心の中で呟くと、時たま聞こえてくる足音にびくびくしながらも、作戦開始時間までに職員室近くの教員トイレに入り込むことに成功する。

 

『ふっ!大丈夫だったか。やっぱこの私は天才!』

 

 トイレに駆け込み一息つくと、誰にも気づかれることなく作戦の前段階に移れたことに自分を鼓舞するように自身を褒めちぎる私であったが、私は任務への緊張と達成感からの興奮で自身の体の違和感に気づくことは無く、妙に汗をかいた額を拭う。

 

『ちょっと暑いかな?』

 

 ふうッとため息を吐き、そのまま用を足す。

 

『あ~』

 

 緊張が水の跳ねる音と共に流れていく気がして、声が出そうになったが、流石に自重した。

 

 解放感に身をゆだねつつもカメラの起動の準備を行い時を待つ。

 

 そうして緊張からの解放感に暫く身を浸していた私だが、突如震えるロータ……じゃなくて揺れる小型の丸いピンクの何かを口から取り出すと、私はローターではないそれに非常に酷似したヴィラン連合特性、コスト、量産性、秘匿性の全てを兼ね備えたスパイ道具を引きつった目で見た後、トイレットペーパーに何重にもくるむと、トイレのゴミ箱に捨てて職員室に向かう。

 

『この合図に使った道具ってやっぱり…………』

 

 心の中で黒霧を絶対からかってやると誓いつつも、人にぶつかってバレるというへまをしない様に気を付けて職員室の扉の前まで焦らず、しかし早足で向かい、その大きな扉の目の前に立つ。

 

 そう、入るのではなくその扉の前でただ立つのである。

 

 扉の前で立つ私の顔をもし見れる人がいたなら、即座にこう思うこと間違いなしである。

 

 あいつミスったなと。

 

 つまり私の今の顔は少しどころかかなり青ざめているのである。

 

『え?え!へ?ほ、ほへ?いや、いやいやややや?入れないやん!』

 

 鍵などかかっていない扉を前に固まる私。

 

 後はこの扉を開け中に入って相澤先生のパソコンなり、その他の先生、校長の書類などを漁るだけなのであるが、そもそもこの扉を私は開けられない。

 

 いや、勿論、この扉に特殊なギミックなどない。開けようと思えば開けられる。

 

 ただ、もし、そうもし、此処で私がこの扉を開けたらどうなるであろうか?

 

 普通、扉を無音で開けて無音で閉めるのは中々難しいし、扉とは無意識に人の出入りを印象付けるファクターである。つまり、意識しないにしろ、扉が開くということに人はどうしても意識を向けるものだ。

 

 もちろんこれは私の短い人生経験からなる考察であり、実際のところ何の問題もないかもしれない。

 

 だが、此処にいる先生たちはプロのヒーローである。もし誰かが、ひとりでに扉が開き、そして扉が閉まるのを見たらどう思うだろうか?

 

 気のせいと思うだろうか?

 

 ハッキリ言って不安だ。

 

 そして今何の問題なくても、この後のUSJ襲撃事件の後の内部犯の可能性に即座に思い至る教師陣がこのときの不可思議な現象を見逃すだろうか?

 

 勿論、これは私が慎重すぎるだけかもしれない。

 

 だが、突如その可能性に思い至った私は自身の手を扉の取っ手から後数十センチの所から動かせない。

 

『どうする?どうする。どうする!このままタイムオーバーはヴィラン連合から、しかし、この可能性に思い至った今!私の身が牢獄に繋がれる可能性を増やすわけにはァァァァァ』

 

 進退窮まる。まさにその場で硬直した私であったが、救いの手は即座に降ってきた。

 

「あ~もう!マスコミはやっぱヒーロー活動に邪魔なのよ!まとめて眠らせてくるわ」

 

 ガララと荒く職員室の扉が開け放たれ、扉を開いたと思われる人物が私の視界に入らない。

 

 いや、入っているのだが、入っていないのだ。

 

 目の前にあるたわわな果実に心を奪われながらも、私は身を屈め入り口と扉をあけ放った人物との間にできた隙間に体を素早く、それでいて当たらない様に、そして必死にその魅力的物体から目を逸らし職員室に侵入する。

 

 ミッション第一段階、侵入を果たすことに成功した私はほんの少しだけ後ろを振り帰り、その手に持つカメラをよろしくないと分かりながらもを向ける。

 

『ミッションスタートだ!』

 

 それは大切に、大切に口の中にカメラを戻すと、また緊張感がぶり返すが、このスパイ行為に男心を燻られ、私はドキドキと共にワクワクを感じ、相澤先生の机に近づくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと我慢してください!あなたの能力を一般人に使うと、後の処理が面倒ですから、お願いですから待っマスコミに突撃しないでくださいよ」

 

 コンクリートの塊のような男、セメントスは荒ぶる美女と痴女の合間にいるミッドナイトを引き留める。

 

「別に問題ない!彼らの行為はれっきとした犯罪!」

 

「あなたの場合、コスチュームの件を上げられる可能性が未だあるのですから自重してください」

 

 セメントスは今にも自分を振り払い突撃しかねない彼女をどうにかして引き留めようとする。

 

「全く、いいじゃない!子供が大人になるってこと……?水?」

 

「冗談だと知っていますけど、それマスコミの前で絶対に言わないでくださいよ」

 

 セメントスは彼女の発言に呆れながらも、彼女の動きが止まったのを見計らい、扉を閉める。

 

 一方、彼女は扉向こうにあった水とほのかに香る女性の臭いに荒ぶる感情に水を差され、そして自分が良く嗅いだことのある臭いに疑問を一瞬感じたが、セメントスに扉を閉められ、説教に移行しつつある彼に、これは下手すると校長のお話も割り込んでくるかもしれないと一旦忘れることにしたのである。

 

「大丈夫だから。分かったから、私たちに出来る仕事をしましょ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 セメントスと、ミッドナイトがマスコミに対する自分たちの役割を果たそうとしていた頃、透明人間はと言うと、自分の証拠を残さぬ手際に自惚れ、ところどころに残してきた痕跡に全く気付いていなかった。

 

『完璧!情報ゲットー!興奮するゥゥゥゥゥゥ』

 

 ………………。私はこの時の自分がいかにポンコツであったかをまだ知らなかったのである。

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