IS学園の男性教員   作:勝間 おとう党

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タイトルのネタがわかる人は多分いないだろう

もうそろそろクリスマスも終わるけどギリセーフ
タイトル通り題材はクリスマス

本当は25日の0時にあげようと思ってたけど無理だった
これも全部ゴッドイーター3が悪い



閑話 別にキリストじゃ無いし(金豚風)

 −−今からデートに行きませんか?

 

 

 些細な出来心だった

 

 年末の異様に増える仕事

 ISの研究が進ま無い事に関する苛立ち

 無能共の地味な茶々入れ

 

 その他諸々が積み重なったせいだろう

 クリスマスなのにとぶつぶつ言っていた千冬さんに突拍子も無く言ってしまった

 

 柄にも無い事を言った自覚はある

 普段は同僚との関わり合いを避けているし、仕事をほっぽり出した事も無いからな

 私の台詞に呆けた千冬さんを見れば一目瞭然だった

 

 だから私も冗談だと言おうとした

 したのだが、私が言葉を発する前に

 

 −−よし、行くぞ。2人同時だと怪しまれるから先に行って車を出せ

 

 そう言われてしまった

 

 

 任さている仕事を放置して外に出るのは忍び無いが、終わらせなかったところで明日からの業務に支障が出る程では無いので割り切る

 

 

 自室に荷物を取りに行くふりをして学園内の駐車場に向かう

 

 1年前に学園の近くにある車屋で

『1番良いのを頼む』と言って買ったこの車

 外装はそのままだがシステムなどは色々と弄った

 具体的に言うとガソリンを使わず、ISコアを繋げる事によりSE−−シールド・エネルギー−−で走行可能とした

 ISコアの無駄使いだと言われそうだが、元々テロリストから巻き上げたものだし、製作者には許可を貰っている

 

 車に乗り込み暖房を点け、座席に体を沈ませる

 1番良い車を買っただけあって座席は柔らかく、居心地が良い

 学園をクビになって寮から放り出されても車に住めば良いと思わせる程快適なものだから困ったものだ

 

 こんこん。がちゃ

 

「すまん遅れた」

 

 そんな下らない事を考えていた間に千冬さんが

 

「別に待ってませんよ。で、何処に行きます?」

 

「お前が誘ったんだからお前が決めろ」

 

 これは困る返答が来た

 女性と2人っきりで出掛けた事なんて、指で数えられる程しか無い

 ネットで検索したいところだが、隣に千冬さんが居るのでそんな格好悪い事は出来無い

 

 さて、どうするか

 早く出発しないと周りにサボる事がバレる

 頑張れ私。最適な解を導き出せ!

 

 ……………………………………………………………

 

[壁]д者)Ξスッ

 

(´作ノ∀者`)「みなとみらい」ボソ

 

[壁])≡サッ!!

 

 

 みなと……みらい……………?

 

 みなとみらい……みなとみらいか

 確かにデートスポットとして有名だし、今ならイルミネーションが施されていて綺麗だろう

 そしてそこまで遠くは無い

 

 アドバイスありがとうございま……す……?

 んっ?誰だ今の人は?

 …………………………………………………

 

 まぁ良い。いや、良く無いが

 しかしあの人の沙汰より学園から離れる事の方が優先だ

 

「シートベルトはしましたか?では出発します」

 

 

 千冬さんに確認を取り、唯一通っている物流用の道路を使う

 

 おそらくは更識の包囲網に引っ掛かったが千冬さんも居るし、面倒な事にはなら無いだろう

 

 市街地を通り抜け高速に入った

 

 

「それはそうと、どうしたんだ急に?お前が仕事をサボるなんて初めてじゃないか」

 

「まぁあれです。流石にこうも仕事が多いと私も辛いんですよ。でも明日に響かない程度には終わらせましたよ」

 

「ハハッ。そういうところは抜け目がないな」

 

「雇われてるからには最低限はやりますよ」

 

 私を雇う事で不利益が生じてるだろう

 本当に轡木夫妻には感謝しても仕切れない

 

「千冬さんはどうですか。最近」

 

「最近か……ふむ…………」

 

 しまった。会話の墓場だ

 もっと気の利いた事も言えないのか私は

 

「いえ、すみません今の無しで。そうですね。例えば…………うーん………」

 

 気の利いた事が思いつかない

 駄目だ。会話のボキャ貧

 こんな事ならコミュ力系統の論文でも読んでおけば良かった

 

 助手席の千冬さんが視野に入る

 何故か笑っていた

 

「何か私変な事言いました?」

 

「いや。変なことは言ってない。ただまぁ……」

 

 くつくつと笑う

 

「なんでも卒がなくこなすお前にも苦手なものがあると思うとな」

 

 むしろ逆なんだけど

 

「私なんて苦手なものばかりです」

 

「お前が言うと嫌味か皮肉に訊こえるな」

 

 そんな事は無いだろう

 現に今の体力や腕力なんて成人女性の平均以下だ

 

「私としては織斑先生の方が秀でてると思うんですけどね」

 

 私より後に学園に就いたのに出世している

 

「ブリュンヒルデと呼ばれて慕われていますし」

 

「………………………………………………」

 

 どうしたんだ。眉間に皺を寄せて

 何か拙い事を言ったか?

 

「……その呼び名はやめろ」

 

「何故ですか。格好良いのに」

 

「それはだな。呪われてた名前なんだ……ッ!」

 

 車内に千冬さんの切実なる声が轟く

 

「私がブリュンヒルデと知るだけで普通の男は逃げていく。近寄って来たとしても、それはブリュンヒルデという肩書き目当てのやつらだけだ」

 

 これには流石の私も苦笑

 肩書き程度で魅力がわから無い

 なんて盲目な奴が多いのだろうか ( ´Д`)=3

 

「お前はどうなんだ」

 

「何かです?」

 

「浮いた話しを訊かないが、付き合ってたりするのか」

 

 付き合う……付き合うかぁ

 

「生まれてこの方、特定の女性と親身に成った覚えは無いですね」

 

 私の台詞にほぅと声が漏れる

 

「そもそも付き合うまでに至る程の関係を築いた事も、それ以前に友人すら居なかったと思います」

 

 多分そんな人が居れば微かにでも記憶の断片に残るはず

 

「反抗期と言いますか。誰とも関わり合いを持た無い程に荒れてましたからね」

 

「想像できんな」

 

「織斑先生の弟さんはどうなんです」

 

「一夏か……。特にないな」

 

 へぇ。それは良い事だ

 反抗期なんて拗れの素だからな

 

「どんな風だったんだ」

 

「どんな風とは?」

 

「反抗期だ。お前の荒れてる姿に興味がある」

 

 勘弁して欲しい

 

「……そうですね。まず口調が違いますね」

 

「例えば?」

 

「……例えば……。一人称が俺だったり」

 

「そうだな。試しにその頃の口調で喋ってみろ」

 

 いや、本当に勘弁していただきたい

 でも言われたからにはやらないと

 

「……んっ……んんっ……あー……………」

 

 ………………………………………

 

「これでどうですかね。織斑先生」

 

「なにも変わってない」

 

 ですよね

 

「荒れてても目上の人には敬語でしたから」

 

「じゃあ敬語をやめろ」

 

「……流石にそれは」

 

「目上と言ってもお前の方が先に学園に入っただろう」

 

「いや、でも、年上にタメ口と言うのは」

 

「学生じゃあるまいし年の差なんて関係ない」

 

 どんだけ私の反抗期の頃の口調に興味があるんだ

 

「……こっ…これで良いです…良いのか」

 

 ……………………………………………

 

「なんか思ったのと違う」

 

 言わせといて感想がそれですか

 

「あまり生徒と喋ってるときと変わらんな」

 

「確かにそうですね」

 

 車内に沈黙が訪れる

 

「織斑先生はどn「それだ」…どうしました?」

 

「呼び方だ」

 

 呼び方?何かおかしいところがあるのだろうか

 

「私のことは千冬でいい」

 

 ……………………………………………………

 

「いや、それは何と言うか」

 

「遠慮はいらんぞ」

 

「別に遠慮をしているわけでは…………」

 

「……私を名前で呼びたくないのか」

 

 千冬さんは少し不満げな顔をす

 

 呼びたいか、呼びたく無いかと問われれば勿論呼びたい

 と言うより、心の中では千冬さんと呼んでいるし

 しかし、口に出すとなると話しは別だ

 

「私の立ち位置が複雑なんですよ」

 

「……………………………………………」

 

「簡単に言えば私は現状において唯一の男性のIS適合者です。万が一に備え、身軽な方が良いんですよ」

 

 下手に親身に成れば相手を危険に晒す事に成る

 それを防ぐ為に表はIS学園は整備科、裏では亡国企業に籍を置いているんだが

 しかし、それでも一部の無能共が強攻策を仕掛けてくる可能性がある

 それなら極力人間関係を持た無い良い

 

 外は暗かった高速道路とは打って変わり、イルミネーションが施された淡い青色に包まれている

 この辺で良いだろう

 

「ここで降りて周りましょう」

 

 手頃なパーキングエリアに車を停める

 

 

 イルミネーションが施された華やかな道では無く、その風景が見える人気が無い少し外れた道を2人きりで歩く

 最後の会話からここまでやり取りは無い

 

 

「おい」

 

「どうしました?」

 

 車から降りて10分経っただろう

 唐突に千冬さんが話し掛けて来た

 

「私のことは名前で呼べ」

 

「それは出来無いと先程言いましたよね」

 

「あぁ。理由は聞いた」

 

 それなら何故

 

「だがな。それはお前の事情で私の知ったことではない」

 

 何を言っているんだ

 これは千冬さんの不易に繋がる事なのに

 

「どうせお前のことだ、相手を巻き込まないよう気遣ってるのだろう。だからこそ言うぞ。下手な気遣いをするな」

 

 下手な気遣いって

 不易な事は誰だって嫌だろう

 

「私が言ってることがわからないか」

 

「……そうですね」

 

「つまりだ。遠慮をするなってことだ」

 

 千冬さんが私との距離を詰める

 

「私を誰だと思っている。ブリュンヒルデだぞ?お前の言う不利益も私にしてみれば些細なことだ。だから石見……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遠慮なんてするな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 心が鷲掴みにされる

 

 全身が満たされる

 

 指先にまで暖かさが広がる

 

 何でこんな事が言えるんだ

 

 私は……僕は正体不明の男だ

 

 職場が同じと言うだけで、何故こんなに優しく出来るんだ

 

 

 優しさに甘えてしまう

 

 

 今日だけは……

 

 せめて今日だけは千冬さんの甘美な暖かさに溺れてしまいたくなる

 

 僕にそんな資格など無いのに……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千冬さん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 言った

 

 言ってしまった

 

 名前を呼んでしまった

 

 

 ジレンマを……。 二律背反を感じる

 

 

 溺れたい本能と、甘さを許さない理性がせめぎ合う

 

 

 甘さを捨てた筈だろう

 

 何も欲しがら無いと決めただろう

 

 事を成すまでは道を歩み続けると銘打っただろう

 

 

 煙草を取り出し深く吸う

 

 

 だから■■■を捨て石見と名乗っている

 

 僕じゃないだろ

 

 私だ

 

 石見だ

 

 

 携帯灰皿に煙草を捨て千冬さんを見据える

 

「ありがとうございます。何か困ったら遠慮無く頼らせていただきます」

 

 そう言い千冬さんとは逆。車の方に踵を返す

 

「冷え込んで来ましたから車に戻りましょう」

 

 

 私は千冬さんから逃げた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなつもりはなかった

 

 ただ石見が背負ってるものを軽くしようと思っただけだった

 

 なのに追い詰めてしまった

 

 まるで親を見失った幼子の泣き顔だった

 

「私じゃだめなのか」

 

 私の声は先を行く石見に聞こえるはずもなく

 風に溶けて流れていった




こんな物語に感想をくれてありがとうございます

それでは短いながら良いクリスマスを
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