流石に第2層は参加するでしょう
「ねえ、もうすぐ一層のボス攻略が良くも悪くも終わった頃じゃない?行ってみる?」
「そうだな。もうすぐDEXが極まるし行ってみるか」
「ユニークスキル出ない。もうそろそろいい頃だとは思うんだけど」
「いや、それは無い。速すぎる。あるとしても40層超えたあたりじゃないか?」
「シンプは綺礼のかぎつめ見たいのじゃない?名前忘れた」
「黒鍵な。投擲剣」
「それって僕の方があってない?」
「知らん。あと独自の八極拳を練習中」
「こいついつかギルをサーヴァントとして連れていそうだな」
「子ギルに似過ぎているハルはやばい。やっぱり愉悦部は必要」
「
第1層のボスまで行こうと言う話からユニークスキルの話になった。こいつらにまともな言葉のキャッチボールができるとは思えない
「さーて、じゃあ行きますか」
「誰が死んでいると思う?」
「死ぬの前提かよ。じゃああの青髪の人」
「キバオウ一択」
ボス部屋までの道すがら話ならがらボス攻略で誰が死んでいるかの話し合いになる。不謹慎すぎる
所変わって第一層ボス部屋。ボスにとどめを刺したのはキリト。そこに至るまでに広場で集会を行った青髪のディアベルが犠牲になった。ボス部屋にはボス攻略のリーダーの喪失とクリアに一歩前進した喜びが合わさったような空気が漂っている
「なんでディアベルはんを見殺しにしたんや!」
そんな空気を断ち切るような特徴的な関西弁を話すキバオウが声を荒げて叫ぶ。空気を読まない発言にハルたちがこの場にいたら文句の一つや二つ言われていただろう
「おい、見殺しってのは失礼だろ」
そう言ってキバオウに一歩踏み出す大柄な色黒のハゲ……ゲフンゲフン、スキンヘッドのプレイヤー『エギル』は落ち着かせるためにキバオウに手を伸ばすが叩かれる。さらにヒートアップしていく
「そうやろがぁ!テスターどもは知ってたんや、アイツが刀使うこと!最初から情報伝えとったらディアベルはんは死なずに済んだんや!」
その言葉に少しずつ感化されて行った周りのプレイヤー達はザワザワとする。それもそうだ。第一層ボス攻略に嘘を紛れ込ませたβテスターが居るはずだ、と
「きっとアイツら元βテスターだ…………だからボスと攻撃パターンも知っていたんだ!!知っていて全部隠していたんだ!」
いるかも分からない相手を探すためにどんどん騒ぎは大きくなっていく
そこに一人の男性プレイヤーがキリト達に人差し指を向ける
「他にもいるんだろ!βテスターども!出て来いよ!」
「…」
男性プレイヤーから始まって周りのプレイヤー達がキリト達に罵倒を浴びせる
こんな状況だが、キリト達が逃れることはできる
ディアベルはラストアタックを狙って前に出たが返り討ちにあった
や、
ディアベルのHP配分が悪かったで押し通すか
など、あるが、それでもいるかも知れないβテスターを探す流れは変わらない
そんな中、大声で笑うものが現れた
「………あっはははははははは…」
罵倒を滝のように浴びせられていたキリトだった。顔には満面の笑み……ではなく皮肉を込めた悪意のある表情を浮かべて立っている
「ハハハハ……元βテスターだって?俺をあんな素人連中と同じにしないでほしいな」
「な、何やと……!」
キリトのセリフにキバオウがすぐに食らいつく
「SAOのβテストに当選した千人の内の殆どはレべリングのやり方も知らない初心者だったよ。今のアンタらの方がまだマシさ。でも俺はあんな奴等とは違う、俺はβテスト中に他の誰も到達できなかった層まで上った!!ボスの刀スキルを知ってたのは『ずっと上の層で刀を使うモンスターと散々戦ったから』だ。他にも色々知っているぜ?情報屋なんか問題にならないくらいな」
「チートや、そんなんチーターや!」
キバオウの言葉にどこからかβテスターでチーターだから『ベーター』という声が上がる
その声が耳に届いたのかキリトが言葉を放つ
「『ベーター』か。良い呼び名だな、それ」
口角を上げてからアイテム欄を開き、ラストアタックボーナスで得たコート・オブ・ミッドナイトをオブジェクト化し肩にかける
「そうだ、俺はビーターだ。これからは元テスター如きなんかと一緒にしないでくれ」
そう言ってキリトは踵を返し、第2層に続く階段に向かって歩き出す
(これで良いんだ)
そう、心で何度も唱えながら
キリトが階段を上って見えなくなった頃にボス部屋の扉が開く……………一部を破壊して
「あれ?扉壊れちゃった。不良品じゃない、この扉」
「おかしいだろ。STRが最大ちょっと前でも扉は破壊できないだろ……多分。バグか?」
「バグを引き起こすほどの筋力値って事だろ気にするな」
「いやそれはもはやBANされても文句言えないような」
「え?こういうバグが発生するSAOのゲーム自体が悪いんじゃないの?」
「スッゲェ暴論でたな。茅場がこれ聞いていたら強制ログアウトになるぞ」
「つまり、僕は一足先に誰よりも早くデスゲームから脱出できるってことじゃんやったー!」
「いや、人生のログアウトになるってこと」
「自業自得すぎてなんとも言えない。が、これでまた一つ世界が平和になるな。チッ」
「あれ?シンプ?なんで世界が平和になるのに舌打ちしたの?」
「性格」
「性格なら仕方がないね」
なんともその場の空気にそぐわない調子で話す3人が入ってきた
ボス部屋に入ってから辺な空気が流れていることにいち早く気づいたハルが、いつもと変わらない口調で口を開く
「あれ?なんだろうこの空気。なんかあれだね。自分たちを率いていたリーダーが死んじゃってしまったような空気。となるとディアベルさん…だっけ?ログアウトしたってことなのかな?」
「ディアベル?」
「青髪の人。広場にいたでしょ」
シュンは何か考えるように手を顎に当てて記憶の中を巡っていく
「なんやお前たちか」
「チッ!なんでキバオウ生きてるんだよ」
「なんやて!」
「どうどう……」
考えているシュンは基本的に動かないので珍しくハルが落ち着かせるようにする
「それで?ボスを倒したって事は誰かもう二層に行ったんでしょ?早く行かないとゲームクリアできないよ?」
「そんな気分でもないわ!ったく」
「うわお…なんだろうこのピリピリした空気。ディアベルさんがログアウトしただけでこうなる?」
「ところで、ボスはどうだったの?」
シンプがキバオウにボスはどう行ったやつかと尋ねる
「あ?巨大な青い牛みたいなやつで刀スキル使ったで」
「「え(は)?」」
キバオウの言葉にβテスターのハルとシンプが一緒に声を出す
「いや?第1層のボスは刀スキル使わないよ?」
「ディアベルが死んだのって、刀スキルを急に使われたから動揺して動けなくなったところを攻撃されたのか」
「なんで、お前らボスのこと知ってるんや」
「いや僕たちβテスターだから」
その言葉でボス部屋の空気が凍りついた。ような雰囲気が漂う
「お前らもβ……」
「ちょっと待って!」
激昂したキバオウの言葉を遮るようにハルたちに向かって早足で駆け寄る1人の少女、栗色の綺麗なロングヘアの15歳ほどの少女、アスナ。彼女はキリトとチームを組んでボス攻略を行った1人だ
「βテストの時にボスは刀スキルを使わなかったのよね?」
「YES !YES!YES!」
「じゃあキリトくんはなんで自分だけが罪をかぶるような事をしたのかしら」
「思い出した。ディアベルってプレ名がβテストの中にあった」
さっきから黙りこくって考えているような仕草をしていたシュンが声を出す
その言葉で何度目かの空気が凍った。なんど凍っているんだよ、とハルがいいそうな気もするが
「まあなんかこの空間の空気がマイナスに行っているから僕達は第二層に行くね!もう誰か先に行った人いる?」
「キリト君が……」
「なんやて工藤!」
「せやかて工藤」
さっさと次の層に行こうとする3人組。もはや当然なのか、ハルがシュンの足を持つ
「あぁまたか」
「行け!水平射出飛行人体シュン!」
もはや
「どうなってるんや」
キバオウは何が起こっているのかまだ把握しきれていないように呟く
第2層の森林の中を歩くキリトは背後からの叫び声に振り向きたくないと思いながらも振り向く
そこには顔面がボドボドになっているシュンがドアップで視界を埋め尽くしていた
「うおおオオォ!!!!」
反射神経のみでしゃがんで回避するキリト。流石だ
シュンは木にぶつかってより一層顔がボドボドになったところでシュンを投げた張本人が現れる
「あっれれ〜?こんなところに人がいる。って広場の人!君が最初に来てたんだ」
「あんた達は……」
呆れと同様の混じった視線を2人に向けるキリト。そういえばこいつらβテストの時にもおかしなことやっていたな、と過去を思い出していた
「まあ折角だからフレンド申請しておくね。何かあったらシンプがそっちに行くと思うよ」
「いや、お前達は……」
「ん?君は……あーβテストの時にいた人!なんか思い出せなかったよ。次の街まで一緒に行かない?」
「………………わかった……」
人の話を全く聞かないハルにキリトが折れた。大人の対応のキリトであった
3人の武器
シュン……現在曲刀。後に変えるかも
ハル……片手剣
エセシンプ……直剣一筋